【ABC vs Janne ~Respect Cover 2man LIVE~vol.2】ライヴレポート◆2025年8月1日(金)Zepp Shinjuku◆Janne Da ArcとAcid Black Cherryの“Respect Cover 2man LIVE”が再び実現!! 同じ音楽を通して共有した愛と、受け継いでいく決意を示した一夜。

『ABC vs Janne ~Respect Cover 2man LIVE~vol.2』と銘打った、Janne Da ArcとAcid Black Cherryの“カバーバンド”による2マンライブが8月1日、Zepp Shinjukuにて開催された。
“愛情”から生まれるエネルギーは、時に計り知れない力を発揮する。もちろん、この“ABC vs Janne ~Respect Cover 2man LIVE~”もそれゆえに起こったアクションの一つであり、むしろここで起こったエネルギーは感服せざるを得えないレベルの大きさだ。約1年前に開催した初回公演の反響を受けて2度目の開催に至ったのには、Janne Da ArcとAcid Black Cherryに対する演者側が抱く多大なリスペクトと、未だ冷めることのないファンの想いがあってこそ。少なくともその熱意は、特定のバンドのカバーバンドが1000人規模のライブハウスでライブを行うという、一見ふるった企画を実現させてしまうほど強いものであるということはお分かりいただけるだろう。実際、この日会場に飽和していたのは、同じバンド・音楽を共有した純粋な愛情のぶつかり合い。その空間には、ただただ「好きだから」という至極シンプルな理由だけで十分だった。
先攻は、【Acid Black Cherry Respect Band】。メンバーは、昨年に引き続いての参加となったGt.まゆ(DaizyStripper)、Ba.燿(摩天楼オペラ)、Dr.遠海准司(己龍)に加え、今回が初参加となるVo.HAL(FEST VAINQUEUR)、Gt.凛人(哀と凛人の無所属)。SE『The Thing』に乗せて登場したメンバーに目をやると、HALと遠海准司は本人を意識した装いやヘアメイクであることが見て取れた。なお、凛人は後のMCでも「yasuさんのおかげで音楽を始めた」と話していた通りAcid Black Cherryをルーツに持つ1人で、このカバーライブのために各曲のシンセパートの制作も担当したという熱の入れようだった。そんな彼がド頭のギターを担った『Re:birth』からライブはスタートし、HALが「始めようか、リスペクトカバーライブ! 行くぞ“Team ABC”!」と親しみのある呼称を用いながらオーディエンスを扇動して『code name【JUSTICE】』で勢いづくと、『Black Cherry』ではブラスセクションとシャッフルリズムの中に耀のベースフレーズも引き立ち、セクシーな世界観に場内は一層熱をあげていく。

「人生において、こんな素晴らしい日があっていいんだろうか!?」とテンション高々に話し始めたHALは、そんな出来事を真夏に起こった幻とかけて『冬の幻』へと繋ぎ、さらに『イエス』と続けていく。淳士への憧れをプレイでも見せていた遠海准司のパワードラムはハードな楽曲だけではなく、『イエス』内のクレッシェンドのように曲をドラマチックに演出する場面でも大いに発揮。『Bit Stupid』では一変、「ありえない!」の掛け声に合わせて皆が一斉にポーズを取る掛け合いも飛び出し、ただ楽曲を“コピー”するだけではなく各曲に施されていたライブならではのアレンジやエンターテインメント要素も織り交ぜながらパフォーマンスしていたところに、ステージ上のメンバーの中にもファンと同じ目線で見ていたAcid Black Cherryの記憶があるのだろうと感じることもできた。
早くもラストスパートに差し掛かり、「夢を持って駆け抜けていきましょう!」とHALが楽曲の歌詞に準えた一言を添えて突入した『DRAGON CARNIVAL』では、ツインギターのソロを披露した凛人と、フレーズはおろか音色までも意識したギターを響かせていたまゆ。こうして、ヘッドバンギングの嵐を起こした『SPELL MAGIC』でボルテージは最高潮に達し、「同じ音楽を好きになってくれてありがとう!」とHALが満足気な笑顔を浮かべながら『20+∞Century Boys』で見事に大団円となった。
後攻は、本企画の主催者である夕霧(DaizyStripper / Vo)率いる【Janne Da Arc Respect Band】。Gt.I’LL(FEST VAINQUEUR)は前回に引き続いての参加となり、Ba.七星(R指定)、Dr.Tohya(vistlip)、Key.彩雨(摩天楼オペラ)が今回新たに加わった。『Deja-vu』をSEにメンバーが登場すると、1曲目に用意されていたのは『NEO VENUS』。壮大感のある印象的なイントロが鳴り出した途端に会場の熱が急上昇したのを感じたのも束の間、マイクスタンドを持ちながらステージを闊歩する夕霧の姿に思わず「100th Memorial Live LIVE INFINITY 2002 at 武道館」のライブシーンがシンクロした上に、ファンに向けられたメッセージ性の強い楽曲をライブ空間で耳にできたことに自然と胸が高鳴った。続いた『sister』での見せどころの1つでもある七星のベースパートはもちろんのこと、I’LLが「さすが」と言わんばかりの完成度でギターソロを弾き倒し、夏の季節にもマッチした『seed』では、Janne Da Arcの楽曲に影響を受けたというTohyaが変拍子のリズムを安定感抜群に叩き上げてグルーヴを完璧に再現していたのも印象的だった。

