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【えんそく】ライヴレポート<えんそく結成20周年記念単独公演「終末から来た青春映画」>2025.11.15 (土) EX THEATER ROPPONGI◆えんそく、感謝を伝えた結成20周年記念単独公演。新たに「無料有料2DAYS×10都市ツアー」を発表!「20周年、ありきたりな言葉ですけど、通過点ですから。ここまで俺らが続けてくるのを支えてくれて本当にありがとうございました!」

えんそくが、結成20周年記念単独公演「終末から来た青春映画」を11月15日、EX THEATER ROPPONGIにて開催した。
 
2005年、ミド(Ba)を中心に結成され、同年10月に活動を開始。2018年5月からは、ぶう(Vo),Joe(Gt),クラオカユウスケ(Gt),ミド,SIN(Dr)といった現在の5人体制となり、常に音楽へ斬新な発想をドッキングさせた唯一無二のバンドとしてヴィジュアル系シーンに君臨し続けてきた。実際、20周年を意識し始めたタイミングといえば、20周年へ向けて2年がかりで47都道府県を周るワンマン企画「いつか君の町にも~えんそくセイジンの儀~」を2023年に発表したときだろう。それ以降、劇的に増えた大型フェスへの出演や新宿・歌舞伎町シネシティ広場でのフリーライブを通してえんそくに触れられる機会を増やしながら、「えんそく、20周年だってよ!」と2年間お祝いムードを存分に楽しんできた。その“祭”のハイライトとなったのが、EX THEATER ROPPONGIという大舞台で開催した結成20周年記念単独公演である。
 
「いつかの放課後みたいに、わけわかんないことやろうよ!」――そんなふうにいつも“メチャクチャをやりながら、なによりも自分たちがそれを楽しみながら、えんそくは20周年を迎えた。かつての基準にのっとれば、20年という月日が経過すれば人は成人となり、立派な“大人”である。この度めでたくえんそくも大きな節目を迎えたわけだが、“最後のえんそく”という名の旅に出かけたあの日から、彼らが背負っている運命(さだめ)は変わっていない。それは、単に「大人になりたくない」というピーターパン症候群のようなものではなく、「たまには、あの頃のように“無茶”したっていいじゃん!」と、自分を解放することを是とする存在であること。“大人になったからこそ”伝え導くことのできる物語、これこそが“セイジンの儀”のハイライトともなる結成20周年記念単独公演「終末から来た青春映画」のあらすじ、もといえんそくが続ける旅のシナリオの本質にあるものなのだと思う。

《20年分のありがとうをこれからみんなに返すね》と締めくくられたオープニング映像に続いて、“放課後”を彷彿とさせるステージがお目見え。そこには学生時代に慣れ親しんだものや町中にあるもので溢れており、すぐさま異次元空間へトリップした。そして、我々の常識とも言える日常をぶっ壊すためにメンバーが登場し、『怪獣クモラの巣の町で』からスタートすると、なんとぶう(Vo)は歌いながらステージ上空から舞い降りてきたではないか……! メンバー各々が扮する歴代のキャラクター、楽曲の節々に登場する過去作品のモチーフが、あらゆる“懐かしい”をこの場へと連れてくる。初っ端から大放出されるユニークさに場内はドカンと熱をあげたが、えんそくが20年間で生み出してきたものすべてが結集したかのようなオープニングには思わず胸が熱くなった。

しかし、感傷に浸ってばかりはいられない。えんそくのライヴはひたすら楽しむべきものだと、昔から相場が決まっているのだ。早速『飛び出すメガネ』ではメガネを探し回り、『U.F.Oが来るまで』に至ってはヘンテコな踊りを一斉に始めると、その壮観なまでの一体感ぶりに思わずぶうが「気持ち悪い!」と言ってしまうほどだった。

