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【Chanty】2024年10月16日デジタルリリース、New Single 「想巡/空々」リリースインタビュー!◆「改めて“何故、バンドをやりたいのか?”と考えた結果、高尚な理由なんて一切なくて、単純に“やりたいから”だけだった。」

「Chantyに纏わる全てのことに期待して待っていてください。」
インタビューでのその言葉が象徴するように、8ヶ月ぶりにリリースされたシングル『想巡 / 空々』は現在進行形のバンドの熱量と勢いを詰め込んだ、現時点での最高傑作と呼ぶに相応しい作品となった。
11月11日•12日の福岡Queblick公演から開幕する今作を引っ提げてのONEMAN TOUR 2024『冬空、想いは巡る、空々と。』で、より濃く深く研ぎ澄まされていくChantyの世界をぜひ堪能して頂きたい。

11周年は、いつも以上にみんなが一緒につくってくれたことを強く感じられる良い日になりました。


────916日に開催された、11th Anniversary OnemanChantyの世界へようこそ』渋谷WWW公演のお話から伺っていきます。個人的には過去最高の周年になったと感じますが、いかがでしたか?

白:ありがたいことにファンの人達からもそういう感想を頂くことが多いですし、実際に僕ら自身も手応えがあるワンマンになりました。周年公演は毎回、“特別感を意識し過ぎないように、意気込まないように”と言っていますけど、どこかカッコつけてしまったり硬くなってしまいがちで。でも、今回のWWW公演は1曲目からみんなわりとリラックスした状態で始められた気がするし、その平常心の中にも周年らしさみたいなものは持つことができていたと思います。

芥:凄く楽しかったです。今年の春に開催した『愛哀想奏』ツアーは“あまり気張り過ぎない”という意識を持ってまわっていたんですけど、その感覚がずっと続いているのではと思います。バンド的にはワンマンに対して構え過ぎないと思えたのもあるし、ファンの人達のテンション感的にも前日の9月15日に開催したshotaくんのバースデーワンマンから続いている部分があったのかもしれないですね。ただ、1曲目の『散花』で僕がギターを鳴らして始まる感じだったので、正直そこは緊張しました。本当はもう少しカッコいいことを言おうと思っていたんだけど、緊張で言葉が飛んで行って(苦笑)。

白:凄く良い始まり方だと思ったけどね。

shota:実は、事前に「何も言葉が浮かばなかったら、そのまま(曲を)始めるので!」と言われていました(笑)。

一同:(笑)

芥:始まってしまえば、1曲目から一気に集中できましたね。

白:WWWという会場が、Chantyにバッチリ噛み合ったこともあるかもしれない。

shota:芥さんも言ったように、前日には自分の生誕もあったので、ウォーミングアップというわけではないけれど良いテンション感を持続して周年に臨むことができました。嫌な緊張感ではなく、良い意味での緊張感のみでリラックスしてライヴができたと思います。

野中:個人的には、人並みには緊張していました(笑)。ただ、これまでの周年は時間に余裕が持てるように早めにメイクをしたり、結構ゆっくりする時間があったんですね。でも今年はわりと本番前までバタついていたのと、あとは楽屋に遊びに来てくれた関係者の人と喋っていたことでリラックスできたのか、全く緊張しなかったわけではないけれど、いつもよりはずっとリラックスした状態でステージに立てました。やっぱり、ライヴを作る上での環境も凄く大事だと思うんですね。11周年は、制作スタッフをはじめ長くChantyに関わってきてくれた人が多かったのもあって、いつも以上にみんなが一緒につくってくれたことを強く感じられる良い日になりました。

“1人1人が持ってくる様々な色の感情をのせる薄地として『ivory』があって、そこに自由にどんな色をのせていくかはあなた方に任せます”という意味を込めて。


────遂に、オフィシャルファンクラブ『ivory』が発足されました!以前からFC設立をお考えだったのでしょうか?

野中:去年末くらいには構想がありましたね。

白:自主活動に戻るし、タイミング的にもちょうど良かったのでここで設立しようかなと。大前提としてChantyはライヴバンドではあるんですけど、ライヴ活動以外の場所でのアプローチが弱い自覚をずっと持っていたし、バンドとして悩んでいたところなんですね。メンバー全員どちらかというとSNSが得意なタイプではないので、それなら公式でファンクラブを作って、ライヴ以外のところでもファンの人達に楽しんでもらえるコンテンツを発信して交流できたらいいなと。

────頻繁にライヴに足を運べる方ばかりではないでしょうし、それ以外の場所でも繋がっていられるのは嬉しいことだと思います。『ivory』というネーミングの由来は?

