【umbrella・将 × heidi.・桐】6月23日、大阪BIG CATにて開催されるumbrella主催<路地裏サーチライト>に先駆けたドラマー対談!「heidi.という存在に僕自身が救われている部分があるし、僕にとってheidi.はすごく大事な存在なんです」

6月23日に開催を控えている<路地裏サーチライト>。今回はなんと、主催者であるumbrellaにとって史上最大キャパシティとなる大阪BIG CATにて開催されることとなった。
昨年10月、約8年の沈黙を破り味園ユニバースにて行われた同イベントから時間が経たずして開催が決定した背景をみても、昨年の公演がumbrellaにとってある種のターニングポイントとなったことがわかるだろう。
そして今回出演が決定しているheidi.は、遡ること2016年に行われた<路地裏サーチライト>にゲスト出演をしており、昨年末にはumbrellaとカップリングツアー「十人十色の景色」を敢行していたことも記憶に新しい。
果たして、umbrellaとheidi.の関係値はいかほどなのか? 直近で公開されたVISUNAVIでのインタビュー記事内にもあった、「heidi.は普通に見えて変な人たち」という気になる話題も交えながら、改めてお互いについて語り合っていただくことに。さらに、スタイルの異なる将と桐のドラマーとしての在り方にも迫っていくと、違いがあるからこそリスペクトし合える特別な関係性が垣間見られ、umbrellaとheidi.が長年築いてきた温かい絆を感じられる対談となった。
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ドラマーとしてはフロント陣には自由であってほしい
────早速イントロダクションとして、将さんからumbrella主催の<路地裏サーチライト>というイベントについて触れていただく形で始めたいと思います。
将:まず、経緯としてはumbrellaの初期に始めたイベントで、動員とか数字の部分は全く意識せずに「とにかく自分たちがかっこいいと思うバンドを集めたイベントをやろう」というところから始まったんですよ。<路地裏サーチライト>というタイトルも、今はまだ一般的に陽の目を浴びていないけど、すごくいいものを持っているバンドにスポットを当てるっていう趣旨が由来だったんです。heidi.には、2016年に開催したときにゲストで出演してもらったことがあったんですよね。
桐:あのときは(umeda)AKASOだったよね、覚えてます。確か、2デイズだったよね?
将:そうそう。で、特に理由はなかったんですけど急にやらんようになって(笑)。それを復活させたのが、去年の味園ユニバースだったんです。「今、umbrellaができる最大限のイベントを組もう」というのもあって昔とは少し趣旨が変わってきた部分もあったんですけど、実際にやってみたら想像以上にすごいイベントになったなと思ってるんですよ。umbrella史上、イベントでの動員が一番多かったのもあって単純に嬉しかったですし、目の前に人がいっぱいおる中で演奏するのは楽しいな、と。振り返ると、そんな感じでしたね。
────まさに、その味園ユニバースで開催した<路地裏サーチライト>の大盛況ぶりが、今回の開催にも繋がったということですね。桐さんも、2016年に出演されたときのことを覚えていらっしゃって。
桐:うん、覚えてます。そのときはまだ、umbrellaとheidi.はほとんど面識がなかったんです。そのときの打ち上げからギュッと仲良くなり始めたというか、「umbrellaってこういう人たちなんだ」っていうのがわかり始めたというか。
将:僕、その打ち上げで「ナオさん(heidi. / Gt)、クセ強いなぁ」と思いました(笑)。
桐:ああ、その辺から分かってきたんだ(笑)。こっちからしても、春ちゃん(umbrella / Ba)のクセの強さはすごく感じたよ。
────お互いの印象については、後程じっくりお伺いしたいです。まずは桐さん、今回heidi.に出演オファーがあったことを受けて、どんなことを感じられましたか?
桐:メチャクチャ嬉しかったんですよ。特に、去年ガッツリ一緒にカップリングツアー(「十人十色の景色」)を回らせてもらったのもあったし、<路地裏サーチライト>は大事なイベントなんだっていうアツい想いを聞いていたし。ただ、実はスケジュールの都合もあって一度お断りしたんです。そうしたら、「それでも出てほしい」ということで。そんなこと、なかなかないじゃないですか。だからもう一回メンバーで考えて、「スケジュール的に大変になってもいいや。umbrellaが出てほしいって言ってるんだから!」ということで、「出よう」ということになりまして。
将:ありがたいですね。