「とにかく、今日せっかく来てくれたEX THEATERにいる人を、1人残らず楽しませたい」と、目の前にいるイイコ(ファン)たちへぶうなりの言葉で感謝を伝えた。そして、「わけのわからないことばかり、へんてこな曲ばかりやってきた20年だった」と振り返ったが、一際振り切っているとも言えるお馴染みの名曲『This is a pen.』へ。20周年ともなれば、ボールペンも上空から登場する。しかも、ライヴカメラがずっと宙ぶらりんのボールペンを映し続けるという、なんともシュールな画を見せ続けられたのだが、フロアでは“This is a pen.”に合わせて手を繋いでジャンプするなど、こちらもお馴染みの様子で盛り上がりを見せた。『象男ダダ・フィフィ』では、CO2が噴き出す中でヘッドバンギングや折り畳みを交えながらも、痛快なロックサウンドの中で象のポーズで制止する様は清々しいまでに異彩を放つ。それでも、ぶうに「ずっと意味わかんない歌ばっか歌ってきた。でも、それを聴きにきたんだよね!?」と言われたら、答えは「YES」以外ない。そこへ『1999年のブルース』といった、やりきれない思いを希望へと昇華してくれるメッセージソングが、ブルージーに放たれるギャップもまたいい。

ここで披露されたのは、『首吊り先輩がいる』をはじめ、タオルを回した『輪廻∞輪廻』、電車ごっこでフロアを駆け回った『ゴードン』、乗り物をバイクに変えてかっ飛ばした『とってもマッケンロー』、極めつけに肘バンを巻き起こした『戦慄!悪魔の肘バン人形』といった、キラーチューンのおいしいところだけを抽出したメドレー。さらに、ノスタルジックな『デジデリオ』や、Joe(Gt)とクラオカユウスケ(Gt)のギターのハモリが美しくも切ない『怪人ラボの夜』と、先ほどまでの狂騒ぶりと打って変わってじっくり聴き入ったセクション。続いた『マルチバース・オブ・ザ・デッド~5次元寄りの死者~』では、“青春のゾンビ”となって再び躍動感が漲っていく。正直、ここに綴られたストーリーのぶっ飛んだ世界観に理解が追いつくには時間を要するのだが、“無茶苦茶だぜ! 無茶苦茶だろ! 無茶苦茶でいいよな!?”と全員が声を大にして歌う様子に無性にこみ上げてくるものがあるというのが、えんそくマジックでもある。

「俺たちとバカみたいな青春やろうよ!」と、『ブルーハーツ』でさらに純粋な気持ちを爆発させる中、ヤンチャに好きなものを羅列するフレーズ内でぶうは、“えんそく大好き”と歌い替えてフロアに投げキス。そして、マイノリティな同志を引きずり込む『放課後毒電波クラブ』、『ししゃもパワーX』といったアッパーチューンを畳みかけて、休む間もなくオーディエンスをアジテートしていった。

「これからも、どんどん攻めていきましょう。20周年で終わりじゃないんで。20周年の先も、一緒にえんそくの革命を手伝ってください。えんそくで楽しんで、誰かをビックリさせて、こんなにおもしれぇことが世の中にあったんだって、誰かの日常をひっくり返すのを手伝ってください」と、こんな風に“戦闘員”に任命されたら、思わず「イーッ!」と返事をしたくなる。開戦のアンセムとなった『少女戦闘員M、踊る。』に続いて、『死んで死んでラバーソール』では「くだらねぇよ、死んでやっと“いいね”がつく人生なんて!」と、風刺も交えながら生き様を刻む。一転、『世界の終わりに至る病』や『キャトル』で晴れやかにシフトしていくも、えんそく流に惡道へ導いていく姿勢には、まったくブレがない。こうしてラストを飾ったのは、『宇宙大天使土曜日』。“これから もう君に辛いことなんて 何一つおこらないよ”を“おこさないよ”と歌い替えていたところを見ても、曲の前にぶうが添えた「今日が終わっても、明日も、これからもずっと最高の“終末”の中を生きられるように」という言葉がイイコたちへ向けた願いやおまじないではなく、えんそくの誓いとなって届けられたことを強く表していた。

ガンダーラ(アンコール)を受けて再びメンバーが登場すると、まずはぶうが「我々は、我々にあった方法で来年もかっ飛ばしていくことに決めました! やっぱりえんそくは、みんなと一緒に盛り上がっているライヴを見せて、どんどん拡大していくバンドだと思うので、しこたま無料ライヴやります!」と、直近で発表された『無料有料2DAYS×10都市ツアー「ボクラの21世紀改造事件」』に触れた。さらに、20周年ということを受けて1人ひとりがコメントする場面もあった。

「20周年ということでガンガンやってきて、こんな結果ができました。本当にどうもありがとうございます。まだまだ来年、みんなを引き連れて全国いろんなところに行きたいと思います」(Joe)