芥:Chantyにはファン名称が無いじゃないですか?ファンクラブを作るにあたって「ファン名称になり得るものを。」というオーダーを貰って、自分はファン名称を頑なに拒んできたところがあるので悩んだんです。今さらという気恥ずかしさもあるし、それ以上に“ひとくくりにすること”があまり好きではないというか。名称があったほうがわかりやすくて良いというのは理解していますけど、Chantyのファンって十人十色だなと感じることが多くて。これは悪い意味で言っているわけではないので誤解しないで欲しいですけど、例えばワンマンであっても煽った時に頭を振る人も居ればそうしない人も居るし、うちのバンドの一体感ってフィジカルな意味での一体感だけではないと思っているんです。そういったところも含めて、十人十色を一絡げにすることに対してちょっと抵抗があったんですよね。それで悩んでいた時に、ふと浮かんだのが『ivory』でした。Chantyの根底には今もイメージカラーの白があるけれど、その白は真っ白ではないなと。“1人1人が持ってくる様々な色の感情をのせる薄地として『ivory』があって、そこに自由にどんな色をのせていくかはあなた方に任せます”という意味を込めたら、字体も含めてピッタリなのではないかと。

────とても素敵な由来です。

芥:「これをファン名称にします。」とまでは言わないですけど、もしもファン名称で呼びたい人が居るなら『ivory』が良いんじゃないかなという気持ちです。

インストアイベントのために同じCDを何枚も買ってもらうことへの抵抗が以前からあって、どう解決するべきかずっと考えていた。


────今回のシングル『想巡 / 空々』は、基本的にはデジタルリリース、ファンクラブ限定でCD形態の販売という新たな形を取られましたが、その理由を教えて頂けますか?

白:これはまだ試験的な販売方法ではありますが、インストアイベントのために同じCDを何枚も買ってもらうことへの抵抗が以前からあって、どう解決するべきかずっと考えていたんです。実行に移すタイミングも難しかったけれど、今回初めてデジタルリリースにして、リリースイベントにも参加したい人にはインストア参加券を購入してもらう方式にしてみました。とはいえ、やはり盤としてCDで手元に置きたいファンも居るでしょうから、ファンクラブ会員限定でCDも用意しました。今回のインストアイベントで追加で撮影券を購入してくれた人には特典としてサインカードをプレゼントするんですが、これまでなら同じCDが何枚も積み重なっていってしまうところをサインカードみたいな別のものにしていけたらどうかなって。

芥:これから色々試してみて、という感じですね。正直、こちらとしてもインストアイベントはライヴと同じくらい楽しいものだし、参加してくれる人も楽しみにその1日を選んでくれる、そういう場はあっていいと思うんですよ。「俺達は音楽だけだぜ!」というバンドの在り方も間違いではないけれど、僕らはファンの人達とお話したり企画をすることも好きだし、それに関してはライヴと同じくらいの熱量で臨みたい気持ちがあるので。特典として渡すカードも白くんが力を入れてデザインしてくれているし、ライヴと同じように“その日にしかないもの”ということにもう少しフォーカスを当てて、バンドとファンが一緒に作るイベントとして今後はまた別のアプローチで楽しんでいけたらいいなと考えていますね。

────なるほど。複数買いに抵抗を感じていても解決策を考えるところまではいかない場合が多いと思いますから、皆さんの挑戦が良い形で定着していかれることを願っています。

『想巡』の元々の構想は、Chantyが最初に出した曲である『終わりの始まり』のリバイバルなんです。


────作品のお話に移ります。8ヶ月ぶりのリリースとなる『想巡 / 空々』、ストレートに射抜かれるエモーショナルな作品が誕生しました!

一同:ありがとうございます!

芥:直球ですよね。『想巡』は、白くんが結構前に作ってくれていたんですけど、これはMVを撮りたいと思ってずっとキープしていました。

白:このMVは、前のバンドの時から付き合いがある方がやっているcrap dollyというチームに撮影して頂きました。この曲のイメージがその方に合いそうだったのでお願いしたら、快く引き受けて下さって。

芥:ソリッドに仕上がりましたよね。映像的にも“突き刺す音楽”という感じになった。

一同:うん。

────イントロを聴いた時点で映像が浮かぶ曲だったので、MVを制作されたのは大正解だと思います。

芥:そう!あのイントロのぐわーっと始まっていく感じからして、これはMVになったらカッコいいだろうなと。スローに上がっていくところが、想い巡っている感じがしますね。

────百合の花束やメンバーの背後の白いラインなど、映像に込められた意味を感じながら観るとまた良いのではないかと。今回の収録曲は、2曲でワンセットという印象を受けます。

