【Royz・昴 & 甘い暴力・咲】次代を担う両雄が待望の14000字初対談!「一緒に時代を作りに行く仲間だと思ってる」────(昴)、「本気でライヴをするんじゃなくて、本気で生きるしかない」────(咲)

Royz・昴と甘い暴力・咲、それぞれに関西圏出身のヴィジュアル系ヴォーカリストということに留まらず様々な共通点を持つ。
だが、彼らが腹を割って本音で会話を重ねるのは本対談が初めてのこととなる。
時代の因果でここまですれ違い続けた2人は、このタイミングで交わることに意味を感じているようだ。
Royzは2026年9月16日に自身初の日本武道館ワンマンを開催する。
甘い暴力も双璧を成す存在感でシーンに多くのフォロワーを生み出しながら、その堅牢な牙城で無二のポジションを築き上げた。
互いに意識せざるを得ない両バンドは、ついに2マンツアー「Royz presents Royz×甘い暴力 2MAN TOUR 「ちちんぷいぷい。」」で交錯することとなる。
昴と咲の思考と生き様をぶつけ合う対談は、想像以上にスイングするものだった。
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どんなバンドなのかよくわからない
────今回VISUNAVI Japanとして、おふたりのお話を伺いたいと思ってお集まりいただきました。2マンツアーも控えているわけですが、同じ関西出身ということもあって関係性は深いんですか?
咲:いや、正直なことを言うと、会場でお会いしたときしか話さないぐらいの間柄ですね。自分からしたらRoyzは大先輩ですし。
────対談するのも今回が初めて?
咲:初めてです。今日新鮮ですね。これまでもメシ行きましょう的なことも言いつつ、お互い忙しくてなかなか実現してないんですよ。俺が関西に住んでるからっていうのもあるんですけど。
────初めて会ったのはいつか覚えてらっしゃいます?
昴:俺は覚えてるで。
咲:俺も覚えてます。江坂MUSEですよね?
昴:えーっと、ちゃんと喋ったのは江坂。でも、初めて観たのは2022年の「びじゅある祭」。結構遅いんですよ。それまで対バンもほとんど被ったことないもんね?
咲:デカい対バンで一緒に出てたことはあるけど、全然喋るような感じじゃなかったですね。
昴:そうそう。そんな感じで3年前の「びじゅある祭」で久々に被ったんだけど、そのときの甘い暴力は明らかに人気がすごかった。自分たちの出演日じゃなかったんだけど、気になってライヴを観に行ったんですよね。自分から足を運んだって意味では、俺的なファーストコンタクトはそこかな。
────そこまで気にさせるものがあったんですね。
昴:うん。でも、どんな人かわからなくて。ライヴでは煽り倒してて……あの人、仲良くなれなさそうやなって思った。
咲:あはははは!
昴:でも、野外の会場っていう制約もあるなか、お客さんをめちゃくちゃ盛り上げてて、勢いがすごかったですね。ただ、そのときは正直なことを言うと、俺のなかではどんなバンドなのかよくわからないままだったんですよ。掴みどころがないなぁっていう印象で。でも、あれだけ人気があるってことはなんか理由があるんやろうなって思ってました。
咲:照れますね。自分からしたらRoyzは昔から知っていたバンドですし、「びじゅある祭」も普通に観に行ってたので、とにかくすごい人たちっていう印象しかないんですよ。そんな人が都合つけて観に来てくれたのは嬉しかったです。Royzも関西出身のバンドですけど、俺らとは絶妙に時期が被ってなくてなかなか巡り合わなかったんですよ。
昴:そう、時期が違うんですよ。
咲:その昔にデカい対バンで被ったときは、メモ取りながらRoyzのライヴを観てましたもん。
昴:え~!
咲:ヴィジュアルが良くて、歌と演奏が上手い。全部揃ってるからそりゃあ人気だよなって思ったのを覚えてます。当時のRoyzは対バンにほとんど出てない時期だったし、正直ラインナップ的にも“え、ここに出るの?”って感じだったんですけど、そういう姿勢も含めてかっこいいなと思いました。
────VISUNAVI Japan的にも若手対バン「KHIMAIRA」にRoyzは即決で出てくださったりと漢気を常々感じてます。そりゃあ武道館行くよなとも思わされますし。ところで、江坂MUSEでの初接触はどういういきさつだったんですか?
