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【アンティック-珈琲店-・みく(Vo)】★インタビュー★結成20周年を経たバンドの在り方と来春開催の2Daysワンマンライヴに向けた思いに触れる


アンティック-珈琲店-というバンドは、“ヴィジュアル系”のなかにおいて、ひとつのジャンルを確立させたと言っても過言ではないだろう。そして、活動休止・再始動と様々な局面を乗り越えながら、結成20周年という歴史を積み上げてきた。そんな彼らに、今一度、原点に立ち返った話を訊いてみたい。そして、来春の開催が発表されたワンマンライヴ、その先の未来についても――。バンドの顔となるヴォーカリスト・みくに焦点を当て、インタビューした。


自分というキャラクターを見て意見してくれるみんなの言葉も大事だなって思ったんですよね。


────2023年に結成20周年を迎えたアンティック-珈琲店-というバンドについて、今、このタイミングで新たに出逢ってくれる人たちのために、復習の意味も込め、どんなコンセプトで立ち上げられたバンドなのかを聞いてもいいですか?

みく:最初は、自分が歌を歌いたいっていう想いから、メンバーを募集したところから始まったんです。ヴィジュアル系に特化したバンドのメンバー募集の掲示板を見ているなかで、「お笑い込みの面白いヴィジュアル系をやりたい」って書いている人を見つけて、「あ、それいいね!」って思って連絡を取ったんです。それがギターの坊くんで。僕ももともと、ほかにはないスタイルのヴィジュアル系バンドをやりたいという想いがあったので、そこから意気投合して一緒にやろうってことになり、バンド名を決めていくことになったんです。坊くんは競馬が好きで、“マンハッタンカフェ”っていう馬がいるからどうしてもその名前をバンド名にしたいって言われて、“マンハッタンカフェ”から始まったんです。アーティスト写真の撮影をするときに公園のアスレチック前で撮影することになり“アスレチックカフェ”もいいかも! って案も出たんですけど、辞書で調べてみたらたいした意味じゃなくて。その流れで“ア”から始まるバンド名だったらいちばん最初にくるよね、みたいな話になり、“アンティック=おどろおどろしい”って言葉を見つけたんです。コンセプトとピッタリだったこともあり、バンド名をアンティック-珈琲店-と正式に決めたんです。

────導かれたかのような流れだったんですね。いい波長が生まれるときって、そういう不思議な力が動く感覚ってありますよね。

みく:そう。全く先が見えない未来だったけど、希望を胸に抱いた状態でキラキラした目で意見をぶつけて生まれた名前だった。そこにビジネスな感じがないというか。本当に純粋な思いだけが詰まった、思い出の名前でもあるんです。

────そのときのメンバーは、みくくんと坊くんとカノンくんと輝喜くんの初期メンバー?

みく:いや、まだ輝喜はいなくて、知り合いの人にサポートでドラムを叩いてもらっていたんです。カノンさんは坊くんの友達で、坊くん界隈では相当人気のイケてる男子だって聞いていたので、最初、待ち合わせの場所に家電量販店の紙袋と下駄姿で現れたときにはビックリしましたけどね(笑)。そこからしばらく正式メンバーは僕と坊くんとカノンさんで、サポートメンバーのドラムの人とやっていたんですけど、ある日輝喜からバンド宛に“ドラム探してませんか?”っていう連絡がきて、会ってみたらいい人だったので、正式メンバーとして一緒にやることになったんです。

────それが初期のアンティック-珈琲店-ですね。そこから2007年4月30日のライヴを最後に坊くんが抜けることになり、その後、takuyaとゆうきを新メンバーに迎えて、現在のアンティック-珈琲店-の形になって行ったんでしたよね。通称“アンカフェ”は、初期からも、みく・カノン・輝喜・takuya・ゆうきの5人体制になってからも、唯一無二な存在でした。キラキラしてアイドル的な人気を放ちながらも、サウンド的にはポップであり、軸にはしっかりとハードな音楽性を感じるルーツもあり。男性ファンも多かったですしね。

みく:そうですね。でも、正直、最初は自分のなかでやりたいことと、バンドが向かっている方向性に違和感を感じていたというか、ギャップみたいなものを埋められずにいたんです。アンカフェという存在はすごく大切だったし、自分にとってすごく大切な場所だったことに変わりはない。けど、今も昔もヴィジュアル系の音楽が好きで、激しい楽曲が好きで、“アーティストになりたい”っていう想いが強かったから、そこにギャップが生まれていて。

────葛藤があったということですね。そこもバンドの20年史を語るうえでは欠かせないお話ですね。でも、アンカフェに憧れてバンドを始める子たちも多かったくらい、確立されたバンドだったし、誰もが羨む唯一無二のバンドだったのに。

