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RoyzとDEZERTおよそ3年越しの2マンで確かめ合ったライバル故の友情と信頼。<Royz Presents 2MAN LIVE 〜渋公前にDEZERTに会いたかってん〜「ひまわりのはね♪」>2025.09.04 Veats SHIBUYA

2025年9月4日、Veats SHIBUYAで<Royz Presents 2MAN LIVE 渋公前にDEZERTに会いたかってん 「ひまわりのはね♪」>が開催された。
本公演は2022年11月東京キネマ倶楽部での<『DEZERT × Royz “デザートとロイズでアナタのハートに火はツキマス~?…多分ダイジョウブデスっ!”』>以来、2度目の2マンライヴとなる。

今回のタイトルからも明らかな通り、Royzが自身の未来へのターニングポイントになるであろう“渋公”ワンマン直前に盟友DEZERTとの再会を求めたものだと思われていたが、その実態は少し違ったようだ。

この3年間で磨かれた両者は再び対峙して何を感じ、何を与えあったのか。
穏やかだけれど、澄み切ったライバル意識が昇華した珠玉の夜の模様をお届けする。



◆     ◆     ◆



超満員のイベントの口火を切った先攻はDEZERT。
「DEZERTはじめます」と呟いて「「絶蘭」」からライヴをスタート。
静と動の繊細なコントラストが生むダイナミズムと緊張感でスタンダードなDEZERTとして宣戦布告すると、観客のクラップに招かれた「「変身」」へ突入。
近年の彼らの楽曲のなかでも荒々しさを感じさせるこの曲、何度も浴びてもノスタルジックさと今のバンドの力量による再現度がクセになる。
暴れ倒すことではなく、集中力で加熱していく熟練っぷりは続いた「Sister」も同様だ。
クールなのに攻撃性が増して感じるのは、そもそも携えた殺傷力と精度の高さによるものだが、この日はセットリストも作用していただろうか。
SORAのドラミングに束ね上げられる「ミスターショットガンガール」の輪郭も印象的だったが、「大塚ヘッドロック」では定番となったSacchanのリコーダーソロでRoyz初期の名曲「蒼蓮花」を奏でる場面もあった。


千秋も「昔の「蒼蓮花」のライヴ映像観て!昴がめっちゃ泣いてるから!」とイジりながら、「Royz先輩との…先輩なんですよ」と敬意とそれ以上の親しみを込めておよそ3年ぶりとなる2マンの実現の経緯を嬉しそうに語り、「いくらキラキラした人たちがいようが、いくら白コンタクトつけて血みどろの人がいようが…俺らみたいなスタイリッシュなお兄さんがいようが、全知全能のヴィジュアル系でいようが……これ、笑うところです」と明るく笑いを取る。


さらに「よく頑張れ!って言うじゃん?俺イヤだったもん、頑張れって言われるの」と語ってから、「やっぱりひとりで頑張るものだと思ってて人間は。ひとりじゃないと見えない景色があるし。ひとりじゃないと頑張れないときがあるからさ。そんな時に俺らとRoyzが“お前、今どう?”って感じでライヴができて、現在地を確認できる、そういうのが僕、仲間だと思ってますんで。あえて言います、これからもRoyzとDEZERTと頑張りましょう!あなたも頑張りましょうね!」と述べた。


そして、事前にSNSで昴からの「The Walkerが聴きたいな千秋」とのリクエストに応える形で披露された同曲の“僕等の再会の果てで 何度でも変えてゆくんだ”という詩もいつも以上に意味深く感じられる。
こうやって楽曲が持つ本来の意図から羽ばたくのがロックバンドの魅力であり、流行り廃りに靡かないDEZERTの普遍的な魅力だ。


千秋のシャウトから雪崩れ込んだ「はい!少女」ではMiyakoの小気味いいカッティングも疾走感に豊かな彩りを加え、そんな引き出しの多さもDEZERTらしいところだと思わせるが、終盤は大暴れ必至のキラーチューン「「君の子宮を触る」」、ウオール・オブ・デスを要求した「「変態」」と激しさでなかば強引に牽引していった。

