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【deadman】◆独占インタビュー◆19年ぶりとなるオリジナルアルバム『Genealogie der Moral』をリリース。「懺悔を聞いてるのが本当に神だとは限りませんからね。」────(Vo:眞呼)

 

遠慮なく血反吐を吐く勢いで声出そうかなっていうその結果です。



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さて、19年ぶりとなるオリジナルフルアルバム『Genealogie der Moral』ですが、あの当時のdeadmanが次に出した新作っていう感じで、点と点を線で結ぶ必要がない嬉しい一枚なのですが、以前よりもライヴ感が増してるような印象もあります。

aie:一番は当然メンバーが違うっていうのもあるんですけど、それ以外は変わってないですね。作り方もただ20前と同じで。自分たちが変わってないからちゃんと繋がっているとは思いますし、演奏しているメンバーが違うからこういう今回はこういう音になりましたっていうのもあるかもしれないですね。

────特段そのライヴ感みたいなものを意識して狙っていたわけではない。

aie:ないですけど多分ね、もう何年もこの4人でやってるし、CDだから綺麗にプレイしなきゃとかいう考えもないので。そこは録った音をそのまま出しちゃおうぜっていうのがライヴ感に聴こえるのかも知れない。僕の個人のプレイとかギタリストとしての考えも変わってないんですよ。そういう意味では当然、延長線上だろうな。

laie(Gt)

────眞呼さんはあがってきた音を聴いた時どう思いました?

眞呼:どうだろう。変な言い方だけど、明るくなったなと思います。

────これまでの歴史に違わず暗い作品だと感じますが、明るい?

眞呼:いや、重い感じももちろんあるんですけど、明るい感性は出てるんじゃないかなどことなく。deadmanの中ではだけど、ポップな一面もあると思う。

aie:ほう。

────アルバムの後半に進むにしたがって世界が変色していくイメージが確かにあります。

眞呼:バンドとして受け入れられる幅が広がっているんじゃないかなとは思います。それでもかなり暗い方だと思いますが。

────RECではリズム隊のkazuさん、晁直さんにはどういうオーダーをしましたか?

aie:もう完全におまかせ。好きなようにやってくれっていうだけですね。ほぼ立ち会ってますけど、サポートメンバーとはいえ彼らのジャッジに委ねる方が断然良い。口出す必要を感じないです。

────今作のエモーショナルなギターソロがそう思わせるのかも知れないですけど。肉感的というか。近年のライヴもですけど、より人間が香る部分が多いなっていう印象があって。

aie:ああ、はいはい、いいと思います。

眞呼:これも演奏する人が変わったのが大きい。ミュージシャンには色々タイプがあるけれど、スタジオミュージシャンではなく、ステージに特化しているリズム隊だからじゃないかな。でもこれも意図してるわけじゃないんですよ。自然となるべくしてなったというだけ。それこそ若い頃は、ベースもドラムもギターも一斉にハイ!ドン!でRECっていうこともあったので。そっちの方が原理的にはライヴっぽいはずなのにそうではないというのは今のメンバーのスキルと趣向じゃないかな。

aie:そうですね。昔もそうだったかもしれないけど、ライヴでCDと同じことをやる必要性はないと思っていて、その日その場で演奏したことが正解だからRECした作品も生っぽいのかなとは思うんですけど。

────『』直訳すると「道徳の系譜」。この言葉はツアータイトルにもなっていますが、ダークな世界を蠢くバンドが、規律や規範を想起させる「道徳」って言う言葉をチョイスした理由はなんですか?

