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【XANVALA】ライヴレポート<XANVALA TOUR 2024 THE CULTURE GRAND FINAL>2024年6月11日(火)Zepp Shinjuku◆Zepp Shinjukuにて魅せた“自分たちの文化”を投影したワンマンライブ。「まだまだ俺たちの夢は続きます」

XANVALAが、6月11日にZepp Shinjukuにてワンマンライブを行った。2023年11月からスタートした“-Beginning-”を経て、2024年3月からは“-INITIALIZE-”と二段階のタームで展開してきた、「THE CULTURE」と題したワンマンツアーのグランドファイナル。“Zepp”と名がつく憧れの、さらにはこの先へ飛躍していくための大きなステップとなる会場で、自身に課した“文化”という壮大なテーマを見事に昇華してみせた。

本公演に先駆けて発表された新曲「CULTURE」は、まさしく今回のツアーを通して見出した答えが言葉と音に詰まっていたといえる。音楽を通して感銘を受けた文化の継承と、新しい文化を築いていくためには破壊も厭わないという決意――その想いを込めた“Destruction and CULTURE”という極めて威力を持ったワードを巨大モニターに映しながら、「THE CULTURE」が幕開けを飾った。目の前の5人の様子は堂々たるもので、心地よい音圧を生み出すバンドのグルーヴが今ツアーの充実ぶりを物語っているようでもあった。「MY BLACK」へ続くと、巽(Vo)が “混ざり合うなら 今日この場所しかないよな、よく選んでくれた!”と歌い替えて特別な1日を印象付け、「俺たちに懸けてみないか?」と囁かれた声の先にいるメンバーの堅実な姿に感化されたΛ(ラムダ / ファン)たちの熱量が一気に上昇。「DROID」や「落ちていく魔法」を畳みかけると、ステージはおろかフロアも縦横無尽に動き出し、体当たりなライブを存分に発揮していった。

「Zeppー! ついにきたぞ、「THE CULTURE」ツアー、グランドファイナル。まずは今日、この場所を選んでくれてありがとうございます。そして、あなたにお願いするのはただ1つ……“死ぬ気で”楽しめ、いいか!」(巽)

思い返せばこの日、巽は何度も“死ぬ気で”という言葉を口にしていた。そうして焚きつけていた対象は、観客はもちろんのこと、自らを含むメンバーでもあったのかもしれない。XANVALAというバンドのもとに生きてることの懸命さは、“死”という究極の言葉を用いてこそ等しく表すことができるというもの。だからこそ、Yuhma(Gt)の軸にあるメタルを彷彿とさせるリフが炸裂した「R.I.P」では“生命を歌ってみせるから”という歌詞が際立ち、「joke」で曝け出した皮肉も、雨音からCo2が噴き出す緩急の中で感情を吐き出すようにヘッドバンギングの嵐を生んだ「ジャノメ」も、生きているからこそ沸き起こる激情が容赦なく会場を支配していく様子が痛快だった。極めつけは、巽が深い息遣いで歌い出した「ゆらゆら」が描き出した死生観によって気迫が漲るも、サビでおもむろに観客の手が一斉に掲げられる情景の異様なまでの美しさ。観る者を圧倒する力と共有する力が同等に備わったカルト的とも言える部分も、XANVALAがヴィジュアル系シーンで作り上げてきた“此処”にしか起こり得ない一つの功績でもある。

沈黙をアカペラが切り裂き「春が刺さる」をメロウに聴かせると、続いたのはソロ回しを交えたセッション。これが個の主張といわんばかりのプロローグとなって「アーティスト」へナチュラルに繋ぐと、巽が自身のネガティブな部分に向き合いながら“それでも”とアーティストたる気概を歌いあげる。ただしその表情は晴れやかで、仕舞には「届いてるか!!」と笑顔で言い放った姿に胸を打たれた。