この日のDEZERTは観客と1対1で対峙するいつも通りのDEZERTだったし、Royzとの2マンだからと言って特別な要素はほぼ介在しなかった。
ただ、自分事となるとその繊細さから言葉が定まらず時間を要する千秋が「Royzの渋公もチケット残り少ないらしいんで、ウチのファンも行けばいいと思います。そして、俺らも今日頑張るんで。来年の3月20日に幕張メッセがあるんで、そこに来てください。よろしくお願いします!」と率直に語りかけたことがとにかく印象的だった。

のちのステージでの昴の発言で明かされることになるのだが、「渋公前に一緒にライヴしなくていい?」としきりに歩みよってきたのは千秋の方からだったらしい。
47都道府県ツアーの真っ最中で多忙を極めるDEZERTと、同様にツアーが佳境を迎えるRoyzのマッチアップを成立させるには針の穴を通すような調整が必要だった。両者の立ち位置を考えるとこの2マン自体が不必要というジャッジが下ってもおかしくはない。
実際、Royzは本公演の一昨日は青森にいて、このライヴ後は北海道へ移動という強行軍だった。

それでも会いたかった理由は友情にほかならない。
個人のSNSやメディアでもメッセージを発信できる時代ではあるが、そこはライヴバンド同士。
文字よりも音楽で伝える方が手っ取り早いし、正確に温もりが伝わる。
最後はジャケットを脱いだ千秋がギターをかき鳴らして「僕等の夜について」を披露。
ストレートなナンバーはバンド自体が希望の光となって観るものを照らすような説得力で、アツくも温かく、今のDEZERTはこれだ!という手触りに満ちている。
特別なアイコンタクトを交わすわけでもないが、不思議とメンバーは音で呼吸を合わせているように見えるし、満員のオーディエンスとも対話をするように意志交換がなされた。


まさに1対1のメッセージを届けきったが、最後に急遽セットリストに予定されていなかった「「殺意」」を追加。
バンドのハードサイドに傾倒した追加選曲に客席は沸いたが、曲中では「みんなRoyzの渋公行こう!そして僕らの幕張メッセも来てください!」と再び告げるシーンも。
思えば「僕等の夜について」に入る前に千秋はこんなふうに語っていた。

「業界をみんなで盛り上げましょう?ヴィジュアル系復興しよう?クソ喰らえだ。やるべきことやっていこう!いいか?お前らもそうあれ。悩んだらまた一緒に音楽やっていこう。」

やるべきこととはなんなのか?認め合える仲間に手渡しの愛情を届けるその姿こそが答えではなかっただろうか。
嵐のように興奮度を上昇させてDEZERTは盟友へとステージを託した。

やや長めのインターバルののちに、真紅のドレッシーな出で立ちからしてDEZERTと好対照なRoyzが登場するとまた一段と会場のボルテージが上昇していくのがわかった。

「やろうか渋谷!」と昴が手短に伝えると「TRANSFORM」から牙を剥く。
複雑なドラムフレーズながらも縦のラインがハマって扇動力を増していくナンバーは彼らが今年3月より-FORMⅠ-、-FORMⅡ-にわけてまわっている全国ツアーを象徴する1曲でもある。そんななか、はやくもエナジー全開の体勢で畳みかけたのは「RAIZIN」。
こちらもまた近年のRoyzの覚醒っぷりを知らしめたナンバーだが、よくよく考えると2022年の初2マンののちに生まれた楽曲であることも興味深い。
Royzのメンバーはステージや各媒体において3年前のDEZERTとの2マンを“完敗”と明言している。一方でフロントマン・昴は常々「いい負け方をしよう」とも語る。
言い換えるならば、敗北にも意味がなくてはいけないということだ。


音楽に勝ち負けなどない前提をあえて無視させてもらうが、“完敗”を経て生まれたニューアンセムを2曲目に配置できる今のRoyzの充実度はまさに“機は熟した”といったところか。

続いてイントロで驚嘆の歓声があがったのは「α」。
Royzが「α」をリリースした頃のDEZERTはまだ動員が1桁だったというファンには馴染み深いエピソードも思い起こされる。
「α」は初2マンの際にも披露されているが、結果的にこの夜披露された計13曲のうち前回との曲被りはたったの4曲だった。
その理由はここから先のRoyzのライヴが雄弁に語ってくれるのだが、ステージでの再会を待ち侘びていた存在とぶつかり合ううえでのベスト=最新形になっていることも今のバンドの強みだ。


