武瑠×命依(MAMA.)×Bikky(CHAQLA.)鼎談敢行、6月28日の3マンに向けて練られる前代未聞のプランと3者が交わる明確な動機。「このカルチャーはもう1回いける」

やりたいことが明確に見えているバンドは絶対世界に出たほうが良い
────ヴィジュアル系をカルチャーの観点から斬り込んでいくイベントだからこその提起なんですけど、ファッションでの訴求も常々のテーマではあるんですよね。それこそ命依さんはライヴごとに服装が違うし、CHAQLA.はストリート色の強いオリジナルアパレルも展開しています。
武瑠:それめっちゃムズいですね。例えばコスプレのカルチャーで浸透していく側面もあるにはあるからなぁ。
Bikky:ファッションについては俺もずっと考えてて。CHAQLA.はバンギャにストリートファッションを流行らせたいと思ってるんですよ。だからバンTとかにもツアータイトルとかあんまり入れないようにはしてます。でも逆の考えもあって、同じような服装をした人が一気に集まることでテンションが上がるっていう意見を聞くと、それもヴィジュアル系の良さなのかなって思います。CHAQLA.はそういうスタイルが似合わないけど、特殊ファッションであるってことは共通してるのかな。
武瑠:誰の居場所にでもなれるし、どんな人がいてもいい場所なんだろうね、そもそもは。
命依:俺はMAMA.のファンってこういう感じだよねっていうのは欲しいっちゃ欲しいけど、今はあんまり気にしてないですね。でも、コスプレとか面白いですよね。メイクを真似できたりしたらきっと楽しいだろうし。真似しやすいと流行るのかなって思うけど、今のヴィジュアル系は真似しにくい。特にここら辺の界隈(笑)。衣装っていっても武瑠さんもCHAQLA.もうちも普通に売ってる服の組み合わせだから。
Bikky:ラフな感じだもんね。
武瑠:そうだね。
命依:そういうのも徐々に浸透するのかな。たとえばCHAQLA.のファンの人だったらグッズをリメイクして着てるイメージがあったりとか。
────アパレルの充実度は高いですよね。私も普通に購入して普段着にしてます。
Bikky:いつもお買い上げありがとうございます(笑)。
命依:この人たち服も自分たちで作ってるんだっていうのが伝わってくるとまたヴィジュアル系っていう概念が変わってくるかもね。
武瑠:CHAQLA.は自分たちで服を作ってるイメージがある。
Bikky: 1回グッズの在庫を全部友だちにリメイクしてもらって、展示会にして販売したりとかしましたね。それを買ったファンの方がさらにダメージ加工してるのとかを見るとめちゃくちゃ嬉しいっすね。

▲Bikky(CHAQLA.)
────カッコいい服を来てライヴに行くのがカッコいいことになってきている印象はあります。記事にはしないですけど。
Bikky:してくださいよ!
武瑠:記事に書きましょうよ! すごいいい流れだと思うな。クリエイティブの精神がファンにも伝わってるっていうのは。
────了解です(笑)。でも、今回の3マンはそれぞれのバンドのお客さん同士もライヴを経て“なるほど”って腑に落ちることがたくさんありそうですよね。ところで、冒頭でもお話いただいたコラボ曲についてどんな形に着地しそうかの概要も教えてください。
武瑠:どこまで言えるんだろ……。今までで一番謎なんだよな(笑)。構想は変わるかもしれないけど、三者三様で題材とコードとBPMを一緒した曲を作って、その中では同じメロを歌うところもある。だから自在に切り替われるっていうイメージですね。発想的にはHIP HOPのフューチャリングが近いかもしれないです。
────同じトラックのなかにいろいろなラッパーが入れ替わり立ち替わり登場するような?
武瑠:ベースとなる画用紙は一緒だけど、そこにどんな絵を描くかは自由っていう感じ。縛りが3次元的で土台から全部変えるんだけど、構成はお互いに行ったり来たりできるものにしようと思ってます。それを映像に撮って編集する。そして最後は同じメディアになる、そんなイメージです。
────Bikkyさんもやたら力強く頷いてますけど、もうバッチリ理解できてますね?
