【umbrella・春(B)× メリー・ガラ(Vo)】先輩後輩の垣根を超えたふたりの語らいと、ガラからの語りかけにより生まれた“とても冴えた名案”とは……!

なんでも言ってもらえたらやれることは全部やりますよ(ガラ)
────ということは、今年も丁々発止な熱い一夜となりそうですね。
ガラ あとさ、ほかのバンドがどうかはわかんないけど。俺らはもう3回目だし、そろそろ絡んでもいいんじゃないかなと思ってて、そのことを今日はちょっと春くんと話したかったんだよね。春くんが俺らのステージに上がってくるとか、そういうのって今まではなかったじゃん。最後のアンコールの時にみんなで出てくとかはあったけどね。でも、せっかくなんだから次はそういうのもありなんじゃない?
春 ありです、全然ありです。その日しか観られない場面を作るっていいですね。素晴らしい提案をありがとうございます!
ガラ 柊(umbrella・Gt)くんが出て来てうちの結生とツインギター、っていうのも面白そう。
春 おー、それもいいですね。柊は結生さんと顔がちょっと似てるって言われてたりもしたんで、その2人が並んでる図は見てみたいかもしれない(笑)。
ガラ じゃあ、なんかやろ?
春 大丈夫です。メンバーに振ってから、すぐガラさんに連絡します!
ガラ なんなら俺もumbrellaのステージ出たいけど。このあいだ聴いてて、これ歌いたいなっていう曲あったんだよね。なんだっけ……あ、「傘はいらない。」だ。umbrellaなのに傘はいらないんだ、って思ったんだよね。
春 それ、自分もすごい好きな曲です。ってことは唯くんとのデュエットが実現しちゃいますかね!?
ガラ いいんじゃない? 全然いけますよ。
春 じゃあ、僕は「ジャパニーズモダニスト」とか一緒にやれたら嬉しいです。早速、LINEでグループ作ってやりとりさせてください。
ガラ オッケー。なんでも言ってもらえたらやれることは全部やりますよ。
────これは大変興味深い展開になってきましたね。なお、今年はumbrella、3回連続出場のメリー、有村竜太朗氏、さらにはこのメンツの中だと最も若手となるザアザアの4アーティストが揃うことになりました。ガラさんの場合、顔ぶれが変わることによってステージング面での戦略を考慮する点が出て来る可能性はありますか。
ガラ 僕らは25年やってて、何本かは自分たちがずっと研いできた刀を持ってますから。その日の戦場に上がってみて、「じゃあ今日はどの刀で行こうか」っていうくらいなものですね。磨き続けてきたものを出せばいいかなって思いますし、今さら何か変なことやったりとか、そういう気持ちは全然ないです。

────これはあくまで褒め言葉なのですが、ある意味では“変なこと”を長年、様々なかたちで極めてきたのがメリーですものね。
ガラ あははは(笑)。まぁだから、そうやって自分たちが研いできた自信のあるものを出せればちゃんと刺さるっていう風に思ってます。今年は誰が来るんだろう?っていうのも楽しみにしているところだったんですけど、今回はumbrellaだけに雨が似合う人たちばっかりだよね。
────確かに。梅雨時のイベントにふさわし過ぎる顔ぶれだと感じます。
春 まずはメリーからOKをいただいて、有村さんに関しては唯くんがすごくお世話になっているので、ほぼ同時進行で交渉してて無事決まった感じでしたね。ザアザアはもともと大阪を拠点にしてたバンドやし、以前から僕がオファーをかけていたんですけど、今年ようやくスケジュールの都合がついたんですよ。
ガラ でもさ、去年と一昨年は5バンドずつ出てたよね?
