CHAQLA.主催「開眼万博2025」-浪速編- 対談企画、第5弾!kai(CHAQLA.)× 結生(メリー)「ちょっと、被り過ぎじゃない!?(笑)」(結生)、「そうなんですよ! なので、可愛がってください(笑)」(kai)────両者を繋ぐ、世代を超えたシンパシー。

CHAQLA.主催による注目のイベント『開眼万博2025』。7月18日に開催された〈-江戸編-〉に続き、8月22日には〈-浪速編-〉がOSAKA MUSEにて開催を控えている。
東京・大阪各公演にゲストとして迎えたのは、皆CHAQLA.よりもバンドのキャリアを積んできた強者たちばかり。これから挑む〈-浪速編-〉にはメリー,vistlip,XANVALAが出演するが、ゲストバンドの中で唯一、東京・大阪の両公演に参加するのがメリーである。
そこで今回は、kai(CHAQLA. / Gt)と結生(メリー / Gt)の対談が実現! 出演バンドへの理解を深めることを目的とした《CHAQLA.のバンド自由研究》という動画企画にて《メリー編》を担当したkaiの研究内容を基に、存分に語り合っていただいた。
両者の間に起こるシンパシーの話題の数々に見えてきたのは、kaiと結生がバンド活動を通して抱いている愛情からくるもの。その強さには、活動24年目のメリーと活動3年目のCHAQLA.という、活動歴に伴う優劣などなかった。
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kaiくんは放っておけない存在
────まずは、7月18日に開催された〈『開眼万博2025』-江戸編-〉を振り返っていきたいと思います。kaiさん、いかがでしたか?
kai:やっぱり一番は、「“愛情”が返ってきた」っていう感覚が僕の中にはありました。もともとメリーさんをはじめヴィジュアル系がすごく好きだったので、やっとCHAQLA.主催で自分たちの好きなバンドさんや思い入れのあるバンドさんに出ていただけるイベントができたなと。
────『開眼万博』は、CHAQLA.にとって満を持しての主催イベントでもありますもんね。
kai:はい。僕らは“愛”をテーマに活動していて、それがお客さんだけじゃなくて“内側”にも届いたというか、それが自分たちに返ってきたような感覚だったので、嬉しいという言葉じゃ足りないぐらいでしたね。特にメリーさんは、すごく思い入れのある曲をやってくれたんですよ。僕の〈自由研究〉のおかげかどうかは、わからないですけどね(笑)。でも、ガラさんが「kaiに贈るよ」って言ってから演奏してくれたのを観て涙が出たし、ウチのメンバーもすごく感動していたので。
結生:「CHAQLA.の主催イベントなら、このセットリストだろう」っていうのはありましたね。
────結生さんにも〈『開眼万博2025』-江戸編-〉を振り返っていただきたいのですが、いかがでしたか?
結生:まず、今回の出演者の中ではCHAQLA.が一番新しいバンドだったにも関わらず、主催バンドとしてすごく堂々としていたなっていう印象が強かったんですよ。僕らがCHAQLA.と初めて対バンしたのが『KHIMAIRA Vol.7』(2025.6.13@池袋EDGE)だったんですけど、そのときに初めてライヴを観させてもらったときの印象と比べても、『開眼万博』ではバンドとして凄いパワーを感じましたね。素直にすごくかっこいいと思ったんで、終わった後にメンバーに挨拶したときもそう伝えたんですけど、なぜかkaiくんだけいなかったんだよな(笑)。
kai:すみません! 最後、挨拶しそびれてしまって……。
結生:(笑)。いやでも、本当にかっこよかったです。だから、大阪も楽しみです。
────結生さんは、もともとCHAQLA.に対してどういった印象を持たれていたんでしょうか?
結生:初めてCHAQLA.を知ったのは、SNSだったんですよ。それを見たときは、率直に「なんだ、これ?」と思って、「次世代が来たな」と思いました。メリーも活動歴が長くなれば長くなるほど今時の若いバンドたちとは年齢も世代も離れていくわけで、そのときは「今後、絡むことってあるのかな?」と思ってたんですけど、実際に会ってみたら意外と絡みやすい、可愛いバンドマンたちでした(笑)。
────ちなみに、初対面はいつだったんですか?
