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2020年07月07日 (火)

【ライヴレポート】<NICOLAS>「UMBRA TOUR -47 Pref.-」FINAL ◆2020年7月4日(土)新宿BLAZE無観客ライヴ◆「みんなに残せるものがあると思ってここに立っている」

REPORT - 15:00:54

本当なら最新アルバム「UMBRA」を手に、NICOLAS47都道府県ワンマンツアー「UMBRA TOUR -47 Pref.-」を行ない、74日の活動一周年記念日に新宿BLAZEで華々しくツアーのファイナル公演を行うはずだった。

 

ご存じのように、コロナ禍の影響によって全国ツアーはすべて中止に。

その間、NICOLASは「無観客ライブ生配信」を3本実施。

本当なら観客たちの前へ示すはずだった「UMBRA TOUR -47 Pref.-」の内容を、毎回角度を変え伝えてきた。

 

今回、NICOLASは新宿BLAZEを舞台に、同ツアーのファイナル公演「UMBRA TOUR -47 Pref.-FINALをこれまで同様「無観客ライブ生配信」という形を取りながら行った。

 

先に新しいお知らせをしておこう。

NICOLASは、715日より通販限定ミニアルバム「銃声が消えたこの街で」を発売する。

全国各地の人たちの手元へ確実に届ける術として、彼らは通販という形を選択した。

中には、2万字を超える超ロングインタヴューも記されている。

8月以降は、観客を入れたライブも徐々にだが再開する予定でいる。

そこは今後の状況を見つつなので、逐次、NICOLASの情報を追いかけていただきたい。

ここからは、「UMBRA TOUR -47 Pref.-FINAL公演の模様を記そうか。

 

 

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その楽曲は心を射抜く魅力と破壊力を持って胸に突き刺さった。

真昼に観る蜃気楼とは、こんな目眩を呼び起こすような感覚なのかも知れない。

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無人の場内へ猛々しく流れだすSE

その音に触れ、気持ちが騒ぎだす。

ゆっくりと歩を進めながら舞台に現れたメンバーたちは、カメラ越しに自身の姿を観客たちへアピール。

そして

 

 

  SAKUの登場に合わせ、ライブはNICOLASの始まりを告げた「真昼の蜃気楼」から幕を開けた。

身体を射抜くような攻撃的な音を突きつけ走り出す楽曲。

気持ち馳せる演奏に乗せ、SAKUが挑む姿で歌声を、沸きだす感情をぶつけだす。抑揚を抱いた熱情的でメロディアスな曲調だ。

その楽曲は爆音に乗せ生を授かったとたん、心を射抜く魅力と破壊力を持って胸に突き刺さった。

真昼に観る蜃気楼とは、こんな目眩を呼び起こすような感覚なのかも知れない。

 

 演奏は、そのまま重く鋭い音を突きつけるように「INSANITY NIGHTMARE」へ。とてもアグレッシブでパンキッシュな楽曲だ。

重厚な音の牙を観ている人たちへ突きつけるメンバーたち。

モニターに足を乗せ、カメラの向こうにいる連中を煽るSAKU

そこがどんな空間だろうと、どんなシチュエーションであろうが、何時だって彼らは心を野獣に塗り替え、相手を狩るように挑みかかる。

攻撃的な姿を具現化した音の塊が、腹の奥底へズンズン染み渡る。

この感覚がたまらない!

 

  勢いは止まらない。

NICOLASが叩きつけたのはモッシュナンバーの「VITAL SIGNS」。

デジタルな要素を活かし華やかさを醸しながらも、本質的にラウド&パンキッシュな楽曲のように、その音は、観ている側の騒ぎたい欲求を煽り続ける。

SAKUの瞳には、目の前で声を張り上げ、頭を振り乱す観客たちの姿が映っていたに違いない。

メンバーそれぞれに煽る姿も、想像の中、目の前で暴れ狂う連中に向けられていた。

 

 

  不協和音がフロアに流れだす。その音を煽るように響くZEROのベース。楽曲はミドルヘヴィな「因果応報」へ。

黒い音の波が次々と押し寄せる中、呪詛を唱えるように言葉を吐きだすSAKU

感情の内側を鈍い金槌で打ちつけるような楽曲だ。重いその衝撃が、今はとても痛く心地好い。

 

 

  「頭、振れ!」SAKUの声を合図に楽曲は一気にバースト。「MURDER IMPULSE」が凄まじい速さで駆けだした。

ここで一気に攻めたて、そのままKOしてやろうと言わんばかりの姿勢と勢いを持って、メンバーたちはどす黒い音を次々と重ねだす。

彼らの勢いに煽られ、身体が大きく波打ちだす。

気持ちを煽情する演奏に、沸き立つ闘争心が収まらない!

 

  MCのたびに声を張り上げるSAKURITSU。この螺子の壊れたコンビの騒ぎっぷりは最狂だ。

ただ、どこか緩いトークも加えてゆくところが、意外と「いい人」さを隠せない2人の良さ。

ここではあえて書かないが、どーしようもないギャクも加えてゆくトークは、ぜひ生で体感していただきたい。

 

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さぁ、心乱れるままに踊り、騒いでくれ!

それが、快楽への一番の近道なのだから!

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  披露したのが、新曲の「銃声が消えたこの街で」。

ピアノ演奏も折り込み、緩急(激烈と切ない表情を)巧みに折り込みながら、楽曲は高揚したドラマを描くように進んでいく。とても情感豊かな楽曲だ。

激しい演奏の中から見え隠れする刹那な表情へ振れるたび、胸がキュッと疼く感覚を覚えていた。

 

  続けて突きつけたのが、NICOLASというよりも、このメンバーの根源となる意志を歌に投影した「クソッタレ イズ バック」。荒ぶるパンキッシュな楽曲だ。

理屈も屁理屈も関係ない。

無礼講万歳な姿勢のままに、彼らはサイコパンクな楽曲を「クソッタレ!」と叫びながらぶつけてきた。

彼らの意識下に潜む悪辣で悪たれな感情が、この楽曲を通して甦ったようで嬉しいじゃない!

 

  これまでの狂気じみた表情から一変。

悲哀を覚える切ない旋律に乗せ、NICOLASはアルバムのタイトル曲「UMBRA」を演奏。とても内省的な楽曲だ。

黒く濁った感情を抉り出しては、それを目の前へ差し出すように、彼らは歌を、演奏を届けてきた。

体感的な叫びだけがNICOLASの音楽ではない。

むしろ、心の奥底に隠していた痛い本音へ寄り添い、共に切なさを共有してゆく姿こそ、NICOLASだからこそ持てる絶対的な強さと魅力。

暴れるだけが正義じゃない、こういう姿勢にこそ、耳を、心を傾けたい。

 

NICOLAS流昭和歌謡ナンバー「罠」の登場だ。華やかなブラスの音色が、極彩な色を場内へ濃密に描きながらスウィングしてゆく。

場末のダンスホールで彼らと淫らに絡み合う、そんな妖しい風景さえ見えてきそうだ。

途中、ZEROSAKUが舞台上で実際に絡み合う場面も。

さぁ、心乱れるままに踊り、騒いでくれ!

それが、快楽への一番の近道なのだから!

 

  「あ・た・ま!」の言葉を受け、ふたたび豪快で重厚な音が舞台上からあふれだす。

猛々しい音を響かせ、NICOLASは「死考回路」を突きつけた。

本当なら、目の前にいる観客たちと絶叫のやり取りをしながら騒ぎ狂っていたのかも知れない。

でも、どんな環境だろうと、彼らの思考回路には騒ぐ観客たちの姿が映し出されていた。

だからこそSAKUが、メンバーらが声を張り上げ、カメラへ向かって煽り続けていたわけだ。

 

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歌は心の枷を壊し、自由を授けてくれる。

う、この歌のように

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  ライブの後半は、切々とした音色に心が打ち震えるバラードの「Begonia」から。

静謐とした音色の上で、語り部となり雄々しく歌うSAKU

悲哀を抱いた壮大なドラマを嘆くように歌うその姿に、何時しか心が引き寄せられていた。

楽曲が進むたびに昂る感情。

そして

 

  演奏は、ふたたび熱を生み出しながら、ゆっくりと感情のベダルを踏み出した。

愛しき想いを紡ぐように「モザイク」を歌うSAKU

その揺れる心模様を、演奏陣が優しく、でもしっかり前へ押し上げるように支えていた。

胸にチクチクと痛心地好く刺さるSATSUKIのギターの旋律が、心に嬉しい高揚を与える。

SAKUの歌声も次第に抑揚を増してゆく。

その歌に、心がずっと捉えられていた。

 

