【201号室】ライヴレポート◆<201号室 presents『スペシャルデスコ』>2024年12月2日(月)渋谷WWW◆未曾有の地獄の回顧録────。
幾千の“愛”を掻鳴らすヴィジュアル系ロックバンド「201号室」。
2024年を振り返るとバンドにとっても大切な一年だっただろう。
コンスタントに自主主催ライブイベント『デスコ』、8月には池袋EDGEにてFirst ONEMAN LIVE『灰色の夢』を開催。どのライブイベントも大きな反響を呼び起こした。
2024年12月2日(月)渋谷WWWに行われた自主主催対バンライブイベント『スペシャルデスコ』も決して例外ではない。ここからは回顧録を綴っていく。
『スペシャルデスコ』では現代のヴィジュアル系シーンに名を馳せる極彩色の蝶達が乱れ飛ぶ。
Secret O.Aには衝撃の復活を遂げ、再びこの世に現界した床下系バンド「まみれた」。
音楽の力で現生人類には観えない世界を察する第三の眼の覚醒を促す「CHAQLA.」。
ゲストとして、死後の世界を毒々しくもトリッキーな空間に創造する「ZONBIE」。
同じくゲストとして、鮮烈な宿命を背負い、尚も絢爛に美しく咲き誇る「Azavana」。
それぞれが有する音楽への“愛”が炸裂し、暗夜の渋谷を熱狂の渦に飲み込んだ。
最後のステージにはもちろん、主催である「201号室」が満を持して登場。
フロアが暗転し、この対バンライブイベントの全てが集約した注目曲「デスコ」のイントロに合わせ、ゆるやかに幕が開けていく。
それぞれの個性が溢れるシックな黒を基調とした衣装を身に纏い、燦々とした陽に照らされ踊り廻る黒揚羽のようにメンバー達が迎え撃つ。
「いくぞ渋谷!いけんのか!?」「一発目からデスコでぶちのめす!!」と苛烈な叫声を皮切りに場内を享楽の地獄へ包み込む。
血気盛んなシャウトとパフォーマンス、壮絶なボーカリゼーションを放つKEN(Vo.&Gt.)。
荒々しくノスタルジックなメロディを弾きこなすHiroto(Gt.)。
研ぎ澄まされたダウナーな重低音を轟かせるシンナ(Ba.)。
熱い魂が宿る獰猛で叙情的なビートを奏でるRyuta(Dr.)。
四人が巧みなグルーヴを生み出すことにより、さらに熾烈を絡めたエレクトロ・ダンスミュージックに変貌を遂げた。
「いくぞ渋谷!」と何度も叫んではオーディエンスの熱をどこまでも引き摺り出し、畳み掛けるように「破滅のポエム」が響き渡る。
「201号室」の始動時から存在する曲であり、数々の場や経験を積み重ね、この曲自身も更なる成長を遂げ続けた。そして、水槽の中に浮かんだ脳が『灰色の夢』を観てから、より一心不乱に本物の“愛”を求めて彷徨う強靭な音へと激動した。
胸騒ぎが止まらないイントロが正気を溶かす合間に、KENは愛機であるフライングVタイプのエレクトリックギターを堂々と構えている。「刃渡り30mm」の開始の合図だ。
恋の神すら残虐に断頭し、「生きろ!死ぬな!」「こんな世界に自由なんて無かった!」とまるで人らしく絶叫する悍ましい世界の中心で、“愛”に縋りつき信じていたい痛みと哀しさが共鳴を果たし、心を握り潰される感覚を抱いた。
MCでは、己の『デスコ』への渦巻く想い、『スペシャルデスコ』に参戦した全てのバンドへの感謝と日常という名の地獄を生きる人々へ自分達の音楽が救いになるように寄り添いたいことを真摯に伝えるKEN。
そのまま、ミュージックビデオにもなった「Lovelet」を披露。
大都会の片隅で、自分の上を通りすがっていった男性へのヘイトレッドやディストーションを、アジテートに響かせるKENの穏やかで美しい声質と見事に調和した。
その結果、より芳醇とした艶やかな楽曲に仕上がり、誰もがまさに“ピンクの弾丸”を撃ち込まれたように静かに傾聴していた。
Hirotoのメロウなギターの旋律もいつまでも埋まらない心の穴を抱えている女性の心境を代わりに弾奏しているようにも見受けられる。
息つく暇もなく「Black Magic」で後半戦のスタートを切る。
すでに脳の記憶を司る海馬を破壊されたのかと感じるくらい、フロアがひとつになって理性を吹き飛ばし、暴れ狂っては悦びに満ちていく。
まさに頭が目の前の快楽から逃げたくても鷲掴みにされ、もう抗うことすら出来ない状態に近い。
そこで、空気が一変。
真紅の光がステージを赫く染め上げる。シンナからHirotoへ、そしてRyutaと各々の見どころを巧みに演出していく。KENはメンバーの名を叫び、盛り上げ役に徹しては「Fake」の導入部に誘った。
この楽曲もまた中身が充実し、今では名高いロックスターが作曲したのかと曲解するくらい、さらに“狂ったフリの上手い”曲に化けた。