Bikky:はい、もちろん。そして、これ以上は質問しないでください。
命依:俺はようやくわかってきた気がしてます。
武瑠:トラックの上で歌が変わっていくのってシンガーじゃなきゃあり得ないじゃないですか? 逆に歌は一緒なのにリミックスでトラックを変えるのはDJがやってる。それじゃあ、同じことをバンドの感覚でやったらどうなんだろうっていう挑戦なんですよ。そこに映像もリンクしてたらかなり面白いんじゃないかな。なんかインスタとかをどんどんスワイプして感覚に近いかもしれないですね。
────なるほど。少し理解が追いついてきました。
Bikky:なるほどですね。
武瑠:テレビのチャンネルを変えていくと、それぞれのチャンネルに出ているのは武瑠、MAMA.、CHAQLA.と違ってるんだけど、やってる番組自体は同じなんですよ。
────よりイメージがしやすくなってきました。それぞれの個性もより感じられる構成になりそうですね。
武瑠:昔、自分の曲でもステムダウンロードして好きに歌っていいよみたいなことはやってたんだけど、そういう手法を重点的にやってみたらどうなるのかなって。去年、「TO BE LIKE THRILLER feat.IKE, 星熊南巫, 4s4ki」で全員の声を同じトラックに4本鳴らしてみたら渋滞こそしたけど意外と面白かったんですよ。その辺の流れもありますね。
────3組がどういうアプローチをしているのかも気になるところです。
命依:みんなバラバラっすよ(笑)。この3バンドのなかでMAMA.にしか表現できないものはなんだろうって言うところもありますね。肝になってくるのはローかな。
────らしさに忠実に。
命依:あとはトラップとかもですよね。そもそもトラップってそんな広まってないですよね。
────少なくともヴィジュアル系ではトレンドではないですよね。
命依:俺アレめっちゃヴィジュアル系だと思うんですよ。ダークだし妖しげだし。
武瑠:俺もそう思う。GHOSTEMANEとかはマンソンが好きでラッパーになってるんだけど、めちゃくちゃダークトラップだもん。ああいう存在が意外と日本で出てきてないんですよね。一番近いところだと(sic)boyなのかな。それでもだいぶポップだけど。
────ヴィジュアル系のお客さんにも刺さると思うんですよね。
命依:うん、そう思います。
武瑠:いるにはいると思います。でも、世間的にはヴィジュアル系じゃなくてY2Kの流れって認識じゃないですか? だから、今若くてめっちゃカッコいい子ってほぼヴィジュアル系と同じ格好してますよね。それもあってこのカルチャーはもう1回いけると思うんですよ。俺も先日、黒夢の復活ライヴを観に行かせていただいたんですけど、トレンドが一周しているから会場中みんな最新の服装で超カッコ良かったんですよ。なんだこれ!みたいな(笑)。
────それは同感です。ちなみに武瑠さんの原曲はどんな感じなんですか?
武瑠:原曲どころか俺はあくまで原案的なものしか提示してないです。CHAQLA.の音も今さっき聴いたらめちゃくちゃ変えてきてて面白い。
Bikky:今日の朝アニィ(ANNIE A)からデータが届いたんですけど、まだ聴けてないんで今聴いてもいいですか?
一同:(爆笑)!
────そうしましょう。………と言うことで、聴き終わりましたが、めちゃくちゃカッコいいじゃないですか!!
武瑠;ですよね? まだまだ意図の擦り合わせが必要だからここから形は変わると思うけど、めっちゃ面白い!