みく:“ほかにはないスタイルのヴィジュアル系バンドをやりたい”というところは叶っていたのかもしれないんですけど、もっと自分が思うカッコいい感じにしたかったというか。アイドル視されるのが嫌だっていうわけではなかったんですけど、自分的には蜉蝣さんやDIR EN GREYさんがすごく好きだったので、あんなふうに“アーティストになりたい”って想いが強くて。キラキラを否定してるわけじゃないんだけど、ちゃんとヴィジュアル系でありたかったって思ってたというか。事務所の人とかレコード会社の人とかにも相談したんですけど、“みくはドロドロしたタイプじゃないほうが似合うと思う”って言われたりして。自分では好きな音楽や憧れのバンドさんに近づきたいっていう想いがあったんですけど、自分というキャラクターを見て意見してくれるみんなの言葉も大事だなって思ったんですよね。

────自我を通すだけではなく、はたからの意見を受け入れることも、ときには大事なこともありますよね。

みく:そう。自分の我ばっかり突き通しても仕方ないよな、バンドだもんなって。

────その葛藤はいつ頃まで続いたんですか?

みく:最初の1、2年ですね。アンカフェのライヴに来てくれるお客さんを見てると、本当に楽しそうにしてくれているし、みんなが言うようにお客さんが求めているのはこっちなんだろうなって。なので、激しい楽曲とかは、たまにご褒美的な感じでやらせてもらってるんです(笑)。でも、長く続けていくなかで、気持ち的な変化もあって。今はお客さんたちみんなのことを家族みたいに思っていて、ファミリーだって思っているので、歌うことが好きというのはもちろんなんですけど、お客さんたちと同じ目線に立てるようになったというか。“アーティストになりたい”っていう想いはなくなりましたね。集まってくれるみんなのことを、とにかく楽しませたいし、一緒にいる時間が本当に好きだし大切って、思うようになったんです。

────大きな気持ちの変化があったんですね。

みく:そう。聴いてくれる人たちに与えていきたいっていう想いが強くなったというか。長年やってきて、ライヴとかインストアイベントとかでお客さんたちと触れ合っていくなかで、お客さんの中身もなんとなくわかるようになって。与える側であるのに、逆に優しさをいただいたりして、すごくありがたさを感じるようになって。自分の性格が変わっていくのを感じたというか。これだけの優しさをもらっているんだから、ステージに立っている身として、それの何倍もみんなに与えられる人間にならなくちゃいけないって思うようになったんです。そういう使命感みたいなものを感じるようになっていったんですよね。


離れてみて、より思うようになったんですよね。
お客さんに育ててもらってたんだなって。


────そんな想いの変化があったのに、2019年に活動休止という道を選んでいますよね。それはどうしてだったんですか?

みく:メンバーそれぞれの人生のタイミング的なものというか。人生において年齢的な節目ってあると思うんです。僕自身も30歳という節目のときにはやっぱり悩んだし。メンバーのなかでは兄貴として、弟的存在のtakuyaやゆうきを一生食べさせていってあげられるか? みたいなところもあって。みんなの意見を尊重したかったっていうのがあったんですよね。だから、喧嘩別れとかでは全然なかったんです。むしろ、僕自身はアンカフェを続けたかったし、ずっと歌っていたかった。

────バンドって、1人だけの想いじゃ続けられないですからね。みんなの人生というか。

みく:そうなんですよ。

────みくくんのなかでは、いつかアンカフェを復活させたいという思いはあったんですか? アンカフェへの未練みたいな。

みく:ずっとありましたね。めちゃくちゃありました。悲壮感というか。ファンのみんなのことも、メンバーのことも本当に家族だと思っていたので、家族と引き裂かれてしまった感じというか、離れ離れになっちゃった感覚でした。でも、同じ日本、もっというなら同じ地球上に住んでいる限り、またどこかで会えるって考えていたから、みんなが元気で生きててくれたら、絶対にいつかまた会える日がくる。きっと家族ってそんなもんだよなって、思うようにしてたんです。自分にとって本当に大事な存在だと思ったから。絶対にまた会いたいって。離れてみて、より思うようになったんですよね。お客さんに育ててもらってたんだなって。愛とか優しさを知らなかった仔犬が、優しさを与えてもらって気づけたみたいな感じ。まさに、その仔犬は僕ですね。本当に、知らなかった感情や気持ちを教えてくれた存在だったから。

────そういう心情の変化は、歌詞に変化として表れたりしていたんですか? 昔と書きたいことが変わってきたとか、視点が変化してきたとか。

みく:そこはあんまり変化がなかったですね。もともと僕は弱い人間だったので、最初から弱い人に寄り添う歌詞を書きたいと思って書いてきたので。一貫してそのメッセージ性は変わっていないんです。昔から、なかなか一歩が踏み出せなくて。なんか……嫌なこと考えちゃって、踏み出せないんです。だから、僕と同じような人に、寄り添うような歌詞を書きたいなって思っていたので、そこは自分が成長しても、年を重ねても変わらないんです。

────みくくんがヴィジュアル系に惹かれたのは、歌詞だったんですか?

