1. HOME
  2. NEWS
  3. 【バトルキマイラ】ライヴレポート<バトルキマイラvol.1~まみれたを止めろ!~>2025年2月25日(火)大塚Hearts+◆<まみれた>を中心に<梟>、<シークレットバンド>、<鮮血A子ちゃん>────シーンの”キワモノ”大集結の新感覚異常実験。

【バトルキマイラ】ライヴレポート<バトルキマイラvol.1~まみれたを止めろ!~>2025年2月25日(火)大塚Hearts+◆<まみれた>を中心に<梟>、<シークレットバンド>、<鮮血A子ちゃん>────シーンの”キワモノ”大集結の新感覚異常実験。

VISUNAVI Japan新対バンシリーズ<バトルキマイラ>第1弾が2月25日に大塚Hearts+で開催された。<KHIMAIRA>レギュラーイベントをメインアクトに据え、下剋上の様相を意図した本企画には~まみれたを止めろ!~とサブタイトルがついた。
シーンの起爆剤として返り咲いた床下系バンド=まみれた、さらにはクラシックを基調にしたギターレスロックの梟、VISUNAVI掲載NGがようやく解禁された(?)公序良俗常識良識を破綻させた鮮血A子ちゃん、さらにシークレットバンドの4組による激戦は想像以上のものとなった。

1番手は鮮血A子ちゃん。
ギター墓荒らしあさひ、ベース千吊まるこに加えこの日は天命(吐き溜め)をサポートドラムに迎えた。
お馴染みの制服に身を包んだ滅多刺しひろくん(Vo)は登場するなり被っていたヘルメットをお立ち台に何度も叩きつけ、会場の緊張感を一気に高めた。

ところが演奏が始まるなり“やべ!スイッチ入ってねえ!”とヴォイスチェンジャーの不調を訴える。焦り苛立つひろくんの姿勢そのものがむしろ一層緊張感を煽ったが、“俺たちは機材トラブルなんて気にしないんだ”と叫びオフマイクで歌いながら痙攣する。だが、「21世紀でアへ顔とか死ね」はグランジ味が高く、その音楽性で意表をつくと、続いた「5月に母さんがひり音した」では彼らの真骨頂ともいえるノイジーさを見せつける。
“今日は刃物は持ってきてません。音楽で勝負します。”の言葉通りかはさておき、この日登場してから去るまで終始、挙動不審で何をしでかすか解らない危険因子っぷりはバンドとして“ホンモノ”でしかなかった。

▲滅多刺しひろくん(Vo)

▲墓荒らしあさひ(Gt)

▲千吊まるこ(Ba)

▲硫酸風呂天命(Support Dr)

お世辞にもグルーヴィ―とは言えないが、エッジがある性春ノイズともいえる音楽スタイルは無二で、その極端なカリスマ性を求めるオーディエンスのトランスが生み出す異様な熱狂は圧巻と言える。
35分の不協和音を浴びた感覚に陥るが、よくよく記憶をたどるとグランジでもあり、ノイズでポップとロックが時にレトロに共存する多様性のある音楽センスも侮れないことに気がつく。キャッチーなメロディーとノイズが水と油のようにたがいに潰し合い、それを塊のままぶつけてくるバンドは、原石にして完成形。
最後、フロアに乱入しラップを交え「死ね!殺せ!」とのたまう姿は、どこか懐かしいドス黒い初期衝動を感じさせるものだった。

続いて登場したのはCHAQLA.
新体制1発目となるライヴはシークレットでの出演となったが、彼らの登場を予期した勘の良いオーディエンスが多く集まっていた。まさに“開眼”しているとしか思えない。
レギュラーイベント<KHIMAIRA>のナンバーシリーズ、特別編のほぼ全てに出演してきている彼らはまさにイベントのエース的存在であるが、それ以上にヘッドライナーのまみれたに送る刺客として最応しいバンドでもある。

▲ANNIE A(Vo)

この日彼らは予定外の「ミスキャスト」を含む全6曲を披露した。
新体制になって視覚的な変化としては、kai(Gt)は上手にポジションを取り、鷹乃助(Ba)は下手全体をカバーすることとなった。

▲kai(Gt&Cho)

▲鷹乃助(Ba)

▲Bikky(Dr)

