【ライヴレポート】Royz Presents 「家族祭」2026年6月5日(金)川崎CLUB CITTA’◆Royz主催によって開催された『家族祭』。B.P.Recordsが大集結した一夜、“家族”の絆が生み出した大饗宴。「家族の皆さん、少しでいいので僕らに夢を託してください」(昴)

Royz主催によるイベント『家族祭』が、6月5日に川崎CLUB CITTA'にて開催された。ここに集結したのは、己龍の酒井参輝、一色日和、遠海准司による“三位一体”、CODOMO DRAGON、そしてオーガナイザーであるRoyz。この顔ぶれを見れば、かつてB.P.Recordsのレーベルイベントとして親しまれた『FAMILY PARTY』を思い浮かべるファンも少なくないだろう。『FAMILY PARTY』を和訳すれば読んで字のごとくではあるが、『家族祭』というタイトルを掲げた理由は、“B.P.Records主催”ではなく“Royz主催”だからということに尽きる。昴(Royz / Vo)はMCで「いつになるかわからへんけど、生きてさえいれば集まれる日は来るんじゃないかと。その日まで(『FAMILY PARTY』は)閉じ込めておこうかなって」と語りながらも、「シンプルに、久々にみんなと会って昔みたいに喋りたいなと思った」と旗を振ることになったきっかけには純粋な想いが垣間見えた。
前回から10年以上の時が経ち、再び“家族の集い”ならではの空気に満たされていたものの、この間に各バンドは進化を遂げ、バンドの形も変化してきたからこそ当時と“同じ”ではなかった。それでも、和製ホラーという唯一無二の世界観を築き上げる長男・己龍。超絶的なカリスマ性と独創性を武器として怖いものなしに牙を剥く三男坊・CODOMO DRAGON。そして、9月16日に日本武道館公演に臨むほどに大きな飛躍を遂げたことに加え、レーベルメイトを担ぎ出すほどの頼もしさを見せた次男坊・Royz。同じレーベル内でそれぞれの個性を確立してきた3組が、“今”再び同じステージに集ったときにどんな“特別な祭”を生み出したのか――その模様をお伝えしていきたい。
■CODOMO DRAGON

トップバッターを務めたCODOMO DRAGONは、「行くぞ、川崎!」とハヤト(Vo)の叫びを合図にバンドインした『クロトアカ』からパワフルな幕開けを飾った。かつてカップリングCD『FAMIRY PARTY』に収録されていた楽曲から始めるという粋なチョイスだったことを抜きにしても、一瞬にして大衆をフルボルテージへ巻き込んでいく威力は“家族”が集う日ともなれば格別といったところ。続く『修羅』ではヘッドバンギングが炸裂し、その様子を見つめるハヤトの表情には満足げな笑みが浮かんでいた。

「Royz、“日本武道館”公演決定、心からおめでとうございます。事務所の三男坊としてお呼ばれしたからには、盛り上げていこうと思います」とメッセージを挟み、『帝王切開』『ダビ』と狂暴性と中毒性を内包した楽曲を畳みかけていく。一変して『トワイライト・ディスコード』では儚げな心の咆哮を内包した浮遊感を体感させ、ゆめ(Gt)がスポットライトを浴びながら奏でる哀愁を帯びたギターが冴えわたった『耳鳴り』と、繊細な部分も大胆に見せつけていた。

「仲間として、生意気な弟分として、ぶちかましていくぞオマエたち!」と、改めて火をつけたラストスパート。『無能bot』では、meN-meN(Ba)とチャム(Dr)の強靭なリズム隊が軸となって“協調性”を唱えながら一体感を生み出し、「ド派手に」という言葉を体現していたのがラストの『RIGHT EVIL』。3バンドのファンが惜しみなく頭を振り出す情景は痛快で、ステージ上の4人も最後の一瞬まで見事にスパークしていった。