  RITSUの叩き出すドラムビートに乗せ、SAKUがカメラの先の人たちを煽りだす。

SAKUの煽りに呼応し、叫ぶメンバーたち。

勢いを加速させるように演奏は「ブリリアントワールド」へ。

彼らは、一緒に心を開放し、共に心の翼を広げ飛び立とうと呼びかけてきた。

魂を無条件に開放するサビ歌に触れ、解き放たれた気持ちのまま心は跳ね続けていた。

この感覚、絶対に目の前で一緒に味わい、共にその景色を作りたい。

そんな欲求が止まらなかった。

 

  「ここから先の未来を照らします」の言葉を受け、彼らが解き放ったのが「ネオン」。その楽曲は大きな二つの翼を持っていた。

その翼を大きく羽ばたかせ、歌に触れた人たちの気持ちを、彼らは彼方の世界へグイグイと引っ張ってゆく。

どんな感情を抱いてようと、この歌に振れたとたん、心は自由になれる。

きっと誰もが無邪気な気持ちのまま、笑顔を浮かべ、心の両翼を広げ、開放された気持ちのまま自由にその場を舞っていたに違いない。

歌は心の枷を壊し、自由を授けてくれる。そう、この歌のように

 

 

  「本当はここにいるみんなに聞かせたかった。

でも、何もしないわけにはいなかった。

こうして画面越しでも作れるものは絶対にある。

みんなに残せるものがあると思ってここに立っています」

(SAKU)

 

 

  

  「熱くなりましょう!ラストまでかかってこい

ふたたび空気を塗り替えるように、AKANEのギターが轟音を掻き鳴らす。

勢いを取り戻すように、演奏は「SACRIFICE」へ。

凛々しく、雄々しい様で歌をぶつけるSAKU

メンバーたちも、挑みゆく姿勢のもと全身全霊で楽器を掻き鳴らしていた。

荒れ狂う感情がどんどん興奮を重ねていく。

さぁ上がれ、上がれ、もっともっと魂を燃やし尽くせ!!

 

 

 「画面叩き割っちまえ」

「死んでくれ!」

昂った感情のまま、最後にNICOLASは「遮断」を叩きつけた。

カメラの向こうにいる連中を熱く、激しく煽るSAKU

その声や演奏を受け取った人たちは、きっと画面の先で思いきり頭を振り、現実を遮断し、NICOLASのライブが生み出す熱狂と快楽に浸りながら心を壊していたに違いない。

彼らの視線は間違いなく追い掛けていた。

目の前で「オイオイ!」と声を張り上げ、化粧の落ちたクシャクシャの笑顔で騒ぐ仲間たちの姿を

たとえ目の前に求める人がいなくとも、自分たちが心の手を伸ばせば何時だって求めあえる。

だから、心を遮断することなく、これからも5人を求めて欲しい。

 

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彼らは、そして僕らも、けっして終わりになど向かっていない。

その先にあるのは……

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  アンコールは「パラノイアドフィロソフィ」からスタート。

ハードコアでパンキッシュな楽曲を突きつけ、NICOLASはふたたび熱を巻き起こす。

マイクスタンドを突きつけ、モニターの先の人たちを煽るSAKU

SATSUKIが、AKANEが、ZEROがお立ち台へ次々と上がり、観客たちを煽り続ける。

ライブでよく観る一体化を導き出す光景だ。

たとえ人がいなくとも、それをやらなきゃ気持ちが壊れないんだよ!

 

  

  「この時期、ライブで伝えられることが当たり前じゃないからこそ、今、とても大切にしたいものをみんなからもらっています。

俺たちは、みんながいなかったら活動出来なかった。

自分たちを奮い立たせる理由、ここに立つ理由、これからもやり続ける理由、それは応援してくれるみんながいるからです。

お互い無くちゃならない存在だということを理解しながら、これからも突き進んでいきましょう。

かならずちゃんとしたライブで、もう一度この景色を観ましょう!」

(SAKU)

 

 

  この瞬間、この喜びを味わえている想いをここで一緒に分かち合おうと、愛しさをたっぷり詰め込みながら、NICOLASはバラードの「ECHO OF SILENCE」を届けてくれた。

SAKUは、今のNICOLASとして抱く想いをしっかり伝えようと、この歌に触れた人たちの心の扉の隙間から、気持ちの奥底へこの歌をじっくり染み渡らせていった。

終盤に生まれた合唱。

きっと誰もが、SAKUと一緒に「ラララ」と歌っていたと思いたい。

 

  「全員の声を聞かせてくれ!声ー!」の言葉を合図にフロア中に銀テープが舞い飛んだ。

その演出が小憎らしいじゃない。

何より、「セピア」がふたたび観ている人たちの心を解き放ってくれた。

舞台上では一緒に自転車に乗るような姿を見せるなど、メンバーたちもこの場で歌い演奏することに喜びを覚えながら、気持ちを無邪気に開放していた。

弾む気持ちが止まらない。

このワクワクとした解放感がとても心地好い!

 

 

  「これからもNICOLASは突き進んでいきます。

楽しんでいきたいです。

かならずまた逢えます。

その日を目指していきましょう」

SAKU

 

 

  最後にNICOLASは、ミニアルバムにも収録した新曲の「終末時計」を演奏。

今、この時期だからこそ伝えたい想いをたっぷりと詰め込んだ、聴く者の琴線に触れ、心に潤いを湛える楽曲だ。

言葉のひと言ひと言に込めた想いは、ぜひ作品を通して受け止めてもらいたい。

彼らが春先以降胸に抱えてきた感情が、そしてこれからも抱えてゆく想いが、ここには深く刻まれている。

この歌に触れ、あなたは何を思うだろうか。

その言葉を、ぜひNICOLASのメンバーらへ伝えて欲しい。

彼らは、そして僕らも、けっして終わりになど向かっていない。

その先にあるのは……

                                              

PHOTO:Kuro

TEXT:長澤智典

 

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「UMBRA TOUR -47 Pref.-」FINAL

2020年7月4日(土)新宿BLAZE無観客ライヴ

セットリスト―

 

SE

01.真昼の蜃気楼

02.INSANITY NIGHTMARE

03.VITAL SIGNS

04.因果応報

05.MURDER IMPULSE

06.銃声が消えたこの街で

07.クソッタレイズバック

08.UMBRA

09.

10.死考回路

11.Begonia

12.モザイク

13.ブリリアントワールド

14.ネオン

15.SACRIFICE

16.遮断

EN

17.パラノイアドフィロソフィ

18. ECHO OF SILENCE

19.セピア

20.終末時計

 

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<リリース>

 

★20200715()

2nd Mini Album「銃声が消えたこの街で」

 

収録曲:CD

01.銃声が消えたこの街で

02.VIRTUAL EGO

03.クソッタレ イズ バック

04.奇想天外ブラインドラブ

05.終末時計

 

品番:NC-007

価格:¥2,420-(TAX IN)

発売元:NICOLAS

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<受付開始日時>

20200712()12:00よりNICOLAS OFFICIAL WEB SHOPにて販売開始、以降順次発送予定

現状、ライブ会場での販売予定はありません

 

試聴TRAILER

 

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<ライヴ>

 

NICOLAS ライブ情報解禁!

 

20200814()渋谷REX

NICOLASMASK PARTY 2020

 

20201204()duo MUSIC EXCHANGE

NICOLASUMBRA RE:Birth

 

20201228()EDGE Ikebukuro

NICOLASDELIGHT -SATSUKI’s ALL TIME BEST-

 

20201231()目黒鹿鳴館

NICOLAS「蜃気楼」

 

詳細および開催形式に関しては未定、後日発表になります。

 

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<関連リンク>

 

★NICOLAS Web★https://nicolas-psycho.com/

★NICOLAS twitter★https://twitter.com/NICOLAS_PSYCHO

★NICOLAS YouTubeチャンネル★https://www.youtube.com/channel/UCuBw5I6G0CBv18mrfPWIE-g

 



2020年06月22日 (月)

【ライヴレポート】<MUCC>圧倒的底力を見せつけた初の無観客配信ライヴ◆2020年6月21日(日) ~Fight against COVID-19 #2~『惡-THE BROKEN RESUSCITATION』

REPORT - 21:12:45

MUCC、通算15 枚目のアルバム「惡」を引っ提げ、本来であれば、621日にぴあアリーナMMにて行われるはずだったワンマンライヴ、「蘇生」。

 

昨年の「壊れたピアノとリビングデッド」から、長い長い時間を掛けての蘇生が中止になりもう生き返れないのかと思いきや、転んでもタダでは起きないのがMUCC

「~Fight against COVID-19 #2~『惡-THE BROKEN RESUSCITATIONと題し、無観客配信ライヴでの蘇生に踏み切った。

配信会場には各メンバーの機材が四方に設置され、センターには撮影クルーがスタンバイしていた。

ゲストアーティストは別室で演奏と撮影をするという。

 