いつも以上に獰猛なサンプラーが印象的なBikky(Dr)だったが、センターラインの軸としてロックなドラミングは一層CHAQLA.の武器になることを予想させる。
“ミクスチャーロックは好きですか!?”と甘美なドライヴ感に誘った「SINK SPIDER」、アイコンタクトを取り、新たなグルーヴに丁寧に波動を込める「太陽の悪魔」とお馴染みのナンバーのサウンドメイクが新体制CHAQLA.の盤石さを雄弁に語っていた。


終盤に弦楽器隊は弦が切れるトラブルこそあったものの、まったく不安を感じさせないパワフルなステージにはブレがなく、楽器隊の多彩さとそれを束ねるANNIE A(Vo)の強靭な集中力は“流石”の一言に尽きるものだった。


不安があったか否かは彼らのみぞ知ることだが、またひとつ次のステージへと登ったことが明らかなANNIE Aの眼光はどこまでも鋭かった。
まさにCHAQLA.ここにありだ。

CHAQLA.が巻き起こした熱狂を冷ますように映画の開演ブザー音が鳴ると梟の登場だ。
まず目を惹くのがステージ下手に着座するDaisuke(Pf)の存在だ。
ギターレスの編成において世界観を膨らませるサウンドと、そのスタイルはことヴィジュアル系シーンにおいても異質で観客の期待が高まっていくのが伝わる。


より根源的だからこそ、Yutara(Ba)とLotto(Dr)のリズム隊による丸みを帯びた輪郭はドラマティックに陰影をなぞる。

▲Lotto(Dr)

▲Yutara(Ba)

淡々としたリズムが微熱を帯びる「ROAD TO THE FUTURE」の最後Yoshiatsu(Vo)のタップダンスで幕を閉じるとストーリーが転がり出すように「テキサスホールデムポーカー」へ。“自由なロックを!”の雄たけび通りLottoのサンプラーが指揮を執る動静が、奥深くキメやブレイクでもフロアを静かに揺らせてみせた。「MOM!」ではシンガロングも誘発した。

▲Daisuke(Pf)

“最近のヴィジュアル系つまんねぇと思ってた。”

“今日の対バン、ここにいるヤツらってみんな頭おかしいと思うんですよ。だって変わったバンドばっか好きなんでしょ?でも、最近のロックってめっちゃ普通じゃないですか?なんかおもろくねーなって思ってて、変なこととか誰もやってないことをやってる人が“ホンモノ”だと思うんで、ここに集まってる人たちはセンスが良い“

Yoshiatsuが好意的に語ると終盤戦へ。

繊細なサウンドメイクの中で、時にストーリーテラーのように、時に主人公のように楽曲の次元を自在に行き来するYoshiatsuはヴォーカリストとしてもフロントマンとしても飛びぬけていることを証明してみせた。

▲Yoshiatsu(Vo)

明滅する照明と歌謡メロディーがトリップ感を掻き立てる「バケモノの私には」も起爆的なフックだったが、クロージングにチョイスされたのは「月光」。
不穏で優しいバラードの前に静寂が訪れステージは蒼く染まり、固唾を飲んで見守る聴衆に別れを告げるように、熱のこもった演奏のなかゆっくりと幕が下りていった。
やがてシルエットになったメンバーがステージから見えなくなっても、まだ世界は醒めることがなかった。


クールだけど楽しむロック、そしてそれは味わい深い。
梟はこのイベントの意味を十二分に体現してみせた。

トリを務めるのはヘッドライナーならぬ“被告人”のまみれた。

1月に復活後初のワンマンを行い、このシーンでパーマネントに活動していくことを誓ったまさに台風の目。タイトルこそ「まみれたを止めろ!」であれ、彼らが止まるはずがないことは初めから解っていた。

だが、それにしてもこの日のステージは正直圧巻だった。
「ゴミ漁り純恋歌」からスタートしたライヴは観客一人一人とやり合う喧嘩スタイルで、傍観することを許さない衝動が伝染していくのが伝わる。


“殴れ!殴るんだよ!!”と執拗に煽り散らされた「だるまさん」では硬質なサウンドが丹精かつ獰猛に、ソリッドかつ下品に襲い掛かってくる。

その風圧は当然この夜でもとびぬけたもので、分厚いリフと奇妙な音色、ダイナミズムと性急感のリズム、吠えるようなヴォーカリゼイションは独特の四角形を構築し、これでもかと稀有な集合体であることを見せつけるものだ。

▲伐(Vo)

▲隆世(Gt)

