【ユナイト】ライヴレポート<UNiTE. 2025 Oneman Live Tour 『FANTASTIC NERDS』>2025年7月12日(土)下北沢シャングリラ◆ユナイト、全22公演からなる“ファンタな”夏のワンマンツアー「FANTASTIC NERDS」がスタート!「このツアーを通して、大きくなった先でまた出会えることを楽しみにしております! 一緒に大きくなってくぞ!」

ユナイトが、〈UNiTE. 2025 Oneman Live Tour 『FANTASTIC NERDS』〉を7月12日の下北沢シャングリラ公演よりスタートさせた。今ツアーの注目ポイントは、なんといっても6月にリリースされたフル・アルバム『FANTASTiC』がセットリストの軸となってくること。現メンバーとなってから初めて制作されたアルバムには20曲が収録され、内12曲が新曲という渾身の作品は、メンバー全員が手掛けた楽曲を収録しているがゆえのバリエーション、そして20曲を通して聴いたときの完璧な展開からして、まさしく「このアルバム1枚でライヴができる」といった仕上がりだった。
こうして、迎えた 『FANTASTIC NERDS』ツアー初日。通常、ツアー初日のレポートは今後のネタバレ回避のためにライヴの詳細な内容を避けがちではあるが、翌日に行われた町田プレイハウス公演のセットリストを踏まえても、ツアー初日は“あえて”のスペシャルな内容であったことは明らかであったため、むしろしっかりと流れを追いながらレポートしていきたいと思う。
ずばりツアー初日のスペシャルな内容とは、アルバム『FANTASTiC』の楽曲を収録順に演奏することだった。そして、それはとにかく素晴らしかったということをなによりも最初にお伝えしておきたい。ライヴは、アルバムの楽曲を部分的にサンプリングしたSEに乗せてメンバーが一列に並んで登場し、『hananone.』から幕を開けた。アルバム収録の新曲の中でも、既に披露されている回数の多さから一番U’s(ファン)に浸透している印象の『hananone.』は、希(Vo)がユナイトで初めて作詞・作曲を手掛けた楽曲。加入から2年、“ユナイトのヴォーカリストとして”の思いを解像度高く描いた楽曲を披露していく中フロアに目をやると、その想いを具現化するようにセンターには希のメンバーカラーである黄色のライトがまっすぐ道を成すように伸びていた。

続いて、『ファンタスティック』のアイリッシュな雰囲気のイントロが鳴り出したそこへ「『FANTASTIC NERDS』1日目、始まったぞ! 最高に楽しんでいこうぜ!」と希が無邪気に叫んだのを合図に、場内は一層アグレッシヴにシフト。そもそも、今ツアーのタイトルである《FANTASTIC NERDS》というのは、ユナイトをシンボリックに表すものとして考案されたものだという。確かに、現在のユナイトの音楽やライヴ、ヴィジュアルのアプローチにおける“凄み”を形容するのに“ファンタスティック”というワードは実にしっくりくるもので、そんなワードをタイトルに掲げた楽曲をメンバーカラー5色の照明を受けながら笑顔で演奏する姿は、音楽を軸に固い結束を映し出しているようで非常に魅力的に映った。しかしそれは抽象的なものではなく、『 [about us]』で希が“僕らはきっと 今ならきっと 終わらねぇよな、行くぞ!”と語尾を強めに歌い替えたのを受けて莎奈(Dr)がお得意のアドリブフレーズを交えながらドラムを叩きつけるといった、その場に起こる臨場感の連鎖にしっかりと表れていく。

そして、ツアーのスタート=“夜明け”に掛けて披露した『4:19 A.M.』に続いた『empty mellow』では、作曲者であるハク(Ba)も自らマイクに向き合いながら、観客のコーラスも相まってエネルギッシュぶりを発揮。さらにテクノポップな『酔性キャンディ』でも歌詞に準えたコーラスが起こるなど、U’sと新曲を共有していくところも見事だ。既存曲ならではのスキルフルな面も覗けた『iScream』を経て、懐かしいJ-POPテイストで聴かせた『ないけど』へ。莎奈の視点で現在のユナイトをありのままに綴った楽曲だけに、ライヴ空間ともなればメンバーはもちろん、そこにファンも加わって足並みを揃えて軽快に体を揺らしていった。

中盤に差し掛かり、場内にアナログな音声が流れ出すと楽器隊が捌け、ステージには希一人となった。逆光の効果もあって、より歌に集中できる環境の中で歌い上げられたヴォーカルソロ曲『somewhere not here.』で一旦会場の熱はチルアウト。そして、『∮0→2dx』が流れ出して再び5人がステージへと揃うと、「『FANTASTIC NERDS』、Are you ready?」と改めて一体感を感じさせながら『灰色の心象へ胡乱の詩に軽い音』、『sheeple cirQus』へと一息に畳みかけながら狂騒を巻き起こした。

いよいよ、ライヴも後半戦。ここまで来れば、オーディエンスの大半はおおよそアルバムの曲順通りに展開されていくことが予想出来ていたのではないだろうか。それにしても、新曲に対する順応力が高すぎる。これに関しては、事前にFC会員へ向けて(※現在は希のInstagramでも公開中)スプレッドシート形態でレギュレーションがあったことがこのタイミングのMCでも話題となっていた。しかしツアーへ向けて万全の準備を整えてきたのは、メンバーも同じ。マニアックな曲展開の『ぜったいれいど』は“こうかは ばつぐんだ!”と言わんばかりのさすがの仕上がりで、『菟』で見せたダークながらも大人びた表情もいいアクセントとなっていた。そして、「俺たちは“ファンタスティック”であり、天才である!」と希が巧みな一言を添えて突入した『cogito天才の』に続いたのは、『sheeple cirQus』の後日談でもある『sheeple repliQo』。こちらも既にライヴで披露されていた1曲でもあり、前者のフレーズを使用するギミックの利いたゴシックダークネスな曲世界が早くも馴染んでいるようでもあった。そこへ、まるで壮大な星空が広がる空間へ導くような導入をプラスして披露した『星躔』を通して届けられたのは、ストレートなバンドの展望だった。

