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【YUKI】ライヴレポート◆2025年7月11日(金)赤羽ReNY alpha◆ たくさんの人々に囲まれながら迎えた44歳の誕生日。「“最高の仲間”に背中を押してもらって、いいスタートを切らせてもらいました」

ヴォーカリスト・YUKIの誕生日当日、7月11日に赤羽ReNY alphaを舞台に行われた『生誕44周年記念式典 aRaise Vol.018 ~ゾロ目のゆっ譚~』。
2部構成にて行われたライヴの【前半】には、ゲストヴォーカルの団長をはじめ、Gt.RENO、Ba.RENA、Key.藤原泰斗、Dr.KAZAMIが参加。そして【後半】は、YUKIとは初共演となるゲストヴォーカルの苑をはじめ、弦楽器陣がGt.夢時 / Gt.I’LL / Ba.Natsukiにチェンジ。総勢9名のゲストメンバーと共に繰り広げたライヴを、YUKIは「大好きな仲間たちに囲まれて、自分の歩みの中にある作品たちをみんなで共有してもらう」、それが“自分へのお誕生日プレゼント”だと語った。
仲間と紡ぐ音楽を愛し、そして音楽や歌に愛されたヴォーカリスト・YUKIのもとに集まった誰もが幸福に満ち溢れることとなった、記念すべき一夜の模様をお届けする。




◆     ◆     ◆ 


YUKI生誕44周年記念式典とされたライヴのタイトルに掲げられていた“ゾロ目のゆっ譚”、つまりこれは“44歳を迎えたYUKIのおはなし”。この“おはなし”は、主人公であるYUKIの軌跡をただ辿るだけでなく、それを踏まえたうえで挑戦していく意欲を見せた、言わばこの先の未来へ続くプロローグのようでもあった。

SE『plage』が流れ出し、厳かに幕を開けた前半戦。バンドメンバーを従えるYUKIの隣には、Raphael時代のYUKIのヴィジュアルを模倣することでリスペクトを示していた団長が構えていた。ライヴは、初っ端から『dice』『racket』といった、YUKIと団長の迫力ある歌声が映えるハードなロックサウンドで間髪入れずに席巻し、「かかってこいよ。すべてをさらけ出せ!」というYUKIの声に応えてフロアに広がるヘッドバンキングの嵐を前にして、YUKIはご満悦な表情でハートサインを送っていた。ここで、「44歳になっちゃいました(笑)。たくさんの人に駆けつけてもらえて幸せです。みんな、どうもありがとう!」と短く挨拶を挟むと、続いて披露されたのは『Never』。自身の誕生日に、“この声が枯れる日まで 死ぬまで歌うんだろう”と生き様を投影したかのようなワンシーンこそこの上なく強いインパクトを放ち、そこへ「精一杯歌うから、最後まで楽しんでってよ!」と続いた『「・・・」~或る季節の鎮魂歌~』では、ギターソロを演奏するRENOをYUKIが後ろから片手で抱きかかえて、Raphael当時の懐かしい光景が蘇る場面も。


「44歳だけど、まだまだすごいヴィジュアル系をやろうかなと思って。まだまだかっこつけて生きていこうかなと思って……よろしくお願いしますっ!(照笑)」と、真面目モードな中に“素”がひょっこり顔を出したYUKIに対し、「急におちゃめになるんだからぁ!」と、見事な手腕でトークを盛り上げた団長。和気藹々とした一時を経て、「ロックは好きかい!? 飛ばしてこうぜ!」と突入した『Gebet~祈り~』では、さすがの布陣ともいえるバンドメンバーによってヘヴィさに拍車がかかっていく。ここで一旦、団長がステージから捌けてヴォーカルはYUKIのみとなったところで「いっぱいの人が会いにきてくれて、嬉しいね。いいバースデーだな」と切り出すと、喉を患ったことにも触れながら「今でも思い通りに歌えているわけではないんだけど、少しずつでも44歳のタイミングを皮切りに前へと進んでいけたらいいなと思って。今の自分がベストを尽くせそうなキーだったり、曲だったり、メッセージだったりを込めて、新曲を用意してきたので聴いてやってください」と新曲『season』を披露。さらに、オペラ作『セルセ』より『オンブラ・マイ・フ』を藤原泰斗が奏でるピアノに合わせてマイクレスで歌い上げる、圧巻ともいうべき歌唱には誰もが釘付けになっていた。極めつけに、“生きること”を究極なまでに繊細に描き出した『calm』で聴かせた、歌うことの喜びや使命感を体現するかのような強く美しい歌声に、ただただ心は震えるばかり。ちょうどライヴの心臓部にあたるセクションで魅せた、新曲、自身の歌唱のバックボーンにあるもの、そして喉というヴォーカリストの生命線を繋ぎとめることを諦めなかったYUKIにしか歌えない熱のこもった歌唱こそが、44歳の誕生日で見せるべき挑戦を秘めているようにも感じられた。


『Fake Star~piano ver.~』が流れる中での転換を挟んで、後半戦へとシフト。『シナゴーグ前奏曲イ短調~第一楽章~』に乗せて登場した面々は客席にバラの花を投じ、YUKIの衣装を纏った苑の隣には、ドレス姿のYUKIが並んだ。後のMCでドレスについて触れたところによると、デザインは“かつてのメンバー”をオマージュしたもので、青色を基調として月や百合の紋章の装飾が施されており「背中にはちゃんと“天使の羽”、生えてます」とクルッと振り返って見せ、今もYUKIの中にはもう一つの魂が生き続けていることを感じさせてくれたのだった。

