【CHAQLA.】ライヴレポート<CHAQLA.ワンマンライヴ BACK TO THE FUTURE>2024年2月22日(木)池袋Black Hole◆"CHAQLA.は本当に救世主なのか?"時代を賭けた「謎解き」の序章となった夜。

令和6年。
新世代ヴィジュアル系元年。
暗躍するマフィアの如く、危険な匂いをまき散らしながら独自の活動を継続してきたCHAQLA.が、この1周年というタイミングで池袋Black Holeにてワンマンライヴを開催した。
MV、HP、Youtube、SNS、ヴィジュアルイメージと細部に至るまで圧倒的独自性で、他の追随を許さない表現を追求して見せた結果、チケットはとうに完売。
この日に対する期待の高さが伺える一方で、怖いもの見たさの好奇も感じられた。
蠢くマグマのように沸々と煮えたぎる「新世代」。
今、時代は確実に動き出している。<CHAQLA.>という合言葉と共に。
◆ ◆ ◆
会場に入ってまず驚かされた。
ロビーからフロアに通ずる道中にはコンセプト<開眼>をモチーフにしたと思われる無数の眼が描かれたアートボード、奇妙な柄の布などが張り巡らされていて、フロアに辿り着く前から彼らの世界へと誘われる。音楽だけではなく視覚、ミュージックだけではなくヴィジュアル。彼らが提唱する<SIX SENSE MUSIC.>、すなわち第六感の開眼を促される演出は総合芸術的である。




満員のフロアの中も左右に巨大アートボードが配され、天井からは無数のイルミネーションライトの吊り下げが仕掛けられている。
ライヴハウスというより、さながら彼らのアジトに迷い込んだ錯覚に襲われたところで<2024年2月22日 18:00>と祝祭の始まりを告げる映像が暗幕に投影された。
始まったショートムービーは時間移動装置を使った宇宙人が時空を超える車に乗って、2024年2月22日に現れるというものだった。するとステージ上に実際にエイリアン仕様の面を纏った宇宙人が現れ、観客を定番の<開眼ポーズ>で扇動。ほどなくして、メンバーが登場、最後に現れたANNIE A(Vo)がピストルを宇宙人に突きつけ、退治に成功すると、今宵の表題でもある「BACK TO THE FUTURE」でスタート。

ストレートかつパンキッシュなナンバーはCHAQLA.にしては珍しいテイストな気がするが、縦ノリ横ノリを自在に組み替え、1曲の中に10曲分ほどの要素を詰め込んだ高濃度なミクスチャーロックである。キャッチ―なサビの強烈なフックが印象的だが、一聴しただけでは全く掴みどころのないカメレオンのような楽曲にも超満員のオーディエンスは拳を上げ抜群の反応で応じてみせた。
中指をクイっと曲げて挑発するANNIE Aの茶目っ気を感じさせるシーンからも見てとれたが、この1年の中で磨かれた個の輝きが際立っている。
思えば新衣装での登場で、楽曲・演出だけでない好意的な情報過多も“らしさ”を感じニヤリとさせられる。
その類い稀なセンスから着想したアイデアを形にしないと気が済まないバンドの性格を顕著に表している「太陽の悪魔」。
CHAQLA.【太陽の悪魔】OFFICIAL MUSIC VIDEO
MV公開時からその圧倒的なオリジナリティが衝撃を与えた1曲。
楽器隊がアイコンタクトを頻繁に取るのもいつものスタイルであるが、この日はいつにも増して、楽しくて仕方がないという感情の交換がワンマンならではの光景として映った。
ピンクと緑の照明が明滅する「首魁の音」ではANNIE Aの歌唱を遮らんばかりに、のあか(Gt)が観客をアジテート。ステージ上が器用に連動せず、同時多発的に噴火する勢いも相変わらず生半可ではない。
“感無量やね…”
MCでようやく初めてらしくない姿を見せた。
“泣きそうだよ。嬉しいよ。1年間やってきて良かったマジで。最高。”
対バンキラー、それもジャイアントキリングで常勝街道を進んでいたバンドにとって、特定の対象との勝負が義務付けられていないワンマンの場は、日ごろと異なる空間でもある。
1年間の出来事を振り返り、人間臭い一面に温かい空気が広がったところで披露されたのは、SE「異」をフィーチャーしたフリースタイルラップ。HIP HOPのクラブイベントのように空気を変えたところでさらに続いたのは、この夜初披露となった正真正銘の新曲「SINK SPIDER」。タイトルからも、<ピンクの蜘蛛が手招きしてる あの雲の上>と言うリリックからも偉大なる先人へのリスペクトを感じさせるもので、Bikky(Dr)の鳴らすスネアの抜けに、ヘヴィなリフと絡みつくラップ、メロウなサビが印象深いワイルドな1曲だ。
誤解を恐れず言えば歴史に刻まれた名曲をCHAQLA.流に解釈し、再構築されたような肌触りだ。

