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【DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2025】ライヴレポート◆2025年8月2日(土)Zepp Haneda (TOKYO)◆音楽を愛し、音楽に愛された猛獣たちが繰り広げた、ド派手なロックパーティ

2024年の夏を湧かせた宴が今年も帰ってきた! 再びDEZERT のSORA(Dr)がオーガナイザーを務め、「DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2025」として、新たな趣向と仲間を加えて開催。
台風一過の晴天が拡がるZepp Haneda (TOKYO)で、音楽を愛し、音楽に愛された猛獣たちがド派手なロックパーティを繰り広げた。

L'Arc-en-Ciel のKenが主宰していたセッションライヴ「PARTY ZOO」にインスパイアされて昨年始まったイベントで、MUCC・AKi・DEZERTのライヴとセッションバンドというラインナップになっている。
多彩な出演者をとりまとめるオーガナイザー・SORAの口から何度も出ていたのは、「笑顔とハッピー」、そして「青春」というワードだった。
参加メンバーの「青春」に重きを置いたセッションの曲目は昨年よりも幅広いジャンルに亘り、事前にSpotifyでセットリストを公開するという意外な施策も行われていた。
結果、世代もジャンルも超えて音楽の楽しさを分かち合い、笑顔とハッピーが溢れる宴となった。



◆     ◆     ◆

■千秋のおもてなしwith小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達) &団長(NoGoD)


千秋(DEZERT)、小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)、団長(NoGoD)


まず、開演前のお楽しみとして、DEZERTの千秋(Vo)を進行役に「千秋のおもてなしwith小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)&団長(NoGoD)」が観客を出迎える。
開場前からスタンバイし、少しずつ増えていく観客とゆるいトークを展開。千秋のアコースティックギターを伴奏に、NoGoDの「カクセイ」や、夕闇に誘いし漆黒の天使達の「時間が戻ったら抱きしめて…」、L'Arc-en-Cielの楽曲などを披露した。最後には千秋が即興で歌い始めたオリジナル曲「ちょんまげ」を3人で歌い繋ぎ、「♪WE ARE サムライ!」という謎のコール&レスポンスまで生みだして、会場をしっかり温めた。

■AKi



本編の口火を切ったのはAKi。ミニアルバム『Vermillion』をリリースし、7月まで全国ツアーを回っていた勢いそのままに、1曲目の「Vermillion」で分厚いバンドサウンドを解き放つ。
本日のメンバーは、AKiバンドを支え続けているたっぱ(G)とYOUSAY(G)に加え、前回同様SORA(DEZERT/Dr)がドラムの特別編成だ。
「トップバッター、ぶちかますぞ!」と前のめりなAKiを力強く支え、ヘヴィな音圧でフロアの熱を上げていく。
2曲終えたところで、早くも一体感を持って盛り上がるオーディエンスを眺め「これは去年超えるんじゃねえか?」とAKiが不敵な笑顔を見せる。
「わかってるよな、夏祭りだぜ? 最高の猛獣たちの叫びを届けてください!」と煽ると、グルーヴィな「OVERRUN」に繋いだ。
AKiが艶っぽく歌いあげながら骨太なベースを轟かせ、たっぱ&YOUSAYのギターソロが華を添える。情熱的な「Rasen -螺旋-」では、心も体も躍らせるSORAのビートがエロティックなムードを増幅。
ラストは今の季節に相応しい「狂奏夏」でポップサイドに切り替え、タオルを回すオーディエンスとともに熱狂を生んだ。


次のセッティングに転換する間には、団長とライヴ直後のメンバーが参加するミニトークコーナーが用意されていた。
団長の見事な司会進行のもと、ライヴ直後だからこその貴重な裏話が続出。和気藹々としたバックステージの雰囲気が伝わり、観客も仲間なのだという気持ちになれる。
刺激的なライヴと並行して、最後までアットホームなイベントになったのは、こうした心配りのおかげだろう。