みく:いや。実は僕は歌詞ではないんです。この流れだと“歌詞に救われた”って話を合わせたいところなんですけどね(笑)。僕がヴィジュアル系に惹かれたのは、サウンドの響きがすごく好きだったからなんです。ヴォーカリストとしても、そのサウンドの響きに合わせて歌うちょっとしゃくったような歌い方や、声色に惹かれました。

────みくくんが好きと言って名前を上げていた蜉蝣は、サウンドの響きやヴォーカルの独特な歌い方も特徴的でしたが、精神性を歌った歌詞も魅力的なバンドですよね。

みく:そうなんです。メッセージ性が全く響いていなかったわけじゃないんですよ。でも、歌詞だけ重視して好きだったっていうわけじゃなかったんです。蜉蝣さんもDIR EN GREYさんも、やっぱ声とサウンドの響きだったんです。体がゾクゾクするんです、聴くと。すごく気持ちいいんです。

────最初のほうにしてくれた、“なりたい自分と自分が発揮できる魅力とのギャップ”の話と少し近い気がしますね。歌詞に惹かれた、歌詞を重視していた惹かれ方ではなかったのに、自分が書く歌詞は一貫して聴き手に届けたい強いメッセージを持っていたみたいなところ、とても興味深いお話だと思います。ヴィジュアル系シーンを愛するリスナーの皆さんは、歌詞をすごく重視する印象でもあったので、そこもみくくん独自の観点でおもしろかったです。

みく:たしかに。歌を歌いたいっていうところからバンドを始めたんですけど、そもそも自分なんかはステージに立つような人間ではないと思っていたんですよ。自信も全く持てない人間だし。ステージに立っている人のことを、指をくわえて憧れているほうが似合ってる人間なんです、本当は。今でも毎回ステージに上がるときは緊張するし。そんな僕が奇跡的にステージに上がれることになったので、自分なりに“僕がステージでできることはなんだろう?”って考えた時に、“自分に自信を持てなかったり、人見知りだったり、弱い人間として、そういう人たちの代表として、みんなに勇気を与えられたらいいな”って思って。そういう気持ちで自分を奮い立たせながら頑張ってた感じでしたね。

────なるほど。アンカフェを復活させてからは?

みく:まず、復活させられることになったときは、本当に嬉しかったです。と同時に、ファンのみんなに対しては、“なんか、当時、活動休止って悲しい想いをさせてしまったのに、ぬけぬけと帰ってきてごめんね”っていう気持ちもあって……。正直どういう顔をしてみんなに会ったらいいかわからなかったんですよね。でも、そんな僕たちのことを、文句も言わず、両手を広げてウェルカムで迎えてくれて……。なんて素敵なファンを持ったんだろうって、涙が出るくらい嬉しくて。そんなみんなの気持ちを想ったら、自分が情けない人間だなって思えてしまったところもあったんです。みんなの心に寄り添いたいって思って始めた歌とバンドだったのに、本当に支えてもらっているのはこっちだなって、改めて思いました。だからこそ、全力でその気持ちに応えていかなくちゃって思っているんです。

────ずっとやり続けていく予定ですか? もう止めない?

みく:そのつもりです。もう止めたくないですね。ずっとやり続けたい。メンバーそれぞれのペースもあるので、ライヴとライヴの間隔は空いてしまうかもしれないんですけど、ちゃんとしっかりと向き合って、続けていけたらいいなと思っています。


“何も変わってないな”って思うんです。僕はいつまで経っても、“昔を振り返っても明日は無いけど、ボクは忘れない”って。


────今年1月にはLINE CUBE SHIBUYAでの2Daysも行っていましたけど、結成20周年を迎えてシーンに戻ってきた今、ヴィジュアル系シーンを牽引しているアーティストとして、“ヴィジュアル系”について思うことはありますか?

みく:いやいやいや! そんな大それたこと思ってないですよ! 今は来てくれるお客さんのことしか考えてないです! でも、コロナ禍でキズさんを好きになって、めちゃくちゃファンになって聴いていたんですけど、そのとき“これはヴィジュアル系シーンに新しい風を吹かせることになるな~!”って思いました。僕がそんな牽引するとかそんな、全く思ってないです!(笑)

────世代的にもアンカフェに憧れていた子たちが表舞台に出てくる頃かな? と思いますが、いかがですか?

