【MAMA.】9月30日初ホールワンマンに向けて“第二期MAMA.”を解剖する対談企画の第二弾は命依(Vo)&真(Ba) vs mitsu「MAMA.から血脈みたいなものを感じたんですよ。」

9月30日に自身初となるホールワンマン「私の命はあの暗い森に隠れている」を渋谷PLEASURE PLEASUREで開催するMAMA.はそこへ向けてニューアルバムの制作も進行中とのこと。
加速してきたバンドにとっても真価を問われる一作になることは間違いないだろう。
そして“第二期MAMA.”の集大成であり大いなるリスタートに向けて行っている本対談企画は、濃密なアドバイスを授けた櫻井有紀(https://www.visunavi.com/2025-07-04/33199/)に続いて今回はmitsuが登場し、命依&真と考えを交錯させる。
バンドとしての輝かしい実績を上回る勢いで今のmitsuは強烈にギラついているが、その迎合しないスタイルと孤高のミュージシャンシップは命依が纏う闇の気配とは全く異なるようでいて、実のところ親和性が高い。
今年、mitsuの主催ライヴにMAMA.が招かれ、9月23日には「KHIMAIRA-thebeautiful scum-」でも再び相まみえることとなる両者。
急接近した必然性とmitsuが彼らに感じたものを大いに語ってもらった。
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うちのヴォーカルやるな!って
────今年になって急に距離が縮まった感のあるMAMA.とmitsuさんですが、お互いに出会うまではどんな印象抱いてました?
真:当然僕らの世代はν[NEU]を知ってるじゃないですか?だから曲からくるイメージを持っていたんですけど、実際会って話してみたら全然違いましたね。なんだろう…めっちゃパンクな人だなって思います。だし、話も面白いし一瞬で好きになりました。好きになるのって時間とかいらないんだなってmitsuさんと会って思ったかもしれない。
命依:それで言うと僕もν[NEU]が好きでずっと聴いてたんです。1回目の解散ライヴ(2014年)も渋谷公会堂に観に行ってるし、上京する前から好きだったんですけど、特に声なんですよね。
────声?
命依:ハスキーなヴォーカルなのにメロディがある歌をめちゃくちゃ巧く歌うじゃないですか?なんか僕の印象だとパワーがある人はいても、メロディラインをしっかり歌えるハスキーな人ってmitsuさんぐらいじゃないかなって思うんですよね。そこが好き。
真:あ、それすごいわかるわ。
────2014年って命依さんはもうバンドやってました?
命依:地元の新潟でちょろっとやってたけど、それも解散した時期だったと思います。バンドから離れてたし音楽を続けていくかも考えてなかったから、ヴォーカリストとしてって言うよりはシンプルにリスナーとして惹かれてたって方が正しいかもしれないです。
────mitsuさんはMAMA.っていうバンドのこと知ってました?
mitsu:存在自体は知ってました。っていうのも自分がヴィジュアル系を始めた当時に出てたイベントで現Bloomの代表の咲さんにお世話になることがあって。MAMA.になる前のmama.は当時Bloomに所属していたので名前はよく聞いてましたね。でもライヴをちゃんと観たのは今年3月の渋谷WWWXのワンマンなんでだいぶ期間は空いてるんですよね、そう考えると。
────実際かなり後輩にあたるバンドじゃないですか?率直な印象はいかがでした?
mitsu:えーっと、めちゃくちゃよかった。
真:うわぁ。マジっすか。
mitsu:良い悪いで判断することが失礼かなとも思うんですけど、ライヴが良すぎて楽屋の喫煙所で2時間話してたもん(笑)。
────確かに!メンバーよりmitsuさんの方が楽屋にいる時間長かったですよね(笑)。
mitsu:普通あんなことないでしょ(笑)。それぐらい刺さったんですよね。想像の何倍も素晴らしかった。もともと命依くんとは面識があったんですけど、あの日に真くんや他のメンバーとも会話してね。
真:その節はありがとうございました。
mitsu:MAMA.ってメンバーが近寄りがたいオーラを醸し出すじゃないですか?でも、その割に話してみるとみんな良い人間なんですよ。俺はそういうところも好きだな。ν[NEU]の時代は自分たちも含めてバンドにそういう良さがあったから、久々にこういう雰囲気のバンドに会ったなって思いました。
────時系列をつぶさに整理するとmitsuさんの主催ライヴ「みつどもえ」にMAMA.を誘ったのはそのWWWXのワンマンより前ですよね?誘った理由は音楽性でシンクロするなって思ったからですか?
mitsu:いや、もう正直に何も包み隠さず言うと命依くんと一緒にカラオケで歌ったことがあるんですよ。
命依:ヴォーカル会みたいなのが今年あって、そこでmitsuさんに僕から話かけたんです。ν[NEU]の最初の解散ライヴを観に行った話をしようと思って。
mitsu:そうだよね。そのまま話してたら、さすが命依くんは音楽的にもいろいろやってるだけあって、若手の子の話している感覚とはちょっと違ったんですよね。それで意気投合してその場で一緒にカラオケを歌ったんです。そしたら、さっき命依くんが言ってくれたように、俺は俺で、命依くんの声がハスキーで…俺とすごい似てるなって思う瞬間が多かった。それでいて歌がめちゃくちゃ巧かった。
────mitsuさんが人の歌を褒めるってなかなかですよね。
mitsu:その場で10曲ぐらいひたすら歌いましたもん(笑)。
真:すげえ、ヴォーカル会なのに(笑)。
────mitsuさん的には途中で消したくなるカラオケではなかったと。
mitsu:あははは!!
命依:mitsuさん下手なカラオケは途中で消すって有名ですからね(笑)。
真:パンクっすねぇ(笑)。
mitsu:若くてヤバかったときの話ね(笑)。命依くんお酒もガンガン飲むし、歌も巧いし音楽的にも真面目なのが伝わったので、その場で「みつどもえ」に誘ったんです。
命依:そうです。そうです。
mitsu:彼がどんな人間か解った時点で、そんな命依くんが命賭けてやってるバンドなら間違いないなと思ってMAMA.を主催ライヴに呼ばせてもらいました。テキトーなバンドやってるわけないよなって。俺は自分が一番年下のバンドやってきたこともあって、後輩との付き合いがほとんどないからMAMA.は稀有な存在なんです。
真:命依はとっつきにくいから話かけづらさめっちゃあるじゃないですか?でも、最近思うんですけど、ちゃんと見てくれる先輩には気に入られやすいんですよ。僕ら世代がずっと見てきたmitsuさんに命依が届いてるのも嬉しかったし、おおー!うちのヴォーカルやるな!って感じで嬉しいです。
命依:「みつどもえ」もすごい良いイベントでした。
mitsu:あんなに喫煙率の高いイベントもないよね(笑)。
真:それもそうですね(笑)。
命依:mitsuさんと3470.monのステージから自分たち目当てじゃないお客さんへの届け方も勉強になりましたね。もっと経験がない頃はお客さんにキレてしまったり、そういうライヴしかできない自分に悩んでる時期が結構あったんですよ。