結生:僕らがアルバム『The Last Scene』を出して回ったツアー(『The Last Scene #1』)のファイナル公演を東京キネマ倶楽部でやったんですけど、そこにCHAQLA.のメンバーが観に来てくれたんです。終演後に挨拶をしたときが初対面だったんですけど、すごく接しやすかったですし、意外と世代のギャップも感じなかったんで「良かったな」と思いました。
kai:今、結生さんも言ってくださった最初のSNSで見たときと実際に会ったときとの印象のギャップっていうのは、よく言われますね。特に先輩からは、「印象がガラッと変わった」と言われることが多いです。それこそ“懐かしさ”じゃないですけど、メリーさんがこのシーンに出てきたときに近いものを感じるっていうこともちょくちょく言われることもあるんです。
結生:確かに、CHAQLA.の楽曲を聴いていると、なぜか「懐かしい」と思うような曲があるんですよ。俺らの世代が「懐かしい」と思うようなものを今の若い世代がやっているっていう、不思議な感覚はありますね。
kai:そこは狙ってそうしているわけではなくて、メンバーのルーツだったり、かっこいいと思っているものとかやりたいことだったりを合わせたときに、結果こうなったっていうところはあるんですよ。僕、昔から音楽シーンに限らず“流行り”は繰り返しじゃなくて、螺旋状みたいなイメージがあるんです。こう、時を経て近いところに寄ってきつつもそれは同じではなくて、ちょっと違うというか……。
結生:繰り返すとはよく言うけど、昔と同じものではなくて進化しているというかね。
kai:はい。それを自分たちは、自然とできてるのかなと思うんです。
────今、音楽の話題でお互いの感性に近しい部分も垣間見られたところですけれど、kaiさんが担当された《CHAQLA.のバンド自由研究 -メリー編-》の動画内でも音楽性については話題に出されていましたね。結生さんは、ご覧になりましたか?
結生:もちろん、観させていただきました。いや、まさかkaiくんがこんなにメリーのことを好きだなんてそのときは知らなかったので、まずファーストインプレッションとしてはビックリしましたね。それに、内容を見ていると「これ、ガチで好きな人だな」と思って、それもすごく嬉しかったです。ちょうど動画を観た後にさっき話した『KHIMAIRA』で一緒になったので、リハーサルのときに会いに行ったんですよ。そこでギターの機材を見せてもらったんですけど、今時のバンドにも関わらず結構アナログな機材を使っていて、そういうところにもシンパシーを感じました。「結構アナログなんだね」っていう会話をしたのも覚えています。
────そういったところも、先ほどおっしゃっていた印象との“ギャップ”の1つかもしれませんね。
結生:そうですね。やっぱり今は、シミュレーターを使って機材周りをコンパクトにするギタリストがどんどん増えてる中で、kaiくんがデカいフェクターボードとアンプを置いてるのを見て「いいね~!」と。
kai:やっぱり、自分がギターを始めてから見ていたものとか影響を受けたものっていうのは、そういうものだったんですよ。僕としても、ちょうどアナログにロマンを感じて最近機材を変えたのもあったので、結生さんの機材や音にもすごく興味があって。キネマ倶楽部のときも『KHIMAIRA』のときも、袖に置いてあったのを勝手に見させてもらいました(笑)。
結生:あとね、「似てるな」と思ったことの1つに、お互い元々はバンドがツインギターだったっていうこともあるなと。途中でギターが1人抜けちゃって、それでも新規メンバーやサポートメンバーを入れずに「今後はギター1本でやっていこう」っていうふうになったところに、自分とすごく被る部分があるなと思っていて。それもあって、「kaiくんは放っておけない存在だな」って、俺的にはすごく思ってるんですよ。
kai:それに関しては、僕も〈自由研究〉をしていて「同じだ」ってハッとしたんです。ただ、僕らはまだ2年くらいでこうなったんですけど、メリーさんは5人で活動している期間がもっと長くて、今に至るわけじゃないですか。苦労とは言わないまでも、どうしても「なくなった部分を埋めなきゃ」っていうふうに考える部分が僕もありましたし、メリーさんにもあったと思うんです。今の時代、いくらでもパソコンや同期を使って音を流すことはできますけど、それじゃあ出せない部分って、あるじゃないですか。
結生:そう。生音じゃないと出せない部分は、あるよね。
kai:はい。僕の場合は、そういうことを考えたタイミングで一度機材を見直して変えたのもあったんです。

▲kai(Gt&Cho.)
結生:kaiくんが言ってたように“なくなった部分を補う”じゃないけど、同じ経験をしているギタリストって意外といないから、貴重な存在だなとは思ってますよ。
kai:もちろん狙ったり望んだりしてこうなったわけではないんですけど、結生さんにそう言っていただけるのは嬉しいですね。ただ、バンドにこういう状況が降りかかったときに、それを乗り越えるために変わった自分の姿とか音とかっていうのは、前よりも確実に強いと思うんです。自分でも、それで自信がついたところはあったんですよ。
結生:そうだね。その経験がないとわからなかった部分って、いっぱいあるよね。それは俺も同じで、だいぶ今更だけどここ2~3年間でいろいろ経験させてもらったなとは思ってる。やっぱりメンバーの脱退っていうことが起きるとバンドは戦闘力が一度落ちるものだと思うんだけど、そこを埋めようと頑張ることでバンドが成長して、今は今で5人だった頃とはまた別モノになってきてると思うし、バンドとしていい成長ができてるなと思う。
kai:わかります。ちなみに、僕も気づいた共通点があって。僕と結生さんって、お互いギタリストなのに結構歌う部分が多いじゃないですか。そこも「一緒だな」と思って、改めてライヴを観たときに嬉しかったですね。
結生:確かにコーラスとかも、そうだね。ちょっと、被り過ぎじゃない!?(笑)
kai:そうなんですよ! なので、可愛がってください(笑)。
結生:あははは、可愛がってますよ(笑)。
────では、そこに乗じて話題をもう一つ。それこそ〈自由研究〉の中にも出てきましたけれど、kaiさんは“哀愁ある、レトロ感のあるフレーズが好き”ともおっしゃっていましたよね。すると、おふたりが個性として持つフレージングや奏法にも共通点が見えてきそうだなと思っていたのですが、いかがでしょう?