だが決して、言葉通りにお客様にへつらうことなく「やってられっかー!」とKENはシャウトする。
その叫びには教祖や救世主、フェイクスターでもない、己の音楽を人生ごと捧げている一人の人間のありのままの本意が横溢した。
ラストは『スペシャルデスコ』に向けて制作されたまごうことなき新曲「デスコII」を初披露。
「タオル持ってる人は一緒に遊びましょう!ここは地獄のダンスフロアです!!」
「デスコII」はコールアンドレスポンスが一体化し、音楽に対するひとつの“愛”を明らかに示していく景色は、まさに圧巻の一言である。
時にはお立ち台に座し、そのまま唱するKEN。少し気怠げでやや妖艶な振る舞いはさながら“オム・ファタール”だ。致命的に魅力が溢れ、魔性の求心力で場を意のままに操る。自由奔放な手腕を駆使し、フロアをヒートアップさせていく。
クライマックスに相応しい熱気は、まさに“未曾有の地獄”の集大成といっても過言ではない。無間の鐘の如くRyutaのシンバルが鳴り響き「デスコII」は幕を閉じた。
最後のMCでは、中央のお立ち台に寄り合うメンバー達。
「色々な人に言われます。『ずっとこのまま頑張っていたら“いつか”はいいバンドになれるよ』って言われます。
“いつか”はいいバンドになれる自信がある。だって曲がいいから!命をかけているから!!
……だけどね、“いつか”の話でなくて俺達が生きている“今”なんです!」
全てが終わり、メンバー達はどこまでも夢と共生し続ける現実に立ち向かうように捌けていった。
現実はどこまでも昏いネバーランドのような場所であり、そこで暮らす彼等はいうならば白にも黒にもなりきれない燻んだピーターパン達だ。
安寧に満ちた幸せと引き換えに、本気で夢を掴みにいく。
呪われながらも、願わずにはいられない。正気に戻れば、不幸になりかねない。
そんなどこか危うくも真っ直ぐな彼等が命懸けで生み出す“愛”に満ちた熱い音楽だからこそ、心惹かれ、揺さぶられ、支えていくのだろう。
『デスコ』はまだまだ終わらない。年明けの2025年01月10日(金)には『デスコ Vol.7 〜新春デスコ〜』が開催。
苦々しく大嫌いと吐き捨てたこの地獄で、さらに多くの人々と心から愛し愛されるまで、彼等はいつまでも踊り続けていくのだ。
『スペシャルデスコ』SET LIST
1.デスコ
2.破滅のポエム
3.刃渡り30mm
4.Lovelet
5.Black Magic
6.Fake
7.デスコII
そして、201号室は次の新たなステージとして、2025年02月01日(土)池袋BlackHoleにて、Second ONEMAN LIVE『特異点』を開催。
あの真夏の日に燦然と輝いた四人の『灰色の夢』の続きを見ることが出来るのは、まさにこの上ない喜びだ。
ヴィジュアル系シーンはいわば“常世(とこよ)の楽園”である。俗世からかけ離れ、時間も因果律も存在しない永久に変わらない神域とも云えるだろう。
長い刻の中で、誰にも言えない業や傷を背負いながら虚う人々の心に寄り添い、歩みを進めてきた。
しかし、人間が創造した“楽園”は時代の潮流と共に徐々に変質した。
だからこそ、201号室は自ら『特異点』として現在のヴィジュアル系シーンの過去も未来も破綻させ、新たな時代の一端を担おうとしているのではないだろうか。
現在、e+から一般Bチケット販売中。すでにライブまでのカウントダウンも約一ヶ月後まで刻々と迫っている。
光ですら抜け出せない無限の“愛”の一点がもたらす世界に飛び込もう。
TEXT:成田佳清
LIVE
■Second ONEMAN LIVE『特異点』
【日程】2025年02月01日(土)
【会場】池袋BlackHole
【開場/開演】18:00 / 18:30
【チケット】前売 / 当日┃¥3,000 / ¥2,500(D代別)
https://eplus.jp/sf/detail/4228390001-P0030001
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201号室主催「デスコ Vol.7 〜新春デスコ〜」
【日程】2025年1月10日(金)
【会場】池袋BlackHole
【出演】201号室 / RAYMEI / ジグソウ / NA.NA
【開場/開演】17:15/17:45
【チケット】前売 / 当日┃¥4,000 / ¥4,500(D代別)
https://eplus.jp/sf/detail/4228400001-P0030001
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