Bikky:アニィ節を感じますね。
────それぞれのエッセンスも入ってて新しいしこれは痺れますね。
命依:合わなさそうなものをくっつけるのが好きなんですけど、やってみると意外と合うことがあるんですよ。これはやってみない側の人には絶対わからないですね。
武瑠:俺、スケール変わってんのかと思ったもん。
Bikky:そうですね。
命依:CHAQLA.節でそう感じさせますよね。
Bikky:うちのアニィも理論に囚われないで作るんでこういうことができるんですよね。天才ですよ。こういう作り方だからライヴまでどうやって完成するのか、最終的にどうなるか楽しみですよね。
────めちゃワクワクしますね。
武瑠:音楽大喜利みたいでしょ?(笑)この手法流行ってほしいなぁ。先輩方とかにもやってみてほしい。絶対盛り上がるじゃん!
Bikky:でも、これ誰でもできる遊びじゃないっすね(笑)。
命依:MAMA.も「不幸物」っていうサビだけバンド演奏の曲をフリートラックで配ったことあるんですけど誰もやってくれなかったもん(笑)。唯一やってくれたのはアニィさんだけ。
Bikky:アニィがそのトラックに自分のメロをつけて完成させたんで、MAMA.との2マンのときはCHAQLA.も「不幸物」をやったりしてます。
武瑠:マジでそういうことをやりたいんだよね。だから今回のコラボ曲もこれっきりじゃなくてこれからもお互いの周年とか大きなワンマンでは一緒にやってきたい。もっとそういうのがあっていいなって思う。

▲MAMA.
────でも、今回の曲ってそれぞれのバンドのこれからのライヴのメニューにも入ってくるんですよね。
命依:うん。
武瑠:3バージョンあるんで。そういうイメージで作ってますよ。
Bikky:こういうことをできる仲間がもっと欲しいね。
武瑠:今回もダウンロードOKにして、勝手にイジってリリースもしていいようにしようよって話合いしてます。
────どのアーティストがどうイジって遊んでくるかも気になりますね。
武瑠:まんま一緒でもいいんです。歌ってる人が変わればまた曲も違って聴こえるだろうし。
Bikky:山内さん的にこういう企画に乗ってきそうな人浮かびます?
────んー、パッと浮かんだのはmitsuさんとか? あとはHIROTOさん。
武瑠:あぁ~たしかにね。
命依:音楽に対してフッ軽じゃないとなかなかハードルはあるっすよね。でも、本当はみんなできることだと思う。
Bikky:フッ軽さは大事だよね。イベント作るのとかも。
命依:なんか仕事と思わないっすね、音楽を。
Bikky:うん、遊びの延長なんだよね。
武瑠:セッションバーでお題を決めてその場で曲を作ったりするのとかもっとみんなやればいいのにね。たまに良い曲生まれるんですよ。
────でも、話を伺っているとこの3人の共通項は非効率的な音楽家ってところですよね。アプローチや発想こそ新しいけど、作り方は時代に抗っているというか。
武瑠:そうだと思いますよ。
────ライヴも楽しみです。奥行きのある立体的なものになりそうで。
Bikky:他の対バンとは違いますね。でも、だからこそ今まで通りのCHAQLA.を見せることに意味があるし、そうすることでこの3組が集まった理由が理解できるイベントになると思います。武瑠さんのファンの方もCHAQLA.の音楽を聴けば、なんで一緒に曲を作ることになったのかきっとわかってくださるでしょうね。自分たちの王道でいきます。
命依:MAMA.とCHAQLA.は“漢上げ”っていうユニットライヴの時に出口動員でお客さんの数を競うって企画があったんですけど、そのときから数字なんて関係ないよって俺はずっと言い続けてるんです。その本当の意味は今回の3マンにあると思ってます。数字で計れないものとか勝ち負けがどうとかじゃないことがこのライヴで証明されると思う。武瑠さんって俺らからしたら憧れの人なのに全然、先輩ヅラしないじゃないですか?
────先輩ヅラ!(笑)またそういう言葉吐くから!
