CHAQLA.主催<開眼万博2025>開催を記念しての対談3弾!ANNIE AとNICOLAS・SAKU、2人のヴォーカリストが語る歴史と邂逅。「最高の楽器隊が揃ってるってことはヴォーカル次第で上に行くか行かないかが決まる。それが今のCHAQLA.」(SAKU)、「みんなマジでNICOLASを観た方がいいんじゃない?って思わされる」(ANNIE A)

CHAQLA.にとって久々となる主催ライヴ<開眼万博2025>はこの夏の要注目イベントだ。
それは安易な主催公演を打つことを拒絶していたCHAQLA.の新たなアクションというだけに留まらず、共演バンドにはメリー、vistlip、RAZOR、XANVALA、そしてNICOLASといった“先輩”が並んでいるからだ。
破竹の勢いで進むバンドは敢えていばらの道を選んだ。
来る10月11日に浅草花劇場で開催される自身初の劇場単独公演「芸達者」へ向けて己をさらに鍛える意味もあるだろう。
様々な若手バンド、オーディエンス、関係者から愛され慕われるNICOLASの思慮深さと暴力的なサウンド。
先輩陣からの注目も高まっている中で、独自のスタイルにエッジをかけて加速していくCHAQLA.の音楽。
今回は以前より交流があるANNIE AとNICOLAS・SAKUのヴォーカリスト対談が実現した。
キャリアを超えてかねてより互いをよく知り、深くリスペクトする2人だからこその歯に衣着せぬ会話には彼らが最も大切にするもので溢れていた。
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自分さえ良ければいいっていう考えじゃダメなんですよ
────先日開催されたCHAQLA.主催の<開眼万博2025-江戸編->で共演した2バンドからANNIE AさんとSAKUさんのお二人に両バンドの関係や歩みについて訊いていこうと思っているのですが、まずは大阪公演も決まっている<開眼万博2025>の趣旨について教えてください。
ANNIE A:CHAQLA.はこれまでほとんど主催ライヴってやってこなかったんですけど、このタイミングでヒビキ(Bikky)がそろそろ主催をやりたいねって提案してきたことがはじまりです。僕らってまだまだ駆け出しのバンドだけど、今回出てくださる先輩バンドに混ざってCHAQLA.の音楽をやってみたかったっていうのが正直なところです。
────ライヴや音楽に勝ち負けがないのは前提としつつも、CHAQLA.以外キャリアがあるバンドばかりっていうのはやられるリスクを伴うんじゃない?
ANNIE A:いや、負けるつもりはないです。僕らは自信もあるし勝ちに行くつもりでやらせてもらいますよ。でも、バンドの力ってどうやって計るのか難しくない?動員でもないし、なんなら実力ですらないような気がするんですよね。なんかね…波動だと思うんですよ。だから先輩後輩とかは関係なく強い波動で輝いているバンドが集結するイベントだと思います。
SAKU:CHAQLA.がそういうアクションを起こして大きいことを成し遂げようとしているのも伝わってきたし、そこに呼ばれたことが純粋に嬉しいですね。
────お二人は師弟関係的なところもありますもんね。
SAKU:ないない(笑)!ないから!
ANNIE A:あははは(笑)!師弟ではないかも!
────先輩?
ANNIE A:うーん、先輩なんだけど先輩でもないっすね。どっちかって言うと“お兄ちゃん”って感じ。SAKUさんとは俺が以前やってたバンドで前の事務所の時から関わってるんですけど、厳しいことも言ってくれるし、良かったときはすごい褒めてくれるからいろいろと相談もできる間柄なんですよ。でもなんか嬉しいっすね。SAKUさんとこうやって並んで対談とかできるの。
────出会ったのは結構前なんですか?
SAKU:6~7年前だっけ?
ANNIE A:調べますね…あ、8年前ですって。
SAKU:そんな経つんだな。当時は同じ事務所にいたんで一緒にイベントツアーを廻ったりしてて、その中でアニィ(ANNIE A)と話するようになったのかな。
────当時のアニィさんってどんな人でした?
SAKU:まあ、今のアニィを基準に考えるとすると当時はヴォーカルとしての考え方やふるまいはだいぶ浅かったと思いますよ。それは年齢とか経験もあるから仕方ないことで、そんなこと言ったら俺らだって昔は浅かったですからね。だけど、何を成したいかっていうハートの部分の人間性はあの頃から変わってないかな。これ本人にも言ったんですけど、今はヴォーカリストっていう立ち位置への向き合い方がすごい真摯になったなと感じてますね。昔はもう少し投げやりというか…ちょっと爆弾だったんですよ。
────今も爆弾なところはありますけど、当時もそうだったんですね。
ANNIE A:本当に超えちゃいけないラインがわかってなかったなとは思いますね(笑)。
SAKU:俺たちって目の前にいるオーディエンス、対バン相手、関係者全てに向かってライヴをしてるじゃないですか?それが若い頃って自分の世界の中でだけライヴをしちゃうんですよ。
ANNIE A:すごいわかる。それはめちゃくちゃわかるっすね。
SAKU:当時のアニィは誰が何を思っていようが、どういう感情を持とうが関係ないっていうスタイルだったんですよ。でも今は目の前で起きていることに対してライヴをするようになってて、集中力も説得力もありますよね。目の前で起きていることに集中するってことは先々のことを考えていることにもなるわけですよ。だから、今をないがしろにするってことは未来をないがしろにするってことでもある。それが成長したアニィから感じられるのが嬉しいですね。これはきっとメンバーや周囲にも恵まれてるんだと思う。
ANNIE A:SAKUさんの仰るとおりで、何のためにライヴしてるのかっていうところがようやく明確になったんですよね。当時はがむしゃらって言い方が一番しっくりくるんですけど、自分の存在を証明するためだけにやってたのかなって思います。今はこの音楽で何を伝えてどうしたいのかってビジョンが明確になってきましたね。それが昔との違いかな。昔はライヴ中もずっと自分と勝負してた。
SAKU:うんうん。俺は先輩だったり、お客さんだったり考え方が変わるきっかけはいくつかあったんですけど、自分さえ良ければいいっていう考えじゃダメなんですよ。自分本位だったら、歌が上手くならなくてもどこかで言い訳を見つけて“俺はこのスタイルだから”とか言えちゃうじゃないですか?…って言いながら俺も練習してないんだけど(笑)。
────とは思えない歌唱力ですよ!
SAKU:いや、歌唱力ねぇって(笑)。いらない、いらない!俺のことは褒めないで大丈夫です。でも、幸運なことに昔から信じられないくらいライヴの本数をやらせてもらったことで自然と成長できましたね。そしてその多い本数についてきてくれるファンがいて、周りのスタッフがいて先輩からのアドバイスがあった。だから、周囲を見渡して心構えが変わっていくことで技術も伸びていったのかなとは思いますよ。
────恥ずかしい姿は見せられない、と。
SAKU:自分自身を顧みるようになった時に、果たして周りにいる人たちに対して俺は情けなくない姿を全力で見せられてるだろうか?と自問自答するようになっていきましたね。歌が上手いヴォーカルと歌が下手な自分が戦った時にちゃんと戦えているかといったらそれは半ば諦めてるわけですよ。歌唱力以外で勝とうとしているというか。それって結局のところ自分から逃げているだけなんですよね。
ANNIE A:ひとつひとつのライヴや表現に真摯に向き合うと自ずとやるべきことは見えてくると思います。