定刻になるとメンバーが赤く照らされた照明の中、無言で入場。

アクリル板で仕切られた定位置に各メンバーが横一列に並ぶ。

背景のスクリーンにMVで使われた映像が流れると共に、アルバムのトップナンバー「惡 -JUSTICE-」からスタート。

真上のショットやメンバー四分割など、普段ライヴでは見られない構図の映像を織り交ぜつつのパフォーマンス。

 

MUCC_wr200621_0282_s_撮影:渡邊玲奈 

曲が終わると逹瑯(Vo)&ミヤ(G)が移動し、メンバーが四方に散って始まった「CRACK」。

ライヴの熱量が一気に加速していく。

続いて3曲目は14th Album『壊れたピアノとリビングデッド』から「サイコ」。

このアルバムに伴うツアーでは期間限定メンバーだった吉田トオル(Key)のオルガンが、極悪なMUCCサウンドと絡み合い、強烈な化学反応を起こしていく。

彼がオルガンを弾く別室の映像がメンバーの映像と薄っすらと合成されて、さながら亡霊のようである。

そのまま、吉田トオルが「バンドへの置き土産」として作曲した「海月」へ。

この曲では五分割の映像も織り交ぜつつしっかりピアノをフィーチャーしていく。

以前YouTubeでアップされたリモートライヴ映像の構図をオマージュしたりと、遊び心あるカメラワークでライは進んでいく。

MUCC_wr200621_0368_s_撮影:渡邊玲奈

 MUCC_s200621-1857_s_撮影:田中聖太郎

メンバーが再びスクリーンの前に集まり、怪しげな洋館の映像をバックに始まった「ヴァンパイア」。

ヨーロッパツアーが中止になり、不完全に終わってしまった「壊れたピアノとリビングデッド」のツアーが新しい形で蘇る。

逹瑯が優雅にソファに座りながらMCをした後は、昨年に会場限定で発売された、逹瑯作詞作曲のバラード「Taboo」が披露された。

ゲストの後藤泰観、琴羽しらすのヴァイオリンも入り、一気にゴージャスな雰囲気に。

MUCC_s200621-0832_s_撮影:田中聖太郎 

このゾーンで特筆すべき点は、逹瑯とミヤが歌やコーラスにコンデンサーマイクを使用しているという点だ。

本来レコーディングで使用されるコンデンサーマイクは、音質は良いが周りの音を過剰に拾ってしまうため、ステージ上が爆音で溢れている普段のライヴで使われることはまずない。

だが今回、ギター&ベースはアンプのキャビネットから音は鳴らさず、メンバーは全てイヤーモニターで各楽器の音をモニタリングしている。

実際のフロアで鳴っているのはSATOち(Dr)のドラムと逹瑯の生歌だけである。

更にお互いの距離も離れているので、解像度の高いマイクを使っても他の楽器の音の回り込みもなく、上質な歌声が収録できるのである。まさに配信ならではの技。

 逹瑯_s200621-0562_s_撮影:田中聖太郎

SATOち_s200621-1396_s_撮影:田中聖太郎

逹瑯の前に置いてあるランタンに灯が灯り、ミヤのピアノで幕を開けた「積想」。

コンデンサーマイクの高い音の解像度が、逹瑯の歌をよりエモーショナルなものに仕立て上げていく。

普段ライヴハウスの爆音では聴こえづらいYUKKEB)のアップライトベースでの細かいフレーズも、配信ライヴなら音の分離がはっきりしているため聴こえやすく、より曲の雰囲気に陶酔できる。

 ミヤ_s200621-0454_s_撮影:田中聖太郎

YUKKE_s200621-0674_s_撮影:田中聖太郎

再びメンバーは四方に戻り、ミヤがフィードバックノイズで空気感を変えると、切り裂くようなベース音で始まった「SANDMAN」。

イントロの特徴的なベースサウンドを作り出すエフェクターの映像など通常のライヴでは見ることは無いだろう。

こういった遊び心あるカメラワークはさすがMUCC

ヴォーカルの歪んだエフェクトも、より音源に近い感じで再現されているのは流石である。

 

「スーパーヒーロー」終わりのMCでは、逹瑯やミヤがオーディエンスの居ないライヴは孤独だとしきりに語る。

だが彼等は、世界各国の言語で書かれたタイトルがスクリーンや配信画面に映し出されていく「自己嫌悪」、バンドインの瞬間にフロアに置いたミラーボールが一気に輝きだす「アルファ」と、無観客の配信ライヴでしか出来ない演出を次々と見せつけてくる。

 

ここまで「惡」「壊れたピアノとリビングデッド」の曲で構成されたセットリストだったが、続いての「ニルヴァーナ」は2012年の曲だ。

この曲はミヤが東日本大震災を受け「影と希望の光」をテーマに制作した。

世界的な災害を受けている今だからこそ届けたい曲なのだろう。

そして「My WORLD」が始まった瞬間、メンバーの後ろのスクリーンに思いを届けたかったファン達の映像がリアルタイムで映し出された。

Zoomを活用し、世界中のオーディエンスと彼らが「今可能な最良な形」で繋がった瞬間だった。

嬉しそうにスクリーンに歩み寄るメンバー達。

ライヴはバンドだけでは決して成立しないものだと、改めて感じさせられる瞬間だった。

 

全てのファンに逹瑯が「ありがとう」と伝えると、フィードバックノイズを切り裂き始まった本編最後の曲「生と死と君」。

カメラワーク、背景に映し出される映像、配信映像に合成される歌詞などが相まって、

より一層エモーショナルに。まるで一本の映画を見たかのような感覚に襲われた。

 

少しのインターバルの後、メンバーが今回通販で販売されている「惡」Tシャツに着替えて会場に戻ってきた。

このままアンコールかと思いきや、行われたのはなんと吉田トオル氏の「断髪式」だ。

 

「壊れたピアノとリビングデッド」にまつわる期間、MUCCのイメージに合わせ髪を伸ばし続けていた彼。

本来ならば4月に予定されていたヨーロッパツアーで「期間限定正式メンバー」の期間が満了するはずだったのだが、

そのツアーがキャンセルになってしまったので、改めてこの日「けじめの日」としてMUCCの為に伸ばした髪の断髪と相成った。

年下のMUCCメンバー達が、冗談を交えながら容赦なく鋏を入れていくシーンは、

先程までの「カッコいいバンド」ではなく、ただの「惡ガキ」である(笑)

 吉田トオル・逹瑯_s200621-2232_s_撮影:田中聖太郎

和やかなムードの中、1227日の日本武道館公演が突然発表され、配信上の書き込みやSNSでは喜びの声が溢れた。

Twitterでは「#mucc無観客ライブ」がトレンド入りする状況となった。

 

祝福の中で始まったアンコールの「蘭鋳」では、メンバー全員がガスマスクとゴム手袋を装着し、アクリル板を飛び越えてメンバー同士が敢えて密になるパフォーマンスも。

最後に、普段見る事のないメンバーの円陣からのカーテンコールで、熱狂の配信ライヴは幕を閉じた。

 逹瑯_s200621-2286_s_撮影:田中聖太郎

ミヤ_wr200621_3239_s_撮影:渡邊玲奈

YUKKE_wr200621_3212_s_撮影:渡邊玲奈

SATOち_wr200621_3143_s_撮影:渡邊玲奈

この数ヶ月間に色々なアーティストの配信ライヴを観て、私自身も配信ライヴをやったからこそ分かるが、このクオリティは尋常ではない。

改めてMUCCというバンドの底力を思い知らされた。

 

年末に武道館ワンマンという未来に繋がる嬉しい発表もあったが、正直まだその時期には通常通りのライヴが開催出来ないかもしれない。

 

だとしても彼等なら目の前の困難や逆境を全て飲み込んで進んで行くだろう。

そんな彼等にどこまでもついて行こうと、このライヴを観た人達は誓ったに違いない。

 

 

文◎団長/NoGoD

写真◎田中聖太郎・渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

 

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Fight against COVID-19 #2~『惡-THE BROKEN RESUSCITATION

2020621日(日) SETLIST

 

1.-JUSTICE-

2.CRACK

3.サイコ

4.海月

5.ヴァンパイア

6.taboo

7.積想

8.SANDMAN

9.スーパーヒーロー

10.自己嫌惡

11.アルファ

12.ニルヴァーナ

13.My WORLD

14.生と死と君

En1 蘭鋳

 

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MUCC INFORMATION

 

MUCC有料配信LIVE  

Fight against COVID-19 #2~『惡-THE BROKEN RESUSCITATION

 

ZAIKO https://muccofficial.zaiko.io  

624日(水)21:00までチケット購入可能、アーカイブ配信で視聴可能。

【ニコニコ生放送】 https://secure.live.nicovideo.jp/event/lv326425127  

 ※720日(月)23:59までチケット購入可能、アーカイブ配信で視聴可能

 

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20201227日(日) 日本武道館公演、開催決定!