■VISUAL杉並~So…90s あの頃の僕らは~



逹瑯(MUCC)、ガラ(メリー)、⽥澤孝介(Waive / Rayflower / fuzzy knot)、ミヤ(MUCC)、JiMYY(MAMA.)、seek(Psycho le Cému)、吉田トオル(DISCO VOLANTE)、村田一弘、SORA(DEZERT)


そして、1組目のセッションバンド「VISUAL杉並~So…90s あの頃の僕らは~」が登場。
「~杉並」とはミヤ(MUCC/G)がコピーバンドを組む際につけるバンド名で、過去に「X SUGINAMI」「THE MAD CAPSULE MARKETS杉並」などでライヴを行ってきた。
今回はミヤのルーツのひとつである90年代ヴィジュアル系をテーマに、seek(Psycho le Cému /B)、ex.RaphaelのHIROこと村田一弘(Dr)、吉田トオル(Key)、JiMYY(MAMA./G)を率いてステージへ。
1曲目は、逹瑯(MUCC/Vo)を迎えてBUCK-TICKの「唄」。逹瑯もリスペクトを公言するBUCK-TICKの楽曲から、MUCCの「愛の唄」に影響を与えた1曲をセレクトするところに愛情が滲む。
切実な想いが刻まれた歌詞とメロディを、逹瑯らしい節回しで表情豊かに歌いあげた。
逹瑯とハイタッチを交わし、MUCCの盟友・メリーのガラ(Vo)が姿を現した。逹瑯に負けじと愛情をたっぷり込めた黒夢の「for dear」を披露し、さらにZIGZOの「ひまわり」で熱いロックンロールに魂を込める。
「90年代ヴィジュアル系」と言ってもまったく違う音楽性に改めて驚かされながら、それぞれ音色までこだわって弾きこなすメンバーの演奏を堪能。


4曲目は、ヴォーカルが⽥澤孝介(Waive / Rayflower / fuzzy knot)、ドラムがSORAにチェンジしてのX JAPAN「Silent Jealousy」。


のちのミニトークで「“X警察”のミヤが厳しかった」とSORAが暴露していたとおり、HIDEモデルのサイケ柄モッキンバードを持つミヤを筆頭に、細部に至るまで全員の「完コピ」具合がすさまじい。
スピードを緩めず駆け抜けるSORAとseekのリズム隊に牽引され、田澤の美しいハイトーンや、今回初出演の若手ギタリスト・JiMYYがミヤと並んでハモるギターソロなど、絶対的アンセムの色褪せない魅力を存分に味わった。

■YOSHIAKI with Friends~そして輝くウルトラサマーセッション~


ミラ(東京メルヘン倶楽部)、田辺由明(マカロニえんぴつ)、山本耕平(ギタリスト、作編曲家)、レッドジブラ(アイリフドーパ)、田辺弘明(ドラマー、作編曲家)


2組目のセッションバンドとして、6月に横浜スタジアム2DAYSのライヴを成功させたマカロニえんぴつの田辺由明(G)が率いる「YOSHIAKI with Friends ~そして輝くウルトラサマーセッション~」がステージに立った。
田辺は、「全国エフェクターボード盆栽協会」の動画チャンネルで、かねてよりリスペクトしていたL'Arc-en-Cielの Kenと共演をきっかけに、出演が実現した。
トレードマークのフライングVギターを手に、ミラ(東京メルヘン倶楽部/Vo)、山本耕平(G)、レッドジブラ(アイリフドーパ/B)、田辺弘明(Dr)という全員初出演のフレッシュなメンバーを連れて「SUMMER PARTY ZOO」に乗り込んできた。
SEに久石譲の「Summer」を選ぶところから、セットリストはまさに夏全開。アニメ『スラムダンク』のオープニングテーマとして人気のBAAD「君が好きだと叫びたい」から、T.M.Revolution「HOT LIMIT」と鉄板の夏ソングを畳みかけていく。


