
Little Vampire
思いきり声を取り上げて叫んでいた。
そう、あの頃の無邪気で無敵だった自分に戻ったように‥。
イベントのトップを飾ったのが、ミドレンジャーことLittle Vampire。
ライブは、いきなりSHAZNAの『Melty Love』のカバーからスタート?‥と見せかけて、『愛しTEL』を持ってくる展開がエモい。

MASAKIの「愛しTEL」の歌声に触れたとたん、フロアの一角が大きく弾けだした。一緒に口ずさみたくなるポップでメロディアスな歌とビートロック然とした楽曲を魅力にしているLittle Vampireらしい姿を冒頭から見せてくれたのが嬉しい。
途中、ギターの音が出なくなるトラブルがありながらも、ノリと勢いに任せたHAPPYなPOWERで乗り切ってゆくところは、昔から変わらぬ魅力。初見で触れてもすぐ一緒に歌いながら参加できるライブのように、曲が進むごと、彼らの演奏に触れて身体を揺らす人たちが増えていた。
IZUMIの野太いベースの演奏に乗せ、RYOTAのシャキシャキッとしたギターの音が重なり合う。心地好く駆けだした『近づいて』の上で、MASAKIが甘くエモい歌声で、目の前の一人一人を口説くような視線と歌声で想いを投げかける。
スタスタスタッと駆けるビートの利いたキャッチーな楽曲の上で、MASAKIは哀愁も抱いた歌声で、切ない胸の内を投げかけてきた。身体は縦ノリしながらも、心は、その告白に瞼を濡らしていた。
この日のメンバーは、みんなIZAMの90年代時の仮装姿で登場。どんな時だって、遊び心をたっぷりにステージの上ではしゃぐ姿は昔から変わらない。そんな、オチャメな50代の連中なのが嬉しい。

過ぎ去った夏を取り戻すように、Little Vampireは約30年ぶりに『夏恋』を演奏。RYOTAのギターがクリーンな音を爽やかに唸らせる。
IZUMIのべースの音とドラムのビートがシンクロした演奏へ導かれるように、MASAKIがねだるような甘い声で歌いだす。
30年という時をタイムスリップしたメンバーたちは、少し切ない想いも胸に、愛しい人たちへ向けて、忘れたくない一夜の思い出を一緒に作ろうと誘いかけてきた。
フロアでも、彼らの誘いを受け、大きく手を振る人たちがあちこちに誕生していた。

Little Vampireが次に届けたのが『Hey Boy!! Hey Girl!!』。
この場に集まった大勢の人たちが、気持ちを10代の頃に戻し、IZAM姿のミドレンジャーたちと一緒に「Hey Boy!! Hey Girl!!」と叫びながら、無邪気な少年少女に戻ってはしゃいでいた。
体力には限界はあっても、心はいつまでだってバンギャやギャオのままで青春していられる。だから、3人の叫ぶ「Hey Boy!! Hey Girl!!」の声に向けて、思いきり声を張り上げて叫んでいた。
そう、あの頃の無邪気で無敵だった自分へ戻ったように‥。

最後にLittle Vampireは,甘く、しかもビートも心地好い『Moon Kiss』を届けてくれた。とろけそうなくらいロマンチックな楽曲だ。あの頃のように、ステージとフロアという境界線を超えてみんなで甘いKISSを交わしあっていた。
あの頃に感じていた甘い接吻に、今はどこか哀愁という味も覚えてしまうのも、ともに大人(おじさんやおばさん)になってしまったから?!

DASEIN
エレクトロ×ヘヴィメタル×J-ROCKをクロスオーバー。
DASEINが与えたデジロックな衝撃!!
結成は、2000年。活動は2001年からだが、IZAMとRickyとの繋がりから、DASEINもイベントに参加。
彼らも一度解散をしたとはいえ、再結成してからはずっと現役で活動を続けている。

