【vistlip独占インタビュー】Zepp DiverCityでの18周年ワンマンを経て届けられるニューシングル「BET」と全国ツアーへ向かう“今しか見れない”バンド像をYuh・海・瑠伊の弦楽器隊が語る。

「これは来たな!」という確かな感触
────となると、対バンを通して得たものはライヴだけでなく制作にもフィードバックされてそうですね。それでは、7月30日にリリースされるニューシングル「BET」の収録曲について聞かせてください。表題曲「BET」は、「君は僕に賭ける?」というフレーズが意味深ですが。
瑠伊:智の歌詞は、聴き手によって色んな捉え方ができるように書かれていて。僕らの捉え方はあまり公言したくないというか……。
海:特に「BET」は、「ここは誰にもわからなくたって構わない」みたいな部分もあって。ビデオを何度も見て、歌詞を何度も読んで、色んな解釈をしてもらいたいです。
────歌詞の解釈について、メンバーで言葉を交わすことはあるんですか?
Yuh:バンド全体で話すことはないですね。
海:自分なりの解釈が智の意図と多少違ってもそれでいいやと思ってはいるんですけど、僕はジャケットやビデオ、衣装の監修も担当してるので、間違えたくないところやどっちとも取れる箇所については質問することがありますね。彼は彼で、説明したがる時としたがらない時があって。言いたくないんだろうなって時もあれば、説明しなくたってわかるでしょって思ってそうな時もあるんだろうけど、表情が変わらないから判別できない(笑)。そういう空中戦みたいなキャッチボールはちょこちょこしてます。

▲海
────なるほど。
海:歌録りの時のTohyaが、多分誰よりも歌詞を楽しんでますね。歌詞を読みながら歌を聴いて、「これは流石だね!」とか、独り言を言ってる(笑)。
────「BET」は繊細なギターフレーズが楽曲全体のムードを形作り、サビでの開放感を演出しているのが印象的です。Yuhさん、海さんはどのようなイメージでアプローチしましたか?
Yuh:この間CHAQLA.のメンバーが彼らのYouTubeで話していて「確かに」と思ったんですけど、僕のギターって、AメロBメロからサビに向けてのメリハリがすごく強いんですよ。ズンズン重たい感じで進みつつ、サビでオクターブに行ってグッと開けたりとか。「BET」でも、そういった身に染み付いてるものが表れました。それと、デモの空気感に準じてはいるんですけど、今までだったら歪ませてたものを、クリーンで行こうかなと判断することが多かったです。
海:僕はもうとにかく、ド頭のクリーンのフレーズをどう処理するか、どういう音にするかっていうところで。個人的に、何年か前からずっと、リバースディレイを使ってみたいと思ってたんですよ。ただ、これまでの曲では上手くハマれるようにイジれなくて。「BET」で「これだ!」と思ってからは、エフェクトの設定との戦いでした。小ぢんまりせずに、隙間を意識して雰囲気を作らないといけない。パキッとしたギターが素直に飛び込んできたらムードを壊す気がしたので、そこは気を付けました。あとはサビ。フレーズは一番簡単なんですけど、何度弾いても上手く広がりが出なくて。ギターを変えて、ピックを変えて、音を変えて、っていうのを延々繰り返したり。試行錯誤して時間がかかりましたね。
────瑠伊さんのベースについてはいかがでしょう?
瑠伊:デモを聴いて感じた心地良いスピード感とストレートさは壊しちゃいけないなと思ったので、割とシンプルめに行きました。ほぼ八分のルートで。ただ、音に関しては無骨なサウンドを目指して作ってます。
────無骨? 楽曲全体としては華やかな印象を受けますけれど。
瑠伊:そこに抗うというか、尖りを出したくて。曲がキャッチーな分、ベースの音でエッジを出しました。楽曲全体を通して、ミックスの仕上がりが気に入ってます。今作で「BET」だけ初めてやっていただくエンジニアさんにお願いしたんですけど、空気感がすごく良くて。
海:良かったよね。
瑠伊:「これは来たな!」みたいな感覚があったので、早くリスナーの皆さんに体感していただきたいですね。