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KHIMAIRA EDGE 3DAYS完遂!全公演SOLD OUTとなった三夜の口火を切ったSPECIAL GUESTのメリー、Azavana、CHAQLA.、KAKUMAY、トリカブトによるプライドがぶつかり合ったDAY1をレポ―ト!

VISUNAVI Japan主催対バンシリーズ「KHIMAIRA」。
昨年4月から始動した同シリーズは各バンドが相容れないイデオロギーをぶつけ合うことで異様な熱量を生み出し、アンダーグラウンドであることでむしろ影響力を増してきた。
その中核には“あえて若手対バンに胸を貸す”SPECIAL GUESTの存在も忘れ難い。
これまで櫻井有紀、Royz、DaizyStripper、deadman、MUCCが鮮烈なステージを浴びせてきたが、本公演にはついにメリーが降臨した。
Azavana、CHAQLA.、KAKUMAY、トリカブトといずれも気鋭の若手とぶつかり合うライヴはいずれにとっても鮮烈なものとなった。
そんな3DAYS初日のライヴをレポートするのは本記事が初のライターワークとなる猟牙(RAZOR)だ。

自身もRAZORのフロントマンとして、対バン荒らしの如く大会場を混沌に突き落とすことを信条としている猟牙だが、それ以前にヴィジュアル系ロックに対する造詣と愛が人一倍深いところも忘れ難い。

今回本レポートを打診した際に二つ返事で快諾してくれた猟牙に最大の感謝を表したい。
そしてその際に彼が言い放った言葉は以下の通りだ。

「長くなるけど、大丈夫っすか?」



◆     ◆     ◆

まず初めに、今回恐れ多くもKHIMAIRA vol.7-EDGE 3DAYS DAY1-のライヴレポートを担当させていただく事になったRAZORというバンドでボーカルをやっている猟牙と申します。

私自身このシーンで活動している身分ではありますが、私なりの目線でこの日のライヴレポートを愛情込めて文字数制限度外視で書かせていただきます(迷惑)。

良かったら最後まで読んでください。

というわけで2025年6月13日、私は久しぶりに池袋EDGEに足を踏み入れた。


この日はトリカブト、KAKUMAY、CHAQLA.、メリー、Azavanaの全5バンドが出演。

これは面白い組み合わせだ。


このシーンの対バンイベントというものは近しい世代やキャリアで活動しているバンド同士が組み合わさる事も多いのだが、こんなにもソレらの壁を取っ払ったイベントは他に中々ないのでは?

そんなレアなメンツが揃ったチケットも見事にSOLD OUT。

これは凄い事だ。


ヴィジュアル系はオワコンだの低迷しているだの言われている時期もあったが、どんな時もこのシーンを愛し支えてきた人達に加え、嗅覚の鋭い新世代の者達もココでしか得られない刺激に気付きライヴハウスに集い始めてるのではなかろうか。

そしてこのKHIMAIRAというイベントこそが新世代の注目株となりヴィジュアルシーンを活性化させていると言っても過言ではないのでは?

やるなKHIMAIRA……

そんなこんなでライヴスタート直前、場内に入ったらまさに満員御礼。

うーん、なんだかその光景を見ていたら嫉妬心が芽生えてしまったんだよね。

私も…私も今日このステージに立ちたいんだけど…!

おいKHIMAIRA、なんでRAZORも誘ってくれないんだ…!

そんな醜い嫉妬心が芽生えてしまうぐらいに会場は活気で溢れているのだ。

え?

前置きが長いって?

さっさとライヴレポートに行けって?

大変申し訳ない。

ついつい私的感情が溢れ飛び散ってしまった。

反省。

それではいよいよライヴの開幕だ。

トリカブト



まずはオープニングアクトのトリカブトがKHIMAIRAの火蓋を切り落とす。

結成1年弱のルーキーバンドがどんなステージを繰り広げてくれるのか見物である。

陰鬱なEDMとサイレンが鳴り響き、幕が開くとボーカル以外の楽器隊は既にステージにスタンバイ。

オーディエンスに背を向け立ち尽くすメンバーから感じる並々ならぬ気合い。

そんな中フラフラとステージに現れたボーカルの四月一日御幸(わたぬきみゆき)は真っ白な服に狐の仮面を頭に施した異様な姿。

なんかもう既にキマッちゃってる。

「オープニングアクトのトリカブト!ご自由に暴れて参りましょう!!」

御幸の叫びから一曲目「羅刹」が始まり、初っ端から最前列のオーディエンスが熱き拳ヘドバンで応え、その熱量がジワジワと客席後方まで浸透していく。

▲四月一日御幸

これだよこれ。

オープニングアクトなんて名目は関係ねぇ、トリカブトが全部喰ってやるぜ?