野中:実際、ワンセットの括りなんですよ。これまでの音源は、表題となる曲のタイトルや芥さんがイメージして付けた別の言葉が作品タイトルにされてきたんですけど、今回は『想巡 / 空々』なので。

────古い表現ですが、両A面シングルやのような。

野中:そう、11年やってきて初めてのことです。

芥:今までのように別のタイトルを付けても良かったんでしょうけど、自分の中では『想巡』ができた時点でもうこれは決まっちゃったなという感じがあって。でも、『想巡』だけを作品タイトルにするのはちょっと嫌だったんです。『空々』にも『想巡』と絡めたところがあるし、作品タイトル的にもふたつでひとつにして良いのではないかと。

────しっくりきました。

白:実は、『想巡』の元々の構想は、Chantyが最初に出した曲である『終わりの始まり』のリバイバルなんですよ。

────そうだったんですか!なぜ、今そのような曲を作ろうと?

白:これと言った特別な理由があったわけではないんです。ただ、俺は『終わりの始まり』が大好きだけど、なかなかライヴで演奏する機会がなくて。重要なタイミングのライヴで登場する曲という印象が強くて、どちらかと言うとあまり普段使いされない曲じゃないですか。今思えば、そういう曲を11年目にしてリバイバルするというか、今に繋がる感覚で作ることでもっと引っ張り上げられたらなという気持ちがあったからかもしれないですね。最初はキーも全く同じにして作ったけれど、芥さんに仮歌を入れてもらったらちょっと低すぎて、急遽1音上げたんです。結果的に、それが凄く良かった。リバイバルではあるけど、『終わりの始まり』に寄せ切っているわけではなくて、良い意味で綺麗にオマージュになったんじゃないかな。

芥:確かに、(リバイバルだと)言われなかったらわからなかった。過去にも『奏色』のリバイバルで『君のいない世界』を作ってくれたし、白くんはリバイバル職人なんですよ。

野中:リバイバルだって知った上で聴いたら、確かに『想巡』は突き刺している感じがめっちゃあるなと思った。結成当初から掲げていた“突き刺す音楽”って、言葉だけだと「どんな音楽やねん!」と思われがちかもしれないけれど、『終わりの始まり』はまさに突き刺す音楽やなと思うところが多々あって。それは別に曲調がどうとかで決まるものではないんだけど、『想巡』は突き刺してるなって感じる。

一同:確かに。

Chantyの音源特有のエモーショナルさが、特に色濃く感じられるんじゃないかな。


────そのお言葉どおり、『想巡』のベースも本当にカッコよくて。

野中:ありがとうございます!自分でもカッコいいベースが弾けたとは思うんですけど、とても難しいですね(苦笑)。白くんが作る曲って、ベースのフレーズが浮かびやすいんです。それってフィーリングだし、凄いことだと思うんですよね。自然と“新しいことをしよう!”と思えて、フレーズがどんどん生まれる。今回も初めてやったことがあるし、それが曲とちゃんと噛み合った。そもそも、この速いテンポ感の曲が好きなんです。仮タイトルも『速いって』だったので、曲を聴く前から“相当速いんだろうな”と思いましたけど(笑)。

一同:(笑)

野中:速い曲が好きなのもあり、白くんが作ってくれた曲でいろんなベースが浮かんだのもあり、色々な要素が噛み合ったと思いますね。自分としても、過去一番と言えるレベルで良いフレーズができたんじゃないかと満足しております。

────疾走感のある速いテンポの曲ですが、鍵盤が入っていることによって聴いている側は変に忙しなく感じずにとても良いテンポ感で聴ける気がしました。

shota:確かに、聴いている側の体感だとそこまで速いテンポだと感じないかもしれないですね。

芥:最初は(鍵盤は)入っていなかったんだよね。

白:以前、同じようにテンポが速めの『逆上のパルス』という曲を作りましたけど、音源の時点ではピアノを入れていなくて、後からオーダーをしてライヴでは入っているんですね。それが凄くマッチしたこともあって、今回は最初から「ピアノを入れよう。」と芥さんが提案してくれて、いつもお願いしている山口茜さんに入れて頂いたらもう一発OKでした。

野中:ピアノがちゃんと音の隙間に入っているのを聴いて、やっぱり山口さんは凄いなと思った。

芥:本当にね。この曲、僕の中では凄くシックに感じたんです。シックなカッコよさも良かったんですけど、そこにピアノが入ったら色気みたいなものも出るんじゃないかなって。

shota:ピアノによってさらに色がついた感じがするよね。

芥:うん。でも、最初のシックのままで充分カッコよかったので、白くんに提案するか迷ったんです。そのままの方向性でいってもいいかなとも思ったけれど、鍵盤が入ることで起こる化学反応が見てみたかった。結果的に双方が噛み合ったので、良い曲をピアノによってさらに良い形にできました。

野中:主張しないピアノっていうのも、凄く素敵やなと思った。

芥:そうそう!もしあれが主張していたら、たぶんもっと忙しなく感じて聴いていて疲れちゃうんじゃないかな。

白:あと、これはツイキャスなどでも話していますが、俺はドラムとベースの音質が良い音源が好きなんですね。今回はドラムのレコーディングで特別なテックさんに入って頂いて、shotaくんのテンションがめちゃくちゃ上がりました。

shota:はい!良い環境で、良い音で、録らせてもらうことができました!