※詳細は後日発表致します。

※本公演決定に伴い、2020621日(日)ぴあアリーナMMにて開催を予定しておりました

「蘇生」公演は中止となり、チケットは全て払い戻しとなります。

※払い戻しに関する詳細は後日お知らせさせて頂きます。 

 

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■ニューアルバム『惡』 NOW ON SALE 

「惡-JUSTICE-MUSIC VIDEO https://youtu.be/SK3HpOmDAu0  

<全曲試聴トレーラー>https://youtu.be/eEmHDXejwZg  

 

16曲収録>

1. -JUSTICE-  2. CRACK  3. アメリア (惡 MIX) 4. 神風 Over Drive  5. 海月 

6. Friday the 13th  7. COBALT    8. SANDMAN     9. 目眩 feat. 葉月(lynch.10. スーパーヒーロー  

11. DEAD or ALIVE   12. 自己嫌惡  13. アルファ 14. My WORLD (惡 MIX

15. 生と死と君 (惡 MIX) 16. スピカ 17.※SECRET TRACK  Terrace          

 

<初回生産限定盤>(CD+DVD MSHN-0778 3,500+tax 特製スリーブケース仕様

MUSIC VIDEO「惡 -JUSTICE- 」収録

・レコーディングドキュメント収録

<通常盤>(CD only) MSHN-0793,000+tax

 

<初回プレス特典>

[初回生産限定盤][通常盤]初回プレス分にアルバム収録曲16曲、

更にアルバム未収録曲となる「taboo (惡 MIX)」「例えば僕が居なかったら (惡 MIX)」の

2曲を加えた全18曲分の ハイレゾ音質 96kHz/32bit)と

CD音質 44.1kHz/16bit)の楽曲データ(共にMastered By Miya)がダウンロードできるエムカード封入。

 

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■受注生産限定シングル『娼婦 2020

1st シングル「娼婦」誕生20周年を記念して伊藤潤二氏描き下ろしジャケットにて発売決定!

MSHN-081 ¥1,200+tax

受注受付期間:202069日(火)22:00623日(火)23:59

4曲収録>1.娼婦 2020 2.娼婦 2006 3.娼婦 2000 Original Mix  4.娼婦 1999 Demo

詳細はこちら https://55-69.com/news/327542  

 

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<イベント情報>

MUCC『惡』タワーレコード購入者対象イベント「ワンミニッツ!個別リモート惡手会!」

【内容】オンラインでMUCCメンバーとマンツーマンで1分間のおしゃべり!

※ご応募の際、お客様自身でメンバーをお選びいただけます。

【イベント開催予定日時】20207月から8月にかけての土曜日、日曜日、祝日を予定。

 ※詳細はこちら https://55-69.com/news/327221 

 

MUCC × TOWER RECORDS CAFE MUCC CAFE

TOWER RECORDS CAFE 表参道店

日時 69日(火)~75日(日)12002040

TOWER RECORDS CAFE 名古屋栄スカイル店

日時 616日(火)~71日(水)11202000

詳細はこちら https://tower.jp/article/news/2020/06/01/c101

 

■「MUCC『惡』発売記念楽器展」

▼タワーレコード新宿店 7F下りエスカレーター脇ショーウィンドー

【開催日程】

<第一弾> 623日(火)~629日(月)展示内容:ミヤ使用ギター2本、YUKKE使用ベース

<第二弾> 630日(火)~76日(月)展示内容:逹瑯使用マイク、SATOち使用スネア

 

詳細はアルバム特設サイトまで https://aku.55-69.com/  

 

====================

 

<Official HP> http://www.55-69.com/ 

<Official Twitter> https://twitter.com/muccofficial 

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2020年03月30日 (月)

DIR EN GREYが自己初となる無観客ライヴ生配信を敢行!全世界のファンがひとつになった歴史的な一夜。

REPORT - 12:00:19

328日、横浜市に新設されたKT Zepp YokohamaにてDIR EN GREYが無観客ライヴを実施した。その模様はバンドのYouTube公式チャンネルを通じて生配信され、まさしく世界規模の大きな反響を集める結果となった。

 

DIR EN GREYはそもそも32728日に組まれていた同会場での二夜公演を皮切りに、『TOUR20 疎外』と銘打たれた今年最初の国内ツアーを実施することになっていた。が、新型コロナウィルスが猛威を振るうなか、その事態終息が見込めないことから同17日の時点で両公演とそれに続く仙台、札幌の延期が発表され、さらに24日には大阪での各公演についても同様の措置が取られたことが報じられていた。そんな中、323日に明かされたのが、この無観客ライヴと全世界に向けての生配信実施だった。DIR EN GREYにとっては無観客状態での公演実施も、ライヴの生配信自体も、史上初の試みということになる。また、KT Zepp Yokohama37日に開業を迎えているが、こうした事態により公演見送りや延期などが相次ぎ、結果的にはこれが同会場で最初に実施されたライヴ・パフォーマンスということになった。

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当日の配信は、午後2時半よりスタート。ふたつの連続的プログラムのような形式がとられ、まずは4時間以上にわたりメンバーやバンド関係者たちのインタビュー、普段ならば決して目撃することのできないサウンド・チェックやリハーサルの模様などがドキュメンタリー的に紹介された。もちろんこちらもすべて生配信である。そして午後7時からはライヴがスタート。新たなツアーの開幕を待ち焦がれていた日本国内のファンのみならず、国外からも桁外れのアクセスがあり、同夜のうちにドキュメンタリーは13万、ライヴは15万を超える視聴回数を記録。その後も数字を伸ばし続ける結果となった。

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また、ライヴ放映中にはTwitterにおいても話題を独占し、「これが音楽の力!」「明日への活力をもらえた」といったポジティヴなメッセージを集め、国内トレンドの首位を独走。同様にメキシコ、ポルトガル、中国でも1位を記録し、全世界のトレンド3位になった(ちなみにドイツでは24位、ブラジルでは33位、アメリカでも37位を記録)。加えてこの模様は中国最大級の動画配信プラットフォームであるDouyu TV(斗魚直播)を通じても同時に配信され、大きな反響を集めた。ライヴ配信中には視聴者数ランキングの1位を記録しているが、現地の担当者によれば、単体のアーティストによるライヴ配信での首位獲得は、中国においてはごくまれなことなのだという。

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この公演には『The World You Live In』というタイトルが掲げられていた。すなわち『TOUR20疎外』と同じ時間軸上にはありつつも、独立したものという解釈なのだ。当然ながら演奏内容は現時点においての最新オリジナル・アルバムにあたる『The Insulated World』(20189月リリース/通算第10作)を軸とする内容のものとなった。また、この公演タイトル自体は、昨年9月にリリースされたシングル“The World of Mercy”の歌詩に含まれる〈お前らの生きてる世界〉がそのまま英訳されたものだが、実際、世界がこのような状況に追い込まれていなければ実施されることもなかったはずのライヴでもあるだけに、その意味深長さも広く伝わったことだろう。DIR EN GREYはかならずしも社会的なメッセージ発信を主たる目的とするバンドではないが、デビュー当時から人間が抱えるさまざまな〈痛み〉というものをテーマのひとつとしてきた。その彼らが、視聴者たちに〈自分たちの暮らす世界〉の現状に目を向けるよう促すかのような言葉をこの公演に掲げていた事実からも、深刻化する一方の事態に対する危機感、問題意識の強さが感じられた。ことにすべての演奏終了後、メンバーたちが去ったステージ背景にこのツアー・タイトルだけが浮かんでいたラスト・シーンには、とても示唆的なものがあった。

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具体的な演奏内容については別掲のセットリストをご参照いただきたいところだが、約70分間のライヴ・パフォーマンスのなかでことに印象的だったのは“Ranunculus”から“The World of Mercy”にかけての美しくも壮絶な流れだった。また、通常のライヴでもいわゆるMCというものをほとんど行なわない京が、この夜のステージ上で歌詩意外に口にしたのは、ライヴを締め括った“詩踏み”の前に発された「LAST!」という一言だけだった。カメラを通じて視聴者を扇動するような言葉を吐くことも、何かを語りかけるようなことも、彼は一切しなかった。が、だからこそ逆に彼らが音楽と歌詩、パフォーマンスを通じて表現しようとしているものが、より混じりけのない状態で伝わることになったのではないだろうか。同時に、久しく彼らのライヴから遠ざかっていた人たち、これまでライヴ・バンドとしての彼らに触れたことのなかった人たちにとっても、このバンドの本質的なところを知る絶好の機会になったに違いない。

 