そんな気持ちが伝わってくるのだ。

ちなみに私は拳ヘドバンのやり方が分からないので、見てるだけで感心してしまう。

すげぇ…


そこから二曲目「帝国の鬱」になだれ込み、手拍子、手扇子とオーディエンスが揺れ動く。

堂々と演奏に徹する楽器隊の中、のたうち回るように狂い暴れ叫び歌う御幸の姿、このコントラストがトリカブトの面白い所なのかもしれない。

だがアグレッシブに攻め立てる中、MCで御幸から突如明かされた素敵なエピソードをご紹介しよう。

なんとギターの八坂詩音が少年の頃から大好きだった“とあるバンド”と本日対バンする事が出来たのだと。一つの大きな夢が叶ったのだと。

▲八坂詩音

拍手で包まれる会場。

うーん、さっきまで毒々しいライヴをやってたのにさ、突然こんな素敵エピソードぶっ込んでほっこりさせてくるなんてずるいぜトリカブト。

しかもギターの八坂詩音めちゃくちゃ若そうだし端正な顔立ちしてる。

トリカブトって名前だけあってルックスの面でも中毒性を高めちゃってくれてるな。

これだから面白いんだよヴィジュアル系って……

すいません、脱線しそうなのでライヴレポートに戻ります。

「踊り狂って参りましょう!」の言葉と共に御幸とファンが扇子を翳し踊り舞う「紋白蝶」。

そこから「鋭利な彼女はエイリアン」ではついに御幸の激しいステージングに耐えられなかったのか狐のお面が吹っ飛んでいった。

良いね、ロックしてる。

▲神楽いく

ラストの「紅傘」ではオリエンタルで壮大な音に包まれたかと思いきや、とんでもないスピードでドラムの神楽いくがビートを刻む。あまりにも激しい。

▲慾骸美弥

そしてクールに決めていたベーシストの慾骸美弥(よくがい みや)も大胆に手拍子で体を振り乱し始めた。この男もまた美しいルックスをしている。

私がもし最前列で見ていたら恋に落ちてしまうかもしれない。

まぁとにかく、ラストを飾る激しい楽曲にモッシュの渦も一際大きく蠢き始め、ついにはドリンクカウンター前でじっと見てた人も手を挙げだしたのだ。


グッジョブである。

オープニングアクトとは言え、まるで暴風雨のように攻め攻めなライヴを見せつけたトリカブト。

この先彼らがどのようにシーンを席巻してくれるのか期待したい。

ちなみに、最後ステージから捌ける際に御幸がこう叫んだのだ。

「キマイラ始めるぞぉぉぉお!」

これがかなりグッときた。

自らの出番を終えたが、KHIMAIRAの本番はこれからだ、おまえら最後まで楽しんでいけよ。

そう高らかに宣言したのだ。

四月一日御幸(わたぬきみゆき)、粋な男である。

というわけで初めてトリカブトを観させていただいたのだが、和テイストを全面に出しつつも激しさに特化し、尚且つダンサブルに踊れる楽曲達はR指定、ダウト、己龍を彷彿とさせる匂いも感じた。