▲ANNIE A(CHAQLA.)

▲SAKU(NICOLAS)
SAKU:そう。自分の歌をもっと上手く歌えるようにって意識をちゃんと持ってライヴをし続けたりとかね。細かいところで言ったら、シャウトしたり煽ったりしてもその言葉が何を言ってるのかが聞き取れなければ、俺は人に届けられてないと思うんですよ。アニィが言うようにひとつひとつの積み重ねですよね。
────ところで<【#開眼TV】CHAQLA.の自由研究>ではNICOLASのことを2000年代中期のVロックだと分析していたと思うんですけど、互いのバンドのことはどう思ってます?マインドはともかくカラーとベクトルは全然別ですよね。
【#開眼TV】CHAQLA.の自由研究 〜NICOLAS編〜
SAKU:アニィがYouTubeの自由研究で言ってくれたことは概ね合ってるとは思いますよ。
ANNIE A:僕はNICOLASの前身のゴシップのときから知ってるからこそ、ゴシップが進化した強化版だと思ってますね。
────YouTubeでもBGMに「迷惑÷好意」をフィーチャーしたりとゴシップ愛が随所に感じられました。
ANNIE A:ドラムのHAYATEさんが再加入したことで10年前のゴシップと同じメンバーになってるのもすごいし、やっぱり演奏力が群を抜いてますよね。音も良いしここまで巧いバンドはなかなかいないんじゃないかな。
SAKU:音に関しては楽器隊同士はよく話してるよ。MUSIC FARMのPAさんや池袋EDGEのPAさんとも会話していろいろ摸索してましたね。
────EDGEは佐野さんですね。ラウドな音像なんだけどヴォーカルに干渉しない鮮明な音作りなんですよね。
ANNIE A:ほんとそう。激しいバンドをやりたい人はみんなマジでNICOLASを観た方がいいんじゃない?って思わされる。やっぱりすごいなって対バンして改めて思わされたっすね。