実際、この3月最後の週末については東京都に限らず各自治体から不急・不要の外出自粛要請が出ていたわけだが、そうした状況はここ日本国内に限ったものではなく、世界各地が同様の問題を抱え、いわば苦悩や不安、葛藤を共有した状態にあったともいえる。そんななか、かねてからワールドワイドな活動を続けてきた彼らの音楽や姿勢に共鳴するファンは、それぞれの国、それぞれの安全が確保された場所から、このライヴの模様を見守っていたわけだ。確かに彼らの演奏中、KT Zepp Yokohamaの場内にいたのは、13台のカメラを操る撮影クルーをはじめとするスタッフのみで、純然たる観客はその場にひとりもいなかった。そうしたオーディエンス不在の状態で行なわれるものを〈ライヴ〉と呼ぶことに抵抗をおぼえる読者もなかにはいるかもしれないが、巨大スタジアムにも収容しきれないほどの数の共鳴者たちの視線を間接的に浴びながら繰り広げられた5人の演奏は、まぎれもなく〈ライヴ〉だったし、ある意味、通常のライヴを超える何かが感じられるほどの特別なものになったように思われる。また、いわゆる配信用のライヴであるとはいえ、映像や照明を駆使した演出なども、実際のライヴにまったく遜色のない、DIR EN GREYならではのクオリティを伴ったもの。会場には彼らのライヴに携わるレギュラー・メンバーのスタッフたちが顔を揃え、この画期的な試みを支えていた。

 

前述の通り、『TOUR20 疎外』については、すでに横浜、仙台、札幌、大阪での各公演について延期措置が取られ、5月の振替公演日程が発表されている。現状、このツアーは416日に組まれている名古屋公演をもって開幕を迎えることになっているが、実際問題、今後の状況次第ではそれも確実とは言い切れないところがある。ただ、バンドや関係者たちが、いつツアーがスタートしても差し支えないように万全の体制を整えた状態にあることは、この日の配信プログラム前半のドキュメンタリー部分でもメンバーの口から語られていた通りだし、現実に彼らのエンジンが停止してなどいないことは、この日の鬼気迫るライヴ・パフォーマンスからも明らかだった。

 

今は何よりも、バンドの側もオーディエンスの側も、心おきなくライヴを楽しむことのできる環境が一日も早く確保できることを願いたいところだが、同時に、この歴史的な一夜を経たうえで、DIR EN GREYが次にどんなステージを披露してくれるのかが、楽しみでならない。期待は膨らむ一方だが、きっとそれを超えるものを彼らは提示してくれるに違いない。 

 

文●増田勇一 ライブ写真●尾形隆夫

 

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DIR EN GREY

The World You Live In

328()14:3020:30

YouTube公式チャンネル https://www.youtube.com/user/direngreyweb

 

 

http://direngrey.co.jp/

 

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【ライブ情報】

DIR EN GREY

TOUR20 疎外

2020/4/16() 【愛知県】Zepp Nagoya

2020/4/18() 【静岡県】静岡市民文化会館 中ホール

2020/4/22() 【東京都】新木場STUDIO COAST

2020/4/23() 【東京都】新木場STUDIO COAST

[振替公演] 2020/5/6(水・振) 【北海道】カナモトホール(札幌市民ホール)

[振替公演] 2020/5/8() 【宮城県】仙台GIGS

[振替公演] 2020/5/11() 【大阪府】なんばHatch

[振替公演] 2020/5/12() 【大阪府】なんばHatch

[振替公演] 2020/5/14()【神奈川県】KT Zepp Yokohama -a knot& ONLINE only-

[振替公演] 2020/5/15()【神奈川県】KT Zepp Yokohama -a knot& ONLINE only-

 

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DIR EN GREY

The Insulated World -The Screams of Alienation-

2020723(木・祝) 【神奈川県】ぴあアリーナMM

2020724(金・祝) 【神奈川県】ぴあアリーナMM

 

 

Total Info. NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:0018:00)

 

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DIR EN GREY official SNS

site http://direngrey.co.jp/

Twitter @DIRENGREY_JP

Instagram direngrey_official










2020年02月25日 (火)

【ライヴレポート】2020年2月24日(月・祝)<Angelo LIVE at LINE CUBE SHIBUYA「A CONNECTED FIELD」>恒例のキリト(Vo)バースデーライブ終幕!「俺にとって大事なのは今」

REPORT - 11:01:42

 

キリト(Vo)の誕生日当日である2月24日、Angelo LIVE at LINE CUBE SHIBUYA「A CONNECTED FIELD」がLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催された。近年恒例となっているこのバースデーライブは今回で9年目を迎え、年に一度の記念日を祝うべく、今年も満員のオーディエンスが集結した。

 

TAKEO(Dr)、KOHTA(B)、ギル(G)、Karyu(G)と順にメンバーが登場した後、一際大きな歓声がキリトを迎え入れると、最新アルバム『FAUST』収録の「STOP THE TIME , YOU ARE BEAUTIFUL」でこの特別な夜は幕を開けた。後のMCでキリトから「懐かしい場所に帰って来たね」とあった通り、旧渋谷公会堂ではこれまで幾度とライブを行ってきたAngeloだが、昨年10月に生まれ変わった同会場での公演はこの日が初。キリトは3階席まで観客で埋め尽くされた場内を確かめるように見渡したかと思えば、「頭振れー!」と「A MONOLOGUE BY MEPHISTO」で早くもフロアにヘドバンの嵐を巻き起こした。序盤戦は『FAUST』の楽曲たちが並んだわけだが、その中に「NEW CENTURY BIRTH VOICE」を挟むという選曲は、生誕祭ならではのものだったと思えてならない。

 

中盤戦では、白銀の世界を思わす光が場内を包む中、バラードナンバー「光の記憶」をまっすぐに届ければ、「CRUELWORLD」「ACTIVATE RESONATE」を通して、私たちが生きるこの世界のリアルを伝える。さらに「色々溜まっていると思うから、お互いぶつけ合いましょう」というキリトの言葉から「MADMAN MAKE QUANTUM VARIATION」を皮切りに後半戦へと突入すると、弦楽器隊も前方へと繰り出し、フロアはより一層熱を帯びていくのだった。

 

アンコールでは、真っ赤に染まったステージでエモーショナルかつドラマチックな「Umbilical cord」が披露され、ベースのリフレインが印象的な「BUTTERFLY EFFECT」を経て、七色の光が場内を照らし出す中「声聴かせて」(キリト)と、「報いの虹」へ。一人ひとりに語りかけるように歌い、〈君がいるのなら 恐れなど感じない/迷いはしない〉とフロアを指差すキリトの姿が印象的だった。

 

ここで各メンバーからの言葉が届けられた。TAKEOから「歳を重ねるごとにパワーが漲ってくるキリトが羨ましくもあり、大好きです!」という告白があれば、KOHTAは「何度やっても楽しく、嬉しいものです」と。そしてギルは「Angeloの歴史をしっかりこの会場に刻んでいこうぜ」と告げ、Karyuは「今日は記念日なので、1年で一番記憶に残る日にしませんか」と投げ掛けたのだった。

 

キリトはバースデーライブに対して「半分以上は恥ずかしいんですが」と前置きしつつ、「気付けば48歳。前だけを見て突き進んできましたが、長い人生、色々なことがあって。未だに周りの人から過去のことを言われたりしますが、俺にとって大事なのは今ですから。過去はどうでもいい。今、そしてこれから創る未来だけが大切です。それをよく理解してくれているのは、大切な君たちです。そして引っ張っていくのはキリト。これからも年甲斐もなく、邪魔するものは蹴散らしていく」という頼もしい宣言が。そして「Script error」「PROGRAM」「Daybreakers」を連投したラストブロック。キリトが客席へ降りるという場面もありながら、熱狂と多幸感に包まれたこのステージは幕となったのだった。

 

キリトは「いい夜だった。キリトご満悦だよ。この夜を忘れない」と言うと、TAKEOは「もっともっと最高な景色を見ていこうな!」、ギルは「今年も思いっきり暴れていこうぜ!」、KOHTAは「最高の記念日、最高の盛り上がりでした!」、Karyuは「最高の景色です。俺も忘れませんよ。これを音源にぶつけますので、楽しみに待っていてください!」と述べ、終演と見せかけて「これで終わりませんよ! きっちり祝いますよ! 僕の大好きなお兄です」とKOHTAが音頭をとり、オーディエンスと共に「Happy Birthday」の大合唱とバースデーケーキでキリトの誕生日を祝福した。

 

