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【MAMA.】9月30日初ホールワンマンに向けて“第二期MAMA.”を解剖する対談企画スタート!第一弾は命依(Vo)&JiMYY(Gt) vs 櫻井有紀を敢行!


個性どうこうよりとにかく底抜けに歌が上手くないと成立しないところに身を置かざるを得なかった



────さっき話してた浮世離れとリアリティのバランスを体現しているのは実はソロのaRaiseなんじゃないかって思うところはありますよね。Raphaelとriceも素晴らしいんだけど、aRaiseがパズルを完成させた感はたしかに強くて。

YUKI:Raphaelの時って“この言い回し絶対こっちのワードチョイスの方がいいよなぁ”と思うことも多かったの。でもRaphaelのヴォーカルって華月の思考思想をそのまま具現化するためのスピーカーだから、それはそれでよかったんですよ。思春期に出会って、結果的に数年しか一緒にいられなかったし。でも、自分の想いとは異なることもあったりはしたんだよね。その反動っていうのは今も強いかもしれないですね。ソロになった以上は僕の言い回しだけで成立するので、気をつけて心にブレーキをかけねばと葛藤する作品もありますし、逆にブレーキをかけずにガス欠になるまで突き抜けようって振り切り方もする。歌詞の言い回しに関してはそういうところがありますね。

────ヴォーカリストとして、華月さんの歌詞とご自身の歌詞では歌うモードにも影響しますか?

YUKI:あ、全然違う。だから、僕にとっては白塗りが結構救いなんです。あれはRaphaelのヴォーカリストになれるスイッチなんですよ。もちろんソロで白塗りをしないでRaphaelの曲を歌うこともあるんだけど、その時も結局は華月のメッセージの代弁者なんですよね。あと、音楽的な部分で言っても、ギタリストが書いたメロディーにギタリストが乗せた歌詞なのであまり融和性もないんです。そういう意味でもシビアに歌唱技術が問われるのがRaphaelの音楽。ライヴ中も歌唱を一番大事にしないと、言葉が前に飛んでいかないし、代弁者としての役目が果たせない。

▲櫻井有紀

────なるほど。華月さんの歌詞を歌うことがYUKIさんのあの圧倒的なヴォーカリゼーションを構築していく要素だったとも解釈できるんですね。

YUKI:そう言っていただけるとめちゃくちゃ嬉しいですね。当たり前の話だと思うんですけど、個性どうこうよりとにかく底抜けに歌が上手くないと成立しないところに身を置かざるを得なかったし、いまだにそういうプレッシャーの中にいる感覚はあります。でも、それをあんまり見せるわけにいかないんですよね。いつまでもRaphaelを亡き友との高尚なメモリアルにして看板を掲げていくと、みんな肩が凝っちゃうので(笑)。だから、いまでも大切だし緊張感があるけど、そのギリギリの狭間でいつも闘ってます。ライヴってエンターテインメントをまずしっかり遵守していかないといけないから。Raphael、rice、aRaiseで歌うための臨み方も異なるし、それこそブレスのタイミングや息継ぎの深さまで変わってくる。

命依:息継ぎの仕方なんてこれまで考えたことなかったです。

YUKI:リハーサルの時に縦ラインで、ヴォーカルのブレスポイントにドラマーのハイハットをオープンにするのかクローズにするのかを必ず確認するのがおススメだよ。オープンするようなハットワークでスピード感とか次のセクションに移行するぜ!みたいな演出するほうが緊迫感を出せるのか、それを1、2、3、4の4部分で深めに吸って、ハイハットのオープン代わりにブレスでそれを表現するのかで全然聴こえ方が変わってくるから。お互いのパートの聴こえ方が変わってくると余計にメンバーのことを好きになれるし、それは正規メンバーとかサポートメンバーとかは関係ないから。その日一緒にグルーヴを作り出すメンバーのことをより愛せるようになると、MAMA.の中に宿る愛やメッセージ性がもっと色濃く伝わってくると思うんだよね。