「アルバムの新曲の中でも、僕らの周りで“名曲”という噂がはびこっております」と、希が紹介したのが『balloon flower』。これまでも、ユナイトにはいわゆる歌ものやバラードと呼ばれる類の楽曲は数多あったが、それらの上位互換と言えるほどの完成度を『balloon flower』から感じたのは確かである。そしてそれを、希の歌唱力、楽器陣の高い演奏力でシリアスサイドへ没入感を高めて披露できるところに、今のユナイトの真価が表れていたと言っても過言ではない。この日も初披露でそれを実行して魅せたところに、音楽という軸を大切にしてきたユナイトの本質に胸を打たれた場面でもあった。そう感じたのも束の間、椎名未緒(Gt)が思う、よりナチュラルなテイストを帯びたユナイトの今を描いた『プレゼント』がハピネスな空気へと包んでいった。


「実はね、今日、アルバム通りのセトリなんよ。20曲、やらせてもらいました! このアルバムを引っ提げて、『FANTASTIC NERDS』というワンマンツアー、今からいっぱい回ります。――このツアーを通して、曲たちもそうやし、俺たちも一段と大きくなるわけなので、大きくなった先でまた出会えることを楽しみにしております! 一緒に大きくなってくぞ! 配信で観ている地方の遠くで待ってる人、待ってろ! 今日は、本当にありがとうございました!」――希
“曲が成長する”とはよく聞くが、きっとこれはバンドが進化していくことに比例するとも言えるだろう。それが如実に表れていたと言ってもいい『花晨』もまた、希望を与え・与えられたこの曲の起源から今日に至るまでの時間の中で、当初よりも遥かに確実に“これから”を強く感じさせる彩り豊かな形となってライヴを締めくくっていた。
恐らく、希が加入して以降の曲のみでライヴを行ったのは、この日が初だ。そんな中で全曲を歌い終えた希は、「初日でこれか! 楽しみだな、『FANTASTIC NERDS』!」と嬉々として話していたが、ライヴ中盤にLiN(Gt)もまた「皆さんとても元気で、私とても嬉しいです!」とご満悦の表情を浮かべていたことも、この日の充実ぶりを物語っていた。7月20日からは地方公演が始まり、9月21日の渋谷 WWW Xでのツアーファイナルまで、さらにはもはや恒例となっている10月18日・19日に開催される沖縄での裏FINALまで、初日から累算して全22公演からなるロングツアーとなる『FANTASTIC NERDS』。きっと、ユナイトに出会う度に発見がある“ファンタな”夏になりそうだ。無論、その発見は最高を更新していく予感しかない。
文:平井綾子
写真:bitocamera
SET LIST
UNiTE. 2025 Oneman Live Tour 『FANTASTIC NERDS』
2025.7.12(土) 下北沢シャングリラ
-SET LIST-
01. hananone.
02. ファンタスティック
03. [about us]
04. 4:19 A.M.
05. empty mellow
06. 酔性キャンディ
07. iScream
08. ないけど
09. somewhere not here.
10. ∮[0→2] (4x^3-1)dx
11. 灰色の心象へ胡乱の詩に軽い音
12. sheeple cirQus
13. ぜったいれいど
14. 菟
15. cogito天才の
16. sheeple repliQo
17. 星躔
18. balloon flower
19. プレゼント
20. 花晨
LIVE
■UNiTE. 2025 Oneman Live Tour 「FANTASTIC NERDS」
・7/20(日) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
・7/21 (月・祝) 前橋DYVER
・7/25(金) さいたま北浦和Ayers
・8/02(土) 小倉FUSE
・8/03(日) 小倉FUSE
・8/09(土) 盛岡the five morioka
・8/10(日) 仙台ROCKATERIA
・8/16(土) OSAKA MUSE
・8/17(日) 神戸VARIT.
・8/23(土) 善行Z
・8/24(日) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
・8/30(土) 名古屋ell. FITS ALL
・8/31(日) 静岡UMBER
・9/06(土) 函館club COCOA
・9/07(日) 函館club COCOA
・9/12(金) 水戸LIGHT HOUSE
・9/13(土) HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
・9/21(日) 渋谷WWWX <ツアーファイナル>
・10/18(土) 桜坂セントラル <ツアー裏ファイナル>
・10/19(日) 桜坂セントラル <ツアー裏ファイナル>
【チケット】
・前売¥5,000 (税込・D代別) [ローソンチケット:https://x.gd/SyZ3n / イープラス:https://x.gd/Blqkz ]
・当日 ¥6,000 (税込・D代別)) ※当日無料チケットあり (18歳以下限定)
・配信 ¥1,500(税込) https://twitcasting.tv/official_unite/shop
RELEASE
■6th Full Album「FANTASTiC」
・配信サイト https://unite.lnk.to/FANTASTiC
・ユナイト公式通販City(https://citycity.theshop.jp/)
関連リンク
[ユナイト オフィシャルサイト]http://www.unite-jp.com/
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