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【HELLBROTH】ライヴレポート<HELLBROTH Autumn Tour 2025「What’s your favorite view?」>2025年11月19日(水)池袋EDGE

10月18日にリリースされた3rd Full Album『Pictures』を携え、10月22日から全国8ヶ所をまわるAutumn Tour 2025『What’s your favorite view?』を開催したHELLBROTHが、そのツアーファイナルとなる2025年11月19日・池袋EDGEで4周年を迎えた。

昨年から今年にかけて、彼らはこれまで以上に変化を恐れず進んできた。
シーンで多彩な経歴を持つ、仲の良い友達が集まってスタートしたバンドであること。それは大きな武器であると同時に、時として、先入観にとらわれずに現在の作品や表現と向き合ってもらう上での足枷にもなり得てしまう。バンドと真剣に向き合えば向き合うほど、メンバー自身はそう感じていたのかもしれない。

“自分達の過去の模倣=レプリカ”と捉えられることへの苦悩と挑戦。
2nd Full Album『Replica』・4th Single『Rencontre』・Digital Single『BIRTHDAY』の3部作で描いた“剥製(レプリカ)が命を宿して巡る輪廻と再生”は、改めてそれぞれの過去と向き合い、培ってきたものを昇華させ形にしていくことで、HELLBROTHとして抱えてきた葛藤を乗り越え新たな命で生まれ変わる姿を投影した物語だった。

その物語を経て誕生した『Pictures』は、HELLBROTH第3章の始まりとなる作品だ。
コンセプトは、“ファンのみんなと新しい想い出を創っていく”。『BIRTHDAY』で生まれた新しい命と共にこれからを刻んでいくため、タイトルは勿論アートワークを含めた作品全体に“Pictures=それぞれの想い出を切り取って、振り返ることができるもの”という想いが込められている。
以前は各メンバーが思い思いに楽曲を書いていたが、今作では“バンドであること”を一層フォーカスするため、夢人に似合う楽曲を意識して制作。さらに、ダウトのひヵるをギターアレンジャーに迎えて、これまでとはまた一味違うソリッドなサウンドメイクにも挑戦。
バンドとしても音楽家としても向上心を持って成長を続ける彼らが描く4周年に、いやがうえにも期待が高まる。

定刻、暗転した場内に『Picture One』が流れ出し、期待に満ちたオーディエンスの手拍子が打ち鳴らされると、千歳(Gt.)・大熊けいと邦夫(Dr.)・てら(Ba.)・夢人(Vo.)の順にメンバーが姿を現す。
「やってきました、ツアーファイナル!今日は楽しんでいこう!盛り上がっていくぞ!」
気合い漲る夢人の言葉に一斉に拳が突き上がった『泡沫』でライヴは幕を開けた。
勢いよく走り出すようなオープニングにふさわしいロックナンバーで一気にボルテージを上げると、「今日はよろしく、EDGE!準備はいいかい?悔い残すなよ!」と『灰泥』へ。各楽器陣がショートソロを決め、「せーの!」の声に合わせてオーディエンスが一斉にジャンプすれば、メンバー達も嬉しそうな笑顔を見せる。
「EDGE、手を振って!」と続いた『Touch』で、この場所に居る全員が高く手を掲げた一体感が素晴らしい。“さあ始まる旅 目指す場所はきっと 見えない地図の方へ”この先、HELLBROTHと共にどんな景色を見られるのだろうと胸が高鳴った。


「改めましてこんばんは、HELLBROTHです!遂にツアーファイナルということで、今日はファイナルにふさわしいライヴができたらと思います。皆さん、ついてきてください!」と挨拶して、「今日はカメラが入っておりますので、『アリーナ!東京ドーム!』みたいな感じでお願いしたい(笑)」なんて笑いも取りつつ、「最高の1日を作ろうぜ!」と美しい情景描写と心地よいメロディーが印象的な『カーニバル』へ。流れるようなギターソロを筆頭に、それぞれの楽器が歌うように奏でて魅せる。

カッティングギターとメロディアスなベースラインが映える『帳は落ちたままで』、大熊のリズムと夢人の少し気だるげで艶やかな歌声の対比が心地よく響き、会場全体が身も心もHELLBROTHの音楽に委ねているのが伝わってくる。
切ない焦燥感と、淡々と進んでいくようで感情の緩急が独特なドラマティックさを孕む『断片』の余韻に包まれた後、大熊のカウントを合図に光が射し込むステージに響いたのは新たな始まりを告げる『BIRTHDAY』。
“どこか彼方から訪れてくる 南風に乗り 長い夜を超え生まれて光る 始まりの詩”千歳とてらも歌詞を口ずさみながら演奏していく。新たな命の誕生を象徴するにふさわしい爆発力を持った楽曲、4人が一丸となり決意を込めて紡がれた歌声とサウンドは、どこまでも温かく力強かった。


