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【唯(umbrella)】ソロワークス4th MiNi ALBUM【唯言】リリース。ソロだからこそ込めた赤裸々で等身大の自分。「引っ張っていくカリスマじゃなくて、一人の人間としてリスナーに寄り添うアーティストがいてもいいんじゃないかな」

まだ歩けるよってモチベーションをちゃんとファンの人にも伝えたい



────「Garbage」は比較的ハードナンバーになりましたね。歌詞もヘイトスピリット満載で。これは日頃の鬱憤をぶちまけた感じですか?

唯:そうです。あと「鈍色」で落ちるとこまで落ちた世界をぶっ壊したいなと。これも自分のルーツにかなり忠実な曲ですね。もともとあった曲ではないんですけど、スマパンっぽいものでありながらもっとソリッドなイメージは描いてましたね。スマパンってちょっとルーズな感じがカッコいいんですけど、自分なりの音像に仕上げました。これも社会とか会社の曲です。ぶちまけてますね。

────他の曲に漏れずサビは立っているんだけど、かなり歌詞はかなり皮肉です。

唯:“肝心な言葉はモザイク”とか。

────“くたくたトカゲさん尻尾がないんだね”とか。

唯:“あいつは知らんぷりね”とか(笑)。今の社会ってコンプラを重視する割に弱い者いじめみたいな陰湿さがすごいし、それでいて肝心なところにはモザイクで蓋をしたり矛盾だらけだと思うんですよ。それをこのサウンドと歌詞で表現してます。

────唯さん自身はそういう想いをSNSとかで発信する人をどう思います?

唯:んー、自分はちゃうかなって感じですね。だから日頃の想いをせめて曲には込めてます。でも正直なところ難しいなと思う。極論、“ハロー!”ってだけ言っても誰かを傷つかせてしまうかもしれない時代やし。

────この具体性から再び映像的な世界に回帰するのが「デイドリームサイダー」。甘酸っぱく瑞々しいサウンドが一気に広がります。この曲ももしかしたら異色なんですかね。

唯:よう考えるとこの曲も異色なのかもしれない。なんかねうまくハマったんですよ『【唯言】』に。この曲がリード曲になる可能性もあったんです。

────とっても爽やかで、例のテロテロしたギターも登場します。

唯:爽やかなのに伝えたいことがめちゃくちゃ多い曲で内容が濃いですね。これね、歌詞読んでたら恋愛の曲だと思うはずなんですよ。

────え、違うんですか?言われてみると違和感を与えるポイントはあったけど答えが解らなかったんですよ。

唯:うん。これ恋愛曲じゃないんです。実は夢のことを恋愛になぞらえてるんです。例えば恋人を作るのってどうにかして振り向いてもらおうとするじゃないですか?その一途な気持ちって夢にも当てはまるなって思って書いた歌詞です。頑張ったから叶うものでもないっていうところも含めてダブルミーニングにしてます。夢って想像しているだけで楽しくて刺激的だけど、うまくいかないことだらけっていうのをサイダーの置き換えたんです。

────でも、すぐはじけて消えちゃう。

唯:一瞬で消えちゃうこともあるし儚いものだなって。前もMCやインタビューで言ったけど、“自分の身の丈は解ってる”っていう気持ちはずっとあって。だからこそ夢を追いかける想いは大事にしたいなって思うんです。

────“咲き始めてんの見たらもう何て事はない”っていう新たな決意も読み取れるんですよね。

唯:これは僕やumbrellaのことでもあります。と言うか前ライヴレポートで書いてもらったこととかもあるでしょ?



