【vistlip独占インタビュー】Zepp DiverCityでの18周年ワンマンを経て届けられるニューシングル「BET」と全国ツアーへ向かう“今しか見れない”バンド像をYuh・海・瑠伊の弦楽器隊が語る。

毎年七夕の恒例であるZepp DiverCityでのアニバーサリーライヴを終えたばかりのvistlip。Yuh、海、瑠伊が語るホットな達成感に期待しながら取材に臨んだが、彼らは既にステージで得た喜びと発見を清算し終え、次なるフェーズへと歩みを進めているようだった。足場を踏み固めながら果敢に手札を増やし続けるバンドの姿勢は、7月30日にリリースされるニューシングル「BET」の収録曲からも感じ取ることができる。濃密な全3曲に向き合うその眼差しを通して、「これまで」にも「この先」にもいない「今」のvistlipが浮かび上がった。
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自分にハードルを課すことができた
────7月7日に開催された18周年のアニバーサリーライヴ[Bet On The Ouroboros]はいかがでしたか?
Yuh:3曲の新曲を含めてセットリストを組んでいったら、前半と後半で色が分かれまして。前半は世界観を作り込めたり、今のvistlipの大人っぽい部分を見せられたりしたので、それはそれで良かったけど、個人的にはもっとハッピーでワイワイみたいな感じが今後はあって良いのかなと思ったりもしました。反省っていうわけじゃないんですけど。
────節目のライヴで新しい一面を打ち出せるのは、バンドの風通しの良さ故でもあるのかなと思います。
Yuh:そうですね。今までだったら初披露は一曲ぐらいに抑えてたかもしれないけど、今回は全曲やりたいってことになって。そうやって臆せず挑戦できるようになったのはここ数年の積み重ねがあったからだと思います。

▲Yuh
────海さんはいかがですか?
海:ウチのファンの子って、こっちが提示した演出やセットリストをすごく真剣に汲み取ってくれるんですよ。「君たち、もうちょっとノってもいいんだよ」って思うくらい聴き入ってくれたり。今回も集中して聴いてもらいつつ、一緒に楽しんでほしい部分は少し示唆しただけで自ずと参加してくれて、会場全体でライヴを作れました。直前にTohyaも「ちょっとシリアスにしすぎた気がするね」って言ってたし、確かに砕けた部分を入れ込んでも良かったんですけど、それは来年以降完成させればいいので。今回はやろうと思って準備したことを最大限表現できたので良かったと思ってます。
────そういったライヴ前後の反省的なやりとりは、メンバー間で盛んに行われているんですか?
海:ここ2、3年は増えたけど、一時期はまったくなかったですね。10周年から数年間は、終わったら次、っていう感覚で。今は一回一回を噛み締めた状態で進めてます。制作スタッフが変わったことで、色々な意見を言ってくれる人とやれるようになったのも大きいですね。
────瑠伊さんにとっては、どんなワンマンでしたか?
瑠伊:単純に楽しかったし、良いライヴだったっていう声もたくさんいただきました。新曲や久々の楽曲を披露できたのも良かったですね。それと、照明や特効。あとからライヴ中の映像を確認したんですけど、我ながらワクワクして見られるような演出でした。
────確かに、映像演出にグッと来たファンの方は多かったようです。
瑠伊:前年と違うことをやりたいっていうのは毎回議題に挙がるんですよ。去年は一面のスクリーンで迫力のある映像を出したんですけど、今年は短冊型にしてみようっていう感じで、これまでやってないことを盛り込んでいきました。
────ここまでの言葉からも、現在のvistlipが良い状態にあることが感じられます。とりわけ独立後は対バンライヴが増えていますけど、それがバンドの仕上がりに影響を与えていたりするのでしょうか?
瑠伊:それもありますね。同期や後輩のライヴを見てると負けてられないなっていう気持ちになりますし、ケツを叩かれます。
海:5月から6月にかけての東名阪での主催ツアー(『[Party On]-Pizza Slices-』)は、普通のイベントで終わらせるわけにはいかないし、対バン相手にも普通のライヴをやってもらっちゃ困るっていうことで、気合いを入れてやったんですよ。となると、次のワンマンには気になってくれた他のバンドのファンの子たちも来るんだから、さらにすごいライヴをやらなきゃいけないじゃないですか。そうやって自分たちにハードルを課すことができたなって。それを飛び越えるにあたって、奇を衒ったり、物珍しいことをやれば良いってわけでもない。軸はブレず、既にファンの子たちも疑問を持たないで、でも新しい変化を感じてもらえるギリギリの線引きを探るのは難しいけど楽しいですね。
Yuh:『[Party On]-Pizza Slices-』では、どうやったら若い世代の子たちと絡めるかということを考えてました。今後の新しい繋がりを作りたかったし。同じ組み合わせでツーデイズずつやったからこそ知れたこともあって……特に僕と智は人見知りなんですけど(笑)、一日目のヤバいライヴを観たからには、二日目は声をかけないと、っていう。「こういう音楽が好きなんです」「今こんなバンドが来てますよ」みたいな話も聞けたし、インプットが増えて良いツアーになりました。