JOEの叩くドラムの音が響き渡るステージ。Rickyの登場にあわせてJOEのビートがリズムを刻みだす。
場内中に流れていたスケール大きくスペイシーな音色は、Rickyの歌を合図に『宙知らぬ未来-Break through the sky-』へと輪郭を際立たせた。広大な宇宙空間を想起させる雄大なエレクトロナンバーの上で、Rickyが朗々と歌い上げる。
曲が進むにつれ躍動してゆくJOEの力強い演奏やRickyのおおらかな歌声に触れるたびに、気持ちが踊りだす。
DASEINが描き出すスペースオペラ。まさに、そう言いたくなる幕開けだ。
その勢いをさらに尖らせるように、DASEINは『COGITO ERGO SUM』を突きつけた。雄大ながらも攻撃的な面を持つ楽曲のように、躍動した演奏やRickyの雄々しい歌声に触れていると気持ちが荒ぶりだす。
だから大勢の人たちが、Rickyが高く掲げた腕の動きと重なるように右腕を突き上げ、気持ちを熱く鼓舞していた。曲が熱くなるにつれ、高らかに声を張り上げて歌うRicky。その声も、嬉しく気持ちを高ぶらせた。
荒々しいギターの音色とエレクトロなビートが重なりあう。そこへJOEのヘヴィメタル然とした攻撃的な演奏が加わるのを合図に、『今に勝る時はナシ 今に負けるよりはマシ』が飛びだした。
エクストリームで激烈な演奏の上で、Rickyがマイクを手に、雄々しき姿で吠えるように歌っていた。
戦う戦士と化したその姿と凄まじい荒波のような演奏に刺激を受け、気持ちがずっと騒ぎ続ける。


今年の夏にリリースした25周年記念アルバムに収録、続く『サンザッパラ』でRickyは両手に団扇を持ち、今まで以上に攻撃性を増したモンスターな香りも抱いたダンスロックナンバーに乗せ、観客たちのハートを騒がせた。
フロアでも、手にした団扇を振る人たちがあちこちに登場。攻めに徹した2人の歌や演奏に刺激を受けた観客たちが、理性を捨てて暴れだす。
バンド然としたライブも楽しいが、攻撃的でエレクトロなロックの衝撃も、理性を消し去るうえで十分に刺激的だ。
HYPER BEAT ROCKの異名を取る『BREAK OFF』は、エレクトロ×ヘヴィメタル×J-ROCKの要素をクロスオーバーした楽曲。攻撃性を増したBPMの速い演奏の上で、歌心をしっかりと持ちながらも、感情を剥き出しにRickyが襲いかかる。目の前にあるすべてをなぎ倒す勢いで爆走する楽曲に刺激を受け、フロアのあちこちで拳が高く突き上がっていた。
「みんなに燦然たる未来がありますように」。Rickyの言葉を受け、DASEINは最後に雄大な景観を描き出すミドルメロウな『燦然たる我が人生』を届けてくれた。
とてもピースフルな、すべてのネガティブな感情を飲み込み、眩しい光に変えてフロア中へ降り注ぐように、Rickyは朗々と歌っていた。とても美しい、祈りにも似た、その尊き歌声と演奏に全身をギュッと抱きしめられながら、2人に心のすべてを捧げ、寄り添っていた。

CASCADE
30年という時代を経ようとも,CASCADEの本質は何もぶれていない。
インディーズ時代から、互いにメジャーへ進出しても、SHAZNAとCASCADEはつねに同じ時代の中で活動を続けてきた。
イベントを通してとはいえ、この2バンドの共演を見られるのが嬉しい。
しかもこの日のCASCADE、90年代にリリースした曲たちを多く並べてきたことに、ライブを見ながらずっとにやけていた。

雷鳴が轟く場内。ポリリズムな民族音楽風のSEに乗せて、メンバーらがステージへ。ライブは、この空間の時空を歪ませ、90年代へと揺れ戻し、絢爛豪華に咲き乱れようと『FLOWERS OF ROMANCE』から幕開けた。
ポップなのに何処かひねくれている、キャッチーなのにつかみどころのないところに、CASCADEらしさを実感。彼らは冒頭から、この場に華やかな曲の花を咲かせてせまりだす。
TAMAの歌うサビ歌に触れながら、フロア中で手の花が揺れる景色も華やかだ。CASCADE、最初からこの空間をポップでカラフルでファンタジックな、オモチャ箱の中に広がるわちゃわちゃとした遊び場へと染め上げていく。

気持ちがはしゃぎだしたなら、一緒にダンスをしようか。CASCADEはビートの利いたダンスロックナンバー『Dance Capriccio』を演奏し、フロアにいる人たちをわちゃわちゃとはしゃがせた。
心を踊らせるカラフルで刺激的な歌や演奏が、頭の中を異世界へトリップさせる。
とにかく今は、無邪気な少年少女に戻って騒いでいたい。CASCADEが届けるポップでジャンキーな刺激に、心をずっと踊らせていた。
止まることなく、彼らは『Sexy Sexy,』をプレゼント。胸をキュンと騒がせる甘い刺激が、エレクトロでロックなサウンドに乗せてせまりくる。
TAMAは、少し艶めいた声で観客たちのハートをチクチクと刺してゆく。甘くて妖艶でダンサブルな触手でせまる彼らの演奏に抱きしめられていると、心がメロメロにとろけてしまいそうだ。ねっとりとした、でも、情熱的な刺激に、心がずっとメランコリックに騒ぎ続けていた。
今宵のCASCADEは、ミリタリー服とゾンビたちをテーマに仮装したことを報告。