▲かる。(Ba)

▲森田(Dr)

狂暴な面がフォーカスされがちなまみれただが、“愛の歌を贈ります”と届けられた伐(Vo)がギターを持つセンチメンタルなミドル「斜め上からの日常」、メロディアスな側面が光る「囚人番号07番は愛した」では叙情性で擦り切れるように引き込む。

終盤はヘッドライナーらしく再び轟音で破壊の渦へ。
復活の狼煙をあげた「指名手配が指名手配」の強烈なヘイトスピリットと相まった扇動力は凄まじく、暴風雨の如く感情のままに全員がボロボロになる「死因:暮らし」と完全にゾーンに入ってしまう。ついに伐はお立ち台からドラム台にダイヴを敢行!

とどめのラストは“一緒に死のうよ!”と焚きつけた一撃必殺の「お邪魔します」。
半狂乱になり完全バーストでまみれたは嵐のようにステージを去った。

「バトルキマイラ」。
更なるシーンの可能性を探る試金石的イベントとして始動したが、第1回目にして今後の積極的な広がりを予見させる結果となった。
シーンの“キワモノ”が大集結した結果、その音楽性は全く相容れないにも関わらず、オリジナリティと信念の強固さがぶつかり合う“バトル”であり、“バトル”ではないリスペクトもあるイベントになった。

第2回は4月25日(金)に同じく大塚Hearts+で開催される。
標“敵”のMAMA.を筆頭に、彼らの指名によるDAMNED、惜しくも解散が発表されたものの実は「バトルキマイラ」始動の動機となった我楽多、さらにはティンカーベル初野がソロで参戦する。
もはやバンド対バンの域も超えることとなったこのイベントの可能性を今後も探ってほしい。


取材・文:山内 秀一
写真:A.Kawasaki(鮮血A子ちゃん、梟、まみれた)

SET LIST

<鮮血A子ちゃん>

1.21世紀でアへ顔とか死ね
2.5月に母さんがひり音した
3.能面ちゃん殺人事件~懲役2.5次元~
4.惨殺日和
5.宇宙と首輪の憑いてる少女
6.あたしの処女膜は恋わずらい
7.凌遅あやめちゃん
8.人肉饅頭たぎるくん


<CHAQLA.>

1.POISON
2.Liberation-369
SE hi-lite
3.SINK SPIDER
4.太陽の悪魔
5.ミスキャスト
6.PLAY BACK!!



<梟>

1.「ROAD TO THE FUTURE」
2.テキサスホールデムポーカー
3.MOM!
4.泥棒のマーチ
5.「バケモノの私には」
6.ガラスの靴
7.「月光」


<まみれた>

1.ゴミ漁り純恋歌
2.だるまさん
3.死因:無視
4.死因:わからん
5.斜め上からの日常
6.囚人番号07番は愛した
7.指名手配が指名手配
8.死因:暮らし
9.お邪魔します

■バトルキマイラvol.2~MAMA.を喰わせろ!~
2025年04月25日(金)大塚Hearts+

●出演バンド:MAMA.(標敵) / ティンカーベル初野 / 我楽多 / DAMNED
●OPEN 18:00/START 18:30
前売り:一般 ¥4,500、未成年(18歳未満) ¥500 (税込)
当日券:未定(税込)・オールスタンディング ※入場時ドリンク代別途必要

チケット 3月22日(土)10:00~一般発売開始
https://eplus.jp/battlekhimaira/

未成年チケットは公演当日の時点で、未成年(18歳未満)の方に限ります。
入場の際、年齢の確認が出来る顔写真付き身分証(コピーやスクショ不可)を確認いたします。
年齢が確認できない、身分証をお忘れになられた場合はチケット代の差額分をお支払い頂きます。
一般チケット購入来場者の後に入場となります。

関連リンク

◆鮮血A子ちゃん OFFICIAL X https://x.com/senketsu37564
◆CHAQLA. OFFICIAL SITE https://www.chaqla-web.com/
◆CHAQLA. OFFICIAL X https://x.com/CHAQLA_offi
◆梟 OFFICIAL SITE https://fukuro-official.com/
◆梟 OFFICIAL X https://x.com/FUKURO_OFFICIAL
◆まみれた OFFICIAL SITE https://mamireta.ryzm.jp/
◆まみれた OFFICIAL X https://x.com/mamire_official

この記事をSNSでシェアする