▲命依
mitsu:へー、命依くんにもそんな時期あったんだ。俺もあったよ!一緒だね。
命依:昔はそれしかやり方を知らなかったんですよ、ライヴのぶつけ方が。もちろん今はそんなことないんですけど、mitsuさんのライヴはとにかくお客さんを大事にしてるなって思ってそこは刺激受けました。
────私も同感で。mitsuさんとご飯とか食べてても、節々からファンの方を大切にしてるのがすごい伝わるんですよね。導火線に火をつけちゃいけないタイプの超パンク男なのに(笑)。ファンの方への愛情がとても深い。
命依:どうやったら伝わるかの壁を越えてきた人なんだなってことを感じて、僕もmitsuさんのお陰でちょっと変わった気がします。
mitsu:あの日はトッパーがMAMA.だったんですけど、命依くんがシーンに対する想いとか強烈なパンチラインをぶつけてくれたおかげで、俺もそれにアンサーするライヴができたんだよね。俺の主催だけど、MAMA.と3470.monも共同主催なんじゃないかってくらいアツい想いが繋がっていった。MAMA.から血脈みたいなものを感じたんですよ。
────血脈?
mitsu:俺はあんまり先輩後輩って考え方したくないんですけど、真くんが言ってくれたようにν[NEU]とか俺らの世代ってメジャーシーンに出て次世代に多少の影響を与えてこれたとは思うんですよ。そういう影響を受けてこうやってバンドを始めてくれた人たちが想いも受け継いでくれてるのが嬉しいんですよね。MAMA.を見てまたそれを受け継いでくれる人もきっと出てくるでしょうしね。
────影響を与えた側として感じる部分もあったんですね。
mitsu:ぶっちゃけると、影響を受けたとは言ってくれてもその想いがライヴに反映されてるかも大事だから!
────なるほど!そこは厳しいmitsuが出てくるんですね(笑)。
mitsu: MAMA.はそういう意味ではちゃんとやってるなと思いますよ。超良い意味で言ってます。

▲mitsu
命依:バンドでオリジナル曲を作るっていうことがまず夢を一つ叶えてることだと思うんですけど、その次に何ができるかって?ちょっと前までは分からなかったんです。でも、多分mitsuさんが言ってたみたいに次の世代へ受け継ぐことをいずれしなきゃいけないんだろうな。
────先輩との対バンが異様に多いから考え方が熟してる感じはありますよね。
mitsu:確かに。でも、命依くんは気にせずで良いと思うよ。ν[NEU]だって後輩に繋ごうと思ってやってたわけじゃないし、一つ一つ夢を叶えていく姿が勝手に次の世代の方にキャッチしてもらえただけだから。だからMAMA.はMAMA.の夢を叶えていけばそれで良いと思うな。