次のブロックでCASCADEは、華やかで躍動したディスコティックナンバーの『YELLOW YELLOW FIRE』をブースト。彼らはこの空間をダンスホールに染めあげ、躍動した跳ねるビートに乗せて「盛り上がれ」と攻めだした。
キャッチーなサビ歌では、フロアのアチコチで掲げた手が左右に大きく揺れる景色が誕生。ここに集まった最強の愚か者たちの理性をCASCADEは彩り豊かに染めあげ、熱情する踊り子たちに変えていった。『YELLOW YELLOW FIRE』、ヤバいくらいに気持ちを上げてゆくポップでグリッターなディスコロックナンバーだ。
CASCADERのみならず、この場に集まった人たちすべての気持ちへ、さらに華やかなのにチクッとした刺激を注入するように、彼らは威勢よく『コングラッチェ』を熱唱&演奏。気付いたらフロア中の人たちが身体を縦に揺らし、CASCADEの繰り出す演奏にあわせてはしゃいでいた。さぁ、もっともっともっともっと理性なんかポケットの中へしまい込んで、バカになってしまいなよ!!!
MASASHIのギターがスリリングなリフを高速で刻み出す。そのうえでTAMAが煽り、HIROSHIが躍動したビートを叩きだすのにあわせて『しゃかりきマセラー』が飛びだした。攻撃的でトリッキーでフリーキーなのに、身体はその刺激に侵され、しゃかりきになって騒いでいた。攻めるような様で歌うTAMAの姿も、嬉しく気持ちを奮い立てていった。



CASCADEは、今年デビュー30周年。最後にCASCADEは、リリースしたばかりの最新アルバム『ネプラマクラ』から『ヘッチャラッチャ・クラッシュ』を届けてくれた。パンキッシュで攻撃的な姿勢に90年代の香りを感じつつ。
でも、そこはCASCADE。ポップでトリッキーなスタイルに彩り、エレクトロでパンキッシュでエモい楽曲に染めあげていた。
初見でもすぐにノレるつかみを持った曲のように、観客たちもずっと無邪気にはしゃぎ続けていた。
30年という時代を経ようとも,本質は何もぶれていない。そこがCASCADEらしいところだ。
SHAZNA
演奏中、ずっととろけたような視線でステージの上を見つめていた人たちのなんて多かったことか‥。
SHAZNAの届けた甘い恋の誘いに、ずっとハートがときめいていた。
さぁ、今宵の主役たちの登場だ。
冒頭を飾ったのが、インディーズ時代からよく演奏をしていた『Raspberry Time』というのが、今宵のイベントの趣旨を示すようだ。華麗なる麗人のような出で立ちのIZAMが、手にしたきらびやかな扇子を振りながら、LOVERS(SHAZNAファン)を筆頭に、この場に足を運んだ人たちに、甘いときめきの魔法をかけてゆく。少しビターな刺激も含んだ甘美な衝撃に心を奪われた人たちがフロアのアチコチで手の花を咲かせ、身体を揺らしていた。
サビを歌うたびに、フロア中でペンライトや手が左右に揺れれば、甘い香りにハートがとろけてしまいそうになる。
その華やかさへ刺激的な香りと勢いを重ね合わせるように、SHAZNAは『I Miss You…』を届けてくれた。ステージという魔法に満ちた空間から、彼らが愛しい人へ向けて想いを投げかけるたびに、ハートが嬉しく乱れてゆく。その戸惑いを隠したくて、大勢のLOVERSたちが彼らに向かって力強く、でも可憐に手を揺らしていた。曲が進むにつれIZAMの歌声に張りと熱が増せば、A・O・IとNIYの演奏にも激しさや重厚さが加わっていった。

フロア中から飛び交う「愛してる」の声。その声を受けて、IZAMが「食べちゃうぞ」と甘い声でせまりだす。この日、NIYは落ち武者姿に、A・O・Iは精神科医に、IZAMは吸血鬼姿に仮装して登場していた。


さらに甘くて愛くるしい刺激を突きつけるように、SHAZNAは『キスのカタチ』を演奏。曲を重ねるごとに荒々しさを増しながら、積極的に愛を求めるメンバーたち。間奏では、A・O・Iがセンターに出て、台に足を乗せて美しくも刺激的な旋律を奏でていた。落ち武者も‥NIYも、低音の利いた音を次々と繰り出し、観客たちの身体を揺さぶっていた。