次観た時にどんな進化をしてるのか、大いに期待デス。

KAKUMAY



続いてはKAKUMAY。

なんとも大胆不敵なバンド名。

どんな意図で付けられたのかは定かではないが、このシーンに大きな革命を起こしてやるよ、そんな熱い想いがあると私は受け止めた。

SEが鳴り響き、トリカブトが作った会場の空気を塗りつぶすかのように意気揚々とメンバーが登場。

初っ端から驚いたのが、なんとギターのアザミの顔が真っ黒なのである。

私が知る限りアザミは華やかなステージングとルックスでファンを魅了している存在。

薄々感じてはいたが、この男は相当尖った精神性を持っているのだろう。

▲アザミ

そして最後は主役様のお出ましだと言わんばかりにボーカルの真虎が両手を広げ登場し一曲目の「IDOL」がスタート。

タイトルは可愛らしいのに真虎は「全員殺せー!」と叫んだ。


おいおいあまりに物騒じゃねぇか、でもそんだけ言うなら是非とも殺してくれよな、と私も興奮してきた。

ど頭からモッシュが巻き起こり、真虎はマイクスタンドを掲げてお立ち台から見下ろしている。

アイドルどころかロックスターの貫禄出ちゃってるじゃん。

うーん、いいね、かっこいいぜ。

▲真虎

「BITE」ではヘドバンの風を巻き起こし、サビでは「キミを愛愛愛 捕食したい」と心地よい言葉が羅列され、キャッチーなメロディに会場が支配されていく。

気付いたら私の体も揺れ動いていたからね。

やばい、ちょっと捕食されちゃったかもしれない。

そして印象的なマーチングドラムが会場を先導し「噛み跡」へ。

Aメロで一瞬静かな空気にさせてファンは大きく手拍子、その後ろでは微かに流れる幻想的な音色、なんだかとてもお洒落だ。

かと思えば「噛み跡をつけて!」と何度もシャウトし色気満載のラップまでかましちゃう真虎に翻弄される。

だが、実はこの曲の一番の肝はベースのゆいと。の奏でるダンサブルなフレーズであろう。

悲痛な歌詞で紡がれた世界に相反して心地良いベースがとてつもなく癖になるのだ。

▲ゆいと。

続いて間髪入れずに「共依存」へ。

この曲は展開がとんでもなく、一曲の中でリズムもテンポもガンガン変わっていく。

それでも負けじとファンは激しく食らいつき、まさにバンドと共依存しているよう。

巧みに飴と鞭を使い分ける真虎の煽りを見て、私の勝手な憶測で物を言わせてもらう。

真虎はきっとプレイボーイ、もしくは女泣かせ。

でもだからこそ抜け出せない、また飽きずに求めてしまう。

もちろん真虎もアナタを執拗に求めてるのだ。

あぁ、これぞ共依存…

▲晴

更に「五月蝿い」や「SICK‘S」を畳み掛け会場を散々掻き回してから最後の曲「私を不幸にしたお前をぶっ殺す」へ。

タイトルを見てギョッとした。

なんて恐ろしい事を言うんだと。

しかしいざ始まったのはあまりにも切なく美しい曲だった。

きっと真虎という人間は沢山の痛みを背負って生きているのだろう。

その痛みを背負いステージで喜怒哀楽を激しく表現する事で自身を矢面に立たせ、その姿に共感と共鳴を生んでいるのではないだろうか。

それにしてもさんざん派手に暴れ散らかしといて、最後にこんな曲を浴びせてくるなんて、ニクイ。

青く輝く照明の中で歌い演奏するメンバーのシルエットは人々の人生を切なくも美しく彩っているようだった。

僕が君を壊した
僕が君を不幸にした

そんな言葉を残し、激情にアウトロが奏でられてる最中にステージの幕は閉まっていった。

幕が締まっても鳴り止まないオーディエンスの拍手とメンバーコールも印象的だった。


完全にライヴが終わり、場内に明かりがつくとファンが物販席に集まってチェキを買っている。

その姿を見て、なんだか私は幸せな気持ちになってしまった。

改めてちゃんとライヴを観て思ったのは、
KAKUMAYの歌詞と楽曲には“夜の匂い”がした。

ハードなテイストの中にも、常にクラブやディスコ(古い?)にいる様な感覚に陥っていくような。

ライヴハウス、クラブ、ディスコ、いつかやってくる宴の終わり、それでも今は何もかも忘れてこの夜に酔っていたい。

大丈夫、この夜だけは俺がそばにいるから。

そう言ってくれている気がするのだ。

KAKUMAYがこの先もっともっと沢山の人々の人生に寄り添ってくれるバンドになるのを期待しています。

CHAQLA.