「えんそく、20周年おめでとうございます。僕はすべてに関われたわけではないんですけど、途中腕をぶっ壊してドラムが叩けない時期もありましたけど、今日という日を迎えられて本当によかったなって思ってます。これから先、30年、40年……とりあえず25年かな。みんなと一緒に目指していきたいと思うので、これからもよろしくお願いします」(SIN)

「これが20年目のえんそくです! みんなも含めて20年目のえんそくだなって、ライヴをしながら思いました。続きを、お楽しみに!」(ミド)

「一生懸命、昨日考えたことを思い出してたんだけどさ……みんなの顔を見たら忘れちゃったよ!  思い出せないよ!  本当に20年やってきてよかったよ!  本当にありがとね!」(クラオカユウスケ)

「20年やってきた中で、今が一番安定してバンドをやれているんじゃないかと思いますんで、もうね! これは末永く続いていくんじゃないかと思いますので、安心して。あと敵は病気と怪我だけですね!――20周年、ありきたりな言葉ですけど、通過点ですから。今日は20周年をみんなに祝ってもらおうというよりも、ここまで俺らが続けてくるのを支えてくれて本当にありがとうございました」(ぶう)

『アイツが町に帰ってきた』で、「お前たちの日常を壊しに来たぞ!」と再び襲来するように“ガンダーラ”(アンコール)の演奏がスタート。『少女怪獣バンギャルラ』では、クラオカのギターを筆頭にメタル・サウンドが炸裂し、楽器隊がフォーメーションを決めながらソロを披露。そして、「ずっと、僕たちの旅を見続けてください。最後はもちろん、僕らの終わらない旅のテーマを皆さんに捧げます!」と、『最後のえんそく』で銀テープが宙を舞う中、えんそくが、えんそくを続ける大義名分を示してエンディングを飾ったのだった。こうして、SE『未来のイイコ』に乗せて5人が手をスイングする恒例のフィナーレを迎え、またしてもぶうは上空へと帰っていったのだった……。

ぶうの言葉を借りるならば、えんそくのワンマンライヴに来る人は皆、“仲間”だ。そんな仲間たちと在りし日の“放課後”に戻って、新たな歴史を刻んだ日。20周年の記念公演ならではの演出も随所にみられ、楽曲を通したエンターテインメントが冴えわたっていたのは言わずもがなだったのだが、実は一番印象に残っているのは、5人が純粋にメンバーと音楽を楽しんでいる姿だったように思う。そこには実直なロックがあって、それゆえにえんそくの唯一無二であるエンタメの爆発力が生まれることを痛感させられた。これからも大人だからこそ楽しめる、誰かの常識をひっくり返す阿鼻叫喚な青春は続いていく。

文:平井綾子
撮影:NORI/林ユバ

SET LIST

1. 怪獣クモラの巣の町で
2. 飛び出すメガネ
3. U.F.Oが来るまで
4. This is a pen.
5. 象男ダダ・フィフィ
6. 1999年のブルース
7. えんそくメドレー(首吊り先輩がいる / 輪廻∞輪廻 / ゴードン / とってもマッケンロー / 戦慄!悪魔の肘バン人形)
8. デジデリオ
9. 怪人ラボの夜
10. マルチバース・オブ・ザ・デッド~5次元寄りの死者~
11. ブルーハーツ
12. 放課後毒電波クラブ
13. ししゃもパワーX
14. 少女戦闘員M、踊る。
15. 死んで死んでラバーソール
16. 世界の終わりに至る病
17. キャトル
18. 宇宙大天使土曜日

ガンダーラ(アンコール)
19. アイツが町に帰ってきた
20. 少女怪獣バンギャルラ
21. 最後のえんそく
END SE. 「未来のイイコ」

LIVE

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5/2(土):柏PALOOZA(無料)
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6/26(金):横浜ReNYβ(無料)
6/27(土):横浜ReNYβ
7/10(金):金沢AZ(無料)
7/11(土):金沢AZ
8/11(火祝):埼玉会館小ホール(無料)
8/12(水):浦和Narciss
9/25(金):札幌SPiCE(無料)
9/26(土):札幌SPiCE
10/17(土):仙台MACANA(無料)
10/18(日):仙台MACANA
11/14(土):福岡DRUM Be-1(無料)
11/15(日):福岡DRUM Be-1
-FINAL-
12/??(?):後日発表(無料)
12/??(?):後日発表

関連リンク

えんそくHP
http://ensoku.in/

公式X
https://x.com/ensokuchan

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