kai:それに関しても、CHAQLA.を始めてから結構考えるようになったところがあるんですよ。前まで僕は、バンドの毛色に合わせることを重視して、自分の得意なことやルーツみたいなものを狙って出すことをあまりやっていなかった気がするんです。それこそ〈自由研究〉をしていて、メリーさんの音楽性や結生さんのプレイの部分は自分にすごく近いものを感じて。僕もカッティング(奏法)が好きだし、捉え方によっては哀愁や渋さを感じられる部分がCHAQLA.になってからはより表れるようになったところをみると、それって自分の根っこにあるものなんだろうなって思うんですよね。自分が「楽しい」と思ってやれていることやルーツが自分の武器になっているっていうことに、メリーさんの〈自由研究〉をやらせてもらって気づけた部分でもあって。もっと言えば、そういうところでも「結生さんと近い」って思えたのも嬉しかったんですよね。
────kaiさんだけでなく、メンバーそれぞれが持つルーツや特性を活かせる環境がCHAQLA.には自然と出来上がっているのかもしれません。
kai:CHAQLA.はミクスチャーっぽいことをやってるんで、バンドの方向性とメンバーがやりたいことを混ぜ込みながら、そこに新しいものを入れながらバンドの色として提示していくことをやればいいんだなと思ってるところはありますね。そこで、やっぱりギターはバンドの色を決める上で重要なポジションだと思ってるので、結生さんもどれくらいそういうことを考えてやっているのかは、すごく気になります。
結生:メリーは来年で25周年になるんですけど、やっぱり長い年月の中で変化してきたんですよ。僕もkaiくんと同じくらいの年齢の頃は、今のkaiくんの気持ちに近いところがあったなと思うし、若ければ若いほど古臭いフレーズに惹かれるっていうのもあったなと。もちろん今でも相変わらずそういうものが好きではあるけど、最近はギタリスト単体というよりもバンドとして、1人1人のパワーバランスを大事にしているというか、全体を見るようにはなりましたね。それこそギターが1本になって4人体制になったときに、役割のパーセンテージが5人のときとは全然違うので。そこで、ウチのヴォーカルは自由にやらせておいた方がいいと思ってるようなヴォーカルなんだけど……。

▲結生(Gt)
kai:ウチも、そうです。
結生:ヴォーカルは、それが一番いいよね。ほっておいて成り立つヴォーカルが最高だと思うから、それ以外のメンバーのパワーをどれだけ1つの塊にできるかが大事だし、特にイントロとか歌がない部分で、どうギターの音を響かせるかっていうのも大事で。バンドは各箇所で主役が変わると思っていて、ウチもそうだしCHAQLA.もそうだと思うけど癖が強いメンバーたちだから、バンドとして「曲のどの箇所で、みんなの癖をどう打ち出すか」っていうのをすごく重要視してるっていうのはありますね。
────その点で言うと、結生さんの個性的なフレージングというのはその都度意識的に考案するものとご自身のバックボーンにあるものと、どういった思考から出てくる部分が強いんでしょうか?
結生:最近は、何も意識せずに自分の中から出てくるもので曲を作ってますね。アルバム『The Last Scene』は特に、何かを意識してとかではなくて、自分の中に数年かけて溜め込んできたものとか、今スッと出てきたものだけで作ったという感じでした。だから、この二十数年やってきた貯金を下ろしたみたいな感じ(笑)。まさに、そういう風にして作ったようなアルバムだったんですよね。もちろん、新しいものを意識したり探したりっていう時期もあったんですけど、それを乗り越えての今なので、割と今はシンプルに出てきたものでやっているっていう感覚です。この先またどうなるかわかんないですけど、今はそういうモードですね。
kai:『The Last Scene』を聴かせてもらったときに、僕が最初にメリーさんを知った頃の歌謡感とかレトロ感はありつつ、それだけに留まらずに新しさみたいなものも感じて。それを肌感で出せてるっていうのは、すごいことだなと思いました。すごくいい貯金というか、これまで貯めてきたものがすごくいいものだったんだなって思うんですよね。そういうところも、今話を聞いていてすごく尊敬できるなと思ったんですけど……。
結生:でも、この“貯金システム”はあと10年ぐらいやらないと溜まんないよ?(笑)
kai:そうですよね! メリーさんや結生さんの人生として、これまで積み重ねてきたものがあるからこそ、狙わずに肌感で出せるものだと思うので。僕はまだ自分の中で貯めてる状態ですけど、将来そういうことを言えるように頑張りたいです!