春 そうなんですけど、今年はこの4組が揃った段階で唯くんとも「これでいこう」っていう話になったんです。バランスも取れてるし、この顔ぶれで固めたほうがいいなということで。そもそも、<路地裏サーチライト>は「出演バンド数はそんな多くなくてもいいから、ちゃんとじっくり観られる場を設けて、自分たちがいいと思うバンドだけを集めたイベントにしましょう」というコンセプトから始まったものなんで、今回はあらためてその原点を重視したということですね。
ガラ 一昨年がうちらとNoGoD、CASCADE、deadmanだったでしょ。で、去年が色々な十字架、heidi.、メトロノームだったじゃない。結構バラバラなカラーのバンドを呼んでたイメージがあるんだけど、今回のこういうちょっと近しい世界観を持ってる4組でやる<路地裏サーチライト>もいいよね。あえてこういうメンツにしたっていうことは、今のumbrellaって「自信があるんだろうな」ってちょっと思った。こういう色の中でも俺らはかませますよ、っていうことなんだろうなって。
春 あ、ガラさんはそういう解釈をしていただいたんですね。
────4組とも雨が似合いますし、音や歌詞からもそれぞれに湿度が感じられるところは特徴的かと思います。
ガラ 雨の降り方がみんな違うから(笑)、それをumbrellaという傘でどう受け止めてくれるんだ?みたいなイベントになりそう。
春 わかりやすい表現ですね。さすがヴォーカリスト!
ガラ 最近はそうやって、ちょっとイジってくるようになったよね(笑)。きっと、そういうのも自信の表れのひとつなんじゃないのかな。
umbrellaそのものに対して<路地裏サーチライト>を当てたい、という気持ちが大きかった(春)
────umbrellaも今年で16周年を迎えられましたし、着実にキャリアを積み重ねて来られた成果が今、様々なかたちで表れてきているのだと思われます。
春 しんどい時期はだいぶ長かったですけどねぇ(苦笑)。特に初期の頃は、さっきの話にもちょっと出てた攻撃的な部分をumbrellaはあまりライヴで出してなかったんですよ。今よりもっともっとしっとりしたライヴをずってやっていて、当時の大阪にはそういうバンドっていなかったですからね。かなり孤立した活動が最初の5年くらいは続いてたんです。イベンターさんからも、当時「関係者ウケはするけど、ブッキングするとなると呼びにくい」ってめちゃくちゃ言われてました。
────今思うと、10年前の2016年にシングル「アラン」を発表したあたりからumbrellaはだんだんと変化していったのかもしれません。
春 試行錯誤はかなりしました。ライヴのやり方も変えていったし、音楽的な趣味とかもどんどん変わっていって、いろんなものを吸収しながらアウトプットの仕方も変わってきて、そのうち今みたいなライヴの雰囲気が生まれていくことになったんですよ。
ガラ そうやって辛い時も歯を食いしばって、未来をちゃんと見据えて、希望を持って進んできたバンドはやっぱ強いよね。
春 それでいったら、メリーはとにかくタフなバンドじゃないですか。25年ずっとライヴも全力やし、どんなイベントでも全力疾走みたいな。気持ちのとかはないんかな?っていつも感心するんですよ。
ガラ そりゃあまぁ、今日はカラダ痛ぇなとか調子悪いなって時はあるけど。そんなのステージ立っちゃったら忘れちゃう(笑)。
────ガラさんは身体面での不調と闘っていらした時期もありましたし、痛みも我々の想像を絶するものだったとは思うのですけれど、ライヴでのアドレナリン分泌作用などもありつつで苦境を乗り越えて来られたのかもしれませんね。
ガラ きっとそれもあると思います。なんか、ライヴをやることが自分にとってのよくわかんない薬みたいになってるとこはあるんですよ。それに、どんな状況だろうと「この人たち勢いなくなったな」とか絶対思われたくないし。ただ昔のみんなの思い出であろう曲をやって、聴けてよかっただけでは終わらせたくもないし、観た人たちに「やっぱすげぇ!」って感じさせないとね。
────ガラさんが25年を経てなお、あれだけの高い熱量をステージで発揮出来ている、その秘訣はなんなのでしょうか。
ガラ どうなんだろう? ジム行ったり、走ったりとか? 周りでそういう話は聞きますけど、僕は普段そんな鍛えたりしないんでわかんないです。でも、とにかく僕らより若い世代のumbrellaから「地元の大阪でイベントやるんで出てください」って言われたら、手は抜けないですし奮起しますから。おそらく、僕にとってはそういうことが良い刺激になってるんだと思います。だから、これでもし呼ばれなくなったら「そういうことなんだろうな」って僕は悟るんでしょうね。そうならないようにしたいんですよ。