「お待たせ“Janne Da Arc Respect Band”参上!」と、お馴染みのフレーズを用いて夕霧が挨拶を挟み、パワーチューン『ダイヤモンドバージン』で一体感を高めた。そして、彩雨が奏でるピアノが美しく響き渡ったバラード『桜』、I’LLがアコースティックギターに持ち替えて披露した『Dear my…』(アルバム『Z-HARD』収録のバラードバージョン)といった、丁寧にプレイする場面ではしっかりと観客を魅了。
シンガロングを響かせた『霞ゆく空背にして』の曲中には、夕霧が「男尻Nightで俺、ここにいた!」と最前列を指さす場面も。そして、お待ちかねと言わんばかりにオーディエンスを高揚させたのが、もはやJanne Da Arcのカバーと言えば欠かせない1曲ともなっている『ヴァンパイア』。夕霧がフロアへ降りて「みんな来い!」と大勢のファンを煽る形で“あの”シーンも蘇り、いよいよライブはクライマックスへ。夕霧自身が「yasuさんが言っていた、俺が好きな言葉」として話した「誰かが聴いて歌ってくれれば曲は死なない」という言葉を引き合いに、「今後も歌い続けていく」と伝えて迎えたラストは『-救世主 メシア-』で痛快に駆け抜け、白熱したステージは「We are Janne!」というお約束の合言葉で締めくくられた。全9曲、楽曲が披露されるたびに巻き起こった歓声と拍手は、集った人々の中にそれぞれの形でJanne Da Arc存在が生き続けていることを物語っているようでもあった。
アンコールは、オールキャストがステージへと集結して『シルビア』(Janne Da Arc)を披露。まゆ、I’LL、凛人とギタリスト3人によるタッピング、さらに遠海准司とTohyaのツインドラム(ステージには両者のドラムが並べてセッティングされていた)という豪華仕様の演奏で多幸感に溢れたエンディングとなった。そして最後に夕霧は、「Janneは永遠に不滅だ!なぜなら、俺たちが歌い続けるから。おまえたちが聴き続けるから」と、“誰かが聴いて歌ってくれれば曲は死なない”という言葉の意味を改めて深く刻み込んでいた。HALもライブ中に「受けた影響は自分たちの活動にも反映していく」と発していた通り、Janne Da ArcとAcid Black Cherryが与えた衝撃は、これまでも、そしてこれからも多くの人の心の中でバタフライエフェクトを起こし続けるだろう。両バンドに青春を彩られたファンたち、そしてバンドマンドリームを抱くアーティストたちの手によって、この先の未来へも確実に受け継がれていくはずだ。


TEXT:平井綾子
PHOTO:TomiKe
SET LIST
【Acid Black Cherry Respect Band】
Vo.HAL(FEST VAINQUEUR) / Gt.凛人(哀と凛人の無所属) / Gt.まゆ(DaizyStripper) / Ba.燿(摩天楼オペラ) / Dr.遠海准司(己龍)
-セットリスト-
SE 〜The Thing〜
1. Re:birth
2. code name【JUSTICE】
3. Black Cherry
4. 冬の幻
5. イエス
6. Bit Stupid
7. DRAGON CARNIVAL
8. SPELL MAGIC
9. 20+∞Century Boys
【Janne Da Arc Respect Band】
Vo.夕霧(DaizyStripper) / Gt.I’LL(FEST VAINQUEUR) / Ba.七星(R指定) / Dr.Tohya(vistlip) / Key.彩雨(摩天楼オペラ)
-セットリスト-
SE 〜Deja-vu〜
1. NEO VENUS
2. sister
3. seed
4. ダイヤモンドバージン
5. 桜
6. Dear my...
7. 霞ゆく空背にして
8. ヴァンパイア
9. -救世主 メシア-
ENCORE
1. シルビア
END SE 〜シルビア〜