JiMYY:勉強になります。

YUKI:ヴォーカルのブレスの深さや濃さみたいなのはバンド全体ですごく意識した方が良いと思うよ。JiMYYもそこでギターをジャーンってやればギター単体ではカッコいいかもしれないけど、場合によって命依ちゃんが深く息を吸ってるだけの方が緊張感を持てることがあるだろうしね。そういうところをリハで検証していけるとすごい楽しくなるから絶対やってほしい。

命依:ありがとうございます!身体が楽器ってそういうことなんですね。

YUKI:最初は腹の底から声が鳴ることを“身体が楽器”って思っちゃうんだけど、ヴォーカルってやれることがまだまだ意外とあるんだよね。

命依:確かに…勉強になります。

YUKI:僕の場合は一番世の中に自分が認知してもらっているのがRaphaelっていう存在だと思うんだけど、その時には自分がどんなメッセージを伝えたい、綴りたいと思っても、それが許される環境ではなかったから。自分では思ってない歌詞もぶっちゃけいくつもあったんだけど、それでもそれを説得力のあるメッセージとして届けなきゃいけない時に「あ、呼吸も使わないともったいないな」って思った日があったんですよ。バラードだけじゃなくて激しい曲の中でも、そういう一瞬の隙間とかを埋めていくことができるのがヴォーカルの特権だから。

命依:やっぱYUKIさんすごいっす。気がついてるところが違う。

YUKI:瞬きを4拍目にしてカウント取ってる時もあるんだよ(笑)。でもさ、命依ちゃんも多分共感してくれるヴォーカルだと思うんだよね。僕たちって何もしてないと思考が退屈にならない?だからなんか面白そうなことや閃きがあると突き詰めちゃうんだよね。これをおまけみたいに緩やかにやれば一生かけてゆっくり楽しめるのかもしれないけど、早く真理が知りたいから、解明した数週間後とか数年後にはまた退屈してる。

────YUKIさんの退屈を埋める探求はここからどこへ向かっていくと思いますか?

YUKI:やっぱり一番はバンドというスタイルに枯渇してるんです。毎日吐きそうになるぐらいバンドをやりたい。それかなぁ。今もソロで音楽を続けてるんですけど、やっぱりバンドがしたい。MAMA.なんてすでにカッコいいから、ここから絶対もっともっと売れていくと思うけど、勢いで売れ切っちゃう前にしっかり地力を固めたいよね。その方が後が楽だし、強い。そういうバンドだって思ってるからいろいろな考え方や想いはちゃんとシェアしていきたいな。

命依:YUKIさんがベースを始めたのってコロナ禍でしたっけ?

YUKI:そうだね。

命依:僕も一応ギターとベースをちょっとかじってて、ライヴでもギター弾くようになってるんですけど、YUKIさんは楽器をやり出してからリズムの取り方、変わりました?僕は楽器が身体に染み付いてきたてから少し変わった気がしてるんですけど。
YUKI:大きく変わったね。楽器を触ることによって、どの楽器が主体で、この楽曲のこのフレーズはリズムをどう取ってるのか?とか気がつくことが多かった。これまでは僕もそういうことを考えたことがなかったから選択肢が広がった感じ。

命依:僕もハーフのリズムとかヒップホップ寄りのノリの曲が多いんですけど、楽器やってなかったらうまくノレてなかっただろうなっていう感じが最近解ってきました。楽器も暇すぎて退屈だから触るようになったんですけど、やってて良かったなってYUKIさんの話聞いて思いますね。

YUKI:命依ちゃんが今そこに気がついたことが素晴らしいことだと思うよ。やっぱり退屈したくないもんね。お互いに今度は弾き語りで対バンしよっか?