────バンドにとってはワンマンライヴで色濃い世界を表現していくことも大切である一方、対外試合を続けていくことで培えるものも多々あるということなのですね。
ガラ 自分たちだけでツアー回ってると、良くも悪くもそこがすべてになっちゃいますからね。イベントみたいにインプットとアウトプットを両方やれる場所もあったほうが、バンドとしてもそうだし、自分の精神的にもいいんじゃないかと思います。25年やってるとは言っても、まだメリーを観たことがない人もたくさんいるわけですよ。そういう中でイベントの舞台に上がると、バンド始めた当初の気持ちになれることも大事なんです。その感覚は忘れちゃいけないものだって、近年はますます感じてるかな。ステージに上がれることは当たり前じゃないとか、いつまでもバンドをやってられるわけじゃないとか、永遠っていうものはないんだよ、っていうことがわかってしまった分だけね。ワンマンでもイベントでも、一本一本を大事にしたいってここ数年は心から思ってます。
────もし、まだメリーを観たことがない人たちがいるのだとしたら、ね。今度の<路地裏サーチライト>では、初めてumbrellaを観る方々がいる可能性もありそうですね。
春 12年前、唯くんが<路地裏サーチライト>っていうイベントタイトルをつけた時に考えてたのはまさにそういうことだと思うんですよ。いろんな良いバンドを紹介したいっていうのもそうですけど、これだけいい音楽をやってるのに……っていうストレスを抱えてたumbrellaそのものに対して<路地裏サーチライト>を当てたい、という気持ちがやっぱり大きかったので。その根底の部分は今も同じです。
────そんな<路地裏サーチライト>が、今や大阪・BIGCATのような規模感の会場で開催されようになったことにも大きな意味と意義がありますね。
春 小規模なイベントは別として、大阪でのヴィジュアル系のイベントって減りましたからね。大阪で長くやってた我々としては、大阪にいるヴィジュアル系が好きな人たちに対して、umbrellaはこういう場を作っていかないとあかんキャリアになって来てるっていう自覚があるんですよ。なかば責任感を持ってやってると言っていいですね。俺らがやらんかったから、誰もやらんくなっていくやろうなって。
ガラ 自分たちが先陣切ってやってかなきゃ、っていう立場にumbrellaもなって来てるってことなんだね。
春 大変は大変ですけどねぇ。でも、続けていくからには若手にも「<路地裏サーチライト>に出たい」って思ってほしいですし。毎年いろんな人たちに楽しみにしてもらえるイベントとして、これからもこのイベントを育てていこうと思ってます。
ガラ 僕らとしても少しでも力になれるように、今度の6月23日にはメリーにしか降らせられないメリーらしい雨を降らせたいなと思いますよ。
春 とてもありがたいです。良いイベントになってくれると、メンバーのモチベーションにも繋がりますから。「自分たちもバンドとしてもっと大きくならなきゃ!」って。
ガラ モチベーションと言えばさ。春くんのチャーシュー作りに対するモチベーションもどんどん上がっていくじゃないの? 今年はこんな味にしようかなとか(笑)。
────チャーシュー作りに対するモチベーション、とは??
春 実は、楽屋飯として好評なチャーシューがありまして。
ガラ 春くんが毎年差し入れてくれてるんですよ。あれ、また食べたい。
春 ガラさんがそうおっしゃってくれるなら、今年も2キロくらい仕込みますか。煮玉子付きで。
ガラ いいね! ライヴも楽しみだけど秘伝の味も楽しみにしてるね(笑)。
取材・文 杉江由紀
写真 寫眞館GELATIN(umbrella)

■2026年6月23日(火)umbrella presents 路地裏サーチライト 心斎橋BIGCAT OPEN17:00 START17:30 【CAST】umbrella、有村竜太朗、ザアザア、メリー 【チケット料金】 前売 6,500円 当日 7,000円 ※税込・ドリンク代別途 チケット一般発売中! https://eplus.jp/umbrella/
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