昴:うちらのワンマンを咲くんが観に来てくれたんですよ。でも、その頃にはより一層意識する存在になっていました。それこそ、キズと甘い暴力が2マンをやるのがすげー悔しかった。あ、俺らが知らん間にこのバンドはキズともそういう関係値になってるんやって。俺らってどう頑張ってもこの界隈には入れてないんやって、相当悔しい想いを抱いてたんです。
────今回、対談を実施したかった理由はそこにもあるんですよ。今、シーンのなかではキズとDEZERTが頭が抜けてる存在であることは事実だと思うんです。でも、甘い暴力はキズとも2マンをするし、一方でRoyzとDEZERTも2マンをしている。共通項も多いと思うんですよ。
昴:言いたいことは解るし、俺もそう思ってるよ。
────咲さん的に、Royzのワンマンに足を運んだのは何か意図があって?
咲:いえ、まったく。シンプルに観たくて行っただけです。でも、良い意味で印象が変わったんですよ。Royzはキャリアも人気もあるし、もっと何て言うんでしょう……大御所感というか、余裕のあるライヴをするんだろうなってイメージしてたんです。でも、実際に観たら、めちゃくちゃエネルギー溢れるライヴですごかった。それは昴くんにもその日に直接伝えたよね?
昴:楽屋挨拶でも大興奮で伝えてくれて嬉しかったです。その日が暴れ曲限定ワンマンでループ曲とかもセットリストに入ってたんだけど……関係者はわかるでしょ?関係者席でループ曲を延々見せられてる地獄の感じ。
────まぁまぁ(笑)。
昴:あれはお客さんとして楽しむのはいいけど、関係者はツラいのわかるもん(笑)。来てもらって咲くんに申し訳ないなぁって気持ちがあったからこそ、挨拶でもLINEでもめちゃめちゃ熱のこもった感想伝えてくれたのが余計に嬉しかった。バンドマン同士やから、本当に良いと思ってくれたかどうかってわかるんですよ。
咲:ほんまにびっくりしましたもん。印象が全然変わったっす。
昴:これ裏話なんやけど、その日のライヴを杙凪の親父も観に来てくれてて……一言で言うと強烈な大阪のおっさんなのよ。
咲:なかなか強烈やったです(笑)。
昴:みんなが想像する強烈なジジイ(笑)。杙凪の親父はそういういい感じのノリやし、せっかくやからと思って甘い暴力を紹介したんですよ。
────そのノリもなかなかですね!
昴:これもなんかの縁やん?と思って。「甘い暴力ってバンドで、今度なんばHatchでワンマンするんやで」って教えたら、杙凪の親父が「おう、お前ら調子乗ってんなぁ」とか言ってて。
咲:そうそう(笑)。
昴:あの関西丸出しの感じが、両バンドの間の壁みたいなものを一瞬で取っ払ってくれたんですよ。一気に間柄がほぐれたのは杙凪の親父のお陰。実はあの時点で、このバンドとは今後なにか一緒にやらせてもらえることもあるんじゃないかなって思わされたもん。
咲:逆に俺は“Royzさん一緒にやりましょうよ~”みたいにすり寄っていくのは違うなって思わされたんですよ。違うっていうか、このバンドに対して失礼だなって。それぐらい良いライヴでしたね。
────どのあたりが刺さりました?
咲:なんか、Royzのライヴからは悔しさとか諦めたくない感情をすごく感じたんですよね。ここでくたばってたまるかっていう生々しい情熱が渦巻いていて、売れてるバンドでもこんな気持ちでやってるのかって痺れました。
────ワンマンでも対バンみたいなライヴしますよね。
咲:ワンマンってお客さんは温かいし、身内ノリみたいなのも通用することがあると思うんですけど、全然そんな空気じゃなくて鋭利だったんですよ。その感じは自分たち自身も強く意識していることで。昴くんの全身から滲み出てる悔しさがあの殺気を生んでる。自分たちもちゃんと実力をつけて、いつか対等にやり合わないとなって思いました。