命依:やりましょう!是非お願いします。

JiMYY:YUKIさんはサックスもやってらっしゃいますもんね。

YUKI:暗い話にしたくないんだけど、ガンで喋ることすらできなくなる寸前で引退かなって状況で、再びステージの真ん中に立ち続けるために何ができるかなっていうところからサックスも始めたんだよね。楽器を触れば触るほどそのパートに専念してる人たちの凄さとか尊さみたいなものが感じられるし、簡単そうにやってたけど、実はすごい難しいことだったんだって発見があってからは、舞台の上でもいろいろなパートの音を聴くのがもっと楽しくなった。気がついたらニヤニヤしてる自分がいる(笑)。これまでヴォーカルの声量とかヴォリュームを武器に勝負してきたけど、バンドサウンドとの調和をちゃんと測った方がより歌詞が前に飛ぶんじゃないかと今は思いますね。実際に今の方が歌の抜けが昔より全然良くなってるし。

────JiMYYさんは個人としてもYUKIさんのサポートメンバーとして呼ばれたことがあったじゃないですか?改めて櫻井有紀っていうミュージシャンの横でギターを弾いた経験で印象に残っていることってどんなことありますか?

JiMYY:MAMA.とライヴの作り方の違いですね。MAMA.はバンド以外の音を鳴らすために同期を多く使ってるから、耳の中では基本的にクリックが鳴ってるんですよ。でも、YUKIさんのライヴにはほとんど同期がないからわかりやすくガイドになる基準がないんです。それぞれのメンバーさんとアイコンタクトしてそれぞれの音を聴いて、呼吸を合わせていかないといけない。そうやって演奏する機会がなかったので大きな経験になりました。自分たちってまだまだ知らないことだらけなんだなって痛感したし、気がつけて良かったなって感謝してます。

▲JiMYY

────壁にぶち当たれたんですね。

JiMYY:そうですね。限られたギターしかやってこなかったんだなって気がつかせてもらえました。他人の土俵に堂々と土足で上がっていく覚悟がないと学べないし、力はつかないですよね、やっぱり。

YUKI:普段ずっとクリックを聴いてるんだったら逆に新鮮味に溢れてるし良いことなのかなって思うよ。どっちの環境でもできるように慣れることに意味があるし、たまには気分転換の一つにでもなったらいいなぁって感じでJiMYYを誘ってます。うちは同期なしで、ギター始まりの曲もハットのガイドとかつけないんですよ。そういうところから生まれる信頼関係ってたくさんあると思うし、それがやれるギタリストになればカッコいいじゃないですか。JiMYYの弾くギターの音色もそうですし、パフォーマンス自体もすごく好きなので、これからも縁があれば一緒にアンサンブルを組み立てていけたらいいなと思いますけど、まあ…でも、舞台度胸が一番惚れ込んだ要素ですかね。

JiMYY:ありがとうございます!

YUKI:リハの時は緊張もあったんだろうけど、何時間も一緒にいるのに2回ぐらいしか目合わなくて(笑)。

JiMYY:YUKIさん…そりゃ緊張しますよ(笑)。

YUKI:ずっと下向いてるなぁと思って見守ってたんだけど、いざ本番が始まるとちゃんと目を逸らさないでお客さんに向かってパフォーマンスする度胸があるし、音もちゃんとバーンって飛んでいってるところをセンターで歌いながら横目で見ていて…未来が明るい感じがしたんですよね。バンドが上手くいってどんどん売れていって、渋公とか国際フォーラムとか武道館に行ったとしても、変わらずキラキラした顔でちゃんとギター弾けるだろうなと思いましたね。REXとかEDGEのキャパで遠くまで目線を送れる人って少ないと思うんで、将来性あるなと感じてます。

JiMYY:もったいないです。ありがとうございます。

YUKI:ぎゅっとシンプルな言葉にまとめると“華がある”ってことですよね。その華を育んでいけるといいなぁとも思いますし、そこに一助でも二助でも少しでも僕も貢献できたら名誉なことだなと思います。

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