転換中から場内にはEAST ENDのような楽曲が流れている。

若いのに転換BGMでこの年代の楽曲をセレクトするなんてやるやんと思っていたのだが、よく聞くと「チャクラチャクラー」と声が入ってる。

センス良いな……

感心してしまった。

そう、既にライヴがスタートする前からCHAQLA.のエンタメは始まっているのだ。

いざ場内が暗転して幕が開くと映画「未知との遭遇」を彷彿とさせる雰囲気が。

薄暗い照明の中で電飾が沢山灯ったドラム台が煌々と輝いていてもはやUFOに見えてきた。

一体これからどんな奴らが現れるんだ…とドキドキさせられたかと思えば激しいブレイクビーツが流れ始め、ファンの気合いの入ったコールに迎えられ超個性的なメンバーが登場。

そして最後は「開眼なさい」の声と共にANNIE Aがゆらりゆらりと会場を見渡しながら現れ「Liberation-369」が始まる。


「ようこそチャクラでございます!」なんて敬語を使って自己紹介するANNIE Aだが、その禍々しいヴィジュアルと立ち振る舞いに大物のオーラが出ちゃってるのだ。

▲ANNIE A

ラウドに突き進む楽曲だが、ファンのノリがヒップホップよろしくな手を掲げるスタイル。

かと思えばまるでレゲエのように展開していく楽曲はまさにハイブリッドミクスチャーミュージック。

本来この手の音楽性を取り入れても中々ヴィジュアル系というジャンルに落とし込むのはハードルが高いはずなのだが、見事にモノにしてしまってるセンスに脱帽。

そしてサビに入ると今度はメジャーコード全開の軽快なスカノリも披露。

こいつら…ヤバいかも。

ANNIE Aの「最高にかっこいいベースソロ!」と紹介を受け鷹乃助がゴリゴリにベースを弾き倒す。

CHAQLA.は単なる話題性に留まらず、完全に実力派バンドだと言うことを知らしめた。

「未知への旅路」ではハイスピードなパンクモードへ突入。

メンバー全員がとにかく叫ぶ叫ぶ叫ぶ。

本日一番の折り畳み人口率でオーディエンスも大暴れ。

サビではまたもやメジャーコードな展開で洋楽パンクの代表格であるSum 41やオフスプリングをも彷彿とさせる。

▲kai

▲鷹乃助

▲Bikky

熱い。

MCでは今回KHIMAIRAが3DAYSを見事にSOLD OUTさせた事を喜び称えるANNIE A。

KHIMAIRA発足当初からこのイベントを共に創り上げてきたCHAQLA.としては感慨深い想いがあるに違いない。

ここからは更にCHAQLA.が本領発揮する事となる。

ANNIE Aが「ラップがしたいな!」と叫びBikkyによる力強いリズムから始まったのは……なんとフリースタイル。

こいつらどこまで音楽で遊ぶ気なんだよ。

めちゃくちゃアガるじゃねーか。

ANNIE Aが燃えたぎる熱い気持ちで会場をアジテーションしてなだれ込んだ次曲は「SINK SPIDER」。

ど頭からとんでもなく重いニューメタルノリはまるでLimp Bizkit!

さっきから大物洋楽バンドに例えてばかりで申し訳ないが、これが私の率直な感想なので許してほしい。

例に挙げた洋楽バンド達は凄まじいカッコ良さとインパクトで全世界の音楽ファンを熱狂させてきたのだが、それらのバンドを彷彿とさせるCHAQLA.に拍手を送りたい。

もう!ビール持ってきてくれ!!

ニューメタル、パンク、レゲエを取り入れたハイブリットヴィジュアル系ロックバンドCHAQLA.。

驚く程に多彩なバンドである。

そしてどこからかスクラッチ音が鳴ってるなと思ったらANNIE Aが喉で鳴らしていたのだった。

もう!ウイスキー持ってきてくれ!

続いて「月の天使」ではさっきまでとは打って変わってコスモチックな80年代ノリを披露。

これはやられたなー。個人的に凄く好みです。

ベースの鷹乃助がシンセサイザーを引き倒し、
ドラムのBikkyは立ちながらビートを刻み、kaiが奏でるギターソロはまるでベンチャーズ(また洋楽例え!)。

私の中でこいつら本当は50代なんじゃないか説が浮上してきた。

そんなコスモチックな曲調にファンは横揺れで手拍子を刻み、まるで心地よい無重力空間を揺蕩う宇宙旅行のよう。

続く「イエス」ではまたもや大狂乱パーティー。


ANNIE Aと鷹乃助が頭突きの勢いで顔と顔を近付け合わせる様はブレイキングダウンのワンシーンかと思ったね。

「PLAY BACK!!」では「楽屋にいるメリーさん、そして他の奴ら!KHIMAIRAを見せつけてやろうぜ!」

とイベントを鼓舞するナイスな一幕も。

ラスト「蛍の光(レゲエからのパンク)」ではファンと共に大合唱。

さっき宇宙に飛ばされたと思ったら今度は湘南に連れてこられたのか?

