【deadman】ライヴレポート<TOUR 2025「to be and not to be-cyan blue-」>2025年7月21日(月・祝)SHIBUIYA DIVE

また曲ごとに動きを変え、時に軽やかなステップを踏んでみせる眞呼は、メイクの禍々しさとは関係なく、なんだかキュートにさえ見える。
年齢や性別を考えれば相応しくない形容詞だが、そんな言葉が出てくる理由を突き詰めてみれば、楽しそう、というシンプルな答えに行き着くのだ。
メンバーが皆楽しそうでフロアの観客も皆楽しそう。猛烈にヘヴィ「宿主」でさえ、はっきりと楽しい。

そこからが圧巻だった。手拍子が自然に湧き起こる「the dead come walking」、コール&レスポンスもすっかり見慣れたうえ、aieが客席に身を乗り出してアドリブを魅せまくる「零」はハイライトのひとつ。
そこから間髪入れずに始まる高速ナンバーは新作EPからの「黒い耳鳴り」である。祝祭からの急加速が血を沸騰させる。
はっきりと聞き取れる歌詞は〈あなたを愛してる〉。まさに生の喜びが、この場所で気持ちを交わせる嬉しさが爆発していた。
おそらく、ここまでポジティヴなdeadmanは25年間で初めてではないか。
過去の代表曲で狂い咲く後半戦を経て、事実上の本編ラストは新曲の「鱗翅目はシアンブルー」。
メランコリックなラブソングと書いてしまえば「静かなくちづけ」なども同じカテゴリに入るのだが、アンコールで響いたその曲に消えない悲しみが張り付いていたことを思えば、新曲「シアンブルー」はもっとロマンティックで、同時にどこか温かい。
漆黒から始まったステージが自然な水色に染まっていくのは、誰もこんなふうに続くとは思っていなかったdeadmanのキャリアにふさわしい流れだった。



8月末まで続くこのツアーの後、さらに2本の公演が決まったことも最後に発表されたトピックだ。
ひとつは9月26日、aie47歳となる新宿ロフトでの生誕祭。もうひとつは12月21日、大手町三井ホールでの全席指定ホールライブである。
その日までに、少し腹回りが気になるaieがウエストを5センチ絞ることを宣言。
特に断酒もしないと言うので成功するか怪しいところだが、それよりも興味深いのは、「さらに新曲作ろうと思っている」発言までが飛び出していたことだろう。
各メンバーがいくつかバンドを並走させ、とんでもないハードスケジュールで動いている現在、ただ予定をこなすのに精一杯というわけではない。
クリエイティヴ面もフル回転しているのが2025年のdeadman。
今が旬だと断言しておきたい。

写真:マツモト "ダンプ” ユウ
文:石井恵梨子