そして、ここからが彼らの真骨頂を発揮したハイライトとなる。そのトリガーとなったのは、巽が改めて“CULTURE”に触れたMCだ。“文化”というテーマを据えたツアーとZepp Shinjukuを発表したとき、率直に「荷が重い」と感じ、さらにスケールの大きさからどこか他人事のように感じていたと話しだした。だが、実際にツアーがはじまってみると「“CULTURE”はどこかじゃなくて、俺たちの目の前にちゃんとあったと実感するツアーでした。俺たちが愛したものを紡いでいく。そして新しい文化に繋げていく。XANVALAという文化を作ると言ってはじめたツアーですが、気づけば俺たちという文化を一緒に作ってもらっている、そんな気持ちになれるツアーでした」と語り、“THE CULTURE”と大きく映し出されたモニターに向きかえって拍手をしてみせると、拍手の音は賞賛のごとく割れんばかりに倍増した。ここで生まれた情熱がクライマックスへもたらした影響は、いわずもがな。「Bamby」でステージと客席双方から「かかってこい!」と鼓舞して怒涛の勢いを増し、極彩色なステージで宗馬(Gt)が独自の怪しげなギターフレーズでリードした「リード・アクトレス」から、間髪入れずに「本能」へ。そしてここで披露されたのが、この日無料配布された新曲「人間賛歌」だった。巽が「あなたと今日まで生きてきた俺の中身です」と前置きしたこの曲は、「THE CULTURE」ツアーを通して見出したもう一つの答えでもある。ヴィジュアル系で、ひいては音楽で表現することにおいて重要なのはアーティストの“思考”だ。何を思い、何をするか、それは時間の経過とともに変化して然るべきものだが、やはりリアルタイムの“思考”こそ一番興味深く、最強の武器となる。それが、現在のXANVALAにおいてはこの「人間賛歌」なのだ。主に巽が今ツアーで感じたことをしたためた歌と、宗馬のソロに続いてYuhmaが加わるギターのユニゾン、さらに70.(Ba)のベースから知哉(Dr)のドラムへとソロをリレーしていくセクションを含めた頼もしい演奏と、協調するように響くコーラス。それはまるで、センターでバンドを率いる巽の思考をバンドが一丸となって伝えようとしている構図を表しているようでもあった。そんな5人の間に感じた強い意思を、今度は「信じる者を集めてこの先に行くぞ、しっかりついてこい!」と“戰う”姿勢として「聖戰」でぶつけ、「デスパレード」でも白熱ぶりがやむことなく本編を締めくくった。「まだまだ高いところに行きます」という宣誓を受け、「デスパレード」中にコーラスの“声”で応えたΛたち。コロナ禍、歓声が皆無だったバンドのスタートが今では懐かしく思えるほど大きな“声”を届けるたくさんの人々と共に、Zepp Shinjukuという大舞台で絶景を生んだこともまた、彼らが勝ち取った結果でもあることを強く印象付けたシーンでもあった。

アンコールでは、メンバー1人ひとりがツアーを振り返る場面があった。先陣を切った宗馬は、「後悔せずにチャレンジして後悔なく人生が終われるようにしたい。これからも人生楽しんでいきましょう!」と話し、Yuhmaは「今日はちょっと真面目に話そうと思います」と前置きして、前身バンドの解散からXANVALA結成までを例に挙げながら“ピンチはチャンス!”とコールアンドレスポンスを繰り広げ、「前向きに頑張っていけば、必ず成功できる」とメッセージ。さらに、XANVALA結成について「定められた僕の人生だと思ったし、僕自身が勝ち取った道」とも話していた。知哉は、“Zepp”という会場に実際に立った感想を「この景色がしっくりくる」と話したが、これには誰もが共感したことと思う。「まだまだこれ以上の景色がイメージできる。イメージできることは実現できる」と可能性に満ちた意気込みもまた、頼もしい彼の人柄が表れていた。70.は、「何度でも言うよ、ありがとう」と夢の舞台に立てたこと、そこに素晴らしい景色が溢れていることに感謝を伝え、夢が1つひとつ実現していくことを噛みしめながら「世界一かっこいいXANVALAのベーシストとしてみんなに魅せていくから、ちゃんと見てろよ!」と話した。そして、巽の口からも「まだまだ俺たちの夢は続きます」という“先”を見据えている想いを強調した言葉を聞くことができた。

こうして、アンコールでは全5曲を演奏。中でも、和旋律に扇子が舞った「文明開花」では、歌詞にもある“乱れ髪”がXANVALAという名の由来に通ずる軸の部分を感じさせる場面や、銀テープが舞った「XANADU」ではテンション振り切ったYuhmaがギターを置いてダンスを繰り広げる場面が印象的で、ダブルアンコールではお馴染みのキラーチューン「CREEPER」で会場を大いに揺るがすフィナーレとなった。

最後に、アンコールで披露した「NIX」の前に巽が伝えた言葉を借りながら、締めくくりたいと思う。
「誰かの原動力になりたいと思ってツアーを回って、誰かを救いたいと思って歌詞を書いて唄を歌って、誰かの何かになりたいと思ってステージに今日も立ってる。――俺はあなたに何度も救われています。俺たちが愛したこのヴィジュアル系という文化、音楽という文化、バンド、ロック、いろんなカテゴライズはあるけど、俺たちは、俺たちが愛したものを紡ぎながら俺たちだけの文化を作りたいと思います。この先、XANVALAで何を返せるかわからないけど、あなたを救えるように、生きて、ずっとまだまだ続けていきます」

この日、3rd ALBUM「BANQUET」発売とアルバムツアーの開催やハロウィンツアーが発表され、早くも次なる大きな舞台を2025年5月5日にEX THEATER ROPPONGIと定めたことを伝えていた。人に響く言葉、音、XANVALAが生み出すそれらは、彼らだけの文化を創り出す上でこれからも重要なファクターとなり、大きな未来を切り開いていくはずだ。

Report:Ayako Hirai
photo by @a_kwsk_1985

SET LIST

1. CULTURE
2. MY BLACK
3. DROID
4. 落ちていく魔法
5. R.I.P
6. joke
7. ジャノメ
8. ゆらゆら
9. 春が刺さる
10. アーティスト
11. Bamby
12. リード・アクトレス
13. 本能
14. 人間賛歌
15. 聖戰
16. デスパレート

En-1. 左耳の悪魔
En-2. 明日、虫になっても
En-3. 文明開花
En-4. NIX
En-5. XANADU

WEn. CREEPER

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