命依:違う違う! 上手い言葉が出てこなくて(笑)。でも、たまにそういう人いるんですよ。だけど、武瑠さんはそうじゃない。ってことは武瑠さんもそういうノリが嫌いで音楽でわかり合いたい人なんだなって思ってて、MAMA.のファンにとっても俺がずっと言い続けてきた本質が伝わるはずです。
────武瑠さんからしたらMAMA.とCHAQLA.とやることにメリットがあるのか?ってところもありますからね。側だけを見てると。
武瑠:そんなことないですよ、全然。
命依:いや、でもそう思う。俺らとかCHAQLA.には良い話過ぎる。“え!? 武瑠さんだよ? マジ!?”ってなりますし。でも、そういうことすら考えてないから武瑠さんはカッコいいんだってこともわかりますよね。
武瑠:なんかスケールの大きな話になるんですけど、いろいろな国でライヴをやってきて辿り着いたのは“戦力が欲しいな”っていう感情だったんですよ。ヴィジュアル系とか自分のストーリーのなかで。どうしても島国だから、外と闘うのに慣れてなくて、ずっと国内需要で回ってたところにコロナが来て急にバランスが崩れましたよね。変な話、海外の音楽やK-POPが力を伸ばして、言ってしまえば日本の音楽は国内需要だけだと縮小していくしかないんですよ。これはファンの方やリスナーの方はそこまで気にしなくていいんだけど、みんなが好きなシーンはどんどん小さくなっていって、代わりにSNSとかがやたら大きな力を持ち始めてるわけじゃないですか? ニッチなものやマニアックなものは縮小していっちゃうし、あまりに小さくなってしまうと好きなものを作ることもできなくなっちゃう。そういう危機感がすごいあるんだけど、海外に行くと日本は漫画やアニメの文化がくっついていてちゃんと評価もされてるんですよ。それなのに唯一無二の力のある人が意外と海外で闘ってないっていうあべこべさをずっと感じてるんです。日本のファンの人は関係ないって思うかも知れないけど……。
命依:いや、関係ありますよ。
武瑠:本当に世界中に届いていくことが、この場所を守っていく方法なんですよ。だから戦力が欲しい。
────そこでこの2バンドがいると。
武瑠:漫画だって1つの作品だけが売れてるんじゃなくて、漫画っていうカルチャーとして海外で受け入れられてるんで。ヴィジュアル系も1人じゃダメで、センスのあるいろいろなバンドがまとまったパッケージとして闘えれば、まだあるなって思う。日本はどうかわからないけど、世界で流行る可能性は全然ある。MAMA.もCHAQLA.もそうですけど、本人たちのやりたいことが明確に見えているバンドは絶対世界に出たほうが良いと思う。
Bikky:CHAQLA.もワールドツアーやりたいし、絶対にやりますよ。
命依:うん、海外行きたいね。
武瑠:俺はそういう橋渡しをやりたいんですよ。SuGのときは若かったし、それを損だと感じることも多かったんです。でも、今は違いますね。自分たちはもっと大きな循環の中で生きてるって理解してるし、こうやってリスペクトできる仲間とはキャリアとか関係なくどんどん輪を繋いでいきたいですね。お客さんにはそういう壮大な想いの第一歩を見逃さないでほしいと思ってます。歴史は繰り返すんで。今がチャンスですよ。
取材・文 山内 秀一
LIVE

武瑠×MAMA.×CHAQLA. 3MAN LIVE
「FXXK YOUR FEELINGS」
6月28日(土)
渋谷 チェルシーホテル
OPEN16:00 / START16:30
武瑠 / MAMA. / CHAQLA.
通常チケット:¥6,500+tax (税込¥7,150)
※DRINK代別
※LIVE観覧のみ(整理番号C)
※入場順 :A1~(VIPチケットA)→B1~(VIPチケットB) →C1~(先行通常チケット)→D1~(一般通常チケット)
※その他注意事項はチケットサイトをご確認ください
一般発売中
https://t.livepocket.jp/e/fyf628
関連リンク
◆武瑠 OFFICIAL SITE https://www.takeru-official.tokyo/
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