────“大阪の路地裏に咲く”ですね。思ったことを書いただけですよ。

唯:それがすごい嬉しかったですね、そうやって感じてもらって。umbrellaを伸び悩んでるバンドって言っちゃうとメンバーとファンにも悪いけど、長いことやってると停滞感もあったんですよ。それが主催ライヴの<路地裏サーチライト>や味園ユニバースでのワンマンで一気に流れが変わってきましたよね。16年目にして(笑)。確実に注目もしてもらえるようになってきて、今、自信があるし、ここで止まってられないよねってちゃんと前を向けてる。咲き始めてるって思ってもらえてるはずやなって気持ちです。umbrellaの歌詞も最後の方にちょっと入ってるんですけど、ソロの楽曲とはいえumbrellaが考えてることも伝えたいなって思いました。だって、これまで苦労してきたのに“umbrella今ちょっと人気出てきてるんちゃうか?”って思えたら辞められないですもん。まだ歩けるよってモチベーションをちゃんとファンの人にも伝えたいんです。「デイドリームサイダー」はそんな曲。

────これは小説でも世界線が繋がるハッとする仕掛けがあるのでチェックしてほしいところです。

唯:何回も読み返してほしいですね。あと小説は前作『【標本】』とも繋がってるのでそこも楽しんでほしいです。あえて売り切れない量のCDを毎回作ってる理由なんですけど、後からでも楽しめるようになってます。今回の『【唯言】』もニューリリースって言うよりは1年後とか何年か後に手に取った人にちゃんと伝わるようにと思って作ってるんで。出して一定期間セールスしてはい終わりの作品にはしたくないんですよ。

────アルバムもラスト2曲ですが次が「幸せとは」。これは個人的には先に小説を読んで聴いてほしい1曲です。

唯:あの小説のまんまのことがあったんですよ(笑)。

────ツラいですねぇ…。

唯:ツラいでしょ?簡単に説明するとお世話になってる人の結婚式で“唯くん歌ってよ”ってお願いされたんだけど、自分には人を祝う曲がひとつもないことに気がついちゃったんです。大切な人を祝う歌のひとつもないって僕の音楽人生はなんやったんやろうってどん底まで落ち込みました。結局、結婚式では他の方が酔っ払いながら誰かの曲を歌ってたんですけど、全然良くなくて。でも、歌えなかったくせにそんなこと考えてる自分にも自己嫌悪がすごすぎて…自分の人生を否定してしまいましたね。

────たかがそんなことで?って思う人もいるかも知れないけど、日常で傷ついてきた人には「幸せとは」の痛みは嫌と言うほど解ると思う。心理の削れ方がエグいんですよね。

唯:みんなでお祝いしている中で自分だけ取り残されている感覚で。だからこそその気持ちのまま次の日に作ったのが「幸せとは」です。手紙のような曲になりましたね。

────フォーキーで優しい曲なのに、歌詞は懺悔のように心層を裸にしていて。“ありきたりで素朴な唄を届けるから いつか作るよ”と。

唯:1番はそこで終わるんですけど、祝福の曲を作ろうと思って作るのも自分らしくないなと思って。そこから後半の歌詞でありのままを書きました。こんな暗い僕の歌でも届けたらよかったなって思って、メッセージを最後に伝えようと。

────「幸せとは」ってつまるところ幸せがわからないって言ってるわけですもんね。

唯:幸せってきっと人それぞれあるものだから、最終的に自分自身の想いが素直に相手に伝わったのなら、もしかしたらそれは幸せなのかもしれへんしと思って。だからすごく等身大。今回の「ソクラテス」も「Hello.Lonely World」もそうやけど、自分の身の丈そのまま。自分の等身大で精一杯伝えたいなって考えて書いてます。

────挫折を経験したことがある人はめちゃくちゃ喰らう歌詞が散りばめられてるんですよね。

唯:“「夢追い人は死んだ」”って歌詞もLOKIの「夢追い人」って曲から来てる。あの時バンドも音楽も辞めようと思っていた自分のことをまた思い出しちゃって。

────ただ、その部分を歌詞カードで見ると傍線で消されているというメッセージ性もあります。

唯:ある意味幸せなのかも知れないですね。落ち込んだけど、自分を理解できたって意味では。今まで作った中で一番最近の曲です「幸せとは」は。重いです。

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