“うるさい”は、CODOMO DRAGONにおいて最高の誉め言葉であると認識している。この日ハヤトは「“音楽”をやろう」とフロアに語りかけていた。彼らにとって音楽とは、自分たちのポテンシャルを試し、追随を許さない孤高のセンスを提示するためのもの。そして、その感覚を共有できる人々と最強の集団を形成するためのものでもある。これらのCODOMO DRAGONが持つ凶器のような強さを、改めて見せつけるアクトだった。
■三位一体
続いて、SEが鳴り出した途端に怒号のような叫び声が湧き起こり、その中心に現れたのは三位一体だ。“酒井参輝、一色日和、遠海准司が己龍の楽曲を演奏する”という事実だけでも、ファンがこの日をどれほど待ち望んでいたかを物語る熱気であり、己龍のライヴを体験したことがある者からすると「こうでなくちゃ」という気迫を感じずにはいられない。『アナザーサイド』からスタートするや否や、惜しみない爆発力を発揮。“緑”の照明から順にメンバーカラーに照らされた中で繰り広げられたソロセクションでは、どんなに形が変化しようとも“己龍”の音を鳴らす場にはいつだって“5人”の鼓動が息づいていることを改めて思い知らされた。『紫触』へと続いても、3人が揃うことに対してのブランクを感じさせない息の合ったステージを展開。『井底乃蛙』では童謡遊びのように観客同士が手を繋いで揺れ、『天照』では流麗な旋律と激烈な演奏が鮮烈なコントラストを描き出した。
MCでは、一色日和(Ba)は「音数も多いし速い……やっぱり“これが己龍だな”」と語り、遠海准司(Dr)も「やっぱりいいな」と素直な気持ちを口にしていた。酒井参輝(Gt)も、“曲の速さ=正義”といったポリシーは曲げないと語りながら、Royzの日本武道館公演に向けてメンバーとファンに祝福とエールを贈っていた。



こうして、メタルさながらのハードなサウンドに回転ヘドバンが炸裂した『残月』や、『九尾』では“今宵は宴なり”というフレーズがこの日の祝祭感をより鮮やかに彩り、ギターソロの場面ではウェーブが巻き起こる。カオスな轟音を響かせた『百鬼夜行』で一糸乱れぬ一体感を生み出し、ラストの『鵺』まで駆け抜けていった。なお、三位一体のライヴを締めくくった3曲は、己龍が過去3度、日本武道館公演を行ったタイミングでリリースした作品の表題曲。自らの経験を踏襲した締めくくりは、これから日本武道館へ臨む弟分・Royzを後押しする意味も込められていた。
ファンはもちろんのこと、メンバー自身も己龍という存在の特異さと大きさを実感していたのかもしれない。しかしそれは“過去”を懐かしむためのものではなく、今もなお揺るぎない存在感を放ち続けていることを証明するステージだった。

■Royz
「Royz、始めます。よろしくお願いします」と登場した、本公演のオーガナイザーであるRoyzが大トリを務めた。さっそく、己龍のファンには“扇子”を、CODOMO DRAGONのファンには“キラキラリング”を、Royzのファンには“Royzスティック”を掲げるように呼び掛けた昴は、「久しぶりなやつやろう。『家族祭』やろう!」と宣言して、『囁姫遊女』へ。各バンドの象徴に満ちたフロアはダンサブルソングで一体となり、メンバーも無邪気な表情を浮かべながら“祭”を心から楽しんでいるようだった。しかし、「行くぞ! 最後まで派手な1日にしょうぜ!」と智也(Dr)の迫力あるドラミングと公大(Ba)のシャウトが引き立つ怪しげな『VENOM』からは、完全にRoyzモードに突入した。続く『マーブルパレット』では「誰よりも楽しんで帰ります!」を有言実行に移すように、嬉々とした空気がステージ上に溢れかえっていく。「10年の間にいい曲いっぱいできたんで、聴いてくれよ」と披露されたのは、『紫苑』。歌のロングトーンも絶好調で、どんなシチュエーションにおいても哀愁漂う楽曲をしっかりと披露し、観客を惹きつけることができるのは間違いなくRoyzの武器だと言えるだろう。