先ほどまでの野生味を抱いた姿から感情の色を塗りかえるように、SHAZNAは、観客たちのハートを甘い歌声と旋律の絵筆で濃密な恋色に染めあげようと『恋人』を披露。この曲に触れていると、永遠の恋を彼らと誓い合った気持ちになれる。歌を通して「君を愛してる」とダイレクトに愛の告白を受けたいなら、ぜひSHAZNAのライブに足を運んでほしい。何度も何度も甘い恋の告白の言葉を浴び、心がとろけてしまうはずだ。『恋人』の演奏中、ずっとトロンとした視線でステージの上を見つめていた人たちの、なんて多かったことか‥。

原曲にはなかったスペイシーなイントロが、楽曲が進化し続けてゆくことを。それが、進化をやめないSHAZNAの姿勢であることを示していた。IZAMが「Melty Love×3」と『Melty Love』を歌いだしたとたん、フロア中からたくさんの手が上がり、大きく揺れだした。他のバンドファンも『Melty Love』はみんな熟知しているようで、この曲へ恋したように歌声や演奏にその身を預け、夜も眠れないほどうっとりとした表情で3人の姿を見つめていた。後半には、観客たちみんなで「Melty Love×3」と大合唱。とろけそうなほど甘々な衝撃に、この身をずっと捧げていたかった。



最後のブロックには、復活後に作り出した曲たちを並べてきた。演奏をしたのが、今のSHAZNAの姿勢を一番リアルに投影した『一角獣-モノケロス-』だ。インパクトある「まいられますか」「まいるー」のやりとりを合図に、SHAZNAは攻撃的な演奏の牙を剥き出して襲いかかった。スリリングでワイルドな歌声や演奏だ。その中から甘くメロい表情が見えてくるたびに、3人の優しい心の色を思い返す。いい人たちが煽る刺激でも、刺激に変わりはない。甘い衝撃を身体中にずっと浴びながら、誰もがその身を心地よく揺らしていた。
最後にSHAZNAは、過ぎ去った夏をこの場へ連れ戻すように『夏彩マジック』を演奏。華やかなのにヒリヒリとした刺激や、眩しい夏の陽ざしのようなジリジリとした衝撃が、胸を嬉しく騒がせる。3人がかけた夏が生み出す魔法は‥いや、この曲がかけた熱情したときめきの魔法が、積極的な気持ちに変えてゆく。だから全身で想いや愛情をぶつけるメンバーらの愛を、同じように全力の愛にして投げ返していた。互いに想いあう関係を続けたくて、大勢の人たちがメンバーたちに向けて必死に手を伸ばしていた。

SESSION
Halloween Partyらしい華やかな雰囲気で彩られた、セッションライブ!!

この日、出演したミュージシャンたちがステージに集結。
Little Vampireの3人が変わらずIZAM姿なら、DASEINの2人はHalloween衣装。中でもRickyは大きなカボチャ姿で登場。
さらにCASCADEのメンバーも姿を現した。
アンコールは、SHAZNAが「歌姫降臨」のために作りあげた新曲の『Beautiful Halloween Night』を全員でセッション。きらきらと煌きながらも、Halloweenの時期に似合うホラーな香りも匂わせたTRICK A TREATナンバーだ。
ステージの上を彩った大勢のミュージシャンたちがかけるダークでメロウなHalloweenの魔法にかかり、Party MONSTERになって一緒にはしゃぎあう。
まさに、Beautifulな Halloween Nightsが目の前に広がっていた。
PHOTO: 折田琢矢
TEXT:長澤智典
SET LIST
⚫︎Little Vampire
『愛しTEL』
『近づいて』
『夏恋』
『Hey Boy!! Hey Girl!!』
『Moon Kiss』
⚫︎DASEIN
『宙知らぬ未来『宙知らぬ未来-Break through the sky-』』
『COGITO ERGO SUM』
『今に勝る時はナシ 今に負けるよりはマシ』
『サンザッパラ』
『BREAK OFF』
『燦然たる我が人生』
⚫︎CASCADE
『FLOWERS OF ROMANCE』
『Dance Capriccio』
『Sexy Sexy,』
『YELLOW YELLOW FIRE』
『コングラッチェ』
『しゃかりきマセラー』
『ヘッチャラッチャ・クラッシュ』
⚫︎SHAZNA
『Raspberry Time』
『I Miss You…』
『キスのカタチ』
『恋人』
『Melty Love』
『一角獣-モノケロス-』
『夏彩マジック』
⚫︎SESSION
『Beautiful Halloween Night』
関連リンク
SHAZNA
https://x.com/SHAZNA_1993
CASCADE
https://www.cascade-web.net/
https://x.com/CASCADE_news
DASEIN
https://dasein-official.com/
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Little Vampire
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