Bikkyのサンプラーと、のあかとkai(Gt)のツインギターによるソロで締めくくる構成がやけに冷淡で引き締まった「この世の終わり」、退廃的なジャズが艶めかしかった「ここはユートピアジャズver.」、「ユトピちゃんSE」を導入にした「ここはユートピア」と、本文末尾のセットリストを参照いただければ解るかと思うが、この日は曲間の構成が実に細かく設定されていた。
観客に対峙しながら鬼気迫るテンションで急加速した「ここはユートピア」の後はまさかの「瞑想」。
ショッピングモール風にアナウンスされ、ヒーリングミュージックのようなBGMが流れるとカウントに沿って5分間の瞑想が行われた。満員のライヴハウスで瞑想を行う経験がかつてあっただろうか?自身のYoutubeチャンネルでの24時間瞑想企画からの派生だが、他にない体験を提示したいというバンド側の想いだけでなく、瞑想中に浮かべた光景によって個々のセットリスト自体も無二のオリジナルになるという概念的試みは実に斬新だ。

いつも以上に鋭利だった独特のリズムでのクラップがお馴染みの「リーインカーネーション」。
「Liberation-369」はkaiのカッティングと、指弾きで空間を巧みに埋めていきながらタッピングも披露する鷹乃助(Ba)のフレーズが心地よく響く。開放感のある楽曲はクライマックスを予期させる新境地だ。
CHAQLA.【Liberation-369】OFFICIAL MUSIC VIDEO
この夜演奏されたのは実のところ12曲だったが、その曲数以上に濃密な時間となった。対バンライヴで嵐のように場をかき乱し掻っ攫って行く姿が生んだCHAQLA.幻想のイメージが先行しがちだが、限られた曲数の中でも起伏と発展途上故の片鱗を感じさせるふり幅が多く見受けられた。

▲のあか(Gt)

▲kai(Gt)
スラップとシンセを駆使する鷹乃助と外タレばりの存在感を放つBikkyの豪快さが光る「poison」は深部へ誘う説得力を放っていたし、秩序崩壊の暴走モードに突入した「ミスキャスト」の立体的扇動力は<何十倍ものキャパシティの会場で浴びたらどうなるのか?>と感じさせるダイナミズムがすでにあった。
得体の知れない高揚感が最たる武器であることは周知だが、ディープな演出と日頃見せない明るく和んだMCも含め、一層このバンドの多面性を確認する公演になったのではないか。とっ散らかっていると言えばそれまでだが、発するパワーは結成1年のソレではないし、楽曲の複雑な彩りとそれを再現した際の爆発力は正直なところ未来が末恐ろしいと言わざるを得ない。まさにバック・トゥ・ザ・フューチャーだ。


▲Bikky(Dr)
ANNIE Aが“自分のために書いた曲だけど…”と前置きして雪崩れ込んだのは「蛍の光」。かの原曲を青春パンク風にアレンジした楽曲にタオルを掲げる満員のフロアの姿まさに大団円だった。


“この先も一緒に突き進んでいこう!”と告げたラストは、この1年間バンドとオーディエンスで育て上げ、数々の死闘を共にしてきた「PLAY BACK!!」。
想いの丈と、その体重の全てを乗せた完全燃焼の必殺曲はぐちゃぐちゃで、爽快で、けれど少しだけ温かい瑞々しさも残した。
昨年6月に同会場で行われた1stワンマンと比べると、内容も動員も何倍にも跳ね上がった大成功の公演だった。
それは間違いないのだが、以前よりもバンドのスタンスが明確になってきている一方で、描きたい光景が膨張することでまだまだ底が知れないライヴであったことも忘れ難い。
やりたいことをやる。描きたいものを描く。そのスタイル自体が意志に昇華する事象はまさしくアートだ。だからこそCHAQLA.のロックは受け取り手次第で何重にも深みを増し色を変えていく。
唯一無二のカリスマ性とミュージシャンシップを誇る彼らは果たして本当に新時代の救世主なのか?
新世代ヴィジュアル系元年。
CHAQLA.が誰を倒すのか?ではなく、誰がCHAQLA.を倒せるのか。
渦の中心にいる彼らの野望から目が離せない。畏敬の念と共に。
文:山内 秀一
Photo by Megumi Iritani
SET LIST
1.BACK TO THE FUTURE 2.太陽の悪魔 3.首魁の音 -MC- 3.5. 異 4.SINK SPYDER 5.この世の終わり 5.25.ここはユートピアジャズver. 5.5ユトピちゃんSE 6.ここはユートピア 6.5.瞑想 6.75.開眼 7.リーインカーネーション -MC- 8.Liberation-369 9.poison 10.ミスキャスト -MC- 11.蛍の光 12.PLAY BACK!!


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余談だが、この日の打ち上げでメンバーが乾杯の音頭を取るや否や街中が大規模停電に襲われた。
決して笑いごとではないのだが、「池袋中の呪物を集めちゃいましたかね」と書いておいて下さいとのこと。6月からは全国の呪物を回収する<第六感呪物回収TOUR2024>も始まる。ご注意のうえ(?)是非、参加してほしい。
関連リンク
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