────本当に、とても気持ちの良い音が鳴っています。

白:いつも担当してもらっているエンジニアさんからも、「shotaくんはとても良いプレイをするけれど、スタジオの環境面なども相まって音が決まり切っていないところがあるから、ぜひ一度テックさんとやってみて欲しい。」とオススメしてもらっていたので。実際にやってみたら、これ以上無いくらい噛み合って、shotaくんのプレイの良いところがしっかり出るようになりましたね。これは本当にバンドによりけりで何が正解ということはないけれど、細かく音の修正をするバンドさんも居れば、うちみたいにあまり修正をしないバンドも居て。それがChantyの音源特有のエモーショナルさに繋がっていると思うんですが、今回は特に色濃く感じられるんじゃないかな。ドラムの音、これまでで一番好きですね。

shota:自分でも、過去最高に感動しています。

白:生音も凄く良かったからね。

shota:ほとんど修正していないですね。「録った音を、ほぼそのままミックスした。」と言われたから自分でも嬉しいです。テックさんありきで実現した音です。

────相性もあるでしょうし。

shota:うん、ありますね。やっぱり、縦のラインがちゃんとベースと噛み合っているのが気持ち良かったです。ただ、これはスタジオで合わせていないまま、いきなりレコーディングで叩きましたけど(笑)。

野中:どうしようかと思ったよね。

白:俺も、ほぼ合わせずにすぐライヴでした。

芥:僕もちょうど喉を傷めて、その時のスタジオに行けず(苦笑)。

白:だから、全員がライヴで初めて合わせたような状態でしたね。

芥:でも、初演奏からテンション感含めて良い感じだったよね。

一同:うん!

野中:それが、11年続けてきたバンドの成果です。

────素晴らしいです!この曲と、今のバンドの心境や環境など、全てがしっくりきているからこそですね。

野中:うん。いろんなものが今、一番噛み合ってるのかもしれないですね。

────そう感じます。この曲の、流れのままに入っていくけれど存在感のあるギターソロがとても好きでした。

白:ファンの人達からも結構そう言ってもらっていて、自分としても好きで作った流れだったので嬉しいです。

野中:凄くカッコいいと思う!

“感情の螺旋”って、僕がChantyの歌詞で描く世界や、その中でもがいている人達にピッタリな言葉だなと。


────楽曲同様、歌詞もとてもストレートに感じました。

芥:うん、そうですね。

────Xに「一生揺るぎないと思っていたものが意図せず乾いたり掠れたりそんな感情に気づいた時ってとても耐えがたいこの曲が寄り添ってくれるんじゃないかと思って書きました」と記されていましたが、そういうテーマで書こうと思ったのは?

芥:きっかけのひとつとしては、やはり身近な仲間が旅立ってしまったことが大きかったです。ただ、人の生死や死生観について書こうと思ったわけではなくて。これは誰かに対する気持ちだけの話ではなく、自分が大切にしている事柄や信念など全てに対して共通して言えることですけど、人間の感情ってどんなに強く思っていたことであっても段々と薄れていくものじゃないですか。一番しんどいのは、完全に気持ちが無くなってしまった時ではなく、無くなっていく過程に居る時だと思うんですね。自分の中の想いが弱くなっているかもと気付いてしまった時って、どうしてもそれに抗おうとするでしょう。気付いたら泣きそうになっているような、あのどうしようもない感情。それを形にしたかった。でも、あまり幅を広げすぎるとフォーカスがぼやけてしまうので、サビの“あなたはどこにもいかずわたしのそばにいればいい”というフレーズは、対人間への感情はもちろん自分が大切に思う全ての事象をちょっと擬人化したような表現にして書いてみました。含みなどはなく、Xのポストに書いた気持ちがほぼ全てです。そういう時には1回手放してみればいいし、泣きたいのであれば泣けばいい。その後に改めてその事象と向き合ってみて、“やっぱり、もう無理だな。”と感じたのであれば、それはもう無理でいいと僕自身は思い始めているんですよね。