実際、後半戦はRaphaelの楽曲のみで構成されていた。まずは、シンフォニック・メタルが炸裂する『Holy mission』ではYUKIの主旋律に苑が高音のハモリを重ね、さらにクラシカルなギターフレーズが際立つ『小夜曲~悲愴~』と、Raphaelの音楽性にあるシンボリックな部分をただなぞるだけでなく、細部にアレンジを加えて進化を遂げた形で届けられるところには純粋に嬉しさがこみあげてくる。ツインギターならではのアレンジが特別感を増した『Ending~華弦の月~』では前半戦で披露した『Never』とのリンクも感じさせ、さらに『症状3.XXX症』に至っては、Natsukiのベースソロを筆頭にそれぞれのパートを引き立たせながら、なによりもYUKIと苑によるボーカルバトルと言わんばかりの歌い合いは強烈で、オーディエンスからも今日一番の歓声が巻き起こっていた。締めくくりに演奏されたのは、「僕が人生で初めて綴った曲です。届かぬ君へ贈ります……」とコールされた、至極のバラード『eternal wish~届かぬ君へ~』。かつて10代だった彼が生み出した、シンプルで、それでいて心に沁みる孤高のメロディー。リードギターを弾くI’LLと、弦が切れようとも最後まで弾き切った夢時との最強タッグがなぞる旋律にYUKIはリコーダーでも加勢し、その素朴な音色によってよりピュアな空気を帯びる中、繊細な歌声も相まって最高のアンサンブルを届けていった。


アンコールでは、冒頭にYUKIへバースデーソングとケーキがプレゼントされた。そして、この日の出演者がステージへ集合して(※RENOはスケジュールの都合で前半戦までの参加だった)『タッチ』に続き、『夢より素敵な』を披露した際には、会場へ駆けつけていたRei(DaizyStripper)とshinpei(ex.SuG)も登場。『夢より素敵な』の前に必ず添える「忘れないでね。みんな、大好きだ!」の言葉が、図らずも大団円の形を生むことに繋がったのは、YUKIへの人望があってこそ。そんな情景に胸がいっぱいになっていたのも束の間、「幸せってこういうことだね! なんか……着替えたくなってきた~」と、突拍子もないことを言い出すのもYUKIらしいところ。そして、主役不在のステージで繰り広げられていたトークを遮るように『シナゴーグ前奏曲~第2楽章~ホ短調』が流れ出すと、なんとRaphaelが『花咲く命ある限り』をリリースした当時の衣装に着替えたYUKIが登場。思いがけぬサプライズに湧き上がる場内に、RENAとNatsukiが不穏な様子を掻き立てるベースを鳴らしはじめたのを合図に『人間不信』へ突入すると、YUKIが「背中を預けている」と紹介していたKAZAMIがドラムソロパートを決め、ラストは途中シンガロングも起こった『花咲く命ある限り』でダイナミックにエンディングを飾った。

「どうもありがとう! やりきったー! 歌い切れた……!」と達成感に満ちたYUKIは、歌うこともままならない状況だったことやシーンの移り変わりに対して、生きること自体にすごく取り残されてるような気持ちになることもあったと話した中で、「心から信頼して、頼らせてくれる素敵な仲間がメチャクチャいる。素晴らしい仲間がいるから音楽を紡いでいける」と、それが自分にとっての“自慢”だと誇らしげに語った。そんな仲間たちと、手を繋いで迎えたフィナーレ。

「“音を楽しむ”と書いて音楽ですから、お互いの音楽を高めていける場所を、これからも僕は用意していけたらなと思っています。“最高の仲間”に背中を押してもらって、いいスタートを切らせてもらいました。“最高の仲間”っていうのはステージの上だけじゃなくて、こうやって向かい合っているみんなも含めて。みんなで一緒に、この音楽シーンをもっともっと満喫していきましょう。ありがとうございました」


ゲストを一人ひとりステージから送り出したYUKIは、最後に高らかに両手でガッツポーズを見せながらステージを後にした。YUKI / 櫻井有紀という人間に触れる度に思い起こすことが2つある。それは、この日も「アップデートを繰り返していく」と話していた通り、“変わらないために、変わらないといけない”ということ。そして、“大切なものを守るために闘い続ける”ということ。これからも、音楽や仲間といったYUKIにとって大切なものを守るための闘いは続いていく。それは必然的に、彼のもとに集う人々にとっての生きる力ともなっていくのだ。



Text:平井 綾子
Photo:Lestat C&M Project

SET LIST

【前半】
Vo.YUKI / GUEST Vo.団長 / Gt.RENO / Ba.RENA / Key.藤原泰斗 / Dr.KAZAMI

SE.plage
1.dice
2.racket 
3.Never
4.「・・・」~或る季節の鎮魂歌~
5.gebet~祈り~

6.season(新曲)
7.オンブラ・マイ・フ(カヴァー)
8.calm

転換 BGM:Fake Star~piano ver.~

…………………………………………

【後半】
Vo.YUKI / GUEST Vo.苑 / Gt.夢時 / Gt.I’LL / Ba.Natsuki / Key.藤原泰斗 / Dr.KAZAMI

SE.シナゴーグ前奏曲イ短調~第一楽章~
9.Holy mission
10.小夜曲~悲愴~
11.Ending~華弦の月~
12. 症状3.XXX症
13.eternal wish~届かぬ君へ~

転換 BGM:エピローグ~はじまりの詩~

EN1-1.タッチ
EN1-2.夢より素敵な

SE:シナゴーグ前奏曲~第2楽章~ホ短調
EN2-1.人間不信
EN2-2.花咲く命ある限り

end SE:up to tiptoe

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