眞呼:今って不変であるべきものが変わってしまってますよね、宗教的なこととか本当は変わってはいけないことが、もう不変ではなくなっている。道徳って本来不変なものなはず。でも、一方で正義と道徳っていうのは別物で考えなければいけないことなんです。何故かと言うと、道徳を系譜する人が完璧であれば、それは正義ですけど、そんな人はいない。完全に道徳でもなければ、正義でもないんですよ。私は確固たる道徳ってないと思います。結局変わってしまうから。そんな不確かさに苦悩しながら導き出す道徳というものを、今回はテーマにしようと思いました。

────確かなものであるべきものなのに、不確かな道徳を系譜していく。deadmanなりの2024年の道徳観を伝えていこうということなのか。あるいはその不確かなものについて様々な角度から照射して考えていこうということなのか、どちらなんですか。

眞呼:わかりやすく言うと、後者。と、いうのも私もだって完璧な道徳なんてわからない。

────「ミツバチ」には懺悔を聞く悪魔という歌詞もありますが、まさにその正と悪が逆転しているようなところに、その道徳という天秤がのしかかってくるという冷酷さもありますよね。

眞呼:でも、考えてみてください?言ってみたらね、そもそも懺悔を聞いてるのが本当に神だとは限りませんからね。正義と悪だけでもない。私は危ういなと思いますよ懺悔って。懺悔で許されるなんてどうなんだろうとか。

────詩世界もですが楽曲も深みをさらに増しているように感じます。「真夜中の白鳥」はイントロからドキっとさせられます。deadman節なのに疾走感もあり場面が移り変わる展開も秀逸で。

aie:そこは多分この20年でのプレイヤーとしての成長ですかね。ギターっつうのはアンプに突っ込んで出る音で十分だよとか言ってた20年前と違いますよね。やりたいことは同じでも。それこそ、昨年のMUCCとの2マンの時にミヤくんにこのエフェクター知ってる?って聞いたら知ってたし、なんなら持ってて。ミヤくんがこのエフェクターaie君、絶対似合うよって言われたから買ったエフェクターがまさに「真夜中の白鳥」のイントロなんですよ。

────そうなんですね。

aie:買ったからには使わなきゃなと思って。

眞呼:アハハハハ。

aieRECに対する考え方は変わったかもしれないですね。そこはkazu君からの影響もある。

────眞呼さんはご自身の歌唱についてはいかがですか?

眞呼:私も変わってない感じだと思うんですけど。ただ年月が経っても、単純に綺麗な歌声で綺麗に歌うっていうのに興味がなくて。感情を剥き出しで音も外しているような方が私個人的には好きなんですよ。これって魂の叫びだよなっていうような歌の方が良いなと思っています。deadmanはそれを許容してくれますし、それなら遠慮なく血反吐を吐く勢いで声出そうかなっていうその結果です。

────初めてdeadmanを知る方や若いヴィジュアル系バンドの方に、歌と音だけで世界が確立されているこの『Genealogie der Moral』を聴いて、このバンドは一体どんなステージをするのか?っていうのを妄想してからライヴを観てほしいという気持ちがすごくあるんですけど今、若くしてヴィジュアル系を志しているバンドマンにが目の前にいたら伝えたいことはありますか?

aie:これはもうすごくシンプルだと思うんですけど、通販で1万円で買えるギターとライヴハウスで置いてあるアンプで我々と同じことは出来ると思います。なので、あとはやる気ですよ。メンバー4人で10万円以内でdeadmanと同じ音は出ます。

────ただ、その同じ音が出せない理由は?っていうことですよね。

aie:まあまあまあそこはもう頑張れよ~としか言えないですね。あとは音楽に対してこうじゃなきゃダメみたいに頭でっかちになっちゃうと良くない。本当に自分が思う音楽をやればいいんじゃないかなと。とにかく続けることですね。とにかく続けていけば、例えば20代の時に隣にいたバンドが波に乗っかってメジャーデビューしたとしても、こっちも思った通りのことだけやって真っ直ぐやっていけば必ず何年後かにまた交わることになるので。好きなら続けることですね。

────眞呼さんはいかがです?

眞呼:私たちをお手本にしないことです。

aie:我々は好き好んで岩の下に住んでいるので、アンダーグラウンドであることに誇りを持ってますからね。そういうところも感じ取って下さい。

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