ポップスのイメージが強い楽曲だが、「HOT LIMIT」にヘヴィなギターリフを取り入れるなど、アレンジは完全にロックバンド仕様。
凜々しい歌声を響かせるミラを中心に、重厚なアンサンブルで観客の心をがっちり掴んだ。
田辺は「緊張してます」とはにかんでいたが、演奏からはその様子を微塵も感じさせない。どんどん熱量を高め、トドメにTUBE「You'll be the champion」とB’z「ultra soul」を届けた。
SORAから「B’zとTUBEをやってほしい」とリクエストされていたとのことで、その期待に応えてプレイアビリティを発揮。「ultra soul」のコール&レスポンスもばっちりキメて締め括った。

■MUCC



折り返し地点でイベントをさらに加速させたのは、今年28周年を迎えたMUCC。
サポートメンバーのAllen(Dr)と吉田トオル(Key)とともに逹瑯、ミヤ、YUKKE(B)が定位置に着くやいなや、「invader」で勢いよくライヴをスタートさせた。
研ぎ澄まされたサウンドの攻撃性と、フロント3人が並んだ瞬間の威圧感は、多彩な出演者の中でも随一だ。


オーディエンスも一瞬で火を付けられ、ヘッドバンギングやモッシュが巻き起こる。YUKKEのアップライトベースが映える「ファズ」の4つ打ちビートで踊らせたあと、ミヤのムーディなギターを合図に「愛の唄」になだれ込むと、濃密なパフォーマンスで圧倒。ヘヴィなだけではないMUCCの魅力を遺憾なく発揮していった。
一方、MCでは逹瑯が「SORAさんが頑張ってくれました。みんなで『SORAくん、ありがとう』って言おう」と促したり、ミヤが「DEZERTが担いだ神輿、一緒に担げんのか!!」と焚きつけるなど、先輩らしい愛情が覗く。
その愛情を込めた「ニルヴァーナ」の優しいメロディでオーディエンスを包み込みつつ、ラストはキラーチューン「蘭鋳」で一気にカオスへ突入。イベントを支える柱として百戦錬磨のステージを見せつけた。

■野薔薇団 -今宵は乱れ咲け!-


(sic)boy、千秋(DEZERT)、Ken(L'Arc-en-Ciel)、田辺由明(マカロニえんぴつ)、JACK、 Sacchan(DEZERT)、足立房文、SORA(DEZERT)


3組目のセッションバンドは「野薔薇団 -今宵は乱れ咲け!-」。KenがXに投稿したエイプリルフールネタから生まれた「野薔薇団」が、(sic)boy、JACK(B)、SORA(Dr)、足立房文(Key)という個性豊かなメンバーを揃えてバンドとなったものだ。
L'Arc-en-Cielをルーツに挙げる新世代ラッパー・(sic)boyをヴォーカルに、JACKことマーヴェリック・ディー・シー・グループ代表・大石征裕が久しぶりにベースを持ってオンステージ。


しかも曲目は80年代のハードロックと、絶対にこのイベントでしか見られない奇跡のセッションである。
1曲目は、先日急逝して世界中が哀しみに暮れるOzzy Osbourneの「Bark at the Moon」。「Centre of Eternity」の鐘の音に続いて、イントロから高速リフを掻き鳴らすKenの新鮮な姿に歓声が上がった。
(sic)boyもラップを封印し、ハイトーンを生かしたロックヴォーカリストに変貌。SORAは、自身が「東京の父」と信頼を寄せるJACKとリズム隊を組めていることを楽しんでいる様子だ。


2曲目は、足立の華やかなキーボードの音色で始まるJourneyの「Separate Ways」。80年代らしいきらびやかなサウンドとともに、哀愁漂うキャッチーなメロディは今なお色褪せない。
団長が加わって(sic)boyとのツインヴォーカルスタイルになり、ふたりののびやかな歌声に酔いしれた。懐かしさもあるのか、エモーショナルなソロを奏でるKenも満面の笑顔。
アウトロでさらなる長尺ソロを弾き切り、満足げにステージをあとにした。


ここで、大人たちの青春ソングから平成世代の青春ソングにバトンタッチ。(sic)boy、千秋(Vo・G)、田辺由明(G)、Sacchan(DEZERT/B)というメンバーが選んだのは、BUMP OF CHICKEN「天体観測」だ。
爽やかなメロディに合わせてオーディエンスも大合唱し、ピースフルなムードで「野薔薇団」の初ステージは幕を下ろした。

