【珖夜ゼラ(マーキュロ)】★パーソナルインタビュー★遂行中の全国ツアー・“生バンド単独巡業「また明日、僕達の★倶楽部で」”のファイナル公演に向けた彼女たちの想いを訊く


群雄割拠のアイドルシーンにおいて、その異端さをもってして知名度を伸ばし続けているマーキュロがVISUNAVI Japanに3度目の登場。今回は、6月30日に2度目となるZepp DiverCity(TOKYO)ワンマンを控えた彼女たちにパーソナルインタビューを刊行。壮絶な過去がある珖夜ゼラを救い、過去との向き合い方を変えるきっかけはなんだったのか。そのうえで“憎しみ”の感情がないと言い切る彼女の生きるモチベーションはどこにあるのか、赤裸々に語ってくれた。
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────現在、“生バンド単独巡業「また明日、僕達の★倶楽部で」”の真っ最中ということですが、名古屋と福岡の2公演を終えて手応えはいかがですか?
珖夜ゼラ:まず、フロアのファンの皆さんの反応違いに驚いています。生バンドならではの煽りをするんですけど、これまで生バンドでツアーをしたことがなかったので。音の圧が違うだけで、こんなにも盛り上がるのか、こんなに気持ちが乗ってくるのか、と思えるような考えられないボリュームの声量が返ってきて気持ちがいいです。
────実際のお客さんから寄せられる反応はどうですか?
珖夜ゼラ:「今までで一番楽しかった」という声が多いですね。それに、今回のツアーでは、初めてマーキュロのメンバーでバンドを組んで演奏を披露するという試みをやっているんですけど、それに対しては新しい一面を見ることができて楽しかったという感想も多くもらっています。
────マーキュロバンドに関しては楽器初心者のメンバーが多いなか、ゼラさんはギター経験者ということでバンドマスター的な役割をしたりしたのでしょうか?
珖夜ゼラ:そんなことなくて、ブランクもあるので僕もほぼ初心者の感覚でやってます(笑)。
────そうなんですね。今ブランクもあるのでとおっしゃってましたが、マーキュロバンドではリードギターを担当されているとのことで、披露している「ぬいぐるみ。」はイントロからギターの見せ場が多い曲ですよね。
珖夜ゼラ:そうなんです。それに一瞬だけソロの場面があるんですけど、緊張でしかしないです。
────やはり経験者とはいえ緊張はするんですね。
珖夜ゼラ:やばいですよ! ソロは音を外したら一発でバレるし、楽器経験があるとはいえ文化祭みたいな身内でしかやったことなかったので手汗がやばいです(笑)。
────経験者のゼラさんから見て、他のメンバーが楽器を練習する姿はどのようにうつっていましたか?
珖夜ゼラ:楽器を触ったことある/触ったことないでのみ込みの速さって違うんだなと思いましたね。
────ニアさんはあまりにギターが弾けなすぎて、親富孝通り(帯同している生バンドの名称)の方々にポンコツがバレたと言ってました(笑)。親富孝通りバンドのみなさんから教えてもらいながらだったんですよね。
珖夜ゼラ:そうですね。逆に僕もギターは独学だったので、プロの方に教えてもらってわかったこともたくさんありました。
────その親富孝通りバンドの方々とはこれまでも大きいワンマンで一緒にライヴをすることはあったと思うのですが、それはその日に向けてリハーサルをして、本番をやって解散という流れなわけじゃないですか。今回初めてまるっとツアーを一緒に回ることでわかったことや気づきはありましたか?
珖夜ゼラ:言葉にできない感覚ではあるんですけど、普段のライヴではわからない楽器の音が聴こえることでダンスの拍が取りやすくなったり、ライヴをするうえでわかったことが多いですね。イヤモニがないので歌の面ではやりづらさはあるものの、その感覚を一回一回のライヴで掴んでいくような感じで、名古屋、福岡と2公演やって掴めたような感覚があります。
────やはり、生バンドとのグルーヴも含めて日に日の良くなっていく感覚はあるんですね。
珖夜ゼラ:そうですね。ライヴ中にバンド隊とアイコンタクトを取れるようになったり、後ろを振り向いた時に笑い合ったり、何気ないコミュニケーションなんですけど、一緒に一つの音を作ってるからこそ一体感が生まれるし、そういうものの大切さはこのツアーで学んだ部分ではあります。
────先ほど生バンドがいることでフロアの反応がすごいというお話がありましたが、生バンドがいることでステージに立っている側として変わることはありますか?
珖夜ゼラ:めちゃくちゃ気持ちがアガります! いつもとは違う音が出て、バンド隊も僕の一挙手一投足を見て音を鳴らしてくれるので、煽りと音がキマった瞬間は本当に気持ちがいいです。
“その人よりも幸せになりたい”っていう気持ちのほうが強いですね
────また、今回のツアーでは新曲が3曲披露されていますが、ゼラさん的にはどんな曲ですか?