「新しい48、49、50歳の姿を見せるから、これからも応援よろしくお願いします。好き放題やっていきますが、大切なものを守りながら、皆が笑顔でいられるように頑張るから、付いてきてください…とは言わない。付いて来い! 今日ここに来たお前たちに選択肢はない!」というキリトらしい愛情表現に対してオーディエンスが特大の歓声で応えると、「よし、わかった。連れて行ってやる」と笑顔を見せつつも、「でも、メンバーがいないと…」と呟いた場面は、今現在のキリト、そしてAngeloの関係性を象徴するものだったと感じる。

 

この日、キリトが拳を固く握り締める場面、満足気に頷く姿がいつにも増して多く見られたように思う。それは、Angeloというバンドの確かな強さと、より多くの愛情が注がれた特別な時間がもたらした結果だろう。今後のAngeloの動きとしては5月1日より全12公演に渡る全国ツアー、さらに6~7月にホールツアーの開催が決定している。それらのステージにおいても、愛に満ちた最高の景色が観られることを願って止まない。

 

(文・金多賀歩美)

 

◆セットリスト◆

01.STOP THE TIME , YOU ARE BEAUTIFUL

02.A MONOLOGUE BY MEPHISTO

03.ファウスト

04.NEW CENTURY BIRTH VOICE

05.HYBRID CENTURY

06.THE SELECTED NEW AGE

07.ORIGIN OF SPECIES「ALPHA」

08.光の記憶

09.CRUELWORLD

10.ACTIVATE RESONATE

11.CREVASSE

12.MADMAN MAKE QUANTUM VARIATION

13.狂人

14.Experiment

15.RETINA

16.THE CROCK OF ULTIMATE

17.RIP

18.シナプス

 

En

01.Umbilical cord

02.BUTTERFLY EFFECT

03.報いの虹

04.Script error

05.PROGRAM

06.Daybreakers

 

【ライブ情報】

■Angelo Tour 2020「Mephisto Rebellion」

05.01(金)TSUTAYA O-EAST

05.02(土)TSUTAYA O-EAST

05.05(火・祝) YOKOHAMA Bay Hall 

05.06(水・休) YOKOHAMA Bay Hall 

05.09(土)CLUB CITTA’川 

05.15(金)岡山CRAZYMAMA KINGDOM 

05.17(日)福岡DRUM LOGOS 

05.23(土)札幌 PENNY LANE 24 

05.30(土)大阪umeda TRAD 

05.31(日)名古屋ボトムライン

06.03(水)仙台 Rensa 

06.06(土)EX THEATER ROPPONGI

チケット料金:スタンディング/2F指定席(6/6のみ)¥6,300(税込)※ドリンク代別 ※3歳以上有料

 

■Angelo「THE BRANCHED WORLD LINE」

06.27(土)三郷市文化会館(大ホール)

06.28(日)三郷市文化会館(大ホール)

07.04(土)NHK大阪ホール

07.05(日)NHK大阪ホール

07.17(金)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

チケット料金:全指定 ¥6,600(税込) ※3歳以上有料

 

【リリース情報】

11the ALBUM「FAUST」NOW ON SALE

 

初回限定盤(CD10曲+DVD)

IKCB-9570~71/¥3,500+税

DVD・・・「A MONOLOGUE BY MEPHISTO」Music Video+メイキング映像

 

通常盤(CD10曲)

IKCB-9572/¥2,800+税



2020年02月21日 (金)

【ライヴレポート】レーベル誕生から10年。Starwave Records、10周年を祝うフェスを10バンド集めて新宿BLAZEで開催

REPORT - 00:07:29

  2月でレーベル設立10周年を迎えたStarwave Records。時代を経るごとに所属バンドも変化。もちろん、長く所属し続けているバンドも多い。むしろ、解散という形以外でレーベルから離れるバンドがいないように、とてもバンド想いのレーベルだからこそ10周年を迎えるまでに成長し続けてきた。

 

  同レーベルが、設立10周年を記念し、218()に新宿BLAZEを舞台に「Starwave Fest Vol.22~レーベル設立10周年記念イベント~」を行なった。出演したのは、Scarlet Valse・未完成アリス・La’veil MizeriA・ラヴェーゼ・UNDER FALL JUSTICETHE SOUND BEE HDXANVALAUCHUSENTAI NOIZ(ゲスト)NightingeiL(ゲスト)VAMPIRE ROSE(ゲスト)10組。転換の合間には、所属バンドのヴォーカリストたちがトークを担う「Starwaveなんでやねん」コーナーも設置。ここには、所属バンドたちの当日のライブの模様をお伝えしたい。

 

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UNDER FALL JUSTICE

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 トップを飾ったのが、現在のStarwave Recordsの屋台骨を支える三強バンドの一つUNDER FALL JUSTICE。イベントの幕開けを飾る楽曲としてぶつけたのが、前田愛郎の叫び声から始まった「肯定」。黒く激しく、何よりもおどろおどろしい匂いをフロア中へ振りまくように、UNDER FALL JUSTICEはどす黒い音の塊を次々放り込んできた。スクリームとメロな歌を巧みに交錯させ、フロア中の人たちを暗鬱で華激な世界へ彼らは導き入れる。

 

  前田愛郎の痛いセリフを合図に飛びだしたのが、「君は一緒に飛び下りないかな」と歌い叫ぶ「赤い日記帳」だ。UNDER FALL JUSTICEらしい、闇や病みを抱えた心模様へ寄り添う歌を、彼らは激走する演奏に乗せぶつけだす。メンバーらと観客たちとの熱したやり取りは、バンドとファンたちとの心の結びつきを示した姿。前田愛郎の煽りに触発され、右へ左へと大きく揺れ動く観客たち。その勢いを加速させるようにUNDER FALL JUSTICEは「デスゲーム」を叩きつけた。狂気を具現化した音に触発され、観客たちが激しく頭を振り乱す。痛みを持った音を勢い良く突きつけるメンバーたち。何時しか場内は、教祖に身を任せ熱狂に嬉しく溺れる儀式のような様へと塗り上げられていた。何度も何度も繰り返される煽りの光景。そこへ身も心も預けてこそ快楽を手にしていけるのを知っているからこそ、誰もが黒い宴に身を溺れさせて逝った。

 

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ラヴェーゼ

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 ラヴェーゼのライブは、紗弥-saya-の叫びを合図に轟く音をフロア中に震撼させ始まった。冒頭を飾った「Amaryllis~深淵への契約 #1」を武器に、彼らはスクリームと共に深淵から飛び出し、勢いを持って観客たちをけしかけだす。フロア中の契約者たちが、紗弥-saya-の振りへ呼応するように両手を大きく花開かせ、飛び跳ね続けてゆく。

 

  さぁ、この勢いをさらに加速させようか。演奏は、一気に激しさと重さを増していく。紗弥-saya-の煽り声に絶叫を返せば、メンバーらの煽りにも触発された観客たちがその身を大きく揺らしながら右に左へと移動。その勢いへ重厚な音を塗り重ねるように、ラヴェーゼは「Tuberose」をぶつけた。フロア前方は、激しく頭を振り乱す人たちが支配している。広い会場という理由もあるのか、何時も以上に身体を深く折り畳む光景も印象深い。演奏が進むごとに過激さを増すラヴェーゼのライブ。激しい手拍子とヘドバンの光景をフロア中に描き出した「Silene」では、メンバーらも、観客たちも、乱れる気持ちを晒すように激しく頭を振っていた。途中には、ヘドバンや折り畳みの光景をフロア中へ作り出す煽りシーンも挿入。身体中のエナジーを振り絞り騒いでこそラヴェーゼのライブ。その様を彼らはその場へ示していった。

 

  最期にラヴェーゼは、バンドの顔とも言える「偽りのディストピア」をぶつけてきた。荘厳で過激な闇と病みの儀式をその場へ作り上げるように、ラヴェーゼが招き入れた黒い轟音に大勢の人たちが身も心も預け、フロア中へ放たれる音の衝動を、絶望に嘆く紗弥-saya-の荒ぶる歌声を無心に貪り喰らっていた。

 

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THE SOUND BEE HD

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  黒く重い音の洪水がフロア中にあふれだす。その上で、何かを求めるように響き渡るDaISUKE DARK SIDEの歌声。THE SOUND BEE HDのライブは「DEADMAN’S WALK」からスタート。物語を綴り始めるに相応しい、荘厳で壮大さを持った楽曲だ。観客たちは、彼らが導き開いた異世界へと引き込まれ、何時しかデッドマンのように身体をゆったり大きく揺さぶり、折り畳み続けていた。

 

  現世を忘れた物語へと観客たちを連れだしたTHE SOUND BEE HDのメンバーらは、次々と新しい風景を目の前へ提示してゆく。嘆く心模様も歌声や旋律に忍ばせながら、でも、胸を昂らす勇壮さを抱いた「Walking Dead」を、彼らは朗々と、雄々しき様を持って突きつける。スペクタクルなホラー映画のエンディングのような様さえこの歌に感じるのも、楽曲自体がドラマを持っているからだ。