みく:嬉しいです。頑張っていかないとですね。自分を信じて。悔いを残さないようにこれからも一生懸命に頑張りたいと思います!

────9月16日には東京・EX THEATER ROPPONGIにてMUCC主催のイベント“LuV Together 2024”に、アンティック-珈琲店-、YUKI-Starring Raphael-、lynch.、キズが出演することが発表されましたよね(※インタビュー時はイベント開催前)。

みく:はい。すごく幸せなことだなって思ってます。楽しみでしかないです。MUCCさんに呼んでいただいて本当に感謝です。キズさんと一緒にライヴできるのも、すごく楽しみです。

────みくくんはアンカフェとはまた別に、2024年にワールドツアーもされるんですよね。

みく:はい。海外でやります。でも、本当に少人数で行くし、向こうに行ったらスタッフは外国の方ですし、ちゃんといろんなことを自分で把握しておかないと、海外に取り残されて日本に帰ってこれなくなっちゃうんで、怖いですよね(笑)。しっかりしないと(笑)。

────そして、来たる2025年4月29日(火祝)&30日(水)にはZepp Haneda(TOKYO)で21周年ライヴ“LIVE CAFE 21th spring NYAPPY”が行われます。“LIVE CAFE 21th spring NYAPPY”という大タイトルが付けられていますけど、“spring NYAPPY”に意味はありますか?

みく:いや、そこは完全に語感です! 響きがいいなぁってだけでして……(笑)。

────響き、大事なんですね(笑)。

みく:そうなんです(笑)。僕にとって、響きってめちゃくちゃ大事なんです。

────サブタイトルの“サクラ咲く頃にまたこうしてみんなで「でっかくなって会いたいね」とo(≧∀≦)o”と、“昔を振り返っても明日は無いけど、ボクは忘れないo(≧∀≦)o”は、まさしく、「Cherry咲く勇気!!」の歌詞そのものですよね。

みく:そうなんです、そうなんです!

────今もアンカフェにとって大切にしている想いでもあるんですね。

みく:そう。「Cherry咲く勇気!!」は2008年にリリースしたシングルで、海外ツアー中にリリースしたのを覚えてるんですよね。当時この曲が出来たとき、歌詞も含めて、これはめちゃくちゃおもしろい曲が出来たなぁって思ったんです。それから時が経っても、「Cherry咲く勇気!!」の歌詞を見返す機会が何度もあって。その度に“何も変わってないな”って思うんです。僕はいつまで経っても、“昔を振り返っても明日は無いけど、ボクは忘れない”って。だから、21年目の今も、このタイトルを掲げてライヴしたいなって思ったんです。

────どんなライヴになりそうですか?

みく:しばら期間が空いちゃったので、とにかくみんなで一緒に楽しめるライヴにできたらいいなって思ってます。日々みんなフラストレーションを抱えていたり、寂しい気持ちになっていたり、いろんなモヤモヤを抱えていたりもすると思うので、この2日間でそういう気持ちを吹っ飛ばして、次に気持ちが向かえるように、爆発的なエネルギーを与えられたらいいなって思ってます。活力になれたらいいなって。そして、こんな僕ですけど、これからもよろしくお願いしますって言いたいです。これからも、もっともっと成長して大きくなっていけたらいいなって思っているので。できる限りたくさんみんなに会えたらいいなって思ってますし、新曲も出せる機会があったら出したいなって思ってます!

写真 菅沼剛弘
ヘアメイク yuko(BONDS) / 我那覇智
スタイリング ヨシダミホ
取材・文 武市尚子

LIVE

■LIVE CAFE 21th spring NYAPPY

サクラ咲く頃にまたこうしてみんなで「でっかくなって会いたいね」とo(≧∀≦)o

2025.04.29(火・祝)Zepp Haneda(TOKYO)

昔を振り返っても明日は無いけど、ボクは忘れないo(≧∀≦)o

2025.04.30(水)Zepp Haneda(TOKYO)
…………………………………………
OPEN 17:15 / START 18:00
…………………………………………
◆チケット申し込み
指定席 ¥8,800(税込)
子供チケット(中学生以下、指定) ¥2,200(税込)
車椅子席(指定) ¥8,800(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
※来場者全員にオリジナルチケットをプレゼント
※枚数制限 4枚(車椅子席2枚) 
※3歳以上チケット必要
受付期間
2024.09.16(月祝)21:00~2024.09.29(日)23:5
↓↓
https://ancafe-official.com/

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