昴はコロナ禍以降、バンドの在り方や自身の受け身な体質にヘイトが生まれ、それを思考に反映させバンドを上昇気流へと導いた。そのきっかけのひとつが2022年頃に生じた千秋との再会だったことは周知の事実だが、その先に生まれた楽曲たちがこの日に披露されることはある種答え合わせのようでもあって、この2バンドしかいない空間でしか感じ得ぬカタルシスが立ちこめる。

彼らの間には目に見えぬ強固な信頼関係が築かれているようで、千秋からは「お前も武道館やりたいんだろ?」と明確な発言も過去のライヴで発せられた。
昨年末に日本武道館に辿り着いたDEZERTの姿はRoyzにとっても特別なものであるし、DEZERTにとってもRoyzはかけがえのない仲間なのだ。


一層タイトになった「VENOM」、抜群の一体感を生んだ「キュートアグレッション」では妖しさと艶めかしさ、そして寸分のセクシーなワルさを感じさせる。
2012年リリースのキャッチーな「NOAH」に続いたMCでは「今日は後輩のDEZERTくんと一緒に2マンやらせてもらってます。」とジャブを放ち笑いをとると、「(千秋とは)本当に友達です。だからここで取り繕って喋ってもキモいだけだと思ったんで普通に友達として言います。今日は2マンやってくれてどうもありがとう。」と素直な想いを伝えた。

この夜、昴は何度となく“DEZERT”、“千秋”という言葉を発したが、経歴的には若干“先輩”にあたるRoyzではあるものの、互いに異なる獣道を切り拓きながら出会い解りあえた仲間との時間はシンプルに心躍るものだったのだとわかる。

彼らをさらに世にしらしめる起爆剤となった「丸の内ミゼラブル」と「紫苑」は互いに連鎖して物語を紡ぐ。
昴のロングファルセットが効果的な切々とした歌唱と生々しくも切ない描写は胸を締め付け、女性目線のリリックに則してプレイにおけるマインドを切り替えている楽器隊の緻密さもバンドの奥行きを感じさせる濃厚な時間となった。

大きな枠組みでいえば同世代、4人組、ヴィジュアル系、関西出身のボーカリストという少なくない共通項がある両バンド。なんなら根幹にあるアツさやメッセージ性も近しいものの、そのアプローチはまるで異なることがそれぞれの個性を際立てる。

DEZERTの「「殺意」」がどこか温かみがあったように、この日の「ANTITHESIS」は明るさにに満ち溢れていたし、本来クロージングソングとしても十分な説得力を持つ煌びやかな「AFTER LIFE」も各メンバーがじゃれ合いながら多幸感を感じさせた。


「RoyzとDEZERT、最強の味方があなたにもいます!」と届けたキャッチーな「宇宙に咲く花」では“大丈夫とあえて歌おうか DEZERTの願いが咲きますように”と歌詞を変えて感謝の想いを伝える一幕もあった。

およそ60分に渡るステージの最後は「GIANT KILLER」。
オーディエンスの合唱と地の底から絞り出す咆哮が織りなす血の通ったアンサンブルは圧巻で、これぞRoyzというエモーションこそが彼ら自身を現在地まで連れてきたものだと改めて感じたファンも多かったのではないだろうか。


なにもかもをRoyzとDEZERTの共通項として見ることはナンセンスかもしれないが、共にシーンにおいて頭が抜けた状態に辿り着いたのちにさらなる高みを目指すうえでの葛藤もあったことは想像に難くない。
それは日本武道館ワンマンを経て、幕張メッセへ歩を進めるDEZERTも、渋谷公会堂だけでなくその先を見据えるRoyzも。

良い曲を作って良いライヴをするだけで目的に届くほど生易しくない昨今のライヴシーンのなかで、彼らが上昇した理由はバンドを俯瞰して幅広く届けていく努力の手を緩めなかったからだとも見受けられる。
そうやってあらゆるアプローチで、届けるべき、救うべき人間を探し続けることをしてきた両バンドだけれど、つまるところ魂の宿った楽曲を真摯にプレイすることが最たるアンサーであるところにも本質を感じさせられた。

堂々たる「GIANT KILLER」の余韻のなか「一緒に遊ぼうぜ!…DEZERT千秋!」と親友を呼び込んで披露された「JOKER」では、相変わらず好き放題にステージ上で遊び散らかす千秋と、それを横目に幸せそうなRoyzの面々がいた。