もはや沖縄??

うん、ここが池袋じゃない事だけは確かだぜ。

ひたすらにハードボイルドなリズムを叩きこなすBikkyのテクニックは目を見張るものがある。

サビではイベントの主催者、山内秀一に向けて「山内さんLOVE!」と叫ぶANNIE A。

なるほどね、イベントに携わってる人間全てを幸せにしたいんだな。

その気持ちめちゃくちゃわかるぜ。

最後は蛍の光のメロディに合わせて全員でウォーウォーウォー。

思わず私も手を挙げそうになった。

いや、挙げてたかも。

こうして盛大にKHIMAIRAをぐちゃぐちゃに掻き回してCHAQLA.は颯爽とステージから降りていった。


改めてCHAQLA.のライヴを観て思ったのは、彼らはヴィジュアルシーンに大きなリスペクトを持っているという事。

だからこそ王道とはひと味もふた味も違う角度から攻め続けているのだろう。

本来ヴィジュアル系というジャンルに挑む魂の根底には、他の誰とも被りたくない自分独自のカラーを押し出したいんだ!という想いが必要不可欠なはず。

しかし流行を意識したり商業的成功を求めているうちに自然と量産型(と捉えられてしまう)のような替えが利いてしまうバンドカラーに陥ってしまう現実も少なくない。

そんな中でもCHAQLA.は他の誰にも真似出来ないアートを追求し、尚且つ触れた人全員を狂喜乱舞させてやるんだという野心がドバドバ溢れ出ているのだ。

その姿こそが本当の意味での”王道ヴィジュアル系”と言えるのではないか。

こういった話をメンバーと直接したわけではないが、私にはCHAQLA.から熱いヴィジュアル魂を感じた。

これからも”王道ヴィジュアル系バンドCHAQLA.”の予測不可能な進化を楽しみにしています。

あ、私事で恐縮なのですが、そんなCHAQLA.が7月18日に渋谷club asiaで行う主催イベントにRAZORも出演させていただきます。

負けじと大暴れしたい所存デス。

メリー



いよいよスペシャルゲスト、メリーの登場だ。

2001年、音楽シーンに彗星の如く現れた超前衛的バンド。

様々な伝説を作り上げては数多くのフォロワーを生み出してきたメリー。

私もチケットを買ってメリーのライヴに幾度となく足を運ばせてもらった身だ。

そんなメリーが若手を押し上げる登竜門的イベントのKHIMAIRAに出演するなんて…と驚いた人も多いのではないだろうか?