────そのままの自分の想いを受け入れよう、と。

芥:抗っている時の不毛さや辛さを、美徳として感じる必要なんてないと思うんです。大切だと思っていたものに対して、何かしらのきっかけで“そうではないかもしれない”と感じた時の葛藤を歌詞として具現化したいと思ったのが『想巡』です。否定するわけでもなく肯定するわけでもなく、ただ寄り添えたらいいなってそんな気持ちで書きました。

────“感情の螺旋は緩やかに息を止める、胸がぎゅっとなるような本当に素敵なフレーズです。

芥:『透明人間』の歌詞にも“感情の螺旋が息を止めたら”というフレーズがありますけど、これからも“感情の螺旋”は歌詞で使っていこうかなと思っていたりして。これまでにたくさんの歌詞を書いてきましたし、自分の中で核となる言葉は繰り返し使ってもいいのかもしれないって思ったんですよ。

白:そうだね。言葉が被らないことが正義とは限らないし。

芥:そうそう。“感情の螺旋”って、僕がChantyの歌詞で描く世界や、その中でもがいている人達にピッタリな言葉だなと感じるので。それも含めて『想巡』を書けて良かったです。

────サビの1行目が全部ひらがななのも良かったです。

芥:あ、それはちょっと意識していなかったかもしれない。

────全部ひらがなで書かれていることによって、実際には口に出せない想いのように感じられたんです。括弧などで括られるより印象に残る気がしました。

芥:なるほど。確かに、構成を見ていてそこを漢字にしようと思わなかったのは、無意識にそうしたのかもしれない。緩やかに想いが潰えていく感じを上手く表現できたのではないかと思います。

『空々』は、意図的に“フィジカルとして、こうしたら楽しいんじゃないか”という方向に100%振り切って体現した曲。


────『空々』は、一聴しただけでライヴの光景が目に浮かぶ曲ですね。

芥:これも白くんが作ってくれた曲で、本当にライヴを意識したんだよね。

白:そう、「Chantyでフェスに出たいよね。」という話をしていたんです。最近もセプテンバーミーというロック界隈のバンドさんの主催に呼んで頂きましたけど、ヴィジュアル系以外のアーティストとの関わりも増えて、ゆくゆくはフェスとかにも出られたらと思っているので。『空々』は、フェスでこういう曲があったらいいなというイメージから生まれました。だから、パワーコーラスが入っていたりします。

────個人的に、今ヴィジュアル系で一番フェスが似合うバンドはChantyだと思っていて。

野中:野外とかやりたいですよね。

芥:別のジャンルに移行したいとか、脱ヴィジュアル系みたいな考えを持ったことは無いですけど、ここ1~2年でバンドとしてのスタイルというか、ライヴに対するアプローチも含めて固まってきた気がしています。そのタイミングで『空々』が生まれたのが凄く良かった。うちのバンドはずっと「キラーチューンが無い。」と言ってきましたけど、今この曲をいつものテンション感で演奏すれば、もしかしたらキラーチューンになり得るのではないかと思っています。

────間違いないです。同時に、ここ数作でも、何曲もキラーチューンが生まれているのでは?とも思いますが。

野中:キラーチューンって、実は曲調で決まるものではないですからね。例えばロック系のバンドでキラーチューンとされている曲を聴いたら、案外しっとりとした曲調だったりすることもあるし。

白:あぁ、そうか。

芥:自分達が勝手にキラーチューンに対するイメージを持っているだけでね。

野中:そう。ライヴで爆盛り上がりみたいな曲をイメージしがちですけど、それってたぶんバンド側が決めつけてしまっているものだと思うので。そう考えると、もしかしたらChantyにはキラーチューンがたくさんあるのかもしれない(笑)。

────個々のリスナーの捉え方にもよるでしょうし。

野中:うん、まさにそれだと思う。

芥:Chantyのキラーチューンって、自分は正直バラードじゃないかと思っているから。だから、(キラーチューンが)あるにはあるんですけど、僕らはずっとフィジカルなものに対するコンプレックスが強かったんですよ。『空々』は、白くんが意図的に“フィジカルとして、こうしたら楽しいんじゃないか”という方向に100%振り切って体現してくれた曲なんです。それも、今まではやろうとしてもあまり上手くできなかったんだけど。『アイシー』はわりと理想に近いかな。

────『アイシー』は、イベントで聴いても強いなと思います。

野中:逆に、『アイシー』はイベントで育ってああなったんじゃないかなとも思う。最初にやった時とは見栄えが違う曲になった気がする。

一同:確かに。

芥:だから、もしかしたら『空々』もライヴでやったら“あれ?”となる可能性もある(笑)。

一同:(笑)