この日しばしば昴が発言したように“ライバルであり友達“のRoyzとDEZERT。
互いに更なる高みを目指す道中での邂逅はメモリアルでもエンタメでもなく、地に足のついた現在地点の確認でもあった。
Royzは9月26日に渋谷公会堂、DEZERTは来年3月20日に幕張メッセでワンマンを行う。

そしてその先で互いを鼓舞するように作り上げられた物語の“第3夜”も気長に待ちたいと思う。


Photo:Kyoka Uemizo
Text:山内 秀一

SET LIST

●DEZERT
1.「絶蘭」
2.「変身」
3. Sister
4. ミスターショットガンガール
5. 大塚ヘッドロック
6. The Walker
7. はい!少女
8.「君の子宮を触る」
9.「変態」
10. 僕等の夜について
11.「殺意」

…………………………………………

●Royz
1. TRANSFORM
2. RAIZIN
3. α
4. VENOM
5. キュートアグレッション
6. NOAH
7. 丸の内ミゼラブル
8. 紫苑
9. ANTITHESIS
10.AFTER LIFE
11.宇宙に咲く花
12.GIANT KILLER
13.JOKER(with 千秋)

Royz ONEMAN TOUR 「幻影都市から愛を込めて」-FORMⅡ-
-GRAND FINAL-
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【開場/開演】17:00/18:00

一般指定席(Aチケット)¥6,500/¥7,000(税込)
後方指定席(Bチケット)¥3,000/¥3,500(税込)

チケット一般発売中
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=383653

DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR '25-'26 "あなたに会いに行くツアー"

2025年9月12日(金)北海道:札幌SPiCE SOLD OUT!!
2025年9月13日(土)北海道:札幌SPiCE SOLD OUT!!
2025年9月15日(月・祝)青森:青森Quarter
2025年9月20日(土)福岡:福岡DRUM Be-1 SOLD OUT!!
2025年9月21日(日)熊本:熊本B.9 V2 SOLD OUT!!
2025年9月23日(火・祝)大分:大分DRUM Be-0
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2025年9月28日(日)京都:京都磔磔 SOLD OUT!!
2025年10月4日(土)秋田:秋田 Club SWINDLE
2025年10月5日(日)岩手:盛岡Club Change WAVE
2025年10月11日(土)高知:高知X-pt.
2025年10月12日(日)愛媛:松山サロンキティ
2025年10月18日(土)三重:四日市CLUB ROOTS SOLD OUT!!
2025年10月19日(日)岐阜:岐阜club-G
2025年10月25日(土)新潟:新潟NEXS SOLD OUT!!
2025年10月26日(日)群馬:前橋DYVER SOLD OUT!!
2025年11月22日(土)奈良:奈良NEVERLAND SOLD OUT!!
2025年11月23日(日)和歌山:和歌山CLUB GATE SOLD OUT!!
2025年12月6日(土)山梨:甲府KAZOO HALL SOLD OUT!!
2025年12月13日(土)宮崎:宮崎LAZARUS SOLD OUT!!
2025年12月14日(日)鹿児島:鹿児島SRHALL SOLD OUT!!
2026年1月5日(月)東京:新宿LOFT SOLD OUT!!
2026年1月6日(火)東京:新宿LOFT SOLD OUT!!
2026年1月10日(土)福井:福井CHOP SOLD OUT!!
2026年1月11日(日)石川:金沢AZ SOLD OUT!!
2026年1月17日(土)福島:郡山HipShot Japan
2026年1月18日(日)栃木:HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2 SOLD OUT!!
2026年1月24日(土)島根:松江 AZTiC canova
2026年1月25日(日)鳥取:米子 AZTiC laughs
2026年1月31日(土)静岡:静岡ROXY
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2026年2月14日(土)沖縄:沖縄桜坂セントラル SOLD OUT!!

チケット詳細
eplus.jp/dezert47/

DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL

2026年3月20日(金・祝)
幕張メッセ イベントホール

※詳細後日発表

関連リンク

◆Royz OFFICIAL SITE  https://royz-web.net/
◆Royz OFFICIAL X  https://x.com/Royz_official
◆DEZERT OFFICIAL SITE  https://www.dezert.jp/
◆DEZERT OFFICIAL X  https://x.com/DEZERT_OFFICIAL

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