私もその一人だ。

でも冷静に考えるとそれでこそメリーなのではないかと。

だって彼らはこれまでも道無き道を切り開いて突き進んできたのだから。

固定概念もへったくれもない。

活きのいい若手バンドがいるならバチバチに喧嘩するぜ、まだまだ負けないぜ。

そんな熱い想いもたぎらせて活動を続けてるはずだ。

メリーのライヴ開始直前、客席にはトリカブトのギター八坂詩音の姿も。

彼の夢が叶う瞬間に立ち会えたのも嬉しい。

いざ場内が暗転してファンがタオルを掲げメリーの登場を出迎えた。

そこから始まった一曲目「陽の当たらない場所」は初期からの代表曲だ。

戦車のような爆音の演奏の中でマイクスタンドを掲げガラが歌い出したのだが、声の圧が段違いに強い。

ファンも負けじと声を出し応えている。

▲ガラ

メリーは今も尖り続けている事が一曲目にして証明された。

続く「絶望」ではガラが「スペシャルゲストだからスペシャルに暴れろよ! 」と煽る。

うーん、自らをスペシャルゲストだと言い放つって猛烈にかっこいいなぁ。

一心不乱に暴れ回るガラの後ろでは立ち上がりながらも爆撃音のように凄まじいドラムを叩き刻むネロの姿。

▲ネロ

ハードコアパンクさながらに大人気なく暴れ祭るメリーは沢山の後輩に慕われる最高にイケてる不良の先輩のよう。

三曲目「Midnight Shangrila」ではガラが常軌を逸した痙攣パフォーマンスに興じ歌い回る。


このガラにしか表現出来ない痙攣ボーカリゼーションには私も大きく影響を受けたものだ。

そしてテツの骨太なベース音が会場を支配している最中、服を脱ぎ捨て天井にぶら下がるガラ。

キタコレ。

やっぱりメリーはこうでなくっちゃ。

▲テツ

このキ〇ガイ狂気エンターテインメントはメリーでしか得られない高揚感だ。

たまらない…

▲結生

そして結生とテツによる「イェーイェーイェー!」の絶叫コーラスはまるでイカれたサーフミュージック。

こんなの理屈抜きに楽しくなっちゃうに決まってる。

そしてそんな空気を一変させるかのようにガラの悲痛な歌から「スターチス」へ。

シャツをはだけさせて歌うガラの出で立ちはまさに孤高のロックシンガー。

降り続く雨、降り続く愛。

長年培ってきたキャリアが織り成すブルージーなロックにとことん陶酔させられる。

そこから激情の愛欲ナンバー「溺愛の水槽」へ。

”泳ぎ回る水槽の中”という歌詞とともにまるで壊れたマリオネットのように一心不乱に踊り狂うガラはもはや人間という概念を超越している。

だが、それすらも美しく、あたかも映画を観ているような気持ちにさせられるのだ。

ずっとずっと観ていたい。

MCではKHIMAIRAに呼ばれた事への感謝を述べつつも、波乱に満ちた大胆な言葉を投げかけてくれた。

ガラ「活きのいいバンドが沢山集まってるからさ、おじさんも頑張っちゃってます。」

いやいや、この日一番イキきってるのは間違いなくアナタです…

更に爆弾発言は続く。

「でもね、楽屋を見渡したら俺が一番イケメンでした!まだまだ若い奴らに簡単にバトンなんか渡しゃしねえよ!」

この言葉には客席だけじゃなく関係者席までもが大きく沸いた。

とことん大人気の無さをぶちかますガラは間違いなくこの日一番イケメンだった。

たまんねーな。

その後の「The Last Scene」で「誰にも奪えないよ!」と歌うガラの言葉が強く突き刺さる。

そう、メリーの立ち位置は誰にも奪えるものじゃない。メリーがメリーで在り続ける限り。

今を生きてください。
皆いつか消えてしまう。
永遠なんてないから。

マイクレスで歌うガラ。

生き続けてくれてありがとうメリー。

そしてここからまたもやキラーチューンの「ロストジェネレーション-replay-」が畳み掛けられる…はずだったのだが…?

なんと曲の冒頭でガラは後ろを向いて演奏をストップさせた。

何かハプニングでも起きたのだろうか??

しかしそんな心配をよそに客席を煽り始めるガラ。

「おいおいなんだよそりゃ、生きてる?おい生きてる?活きのいいバンドってのいうのはおまえらのこともそうなんじゃねぇの?おまえらがこれからこのKHIMAIRAで時代創ってくんじゃないの?そんなんじゃ戦えないって!俺らがいる此処ってそんな甘くねぇんだよ。簡単にバトンなんて渡さねぇんだよ。わかってるか?これぞメリーってやつをぶち込んでやるよ!」

そうか、メリーはステージに立つ者だけじゃなくオーディエンス含め会場にいる全員とぶつかり合いに来たんだ。

そうだよな、ファンも含めてバンドなんだよな。

改めてそれを気付かされた。

そこからなんとまさかの「ジャパニーズモダニスト」に突入!

半端ないってば。


ガラもついに上裸になり、今日ここまでで一番の一体感を生み出したが、ついに終わりの時間がやってきてしまった。

ラストに放たれた曲は「梟」。

私の勝手な解釈で話をさせてもらうが、長く活動してきたメリーの中でも、この曲は一つのターニングポイントになっている気がするのだ。

発売当初、この曲は様々なテレビ番組のタイアップにもなった。

そこに至るまでも偉大な歴史を積み重ねてきたバンドだが、「梟」で新たにメリーを知った人も多かったのではないだろうか。

間違いなくこの曲には大きな力が宿ってる。

楽曲、歌詞、哀愁、情熱、それら全てがメリーでしか成立し得ない魅力で溢れてる。

だからKHIMAIRAという若手バンドが多く出演するイベントでこの曲を最後に持ってきたメリーからは

”俺らはもっともっと突き進んで行くから期待しててくれ”

