DAVID(SUI)が創りあげた「六芒世界-THE DECADENT WORLD xxx-」。そして、新たな物語のために、しばし活動を休止に…。

DAVIDが、この世界に絶望し、嘆きの声を上げだしてから…。同じく、「真のGothic」文化を流布する活動を始めてから、丸8年が経過。過去にも、活動を止め、新たな飛躍のためにと充填してきた時期があったが、今回、DAVID(SUI)は「無期限で活動休止する」と宣言をした。先に伝えておくと、あくまでも"活動休止"だ。ふたたび生まれ変わるための"懐胎"時期とも捉えられようか…。
7月29日(火)、DAVIDは過去にも歩みの機転となったSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで、DAVID 8周年&無期限活動休止ワンマン「六芒世界-THE DECADENT WORLD xxx-」公演を行った。この日は、Joint Artistとして、Gt.HIDE-ZOU (D)・Gt.erina・Ba.Яyu (Azavana)・Dr.SHOが参加。当日の模様を、ここにお伝えしたい。
暗くなった場内に流れだした壮麗で静謐な音色。もの悲しい音へ誘われるようにJoint Artistたちがステージへ姿を現した。飛び交う声援。『Introducton』(SE)が勇壮さを増すのにあわせ、SUIが舞台へ‥。
ライブは、この場へ不穏な空気を呼び入れるように『Stigmata』から幕を開けた。演奏が一気に荒々しく牙を剥きだすのを合図に、SUIが叫びだす。一瞬のブレイクから、暗転。SUIが物語を語るように歌いだした。その想いへ黒く攻撃的な色を塗り重ねるように演奏が激しさを増してゆく。場内でも、大勢の民(ファン)たちが荒ぶる演奏に合わせて激しく首を振り続ける。甘い表情のときには手の花を咲かせ、攻撃的な姿でせまるたびに激しい動きを見せる。ライブは共に作りあげる。その言葉に相応しい熱情した景色が、早くも目の前に描きだされていた。
「六芒世界へようこそ。全員で世界を作るぞ」と煽るSUIの声に合わせ、場内中からも荒ぶる声が上がる。DAVIDは、民たちの理性を黒く塗り潰そうと『Gothculture -Decadent Art-』を突きつけた。とても雄大かつ、攻撃性を満載した楽曲だ。フロア中から上がる絶叫した声に向け、SUIは「その声を止めるな!!」と叫んでいた。DAVIDが描きだす、欲望のままに乱れ狂うGothCulture(DAVIDが創り出したゴシックな世界を象徴するワード)がどんどん広がってゆく。さぁ身体が悲鳴をあげるくらい、とことんまで暴れ尽くせ!!

「今日ですべてを塗りかえてやる。安心して身を委ねてください。8周年、共に美しい空気で暗黒に満ちた聖杯を!」。SUIの声を合図に、意識を歪ませる演奏が炸裂。DAVIDは『Rituals』を通し、ここへ集いし民たちと想いを交わしあっていた。ゴシック/シンフォニックな要素と激烈でラウドな音が交錯。SUIが煽るたびに、神経が螺子曲がってゆくようだ。むしろ、みずからの魂を神に捧げようと祈るように歌うSUIの声が、強い刺激を持って胸に突き刺さる。そこへ轟音シンフォニックな演奏が炸裂。攻撃的な牙を剥きだした『Final Act』に乗せ、場内中の民たちが飛び跳ねれば、激しく頭を振り乱す。みずからの運命に対して自問自答をしながらも、気高き姿で民たちを挑発するSUI。Joint Artistたちも、牙を剥きだした攻撃的な音を叩きつける。激しさの中にも刹那の美学を見せてゆくところも、ゴシック浪漫好きなDAVIDらしさだ。


場内中から上がる声・声・声。「羽ばたけない俺の想いに羽根を与えて理想を描きだしてくれた民のみんなに感謝します」。そのうえで、みずからが胸の内に抱く葛藤や絶望。嘆く感情へ羽ばたく翼を授けようと、SUIは「閉ざされた世界から 羽ばたく瞬間 身を委ねたら そこにはきっと理想が在った?」と、視線の遥か先に見える理想の世界へ向けて想いを馳せるように、艶めいた声で『羽化と理想』を歌っていた。SUIの気持ちを代弁するように、erinaのギターが嘆く気持ちを音にして描きだせば、楽器陣が重厚な音で彼の重苦しい感情を押し上げる。SUI自身の8年間の心模様がとても伝わる歌だ。今も広げた翼は濡れたまま、渇ききる(生まれ変わる)のを待っている。続く『Crow』に乗せてSUIは、背中に生えたかのように黒い翼を連想されるアクションをし力強く羽ばたかせ、民たちと共に求める理想の六芒世界へと羽ばたきだす。しなるように、でも攻撃性に満ちた演奏がSUIの翼へ、ここにいる民たちの背中に生えた翼にも、逞しく羽ばたく力を授けていた。