 

  怒りと混沌とした感情を嘆く心の涙で洗い流すように、THE SOUND BEE HDは壮麗/荘厳なバラード「Darkness World」を、痛みに疼く感情を零すように歌い奏でだす。神々しさと美しさを抱いたDaISUKE DARK SIDEの歌声が、汚れた心の澱を洗い流してゆく。その歌声や演奏に触れている間、誰もがその場へ立ちすくみ、楽曲に心が縛りつけられていた。いや、そうしていたかったくらいに「Darkness World」が会場中の人たちの痛みを隠した心を捉えて離さなかった。闇に寄り添い救われるとは、まさにこんな感覚を言うのだろう。

 

  最期にTHE SOUND BEE HDが示した「answer」は、心騒ぐまま熱狂に溺れろということだった。牙を剥きだした荒々しい音が、お前も本性を剥きだせよとけしかける。何時しかフロアのあちこちから天高く拳が突き上がる。騒ぐというよりも、沸き上がる感情を振り上げる拳に変え、解き放つ様だった。とはいえ、そこには自分を曝け出しライブを楽しむメンバーと観客たちの姿が確かにあった。

 

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La’veil MizeriA

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 La’veil MizeriAのライブは,狂ったようにあざ笑う祈狂-kikyo-の声を皮切りにスタート。激しい音が次々と身体へ突き刺さる。鋭いナイフの切っ先をグサグサと肌へ刺されてゆく、そんな鈍い痛みを覚えながらも、不思議と恍惚も抱いていた。冒頭を飾った「××××」を通し、La’veil MizeriAは観客たちを逆ダイの風景へと引きずり込んでは、もっともっと狂いなさいとけしかける。凄まじいブラストビートの上で、彼らは理性を壊す教義を示していった。

 

 演奏は、さらに痛みと激しさを伴いだす。その香りや感覚は、90年代のダーク系と呼ばれたバンドたちが持っていたのと同じだ。闇に恍惚を覚えるよう「ヘマトディプシア」が、理性をもっと壊して熱狂に溺れなさいと煽りだす。美しくも嘆く歌メロに心は妖しく惹かれながら、激しく猛る演奏に身体は熱を覚え続けていた。

 

  La’veil MizeriAは、新たなメンバーを迎え再始動するためにと、現在もまだ活動を止めている状態だ。彼らいわく「まだ夢遊病の状態」のように、目覚めに向けて準備をしている段階。314日に目覚めることが決定しているが、この日は所属レーベル生誕祭のために眠りにつきながらも迷い込んできた形を取っていた。

 

  「楽しくてハッピーで希望に満ちあふれた曲」と盛大な皮肉を込めながらLa’veil MizeriAが最期に届けたのが、絶望へ導く滅私ハードコアナンバーの「絶望郷」。すべてを闇と狂気と絶望で覆い尽くしてこそLa’veil MizeriAの世界。その醜い素顔こそが人の本性だと言わんばかりに、彼らは観客たちの中に潜む本能を、感情を壊すことで導き出そうとしていた。演奏が病む(止む)まで逆ダイし暴れまくるフロアの人たち。それこそが「あなたの本性だ」と、彼らは舞台の上であざけ笑っていたのだろうか…?!

 

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XANVALA

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 始動からまだ半月足らず。XANVALAStarwave Festに登場。ライブは、彼らの1stMV作品として発表した「鮮やかな猛毒」から幕を開けた。冒頭から巽の感情的かつ高揚した歌声が心地好くもインパクトを持って胸に突き刺さる。その歌声を追いかけるように響きだした重厚な音の洪水。混沌と麗美、二つの表情を巧みに重ね合わせ、彼らは触れた人たちを熱狂と恍惚の世界へ連れだしてゆく。心が歌に強く惹かれる。でも身体は、荒ぶる音に触発され熱狂を求めてゆく。フロアでは大勢の人たちが跳ねながら、彼らの音楽を全身で受け止めていた。XANVALAに対する期待の伝わるライブだ。その様を一緒に体感しているだけで心が熱く騒ぎだしていた。

 

  「俺たちなりの愛し方を見せつけてやろう」、3月にシングルとして発売する「CREEPER」が飛びだした。フロア中からあふれだす熱した声・声・声。重厚な音の攻撃を受け、大勢の観客たちが全力で頭を振り乱し、沸きだす想いを舞台上へぶつけていた。その熱をXANVALAのメンバーは、美味そうな果実でも食べるように舌なめずりしながら受け止めていた。ヒリヒリとした、でも心地好く包まれていたいこの熱が、堪らなく胸を騒がせる。

 

  Starwave1ページに思いきり刻み込んでいきたい」と熱く語る巽。その言葉を受けXANVALAがぶつけたのが、「ジセイ」。激しく跳ねた演奏に身を任せた観客たちが、手にしたタオルを振りながら無邪気に跳ね続ければ、右へ左にとモッシュしだす。その様を知りながらも、熱した音を放とうと感情を剥き出しに一身にプレイし続けるメンバーたち。熱と熱というよりは、互いに気持ちを晒しながら、ざらついた感情をぶつけあう。その関係性が、あの空間に火照る熱を作りあげていた。後半には,巽とファンたちによる掛け合いも登場していたことも伝えておこう。

 

  「何時の日か、新宿BLAZEをパンパンにしてやる!!」。巽の宣言を受け、XANVALAは最期に「独善」を披露。轟音を放ち疾走する演奏、その上で胸を揺さぶる巽の歌に触発され、沸きだす高揚を身体が求めていた。体感的でありながら、何時だってXANVALAの音楽は魂を火照らせる。だから、短期間に大勢の信者が彼らのもとへ集いだしてるというわけか

 

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未完成アリス

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 6月にマイナビBLITZ赤坂でのワンマン公演も控えている未完成アリスが、トリ前に出演。塁の「始めようか」の声を合図に未完成アリスが奏でたのが、「パンドラ」。彼らはこの空間へ最期に希望を残そうと、あらゆるネガティブな要素を振り払うよう熱情した歌や演奏をぶつけだした。歌メロ重視のバンドらしく、彼らの歌に合わせ観客たちが左右に身体を振りながら大きく手拍子を行なえば、勢い良く駆ける情熱的な歌や演奏に合わせヘドバンしてゆく光景がフロアには生まれていた。

 

  「この一列目と二列目に出来る隙間が気持ち悪いんだよ、モッシュで埋めてくれますか」。塁の声を合図に始まった「所業無情大殺界」に合わせ、大勢の人たちがモッシュに興じる光景がフロアに生まれだした。皮肉を効かせた歌詞ながらも、楽曲自体がビートの速い跳ねたメロ歌チューンのように、演奏へ素直に身を任せ楽しむ人たちが多かったのも素敵な光景だ。どうせなら、このまま意識をバグらせ、暴走してしまえ!!

 

  「君の目の前の世界は、君が自由に作れるんだよ」、塁らしい心に希望の灯をともすどころか、炎に変えるメッセージじゃないか。彼の言葉を受け飛びだした「夢世界少女」に合わせ、熱狂の渦の中へ嬉しそうに飛び込む人たちが次々登場。メンバーらに煽られ跳ねれば、時にはヘドバンをしてと、未完成アリスの作りあげるひねくれたポップワールドへ何時しか巻き込まれる人たちと、その様を傍観してゆく人たちへフロアはきっぱり分かれていた。これも、好き嫌い、熱狂と圧倒、二つの感情に振り分けられる個性を、未完成アリスの音楽が持っている証拠。「夢世界少女」の歌詞の一節ではないが、すべては「あなた次第」ということだ。

 

  ノンストップで駆け続ける演奏。「今日、最期に一番伝えたい想いを。応援してくれる子たちにとってどんな存在であるべきなんだろう。僕たちは希望になろうと思った。僕たちが前に向かって走っている姿を見せることが希望になると思った。僕たちの人生に無理なんて一つもない」。塁の言葉を受け、最期に未完成アリスは「良音」を届けてくれた。未完成アリスの楽曲は、どれもけっして体感的な楽曲ではない。むしろ、心で感じる音楽だ。言葉を受け止め、咀嚼してゆく良音だ。それでも騒げるのは、その想いをしっかり昇華しているから。未完成アリスの音楽と心で繋がりあったとき、その歌は心に希望を響かせてくれる。

 

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Scarlet Valse

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 トリを飾ったのが、Scarlet ValseSEが流れだすと同時にフロアから絶叫が響きだす。熱い声を胸にScarlet Valseが最初に観客たちを連れだしたのが、幸せに満ちた天国だ。開放感を抱いたギターの旋律が空まで続く階段となり、観客たちを天へと連れだした。もちろん、BGMは「Heaven」だ。この歌へ触れている間中、嬉しいドキドキが全身を包み込む。高揚を与える?!。確かにそうだ。でも、そんな短絡的な言葉では形容しきれない、ハートを熱くときめかす衝動を「Heaven」に触れるたび感じてしまうんだ。