そんな想いを勝手に受け止めて胸が熱くなってしまった。

「これがメリーだ!よく見とけ!」

ガラがそう叫び、最後は倒立をキメ客席から盛大な拍手と歓声に包まれライヴは終了。


池袋EDGEにメリーが大きく刻まれた瞬間を目撃出来たのはとても光栄な時間だった。

またこういう若手に容赦ないバチバチのメリーが観たいし、私自身もまたメリーと共演出来る日を楽しみにしています。

Azavana



いよいよKHIMAIRAも残すバンドはAzavanaのみとなった。

Azavanaはまだ結成して一年も満たないが、メンバー全員が様々な歴史を背負っている。

言うなれば大きな試練を乗り越えた猛者達が集まった脅威の新人バンドなのだ。

トリにも関わらず会場は満員のままだ。

むしろ開演時に比べ更に増えているのではないか?

今このシーンで如何にAzavanaが注目されているかがハッキリと示されている。

そして場内が暗転した瞬間に怒号のようなメンバーコールが池袋EDGEを埋め尽くす。

デカイなんてものではない。

異様とも言える程だ。

そんな中壮大なSEに包まれゆっくりとメンバーが登場し、そのままAzavanaの最新ナンバー「Hysteria」へ。

遼の甘くドロついた歌声はまさにヒステリア。

まだ発表されたばかりの楽曲にも関わらずサビの一体感がとてつもない事に。


一曲目にして会場内全ての人間がAzavanaのファンなのではないか?

そう思える程に池袋EDGEの隅から隅まで揺れている。

続く「微熱と過呼吸」では凄まじくハードな曲展開に見渡す限りヘドバンの嵐、嵐、嵐。

しかし激しさとは裏腹にサビでは遼の高い歌唱力が冴え渡り歌謡曲のような心地良さすら感じてしまう。

立て続けにハードにファンの腰を折り頭を振らせる「愛怨」。

あまりにも容赦ない攻めのスタンスに呆気に取られそうだが、このバンドの恐ろしいポイントはメンバー全員が縦横無尽に所狭しと暴れ回り、客席ギリギリまで身を乗り出す始末。

このままじゃ楽器が最前列のファンに当たってしまうんじゃないか?と余計な心配をしてしまう程だ。


しかしこれまた困った問題が。

Azavanaはメンバー全員のヴィジュアルがとにかく美しいのである。

メンバー全員美しいにも関わらず怪我するんじゃないかってぐらい危険行為(言い方)レベルで暴れ回る。

あぁ、このバンド、相当罪深いぜ。

皆さんご存知の通りヴィジュアル系のライヴは暴れても良し、メンバーの美しい姿に酔いしれるのも良し。

まさにAzavanaがうってつけなのである。

激しくも美しい世界に溺れたい人には是非ともAzavanaに触れてみてほしい。

ちなみに演奏力、歌唱力の高さは言わずもがな。

文句無しにハイレベルです。

なんか、もはやライヴレポートと言うよりAzavanaのプレゼンになってる?

いやでも本当にまだAzavanaを知らない人がいたらこれを機に注目してみてほしい。

私の言ってる事を理解してもらえるはずだ。

さぁ話をライヴレポートに戻そう。

四曲目の「ノイズ」では凄まじいモッシュの嵐が巻き起こったが、まだまだ物足りないのか「おまえら口開けろ!」と鬼畜な煽りでファンに叫ばせ続ける遼。

これはもう煽りという言葉は適切じゃないかもしれない。

調教

こっちの言葉が相応しいだろう。

▲遼

そしてそんなサディスティック且つ妖艶な調教大会から一変して「Morphine」では重苦しい世界に誘われ、会場は深く深く微睡み、毒されていく。

続く「ホオズキ」では重々しくもダンサブルなリズムが刻まれファンも楽しそうに飛び跳ねる。

しかし遼の紡ぐ言葉で描かれる世界は決して幸せではなく人を信じきれない哀しきストーリー。

ファンが熱く盛り上がれば盛り上がる程に、このライヴ空間の刹那に胸が締め付けられそうになる。

▲諒平

▲詩結

Azavanaのライヴを通して、これまで私の人生も色々あったな、なんて考えさせられてしまった。

でもこれは決してネガティブな意味合いではなく、人生すらも考えさせられるライヴをしてくれるバンドを私は”本物”だと思っている。

喜怒哀楽、その表現に嘘が無いバンドは人を惹きつける。

現にこれだけ沢山の人達がAzavanaに注目している理由は、ただ美しくカッコイイだけじゃなく、人々の苦しみや葛藤を音楽に乗せて浄化、そして昇華してくれるからではないだろうか?