このあとのミニトークで、 (sic)boyがL'Arc-en-Cielを敬愛していることを知ったSORAが、直筆の手紙を書いてオファーしていたことが明かされた。
その後SORAが(sic)boyのサポートドラムを務めるなど、今では強い絆で結ばれているとのこと。
続くLUNA SEA・INORANのセッションバンド「SONIC DIVE」も、INORANの対バンツアーゲストにDEZERTが呼ばれたことをきっかけに逆オファーしたという。
一つひとつの縁を大事に進化していこうとするSORAのマインドが、このイベントを支えていることは間違いない。

■SONIC DIVE


ASH(ASH DA HERO)、INORAN(LUNA SEA)、Miyako(DEZERT)、Ken(L'Arc-en-Ciel)、ミヤ(MUCC)、AKi、Sacchan(DEZERT)、SORA(DEZERT)


逆オファーを快諾したINORANは、同じく自身の対バンツアーで共演したASH(ASH DA HERO/Vo)と、Miyako(DEZERT/G)、AKi(B)、SORA(Dr)という布陣で参戦。
1曲目からMichael Jackson「Beat It」という予想外な曲で始まり、INORANのルーツにあるMötley Crüe「Live Wire」、Sacchanがキーボードを担当してのBon Jovi「It’s My Life」という洋楽ヒットナンバーを披露した。


意外な選曲は、SORAがメンバーのルーツを意識して選び、「何でも歌える!」というASHの言葉により実現したもの。
言葉どおりすべての楽曲を完璧に歌いこなすASHの実力はもちろん、有名な「Beat It」のイントロフレーズをINORANが弾くなど、オリジナルのアレンジがしっかり光っていた。
互いに目を合わせたり背中を預けたりしながら弾くメンバー間の空気は温かく、一夜限りのセッションバンドとは思えないほど音に一体感がある。


「こんなもんじゃないよな!」と一人ひとりに語りかけるASHの扇動力も相まって、イベント全体にひと味違う刺激をもたらした。
ラストの曲を前に、Ken(G)とミヤ(G)というさらに強力なメンバーが参加。SORA曰く「Kenが一時期ハマっていた」というPanteraの「Cowboys From Hell」が投下された。
Panteraの代名詞とも言えるギターリフを、L'Arc-en-Ciel、LUNA SEA、MUCC、DEZERTのギタリストがユニゾンで刻む音圧は圧巻のひと言に尽きる。
メタルも嗜むミヤはともかく、Ken、INORAN、Miyakoがここまでメタリックなリフを刻む景色はなかなか拝めるものではない。もはやバンドの看板は関係なく、ただピュアなギターキッズの4人がそこにいた。


ライヴ後のミニトークでは、INORANがASHやSORAに「引き続き何かやりません?」と声をかけていた。どこかで、セッションバンド「SONIC DIVE」にまた逢える日が来るかもしれない。

■DEZERT



昨年を上回る盛り上がりの中、主催者であるDEZERTが満を持してステージに立つ。日本武道館ライヴを成功させ、現在47都道府県ツアー真っ只中の彼らもまた、昨年より成長を遂げてこの場所に戻ってきた。
SORA、Sacchan、Miyakoが音を重ねていき、最後に現れた千秋が「あなたと1対1の勝負をしに来ました」と宣言。
6月にリリースしたばかりのニューアルバム『yourself: ATTITUDE』から「真宵のメロディー」を1曲目に贈った。芯の太いバンドサウンドに千秋の凛とした歌声が乗り、会場内をDEZERTの色に染め上げる。
さらに「「君の子宮を触る」」「「変身」」とヘヴィなナンバーを畳みかけ、お馴染みの“横モッシュ”も発生。
イベント序盤から見せていたラフな姿を忘れさせるほど、バンド・DEZERTの堂々たる存在感を示した。
そして、決意のバラード「TODAY」で、昨年と同様Kenがギターで参加。