 

  さぁ、ここからはメンバーらと熱いバトルを繰り広げようか、Kakeruと観客たちとが熱した声をぶつけあう。互いに気持ちを高めながら、その先に生まれる熱狂や興奮を共に分かち合おうとScarlet Valseは誘いをかけてきた。飛び出したのが「Misty Night」だ。たとえ激しい曲調だろうが、荒ぶる音が轟こうと、ギターが響かせる美しい旋律に身を寄せていると心がジンと濡れてゆく。サビではKakeruと観客たちとの歌のやり取りも登場。誰もが身体中から沸きだす熱を覚えながらも、胸を揺さぶる美しい歌や旋律に心を震わせていたかった。

 

  「自分らしくこの場所に立っていることを証明してみせる」。Kakeruの言葉に続いて披露したのが、ハードシンフォニック浪漫ナンバーの「Prayer」。Scarlet Valseの真骨頂でもある、華激な演奏と胸打つ美しいメロディが、希望を持った歌詞をブリッジに感動を持って混じり合う。麗しい声で想いを告白するように歌うKakeru。彼の想いへシンクロするように熱と美しさを持った音を次々と塗り重ねる演奏陣。フロア中の人たちが大きく振り上げた手を、想いをつかむために飛び立つ翼に変えていた気持ちもわかる気がする。

 

  最期にScarlet Valseは、輝きをこの手につかもうと。いや、会場中に詰めかけた全員で共に輝きを放とうと「Shining…」を演奏。誰もが身体を左右に心地好く揺らしながら楽曲を、Kakeruの歌声を全身で受け止めていた。この場にいた人たちはきっと気付いていたはずだ。輝きは与えてもらうものではなく、自分が発していくものだと。その小さな輝きをみんなで交わしあったとき、それは目に見える大きな夢や希望という光になっていくことを。

セッション

  「これからも音楽の力でみなさんを感動させていきたいと思います。みなさんも、これからも好きな音楽を追いかけ続けてください」。その言葉に続き、Kakeruがこの日のライブを彩った仲間たちを舞台へ呼び入れた。最期に出演者全員で、Scarlet Valseの「Rose Cruel Scar」を演奏。気心知れた仲間たちばかりのように、観客たちが笑顔で騒き、頭を振り乱すのはもちろん。舞台上のメンバーたちも、Kakeruの歌声へ歌声を重ねあえば、煽り声を上げるなど、みんなで音を無邪気に楽しんでいた。腹を割った関係の中でずっと歩み続けている仲間たちばかりだからこそ、一人一人が輝きを放ちながら舞台の上ではしゃぎ続けていれたんだ。

 

 Starwave Recordsは、これから11年目へ向かって走り出す。これからも刺激的なバンドを次々と輩出してゆくことへ期待をしつつ、次に行われる「Starwave Fest」も楽しみに待っていようか。

 

 

TEXT:長澤智典

 

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Starwave Records Web

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https://twitter.com/starwaverecords

 

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セットリスト―

 

●UNDER FALL JUSTICE

「肯定」

「赤い日記帳」

「デスゲーム」

 

●ラヴェーゼ

Amaryllis~深淵への契約 #1

Tuberose

Silene

「偽りのディストピア」

 

●THE SOUND BEE HD

DEADMAN’S WALK

Walking Dead

Darkness World

answer

 

●La’veil MizeriA

××××

「ヘマトディプシア」

「絶望郷」

 

●XANVALA

「鮮やかな猛毒」

CREEPER

「ジセイ」

「独善」

 

●未完成アリス

「パンドラ」

「所業無情大殺界」

「夢世界少女」

「良音」

 

●Scarlet Valse

Heaven

Misty Night

Prayer

Shining…

 

●呼び込み

Rose Cruel Scar











2020年02月17日 (月)

【ライヴレポート】<有村竜太朗 ACOUSTIC LIVE「Op.+」AT Christ Shinagawa Church>2020年2月14日(金)キリスト品川教会グローリア・チャペル◆祭壇となるステージに設置されたパイプオルガン、背景に飾られている木製の大きな十字架──。

REPORT - 11:53:10

Plastic Treeのボーカリストとして活動する傍ら、2016年からソロ・アーティストとしてのキャリアをスタートさせた有村竜太朗。

昨年12月、既発作品である『個人作品集1996-2013「デも/demo」』と『個人作品集1992-2017「デも/demo #2」』の2作品をアナログ盤として発表し、温かみのあるサウンドへのこだわりを見せた。

また、ライブにおいてもバンドセットとアコースティックセットの2通りを使い分け、特にアコースティックセットでは弦楽器をフィーチャー、ノスタルジックで優しいサウンドを紡ぎ出している。

 

 

 

そんな彼が2月14日のバレンタインデーに、今年初のソロライブとなる“ACOUSTIC LIVE「Op.+」AT Christ Shinagawa Church”を開催。
キリスト品川教会グローリア・チャペルという特殊な会場を公演場所として選んだ。
この品川教会グローリア・チャペルはシンプルでモダンな作りだが、壁にはブロックガラスが使用されており、昼間は自然光が入る開放的な雰囲気。だが、夜は昼間とは違う厳かさが漂う。

祭壇となるステージに設置されたパイプオルガンや、背景に飾られている木製の大きな十字架を見ると、自然と身が引き締まる。

 


 開演前には讃美歌が流され、通常のライブ前とは違う緊張感が漂っていた。

開演時間となり、照明が暗転すると、ステージに置かれたLEDキャンドルの明かりがぼんやりと目立ち始める。

この日のバンド編成は、キーボード、アコーディオン(&パイプオルガン)、バイオリン、セロというラインナップ。暗がりの中、メンバーが所定の位置につくと、最後に有村竜太朗がセンターに歩み寄り、暖色系の照明に照らされながらアコースティックギターを鳴らす。

 

1曲目は「op.10(19罪/jukyusai)」。さっそくパイプオルガンが導入され、曲に神々しさを加えていく。

セットリストは、これまでもアコースティックセットで披露されてきたおなじみの構成だが、この日はどの曲も新鮮に感じられた。


 最初のMCで「ずっとやってみたかった品川教会グローリア・チャペルで「Op」(アコースティックver)の曲をたくさんやれるのは嬉しい限りでございます ―― 2月14日という意味のある日、皆さんにとってもいい日になりますように」と挨拶。

そして、「op.2(魔似事/manegoto)」、秒針の音で穏やかに始まる「op.5(鍵時計/kagidokei)」などを、ゆったりと聴かせていった。

ステージの背景に映し出される象徴的な映像もライブに幻想的な要素を加えていく。

しかも、有村の浮遊感のある歌声や、曲終わりで鳴り響く大きな拍手は高い天井に吸い込まれ、曲がすすむごとに心が清められていくようだった。

有村も「教会ってめちゃくちゃいいところですね」と、独特の感覚をかみしめる。

続く「op.11(くるおし花/kuruoshibana)」からは後半戦。「op.8(ザジ待ち/zajimachi)」や、夕暮れの抒情的な風景とマッチする「op.12(日没地区/nichibotsuchiku)」など、ノスタルジックな楽曲を存分に響かせ、本編最後では「op.1(浮融/fuyuu)」を披露。後半ブロックでもパイプオルガンを取り入れたバージョンで何曲か披露し、美しいサウンドを届けてくれた。

 

アンコールでは、有村ひとりでステージに登場。アコースティックギターの弾き語りで「op.10(19罪/jukyusai)」を丁寧に歌い上げた。
 ある意味、実験的な試みのライブだっただけに固さも感じられたが、会場の空気感と楽曲のマッチングは絶妙。

まるで浄化されていくような強い印象のライブとなった。

 

 今後の予定だが、彼自身の誕生日である3月6日に、マイナビBLITZ赤坂で“有村竜太朗 BIRTHDAY LIVE 2020 – ROOM306 -”が行われる。“現実に疲れた時、そっと逃げ込める空間になれば……”という思いを込め、架空のホテル“ROOM306”での公演という趣向だそうだ。

教会での雰囲気とは違う彼の別な側面を、じっくり味わっていただきたい。
 

 

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有村竜太朗 BIRTHDAY LIVE 2020 -ROOM306-

日程:3月6日(金)

会場:マイナビBLITZ赤坂(東京)

 

時間:開場18:00/開演19:00

料金:前売り ¥6,000(税込/1Fスタンディング/ドリンク代別途)

 

有村竜太朗オフィシャルサイト:https://arimuraryutaro.com/

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有村竜太朗Twitter:https://twitter.com/Pla_ryutaro

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