芥:でもね、この曲は確信的にちゃんとうちの中心を担う曲になるんじゃないかと今の時点で既に感じています。

────客観的にもそう感じます。

芥:早速、明日のイベントから演奏します。ワンマンで初披露にすることも考えたけれど、思うようにいかないことがあったとしてもイベントでChantyを初見のお客さんも含めた状態から作っていきたいなと思ったので、良い形で育てていこうと思います。

改めて“何故、バンドをやりたいのか?”と考えた結果、高尚な理由なんて一切なくて、単純に“やりたいから”だけだった。


────『空々』の歌詞もストレートですよね。

芥:「うるせえよ、もうどうでもいいだろう!」みたいな感じです(笑)。

────想い巡って、足掻いて、視点を変えて、吹っ切ったような印象を受けました。

芥:うん、そうですね。最後に“想い巡らせて空々”と歌っていますけど・・・最近、若干バンドの体制というか環境が変わって、改めて“何故バンドをやりたいのか?”と考えたりしたんです。結果、自分の答えは単純に“やりたいから”だけだった。野中くんも昔から「やりたいって理由だけで充分。」と言ったりしていましたけど、本当に自分は“これを届けたい”とか“ああいう表現をしたい”とか高尚な理由なんて一切無くて、ただ単に“やりたい”っていうだけで生きているんだなと思ったんですよね。『シロクロのメロディ』で“言葉で繋ぐ意味などバカみたいだ。”と書きましたけど、決して投げやりになっているわけではなくて。Chantyを11年やってこられたけれど、別に常々どこかに高尚な理由があって続けてきたわけではないし、人間って後付けで意味を持たせようとしがちですけど、結局はやりたいからやっているだけだし、“そんな深いことを考えてもしょうがないんじゃない?”っていう。覚悟系の歌詞ではないので、僕らが音楽やこのバンドやファンに対してどう思っているかとかそういうことではなく、もっと広く捉えて欲しいですね。“色々と想い巡らせてもいいけれど、悪い意味ではなく、最終的にはそれって実は無意味だし、そんなたいしたことじゃないんだよ”って思うし、この曲のアッパーな感じはライヴでも盛り上がれると思うから、そこも含めて“どうだっていいじゃん、もう笑っちゃえばOKだぜ”みたいな感じです。ただ、少し後悔していることがあって・・・前作の『よまいごと』で“ここで君が笑って”と歌っているので、2作連続でサビに“笑って”が出てきてしまっている。作っている最中は気付かなかったんですけど、ちょっとそこは良くなかったかなって(苦笑)。

野中:でも、ファンの人達は嬉しいんちゃう?

芥:そうかもしれないけど、自分としては言葉のボキャブラリーが尽きてきたのかなって(苦笑)。これまでは「よく“手”に纏わる表現をするね。」と言われていたんですけど、今度は「“笑うこと”ばかり歌い始めたな。」と言われてしまいそうで。

────ここ数作、『よまいごと』や『Emaj7』のようにファンと過ごすライヴの空間が大切だというメッセージが込められたフレーズのある歌詞が増えたと思うんですよ。

芥:確かにそうかもしれないですね。

────だからこそ2作連続で出てきた笑うだと感じるので、全然アリではないかなと。

芥:自分でも、そう思おうとしています(笑)。

一同:(笑)

芥:おそらく、近々のライヴで『よまいごと』と『空々』や、『透明人間』と『想巡』が、連続で演奏されることがあるのではないかと。ライヴに対するフォーカスは、バンドとして以前よりもずっと上がっていると感じるんです。で、最近少しの間ですが僕個人のSNSをお休みしていた期間があって、色々と考えて決めたことなんですけど、いくつかの理由のひとつとして、僕はライヴが終わった後にSNSを通して何かを補足するように言葉を発してしまうことが結構あって。ライヴはその場所その瞬間だけのものなのに、それをSNSに頼って持ち越すような癖が嫌になって無くしたいなと思ったからなんです。ライヴに対する集中力を今以上に高めたかったし、本気でライヴにフォーカスを当てた人間になりたい気持ちが強かった。だから、そういう意味でも『空々』が生まれてさらにライヴが楽しみになったし、歌詞に書いた“理由なんてものは必要ない この瞬間が全てだろ”を体現したい気持ちが強いです。この曲は、みんなではっちゃけましょう。

いつもとは違う変わり種を挟むことによって、本来の部分が一層映えてより深く長く楽しんでいけるのではないか。


────定期公演『センテンスアイボリック』は、月1回くらいのペースで企画ワンマンをやっていけたらという趣旨で生まれたものでしょうか?