昨年は歌に色を添えるようなアレンジだったが、今年は4人の成長に呼応するように、遠慮なくKenらしさ全開のメロディアスなギターを楽曲に絡ませていく。
その美しい調和に信頼関係が滲み、胸が熱くなる名シーンとなった。先輩に背中を押されてからの「僕等の夜について」は、ひときわ眩しい輝きを放っていた。

■Kenにまつわるエトセトラ~シーズン2~


1:(sic)boy、Ken(L'Arc-en-Ciel)、YUKKE(MUCC)、SORA(DEZERT)
2:逹瑯(MUCC)、団長(NoGoD)、Ken(L'Arc-en-Ciel)、田辺由明(マカロニえんぴつ)、YUKKE(MUCC)、SORA(DEZERT)
3:千秋(DEZERT)、田辺由明(マカロニえんぴつ)、YUKKE(MUCC)、Sacchan(DEZERT)、SORA(DEZERT)
4:逹瑯(MUCC)、千秋(DEZERT)、ミヤ(MUCC)、Miyako(DEZERT)、YUKKE(MUCC)、AKi、Sacchan(DEZERT)、SORA(DEZERT)
5:逹瑯(MUCC)、千秋(DEZERT)、INORAN(LUNA SEA)、ミヤ(MUCC)、Miyako(DEZERT)、YUKKE(MUCC)、AKi、Sacchan(DEZERT)、SORA(DEZERT)

ついに最終プログラム「Kenにまつわるエトセトラ~シーズン2~」の時間が訪れる。
Ken(G)を中心に、YUKKE(B)、SORA(Dr)以外のメンバーが入れ替わりながらKenにまつわる曲=L'Arc-en-Cielセッションを繰り広げた。

まずは、(sic)boyがヴォーカルを務める「虹」。アルペジオではなくいきなり歌から始まるアレンジに少し緊張を感じさせながらも、(sic)boyの透明感溢れる歌声が響き亘る。
L'Arc-en-Cielに強い影響を受けた彼にとって、夢のような時間となったに違いない。虹色の照明の下で感情を込めて歌う(sic)boyに、Kenのギターソロが優しく寄り添った。


続いては逹瑯と団長がヴォーカルを務め、田辺由明(G)と、急遽シンバル担当を任命されたAllenが加わっての「Lover Boy」。
冒頭のスリリングなリフの時点で歓声が湧き、ディープなグルーヴに惹き込まれる。Kenの隣を奪い合う逹瑯と団長、SORAと並んで全力で楽しむAllenの姿が微笑ましい。


逹瑯と団長は個性をぶつけ合いながら、Kenが作詞を手掛けた甘やかな世界をしっかり表現していた。
間奏のベースソロでは、YUKKEが一歩前へ。「Kenにまつわるエトセトラ~シーズン2~」のすべての楽曲でベースを担い、力強い音色で先輩も後輩もまとめて支えていた彼は影の立役者だ。


ここでKenがステージを下り、ヴォーカルが千秋にチェンジ。千秋が「天国へのドライヴに行ってみたくない?」と告げて披露されたのは、もちろん「HEAVEN’S DRIVE」だ。
L'Arc-en-Cielの楽曲の中でも特にコーラスラインが印象的な曲ゆえに、アフロウィッグとサングラス姿でコーラスを担当するSacchanが大活躍。
千秋と息の合ったハーモニーを聴かせる横で、田辺がKenに捧げんとばかりにギターソロをキメてみせた。


4曲目は、MUCC、AKi、DEZERTのメンバー8人が勢揃いしての「YOU GOTTA RUN」。
L'Arc-en-Cielの最新曲を押さえてくるところに現在進行形のリスペクトが表れていると同時に、ヘヴィな音像はこのメンバーにぴったりだ。
絆の深さは当たり前として、お互いに発破を掛け合うアグレッシブなステージを展開した。