荘厳かつ不穏な音(SE)が鳴り響く。SUIの言葉へ導かれるように流れだしたのが、嘆く心を、今にも感情が壊れそうな声で歌った、ゴスバラードの『Cain』。歌詞に綴った心苦しい想いたちを、気持ちの奥底からしぼり出すようにSUIは歌う。曲が進むごと、嘆く声の色が深みを増してゆく。何時だってDAVIDは、絶望の中から這い出そうと身悶え、声を上げ続けてきた。それが、悲しみに暮れて嘆く声でも、そこにはかならず脈動する赤々とした血が希望を求めて沸いていた。
嗚咽するSUI。そこへふたたび轟音渦巻く黒い交響ロックが流だした。SUIは、ときにグロウルしながら、『My Decease』でも「例え僕が狂っても」と嘆く声を上げていた。激しく揺れ動き、乱れ狂う想いを、SUIは裸の感情のままに歌い、叫び、祈りを捧げる。その姿へ誰もが釘付けになり、その様を凝視していた。
「この僕を救ってよ、Messiah!!」の声を合図に、2本のギターが美しくも勇壮な旋律を重ねだす。とてもスリリングな演奏だ。『Messiah 新約』、心地好い緊張感を抱きながらも、感情を熱く染め上げる楽曲だ。六芒星を記したひと際高い台の上で、SUIは「Messiah」と歌声を響かせる。愛しき存在へ想いを乞い求めるように感情的な様で歌うSUIを、楽器陣が轟音シンフォニックな演奏で彩り、心を押していた。
Joint Artistたちが立ち去ったステージ。残されたSUIは、孤独に身を喘ぎながら、神へ乞い求めるように『Contract』を歌っていた。この場を共にした民たちと共に神へ救いを求めるように、SUIは力の限り叫び、声を上げていた。
白い衣装へと着替えを終えたJoint Artistたちによるセッション演奏を挟み、物語は後半へ。『Providence』の演奏へ導かれるように、着替えたSUIがふたたびステージに姿を現した。彼の「飛べ」の声を合図に、場内のあちこちで飛び跳ねる景色が誕生。SUIは、雄大な景観を描く楽曲を背に、民たちの感情をふたたび熱してゆく。DAVIDが新たに描きだした物語は、どんな運命に導かれた展開を描きだすのだろうか。そのうえで、SUIが精悍な声で「Story Teller」と歌いあげた。DAVIDの儀式に美しき熱狂の花を咲かせる『Story Teller』だ。ときに客席へ下り、民たちが身体中から発散する熱を身近で感じつつ、気高き勇者になったSUIが、勇ましい姿と雄々しき声で「Story Teller」と歌いあげる。その姿の、なんて神々しいことか…。
民たちを煽るSUI。「この世界にいる価値を、あなたの聖なる声で響かせてほしい」の言葉。そして「民よ!」「声を!」「聖なる!」「声を!」のやりとりを合図に奏でたのが、荘厳でシンフォニックな『Noble Hymn』だ。神に絶叫の祈りを捧げるように声を荒らげる民たち。DAVIDが作りあげた聖なる黒い儀式は、SUIの振り上げる拳に合わせ、絶叫と熱狂の宴へと染めあがっていった。続く『Gothculture -Claustrophobia-』でDAVIDは、しなるような荒々しい演奏の上で、マイクを両の手で握りしめ、言葉のひと言ひと言へ想いを乗せて朗々と歌いあげていた。
「今日集まってくれたみんなは、選ばれし民だ。共に喝采を!!」。冒頭から絶叫するSUIと民たちによる荒々しい声と拳の戦いが誕生。『Dresscode』を通してSUIは、「あなたが望むのなら 黄泉を見せてあげる~選ばれしあなたなら 私を愛せるの」と、DAVIDらしいゴシック浪漫な世界を描きだし、場内で熱狂する民たちと、情熱的な接吻を交わしあっていた。SUIの煽りを受けて、フロア中から上がり続ける声と拳。そして‥。「皆の抱えるものすべてここに置き去って、また会えるようにめちゃくちゃになろうな。もっともっと壊そうか、ぶっ壊れていこうか!!」と、SUIが煽る。その声を合図に、DAVIDと楽器陣がエクストリームで攻撃的な楽曲を突きつけた。がなるように煽るSUIに向って、大勢の民たちが頭を振り乱し、身体を折り畳む。激しく唸りを上げるギター陣の音が感情を狂おしく揺さぶる。リズム隊の猛り狂った演奏に触発され、感情を振り乱し、暴れずにいれない。
DAVIDは、この熱狂の儀式へさらに激しくて黒い音の風雨を巻き起こそうと、『断章』を叩きつけた。この世界を焼き尽くし、新たな世界をここへ築きあげようと、SUIは荒ぶる感情を剥き出しに襲いかかってきた。SUIとЯyuの煽りを受け、場内中の人たちがその場で暴れ狂う。今宵はホールということもあって、大勢の民たちが上へ上へと飛び跳ね、ときに身体を大きく織り曲げていたが、これがライブハウスだったら逆ダイの嵐が起きていただろう。止まることを忘れたように永遠と続く煽りの応酬。そこがどんな場所だろうと、理性を消し去り、獣と化した民たちは、SUIへ導かれるまま、本能のままに暴れ狂っていた。そう,これが民たちと共に「六芒世界」を創りあげる最後の儀式だとでも言うように‥。