渾身の演奏に送られた大きな拍手に「ありがとう!」と返した夢人が、「“良い行いをすると良いことが返ってくる”なんて話、聞いたことはありますか?」と問い掛けてのMCタイム。
会場入り前の大熊が駅で重たい荷物を運ぶご高齢の女性に声をかけて手伝っている姿を目撃した話をすると、客席からは賞賛の拍手が起こる。照れくさそうな笑顔を浮かべる大熊の前で「僕は、そこで手伝わずに動画をまわしてしまったことを懺悔します。」と夢人が見事なオチをつけ、場内は爆笑。
「次の曲は『if』なので、“もしも”の話をしよう。もしも僕が明日宝くじで3億円当選したら、皆さん1人1人に100万円ずつ配ります!(笑)」とまさかすぎる“もしも”を披露しての『if』。MCのほんわかとした空気と演奏中のシャープな姿、そのギャップもHELLBROTHの魅力のひとつだろう。

ホーンアレンジやスカ的な要素を取り入れ、サビのコーラスの大合唱がフェスで演奏しても盛り上がりそうな『アネモネ』で歌い踊ったフロアは、続く『バイバイ』で「モッシュをしたいんだ、ついてきてくれますか?」の言葉に従い一斉に左右へモッシュ!夢人が客席へと降りてファンのモッシュに参加する様子を楽し気に見守っていた千歳とてらは、「いかつすぎて直視できないベース、てらもと!」「上手のお客さん洗脳状態ギター、千歳!」という褒め言葉なのかよくわからない紹介からのソロをハードに聴かせ、涼し気な表情で鮮やかなドラミングを見せる大熊と共に生み出すグルーヴで会場を大きく揺らしていく。


てらの奏でるダンサブルな重低音ベースソロが再び鼓膜を劈いた『Joker』、声・拳・手拍子・ジャンプ・折りたたみと、ヴィジュアル系ライヴのフルコースともいえる一体感でボルテージはさらに上昇する。アウトロではフロア全体にヘドバンの波が起こり、そのままの勢いで『モンスター』のモッシュへとなだれ込む。ハイトーンも美しい夢人の歌声、大熊の弾むようなリズムに合わせてタオルをまわしジャンプするオーディエンス。
「EDGE楽しんでるかい!?間髪入れずに聴いてください、『Doomsday』!」夢人もギターをかき鳴らす初期からの楽曲で、この4人でしか生み出せない強靭なサウンドを響かせていく。お立ち台に駆け上がった千歳がギターを頭の後ろに持ち上げて巧みなソロを披露すれば、盛り上がりは最高潮へと一直線だ。

鋭さの中に優しさが共存している『ドラマ』から、「ついてきてください!」と『Fiction』へ。“消えてしまいたくなるそんなことばかりで 手を差し伸べてくれたのは いつも君達だよ”オーディエンス1人1人に向け、言葉を届けるように歌う夢人。彼が差し出した拳と合わせるように、フロアからも掲げられた無数の拳。HELLBROTHとファンの固い絆を感じたシーンだった。

ハンドマイクに持ち替えた夢人が「3.2.1、ジャンプ!」と扇動してメンバーもファンも一斉にジャンプした『オーケストラ』まで一気に8曲を駆け抜け、本編ラストに用意されていたのはアルバムでも最後を飾る『涙雪』。白と青の光に照らされる中、HELLBROTH流のミディアムロックバラードがエモーショナルに胸を打つ。
イントロで「ツアーでは特に動きとか無かったんだけど、ちょっとテンションが高いから・・・」と言って急遽みんなで拳を突き上げたり、コーラス部分を全員で歌ったり。メンバーとオーディエンスで『Pictures』の楽曲達を成長させた、実りあるツアーだったことを証明してライヴを締め括った。