白:そうですね。ヴィジュアル系って、基本的にはひとつのシーズン中はずっと同じ衣装でライヴをするじゃないですか?僕らはライヴの本数もかなり多いので、やっぱり着ている側も観ている側も段々と見慣れてくると思うんですね。もちろんセットリストは毎回違いますし、ライヴはその日だけのものというのは大前提であって、同じヴィジュアルであっても毎回その日にしかつくれないライヴを展開している自信はありますけど、視覚的にも企画的にもいつもとは違う変わり種を挟むことによって本来の部分が一層映えてより深く長く楽しんでいけるのではないかという想いもあって、定期公演を組みたいなと。

────確かに、演者側も観客側も新鮮な気持ちで楽しめそうです。このスケジュールの中でさらにワンマンを増やしていく姿勢が凄いですが。

白:こういう企画ものって、ワンマンのほうがやりやすかったりするんですよ。他のバンドさんに「一緒にこういう格好をしてください。」と言うのもなかなか難しかったりするし。『黒々秋夢』に関しては、ハロウィンのタイミングで合わせてくれるバンドさんが居たので一緒にやらせてもらったんですけど、基本的にはワンマンになっていくんじゃないかなと思います。

────『人見知らない』のように、バンドの企画シリーズとして『センテンスアイボリック』が加わっていくんですね。

一同:そうですね。

芥:前に自主で活動をしていた時期にも定期みたいなことをやってはいたんですけど、その時とはまた違ったアプローチにしたい気持ちがあります。『センテンスアイボリック』というタイトルもファンクラブの『ivory』とちょっと近い意味を持っていて、“その都度、色をつけていけたらいいな”という想いを込めていて。「今回は何色の世界でしょう?」みたいな感じでやっていけたら楽しいんじゃないかな。個人的には、一般的によくある定期公演とはちょっと違う臨み方だと思うし、内容的な部分も楽しみにしていてもらえたら嬉しいですね。

今のChantyは、メンバーそれぞれのモチベーションの歯車がしっかりと噛み合っている。


────そして、1111日の福岡公演から202519日のVeats Shibuya公演まで全国5ヶ所7公演をまわるワンマンツアー『冬空、想いは巡る、空々と。』が開催されます。また詩的で美しいツアータイトルですね。

芥:実は、『想巡』の歌詞を書いた後、『空々』よりも先にワンマンツアーのタイトルが決まったんです。その時点ではまだ『空々』の歌詞が書けていなくて、白くんから「レコーディングが近づいているけれど、歌詞はまだですか・・・?」と言われて、僕が“わぁぁぁ!(悩)”となりまして(笑)。

白:(笑)

芥:『空々』の歌詞も取っ掛かりまでは書いてあったので、それならワンマンツアーのタイトルから引っ張って『空々』にしようと。だから、曲タイトルとしての『空々』は後から生まれました。ワンマンツアーのタイトルがこれに決まっていたから、作品タイトルを別につけようと思えなかったのもあるんですよね。逆に、CDのタイトルをワンマンツアーのタイトルと同じにするパターンもあったんですけど、CDは『想巡 / 空々』でいいかなって。この2曲の意義みたいなものを、このワンマンツアーで完成させたいですね。

野中:野中は最初、『そらそら』と読んでいたんです。普通にパッと見たら、『そらそら』と読む人が多いんじゃないかと思う。。

shota:そらぞら。

芥:それで(変換が)出てくる?

────“空々しいまで打てば出てきます。

shota:俺は“空”と打ってから“久々”と打って“久”を消している(笑)。

野中:野中も。

芥:リズム隊は同じ方法で変換しているんだねぇ。僕は“段々”でした(笑)。

野中:“佐々木”のパターンは無い(笑)。

白:“佐々木”と打っていたのは俺です(笑)。

野中:“々”の両サイドの文字を落とすのは面倒じゃない?(笑)

白:ひらがなで3文字だから!“段々”や“久々”は4文字でしょ?打つ回数が1回少ない。

芥:なるほどね!もしかしたら“多々”が良かったかも、打つ回数的にも2回だし。

一同:確かに!

芥:まぁ、皆さんは辞書登録して頂いて(笑)。

────そうですね()。ツアーは福岡からスタートとなります。

芥:福岡、ちょっと久しぶりですよね。

野中:ワンマンツアーの公演としては、福岡を終えると約1ヶ月空くんです。元々、福岡は11月末の予定だったけれど、色々あってこの日程に決まったんですね。もし元々の日程で決定していたら某有名アイドルグループの福岡公演と重なってしまったので、交通や宿泊の面からしても逆に良かったかもしれない。

────バンドはもちろん、ファンの方達も大変になってしまいますし。

野中:行きたくても行けないという最悪の状況になっていたかもしれないですからね。次の北海道公演まで約1ヶ月空くとはいえ、ワンマンツアー以外のライヴ活動は続いているので大丈夫です。

────ファイナルとなるVeats Shibuyaは、わりと新しい大きめの会場です。

芥:頑張らないといけない。

野中:新年一発目のライヴで、一発目のワンマンですからね。

芥:イベントでも立った経験が無い完全に初の会場ですけど、初めての場所でやる時の集中力が好きなんですよね。過去の“こうだったよな”という記憶が無いから、一層気持ちが盛り上がるというか。Veats ShibuyaというChantyにとって新しい会場を侵食していけることが今から楽しみです。

────ファンの方達も含めて、みんなで新しい景色をつくれるって素敵ですよね。

一同:本当に!