珖夜ゼラ:「ヒカリ」はマーキュロの楽曲のなかでも珍しく振り付けが少ない楽曲で、僕は多動なところがあるのでライヴ中ちょっとモジモジしちゃうんですけど(笑)、その一方で過去イチお客さんの顔を見ながらパフォーマンスができる曲だと思っています。
────「美しい人生」はタイトルはらしくないですけど、歌詞や題材はマーキュロらしい楽曲ですよね。
珖夜ゼラ:歌詞の雰囲気も、音の軽快さも「赤い靴」に似たテイストだと思っていて、個人的には「赤い靴」の第2章と捉えているので、同じような感情で歌っています。ただ、「赤い靴」よりも悲しい曲でもあるので歌声に寂しげなニュアンスや表情を取り入れたりもしています。
────「美しい人生」は“赤ちゃんポスト”をテーマにした歌詞が印象的です。
珖夜ゼラ:すごく強いなと思わされます。僕自身ここまで人を憎んだことはないですけど、過去の憎しみを強さに変える曲だなって。
────今、“ここまで人を憎んだことはない”とおっしゃっていたのが意外というか、ゼラさん自身も学生時代に壮絶な体験をしているなかで、そこまで憎しみの感情はないものですか?
珖夜ゼラ:憎いっていうよりは“その人よりも幸せになりたい”っていう気持ちのほうが強いですね。だから、その人に死なれちゃうと僕が幸せになった姿というのは見てもらえないので、“憎い!”とか“死んでほしい!”っていう感情はあまりないですね。
────なるほど。ただ、それって「美しい人生」的な観点から見ると、ゼラさんが幸せな姿を見せることが復讐になるということなので少なからずゼラさんの生き方にリンクする部分はあるのかもしれないですね。とはいえ、今日ゼラさんのお話を聞いていて、根の部分が前向きでサラッとしているなという印象を受けました。
珖夜ゼラ:たぶん日によります! 今日はポジティヴな日なんじゃないかな(笑)。ただ、昔から良くも悪くも淡々としていて、人にあまり興味がないっていうのは大きいかもしれないです。
────でも、それはマーキュロを3年やって変わった部分もあったりしますか?
珖夜ゼラ:いろいろ変わりましたね。ライヴの仕方も、ファンとの接し方も、未来への考え方も。それに、マーキュロの曲を客観的に聴いて、自分の過去との向き合い方が変わったのも大きいかもしれないです。
────それは具体的にどう変わったのかお聞きしても大丈夫ですか?
珖夜ゼラ:あんな過去があったけどぶち壊して行こう!じゃないですけど、自分自身がマーキュロの曲に救われたし、そのおかげで前向きになれたという側面はありますね。
────そうやって悲しい過去も生きる活力に変えられるようになったということですね。また、最近「グランギニョル」のMVが公開になったかと思うのですが、ゼラさんはピストルを撃つシーンがありますよね。
珖夜ゼラ:ありますね! あれは撮影の直前に俳優さんに銃の使い方を教えてもらって撮影に臨んだんです。
────とはいえ、そんな簡単にできるものでもないですよね? 本当に撃ってるように見えましたよ。
珖夜ゼラ:本当ですか? 実際はおもちゃのみたいな銃だったので、撃ったあとの反動なんかも含めて俳優さんに教えてもらった成果だと思います。それに、僕自身ピストルを使う系の映画とかも好きで、よく観ていたからというのもあるかもしれないです。
────演技の才能があるかもしれないですね! 他にゼラさん的な見どころはありますか?
珖夜ゼラ:最後にタバコを吸って死ぬシーンがあるんですけど、撮った時が時間も遅くて気温も下がってきた時間帯だったので、すごく寒くて。それでいて、ゴミ捨て場のシチュエーションだったのでコンクリートに水をまいた上にビニールシートを敷いて、その上に薄着で寝転がって30分くらい動いちゃいけなかったのがめちゃくちゃしんどかったです! なので、みんなに褒めてほしいです!!!
────それはMVを観ただけではわからないですから、ちゃんと記事に書いておきますね(笑)。では、6月に控えるZepp DiverCity(TOKYO)ワンマンに関してもお話を聞かせてください。今回、一年振り2度目のZepp DiverCity(TOKYO)ワンマンとなりますが、前回のことは覚えていますか?
珖夜ゼラ:覚えてます! 当日はソールドアウトしていたんですけど、一周年の時(恵比寿・LIQUIDROOM)と規模が違いすぎて、SEが鳴ってステージに入ったら見たことないくらいパンパンにお客さんが入っていて、人の顔しかなくてすごく怖かったのを覚えています。途中からいつもの自分は取り戻せたんですけど、そのせいで序盤は笑えなくなってしまったのが心残りでもあるので、今回のワンマンは緊張で強張ってたところを打ち破って、最初から珖夜ゼラを出していきたいと思ってます。
────最後にマーキュロがこの先どんなアイドルになって、どんな夢を叶えたいかを教えてください。
珖夜ゼラ:マーキュロの音楽が僕のことを救って、前向きにしてくれたように、これからも人のネガティヴな感情に寄り添いつつ、音楽を使って強い心に変換していけるようなアイドルになっていけたらと思っています。さらに、もっというとアイドルという枠に縛られずに、もっと大きな世界に飛び出していけるように頑張っていきたいです。
取材・文 オザキケイト
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マーキュロ三周年単独公演
生バンド単独巡業「また明日、僕達の★倶楽部で」
2025年6月30日(月)
Zepp DiverCity(TOKYO)
OPEN 17:00 / START 18:00
▼チケット詳細
・前方エリア¥6,000(指定席)㊗️完売御礼
・二階席¥5,000(指定席)
・一般¥2,000(立ち見)
・招待¥1,000(立ち見)
https://ticketdive.com/event/250630b
ぴあ https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2329814
イープラス https://eplus.jp/sf/detail/3819780001?P6=001&P1=0402&P59=1
ローソン https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=689674
(Lコード:72140)
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