さらに、SORAが「せっかく来てもらったので、INORANさんにまつわるエトセトラを……」と提案し、8人にINORANが加わってLUNA SEAの初期楽曲「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」へ。
ミヤ&Miyakoのリフに重ねてINORANがクリアなアルペジオを爪弾くと、一気にLUNA SEAサウンドの色が加わる。自分らしさを交えて歌う千秋と、ライヴバージョンを盛り込んで世代感をアピールする逹瑯の対比も面白い。
ステージ上にもフロアにも笑顔が広がるエンディングとなった。


全員での写真撮影では、INORANとKenのレアな接近に歓声が上がる場面も。世代もジャンルも超えた一期一会の集合写真は、観客も含めて一生の宝物になるだろう。
これにて大団円……と思いきや、千秋が「ちょっと待って!」と一喝。
「もう1曲だけDEZERTをやってもいいでしょうか。もうちょっとアンタと音楽をやりたいんだ!」と熱く訴え、本編でも演奏した新曲「「変身」」を再び叩きつけた。
事前に“横モッシュ”を念押ししていただけに、今度は会場全体が右へ左へと大移動。
オープニングから表でも裏でも動き続けてきたDEZERTと、全力でイベントを楽しんだオーディエンスが、互いの力を出し尽くして狂騒空間を作り上げる。
SORAの目指していた「笑顔とハッピー」に灼熱を付け加えて、真夏の宴はフィナーレを迎えた。


「「PARTY ZOO」を初めて見た時、幸せに溢れてる空間だったんですよね。普段からKenさんにいろいろ相談させてもらったりしているので、何か御礼がしたいなと思った時に、Kenさんを楽しませたいと思って『こういうイベントがやりたいです』と言ったら、Kenさんが『SORAが一番楽しむことが、俺は一番楽しい』って言ってくれたんです。
僕が楽しいことって、みなさんが楽しんでる姿を見ることなんですよ。DEZERTのメンバーは全員そうだと思うんですけど。
これからもバンド頑張って、こういう空間を作っていきたいと思いますので、またよろしくお願いします」――SORA


オーガナイザーを務め上げたSORAは、この言葉を残して深々とお辞儀をし、感極まった表情でステージを下りた。
彼の純粋な想いが仲間たちに伝わったからこそ、誰しもがバンドキッズの心のままに音楽を楽しみ、本気で遊べる場所になったのだろう。
次はどんな景色が広がるのか、期待を胸にその時を待ちたい。




写真:冨田 味我、Yuto Fukada、KOUME 
文:後藤 寛子

SET LIST

DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2025
2025年8月2日 Zepp Haneda(TOKYO)
SETLIST

<AKi>
01. Vermillion
02. Idiots
03. OVERRUN
04. Rasen -螺旋-
05. 狂奏夏

<VISUAL杉並~So...90s あの頃の僕らは~ >
01. 唄 / BUCK-TICK
02. for dear / 黒夢
03. ひまわり / ZIGZO
04. Silent Jealousy / X JAPAN

<YOSHIAKI with Friends〜そして輝くウルトラサマーセッション〜>
01. 君が好きだと叫びたい / BAAD
02. HOT LIMIT / T.M.Revolution
03. You'll be the champion / TUBE
04. ultra soul / B'z

<MUCC>
01. invader
02. ファズ
03. 愛の唄
04. ニルヴァーナ
05. 蘭鋳

<野薔薇団 -今宵は乱れ咲け!->
01. Bark at the Moon / Ozzy Osbourne 
02. Separate Ways / Journey
03. 天体観測 / BUMP OF CHICKEN

<SONIC DIVE>
01. Beat It / Michael Jackson
02. Live Wire / Mötley Crüe
03. It's My Life / Bon Jovi
04. Cowboys From Hell / Pantera

<DEZERT>
01. 真宵のメロディー
02. 「君の子宮を触る」
03. 「変身」
04. TODAY
05. 僕等の夜について

<Kenにまつわるエトセトラ~シーズン2~>
01. 虹 / LʼArc-en-Ciel
02. Lover Boy / LʼArc-en-Ciel
03. HEAVEN’S DRIVE / LʼArc-en-Ciel
04. YOU GOTTA RUN / LʼArc-en-Ciel
05. BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー / LUNA SEA

<DEZERT>
01.「変身」/ DEZERT

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