すぐさま沸き起こったアンコールの声に応えて、ツアーTシャツに着替えた4人が「アンコールありがとう!」とステージへ。
「遂にツアーファイナルを迎えまして。ツアーをまわって培ってきた経験と育ててきた楽曲が、皆さんのおかげで形に仕上がったようなライヴになりました。ツアーを始めた当初はまだ身体に馴染んでいなかった新しい曲達も、皆さんと一緒にライヴを作ることでどんどん馴染んで、どんどん楽しくなって。その集大成みたいな日にできたと思います、本当にありがとうございました。」とお礼を述べる。
そして、「僕ばかり話していてもつまらないでしょ?メンバーの声、聞きたいよな?」と各メンバーがマイクを持つことに。

まずは、千歳が「ツアーファイナルを無事に迎えることができました。本当に皆さんのおかげです、ありがとうございます。HELLBROTHは4周年を迎えて、今日から5年目です。5年って凄いよね。これからも突き進んでいきたいし、僕はどんな歩みであろうと歩み続けることが大事だと思うので、これからもこの仲間達と最高の音楽を奏でていけたらと思います。ありがとうございます。」とリーダーらしく挨拶をして温かな拍手に包まれる。

続いて、「今日良い行いをした、けいと先生!」と振られた大熊は「恥ずかしいよねぇ(笑)。」と笑いつつ、ツアー中の出来事を思い返しながら話す。右足の負傷で実はこの日も痛みと戦いながらステージに立っていた千歳をねぎらったり、もはや動画撮影もせずにただ夢人を驚かすことにハマっている最近のマイブームを明かしたり。ステージ内外共に充実したツアーだったと笑顔を見せた。

その話を受けて、「くまちゃんがゆめくんを驚かせた動画をグループLINEにあげてくれるんだけど、動画で観ても面白くて笑えるし元気が出る(笑)。」と、てらが今後も動画のアップを希望すると、嬉しそうに「頑張ります(笑)。」と返す大熊。夢人が驚かされる日々は、この先もまだ続きそうだ。
「ツアー楽しかったね!」と全員一致の感想でまとめ、来年のHELLBROTHに関する告知へ。

まずは、遂に開催回数が10回以上となったHELLBROTH主催『暗黒武術界』がツアーとなって2026年2月に名古屋・大阪・渋谷で開催されること。
そして、その翌月の2026年3月にはSpring Oneman tour『Return to Voyage』が、同じく名古屋・大阪・渋谷で開催されることを発表した。
併せて、HELLBROTHとしての最初の作品『abduction』を現体制の生ドラムで再録しサブスクにてリリースすることが告げられると、喜びの拍手が沸き起こった。

「HELLBROTHは来年も精力的に活動していくので、よろしくお願いします!そして、今日のライヴも最後まで楽しんでいってください!『Signal』!」
後押しするようなオーディエンスの声と拳に向けて、“届いている”と何度も胸を叩いてみせる千歳。“遠回りでも繰り返しても この物語終わらない”4人が奏でる迫力に満ちたサウンドが、この先も力強く進む決意表明として突き刺さる。
「ラストです、みんなの声聞かせて!『プラネタリウム』!」
4周年まで、HELLBROTHが大切に育ててきた音楽と空間。
“奏で続ける 僕らは必ず 伝わるように歩幅を合わせていく”“君と歩こう 大事なこの道”最後に夢人が、真っ直ぐな瞳で“約束するよ みんなで未来へ”と歌った。バンドとオーディエンスが交わした未来への約束。この場所に集った全員がひとつになって大合唱する光景に、心が温かくなるエンディングだった。

それでも、まだHELLBROTHと共に過ごしたいと届けられたアンコールの声。ステージへと戻った彼らは、最後の最後に『Contact』をプレゼントしてくれた。
「本当に最高のツアーになりました!」と充実感を滲ませ、幸せそうな表情を浮かべるメンバー達。「応援してくれるみんなを、HELLBROTHは絶対に裏切らない!これからも頑張っていくよ、よろしく!」夢人の言葉が力強く響き、4周年の記念日は幕を下ろした。


『What’s your favorite view?』、このツアーでのかけがえのないたくさんの想い出は、それぞれの心のアルバムに保存され宝物となったことだろう。
ライヴ中の発表にもあった通り、HELLBROTHの物語はまだまだ続いていく。
晴れの日もあれば雨の日もあるし、歩いてみたり走ってみたり、寄り道する日もあるだろう。でも、どんな日だって、HELLBROTHと歩いていけばきっと笑顔になれる。
大切な想い出を胸にアルバムの新しいページを開いて、この先の未来を共に描いていこう。

写真:Lestat C&M Project   
文:富岡 美都(Squeeze Spirits)

関連リンク

◆Official Web Site https://hellbroth.bitfan.id/
◆Official X https://x.com/jigokutomodachi

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