▲将(umbrella)
桐:そういう経緯もあったので、僕らとしても思い入れのあるイベントになりそうだなというのはすでに感じていますね。
────そういった経緯があったとは! それを伺うだけでも、アツいものを感じますね。
将:ホンマ、イベントやる前からもうすでにストーリーが始まってるわ!
────先ほど、お互いに対する印象として“クセが強い”という話題がチラッと出ていましたけれど……。
桐:それこそVISUNAVIさんに掲載されていたumbrellaのインタビュー記事を読んだんですけど、umbrellaメンバーが出演バンドについて触れているところで「heidi.は普通に見えて変な人たち」みたいなことを……。
将:あははは、バレた!(笑)
桐:いや、それがメチャクチャおもしろくて!(笑)確かに将くん、「heidi.は変だ」ってよく言ってるなと思ったんですけど、僕的には「そうかなぁ? アナタたちほど変じゃないよ!?」と思いながら。
将:僕らは自分たちのこと、”変”とは思ってないですからね。
────ちなみに、昨年のカップリングツアーを経てお互いの印象に変化などあったんでしょうか?
桐:umbrellaとはもともと仲がいいとは思っていたんですけど、やっぱり短期間にしょっちゅう会っていたことで関係がさらにギュッとなったと思いますね。将くんとはドラムの話もそうだし、いろんな話をしたのを覚えてます。
将:カップリングツアーまでは、年に2〜3回会うみたいなペースでしたよね?
桐:そうだね。なんか、親戚みたいな感じ(笑)。だから、カップリングツアーがきっかけでもっと近い関係になりました。
将:僕も、heidi.とは仲がいいと思ってましたよ。heidi.に対しては僕自身もうまく言語化できない部分はあるんですけど、ただ、やっぱりナオさんは一番わかりやすく“変”じゃないですか。そう思うのは、周りとは違うことをやりたいっていう姿勢が見えるからだと思うんですけどね。それに、義彦さん(heidi. / Vo)は天然だし。
桐:まあ、そこは「ごもっとも」としか言いようがないですね(笑)。じゃあ、コースケ(heidi. / Ba)は?
将:コースケさんは、実は僕自身まだどう接していいのかあまりようわかってないんですよ。カップリングツアー中に仲良くなりたいと思っていたんですけど、いまいち攻めきれないまま今に至るっていう感じですね。ただ、話してみたら割と僕と似てるところがあるんじゃないかなって思う部分もあって。
桐:確かに、ミステリアスな空気があるようなところはちょっと近いものがあると思うけど、将くんの方がポップな感じするよ。悪い意味じゃなく、コースケの方が少しダウナーな感じがするというか。
将:落ち着いてますよね。だから、コースケさんのことはもっと知りたいなっていう気持ちはあります。
桐:一応、僕についても聞いていいかな……?
将:桐さんは、一番普通だと思いますよ。
桐:あー、よかった(笑)。
将:一番普通やと思うんですけど、あの3人に囲まれて普通でおれるはずがないと思ってるので(笑)。周りが個性的だからこそ、普通でおらなあかんのかもしれないですけど。でも、ドラマーってそういう役回り多くないですか?
桐:わかるわかる。
将:やっぱりドラマーとしてはフロント陣には自由であってほしいっていう気持ちがあって、前にいる人たちの個性をしっかり引き出すためにドラマーは一歩後ろに引いた位置におるっていう。それで、みんなが好き放題できる土俵を作るというか。だから「他のメンバーとはちょっと違う目線を持ってるかな?」と思うし、言うたらそういう状況ってドラマー冥利に尽きる部分でもあると思うんですよ。
桐:まさに、ごもっとも。ライヴ中はみんなの背中を見ながら演奏してるわけだしね。
将:ただ、桐さんも普段見えへんだけで「実は“変”な部分があるんじゃないか?」って未だに思ってるんですよね。
桐:僕は、まともなんで!(笑)umbrellaで一番まともな人っていうと、誰なんだろうなぁ? 将くんも含めて、みんないろんな角度にクセが強すぎて(笑)。でもきっと、umbrellaはみんな「自分が一番まともだ」と思ってるんですよ。

▲桐(heidi.)
将:僕自身も、「自分が一番まとも」と思ってますから(笑)。ただ、春さんの人間性をわかりやすく説明するときに僕がよく言うのが、「一番おかしくて一番まとも」っていうことなんですよ。人としてすごく真っ当な感覚を持ちながら、あからさまにおかしいことをやり始める人なので。
桐:あー、そうかも! もしかしたら、一番まともなのは春ちゃんかもしれないね。そうすると、やっぱり将くんのクセの強さもなかなかだし、ライヴを観ていても「自分とは違うな」って思うんですよ。それはスタイルの違いっていう意味でもそうだし、なんだろう、将くんのすごさというか“変さ”をもっと話したいんだけどな……。
将:言語化するのムズいですよね。
桐:そうだね。ただ将くんはね、本当に優しい。それも、なんとなく優しいんじゃなくて、人との関係をちゃんと考えての優しさなんだろうなと思って。
将:え~、考えてへんですよ?(笑)
桐:本当に筋を感じるし、人付き合いをする上で優しさを持っている気がするんだよね。しかも、誰よりも悪口を言わない。
将:悪口を言わへんっていうのは結構徹底してますね。
桐:それに将くんは誰よりもドラムの練習してる。
将:練習は自分にとって趣味みたいなもんですね。
桐:それがライヴにも出てるし、「さすがだなぁ」と。本当に見習わなきゃなって、いつも思ってる。
将:いや、やめてください! もうそれ以上、上手にならんでいいですよ!(笑)