最後の曲を前に、Joint Artistと言葉を交わすSUI。この日は、メンバーたちのリクエスト曲もセットリストに加えていたことを報告。それが、『羽化と理想』(HIDE-ZOU)・『Stigmata』(erina)・『Cain』(Яyu)・『Providence』(SHO)だったことも伝えておきたい。さらに、「その時が来たら、もう一度出会わせてください」と伝えながら、SUIがメンバーらへ花束を手渡していた。
最後にDAVIDは『Genesis -In Bible-』を通し、この世界へ新たな世紀を生み出そうと。みずからの運命を改めて噛みしめ、そしてここから生まれ変わり、まだ見ぬ理想の世界を構築すべく、たくさんの仲間たちと共に新たなる旅の歩み続けようと誓いあっていた。DAVIDは一度活動の歩みを止める。でもきっと、新たに歩むための鍵を手にしたとき、その扉を明けて、また新たな物語を綴りだしてゆくに違いないし、そう信じている。
生きていけば「みなさんもこれからこの世界に溢れる素敵な景色を見て、色んなものを好きになると思います。でも、あなたの根底に根付いたもの、息づいたものは消えない。それは断言したい。俺を、あなたたちを救うもの。その欠片を、今宵もあげるよ。」
アンコールでDAVIDは、みずから探求し続けてきた"Gothic"の神髄を投影した『Made in Gothic』を演奏。奏でる音の一音一音にDAVIDが求めたGothicの魂が宿っている。それを胸に感じさせる歌と演奏に心を奪われていた。SUIが大きく手を揺らし歌う姿に向け、場内中でもたくさんの手が揺れていた。祈るように歌うSUI。乱れ苦しむ心模様を演奏陣が激しく押し上げてゆく。
身体中に、意識中に刻まれたGothicという血は、けっして拭い去れない。最後にDAVIDは『Blood -Reason for existence-』を突きつけ、この場に集いし民たちの身体や記憶に、消せない熱狂の傷跡を刻んでいった。DAVIDと交わした血の絆は、たとえDAVIDが時を止めてもけっして消えることはない。何故なら、数多くの楽曲を奏でたこの日の儀式を通して沸騰した血が、みずからの血肉と化していたのだから。Joint Artistたちも、SUIも、民たちも、本能へ導かれるままに暴れ狂う様を見せていた。そう、これが血の通ったライブだ。DAVIDが求めた「六芒世界」だ。
「どれくらい時間がかかるかわからないですけど。もしその日が来たら、みなさんともう一度出会わせてください。本当にありがとうございました」 SUIは最後の曲を終えるとステージを足早に去っていった。
DAVIDが求め続けた「六芒世界」は、2ndフルアルバム『Made in Gothic』を通して。その世界観を具現化したこの日のライブを持って、完結した。ここからSUIが、どんな新たなる物語を描きだすのか…。終わりを知らぬDAVIDとしての活動だからこそ、次の始まりを、今はしばし待ち続けよう。
PHOTO : Lestat C&M Project
SUI
Яyu Hair&Make : Rie Fukazawa(M's)
HIDE-ZOU、erina、SHO Hair&Make :Kana Muto
TEXT : 長澤智典
SET LIST
7/29
DAVID 8th ANNIVERSARY ONEMAN
「六芒世界-THE DECADENT WORLD xxx-」
SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
セットリスト
SE
『Stigmata』
『Gothculture -Decadent Art-』
MC
『Rituals』
『Final Act』
『羽化と理想』
『Crow』
SE
『Cain』
『My Decease』
『新約』
『Contract』
SE
『リズムセッション』
『Providence』
『Story Teller』
SMC
『Noble Hymn』
『Gothculture -Claustrophobia-』
『Dresscode』
SMC
『荊棘の意図』
『Gothculture -断章-』
MC
『Genesis -In Bible-』
SE
-ENCORE-
『Made in Gothic』
『Blood -Reason for existence-』
SE
2025年9月中旬以降 本公演の映像作品リリース決定!
関連リンク
◆ OFFICIAL X
https://x.com/_david_sui