そう思うと、先程述べた”調教”の言葉の意味もより強くなってくる。

痛みや悲しみに寄り添いつつも、それでもそこから這い上がって少しでも前を向いて生きるしかないんだよ。

だからおまえら、俺達に付いてこい。

そう言ってくれてる気がするのだ。

さぁAzavanaのライヴも終盤戦に突入し、「飢えた球体」へ。

▲Яyu

つんざくような遼のシャウトが鳴り響くも

”息苦しいこんな世の中だけど、命ある限り歩いていくしかないんだ”

そんなメッセージが込められている気がした。

いよいよ宴も終わりの時間が訪れ、ラストに選ばれた曲は1st SINGLEでもある「灰色の海を泳ぐホタル」。

これぞAzavanaといった魅力が詰まった曲だが、音源とライヴでは全く違う印象を受けた。

ハイレベルな楽器隊の繊細さはライヴでも美しく再現されているのだが、サビになった瞬間ファンが叫びながら飛び続けてるのだ。

この手のリズムでファンが飛び跳ねる光景は幾度なく観てきたのだが、それに加えて叫び声まで轟かせている。

この瞬間、Azavanaのライヴはヴィジュアル系の様式美を貫いてるだけでなく、骨太なロックバンドとして進化しているのだと思い知らされた。


正直この光景には鳥肌が立った。

ファンも貪欲にAzavanaメンバーと共に強く成長しているのだ。

うん。

このメンバーにこの楽曲、そしてこの熱きファン達がいるならば、Azavanaはこの先間違いなく灰色の海から羽ばたいていく事だろう。

そしてあの空で大きな命の花を咲かせるのだろう。

絶対に、絶対にいける。

期待しかない。

そして「灰色の海を泳ぐホタル」を終えて遼、諒平、Яyu、詩結が深々とお辞儀をしてステージから去っていった。

最後にS1TKだけがステージに残り一心不乱にドラムを叩きファンが拳を突き上げる。

▲S1TK

そして大きな拍手に包まれながらS1TKもステージを降りてAzavana、そしてKHIMAIRAのライヴが終幕した。

さて、とんでもない長さになってしまったライヴレポートですが、楽しんでいただけたましたでしょうか?

要点を纏めてバンドの良さを伝えるのが一番良いのかなと悩んだりもしたのですが、各バンドの魅力や意志を余すことなく届けようとしたら、とんでもない文字数になってしまいました。

今回このような機会をくれたVISUNAVI Japanの山内秀一さんには心から感謝を伝えたいです。

ありがとうございました。

そしてKHIMAIRAというイベントを通して沢山のバンドのライヴを観れた事は自分にとって大きな刺激となりました。

いつか私もこのようなイベントに呼んでもらえるように精進したいと思います。

今後もKHIMAIRAの更なる飛躍を願っています。

最後まで読んでくれてありがとうございました。



Text:RAZOR 猟牙
Photo:AyamiKawashima


KHIMAIRA-the beautiful scum-
2025年9 月23日(火・祝)
OPEN 15:15 / START 16:00
恵比寿リキッドルーム

【出演】
Verde/(SPECIAL GUEST) / mitsu(SPECIAL GUEST)
Azavana / KAKUMAY / CHAQLA. / MAMA. / まみれた

前売り ¥6,000(税込) / 未成年(18歳未満)¥500(税込) オールスタンディング ※入場時ドリンク代別途必要 
▼2次プレオーダー受付 7/6(日) 23:59まで
【受付URL】https://eplus.jp/sf/detail/4166030001
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・枚数制限:お一人様4枚まで
・未就学児入場不可・営利目的の転売禁止
・複数購入の場合の同行者登録は不要
・公式リセールは不実施。分配可

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