さらにこの日、中盤のMCではとっておきのサプライズが待っていた――。「このイベントをやるにあたって、役者が足らんなと思って」という前振りを受けて流れ出したのは、己龍の黒崎眞弥と九条武政からの音声メッセージだった。いずれもRoyzの日本武道館決定に関するお祝いや、思い出エピソードが語られたが、なによりも嬉しかったのは両者の声から変わらぬ姿が想像できたこと。姿はなくとも、この会場にB.P.Recordsが勢ぞろいした瞬間だったといっても過言ではないだろう。さらに昴は、かつてのレーベルメイトである零[Hz]とBabyKingdomの名前も挙げ、Royzの決意である日本武道館公演を“家族”へと堂々と報告した。本当に、Royzの人情と男気には心から拍手である。
クライマックスへと差し掛かり、カップリングCD『FAMILY PARTY』に収録されていた『Emotions』、さらに『ANTITHESIS』でメンバーとファンとが一心同体となっていく中、昴はこう話し始めた。
「結成して17年目。日本武道館を発表して気持ち的には楽になるのかなと淡い期待を抱いていましたが、真逆も真逆で、今とてつもないプレッシャーです。己龍は何度もこれを超えてきたんだなと思うと勇気をもらえるし、様々な変化もありながらもなお熱くバンドをやっているコドモドラゴンを見ると勇気をもらえます。夢を叶えていこうと思います。家族の皆さん、少しでいいので僕らに夢を託してください」

ここで披露された、センターで“クロス”する照明を受けて歌い始めた『SOUTHERN X_サザンクロス』は、素直に自分たちの生き方を映し出す楽曲。どう生きたいかを歌う曲を険しい表情でなく、笑って歌い切る強さを手にしたRoyzは、「行ってきます!」という言葉と共に『GIANT KILLER』でエンディングを迎えた。杙凪(Gt)が圧巻のギターソロを披露する直前には、上手へ足を運んだ公大が杙凪の胸元に拳をあてた様子も印象的だったが、全編通して、今、一世一代の挑戦へ向かうRoyzがかつてないほど強く一丸となっていることを物語っていたのだった。

こうしてフィナーレには全員がステージへと集結し、己龍・Royz・CODOMO DRAGONの共作『繚乱レゾナンス』で大セッションとなった。昴がこの日を迎えるにあたって最初に思ったことは、皆に対して「今もミュージシャンを続けてくれてありがとうございます」ということだったという。「誰も叶えられなかったことを叶えてやるよ」という言葉も残していたが、もっとも、その“誰も叶えられなかったこと”が何を指すのか、我々にはわからない。本人たちにさえ、まだ明確なヴィジョンが見えているのかは定かではない。ただし一つだけ明確なのは、「楽しくなるのに理由はない」という衝動的なエネルギーから開催に至ったこの『家族祭』は、Royzにしか成し得ないものだったと思う。きっと、“下剋上、その先へ”と冠した日本武道館公演の先にも、その瞬間にしか生まれない希望が待っているはずだ。

Photo:Kyoka Uemizo
Report:平井綾子(Ayako Hirai)
SET LIST
<CODOMO DRAGON>
1.クロトアカ
2.修羅
3.帝王切開
4.ダビ
5.トワイライト・ディスコ[-ド]
6.耳鳴り
7.無脳bot
8.RIGHT EVIL
<三位一体>
1.アナザーサイド
2.紫蝕
3.井底之蛙
4.天照
5.残月
6.九尾
7.百鬼夜行
8.鵺
<Royz>
1.囁姫遊女
2.VENOM
3.マーブルパレット
4.紫苑
5.Emotions
6.ANTITHESIS
7.SOUTHERN X-サザンクロス-
8.GIANT KILLER