芥:新年一発目ということも含めて、ピッタリなのではないかと思います。

────最後に、どんなツアーにしたいかをお聞かせください。

白:リリースも久しぶりですし、この作品を持って各地をまわってライヴやインストアができることが嬉しいです。これはいつも言っていることですけど、地方でワンマンができるのは来てくれるファンの人達が居るからこそであって。これから先も色んな地方でワンマンをやっていけるように、足を運んでくれた人達に楽しんでもらえるように、1本1本を大切に。「Chantyのライヴにまた行きたい!」と思ってもらえるツアーにしたいです。数を重ねていくうちに、どうしても環境に慣れてしまうようなところもあるんですけど、改めてそういう気持ちでまわりたいです。

野中:(この環境は)当たり前じゃないと意識しながらね。

芥:『愛哀想奏』も忘れられないツアーになったと感じているので、あの時を消化して、またひとつ高みに行けたらいいなと思っています。今回のこの2曲が生まれたことによって、色々な部分のアプローチを一層深くしていけるなと感じているんですよ。『想巡』は色々な場所で活躍してくれる曲だと思うし、『空々』もどんどん育つ曲だと確信しているから、それを起爆剤にして改めてライヴへの集中力を高めていきたい。自主での活動に戻ったことによって「ちょっと守りに入ったのかな?」とか「上を目指す気持ちが無くなっちゃったのかな?」みたいに思われていたら、物凄く悔しいので。「いやいや、こっちは今まで以上にギラギラですよ!」と伝えられるような、全て掻っ攫いに行くツアーにしたいです。

────今のChantyはこれまでで一番と言えるほど貪欲に攻めの姿勢で進んでいると感じるので、この勢いのまま全国でまたたくさん人達と出逢って欲しいです。

芥:そうですね。これはよくライヴでも言っていますし、『空々』の歌詞に書いた“その瞬間が全てだろ”もそうですけど、メンバー含め会場に居る人全員が“その1日”を迎えるのは初めてであって。自分の中では、過去がどうとか未来がどうとかではなく、“その瞬間”に常に実直にぶつかってきたからこそ11年続いて今があると思っているので、そのスタンスは変わらずに。“その1日は全ての人が初心者で新人だ”という気持ちでぶつかっていけば、まだまだ進んで行けるのではないかと思っています。shotaくんは?

shota:何度も言いますけど、新人バンドですから。芥さんが言ったように、“その1日は全ての人が初心者”という意識で新人バンドとしてぶつかって、1公演1公演を良いものにしていきたいです。

野中:過去と比べてどうという意味ではなく、純粋に、今のChantyってめちゃくちゃカッコいいんですよ。個人的には、メンバーそれぞれのモチベーションの歯車がしっかりと噛み合っていると感じていて。個々のモチベーションが高くても歯車がひとつでも噛み合わなかったら、バンド内の空気は良いのにライヴでちょっと合わなかったりみたいなことが起こってしまう。今のChantyは、歯車にちゃんとグリスが塗られていて、滑らかに動きながら良いモチベーションを保てている。そういう空気を感じるし、それがライヴにも表れていると思えるから、この空気感のまま定期公演とワンマンツアー、そしてファイナルのVeats Shibuyaに挑みたいと思います。そして、来年のことも既に色々と考えて動き始めているので。ファンの人達はバンドに対して「頑張って欲しい!」という気持ちを持ってくれていると思うんですけど、野中としては期待していて欲しいです。ワンマンツアーはもちろん、それ以降もChantyに纏わる全てのことに期待して待っていてください。

取材・文:富岡 美都(Squeeze Spirits)

RELEASE

New single
「想巡/空々」
2024年10月16日デジタルリリース

RELEASE記念イベント同時開催❗️

詳細は後日解禁‼︎

LIVE

■ONEMAN TOUR 2024
「冬空、想いは巡る、空々と。」
・2024年11月11日,12日 福岡Queblick
・2024年12月8日,9日 札幌Crazy Monkey
・2024年12月19日 名古屋池下CLUB UPSET
・2024年12月20日 ⼼斎橋VARON
・2025年1月9日 Veats Shibuya


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