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2019年03月17日 (日)

【ライブレポート】0.1gの誤算<3周年記念ワンマン『俺達を倒せるのはただひとつ、俺達だけだ』>2019年3月16日(土)Zepp Diver City◆今日もまた己に勝利~“100点の”3周年ワンマンで示した確固たる決意~

REPORT - 17:12:28

先月末、新宿BLAZEでの無料ワンマンを大成功に収めたばかりの0.1の誤算。本日は、誤算史上2度目の会場となるZepp Diver Cityにて、3周年記念ワンマン『俺達を倒せるのはただひとつ、俺達だけだ』が行われた。

 

Zepp Diver Cityにお集まりの皆さん、今から皆さんは人質です。

今まで沢山ライヴをしてきましたね。

最高だと思える日がいくつあっただろう。

今日は、ここに居る全員が過去最高を超えるまで、解放しません。」

という緑川裕宇(Vo)のナレーションが流れ、そのままゾーンの説明へ。

何らかの事情によって暴れられない奴がメンバーにテレパシーを送る「暴れないゾーン」、小さなお友達と保護者が入る「ちびっ子ゾーン」、ドルオタをはじめ、各々自由に楽しむことが出来る「フリースタイルゾーン」、緑川裕宇の指示に従い行動する「暴れなければいけないゾーン」と、今日もステージが始まる前から誤算特有の空間が創り上げられている。

更に、緑川裕宇はこう続けた。

「周りから、0.1gの誤算は絶対にコケる、そう言われてきたよな?

でも俺達は全ての戦い(大箱大行脚チャレンジツアーを含め、これまでに挑んできた大きな会場でのライヴ)に勝利した。

もう分かってんだろ?

自分を倒せるのは自分だけなんだぜ。」と。

 

会場中に響き渡る大きな声と力強い拳に迎えられ、メンバーが登場。

コール&レスポンスでウォーミングアップをし、「溺愛ヤンデレボーイ」から演奏がスタートした。

ポップに始まったのも束の間、スモークの噴射と共に誤算ワールドに突入。

メンバー全員が息を合わせて踊るところから演奏が始まる「NEVER ENDING」、登場したダンサーと盛り上げる「【K0626【渇望】」と、その後もノリの良いナンバーが続く。また、「人のお金で肉食べたい!」という言葉の掛け合いから始まる「しいたけ人生論」では、演奏前にスペシャルバージョンの音頭も披露された。

下積み時代にビラ配りでこの会場を何十回も訪れた事を振り返り、今ここでワンマンライヴを行っているんだという実感を噛み締めながら放たれた言葉。

彼等らしいストレートな音頭は、なんとも言えぬ爽快さがある。

また、本来なら上手と下手に分かれてモッシュを起こす「月詠センチメンタル」でも、今日はスペシャルバージョン。

華麗に扇子が舞う中、緑川裕宇が神輿に乗って移動しながらフロアの隅々までしっかりと誤算の世界に巻き込んでいった。

 

勢い抜群の曲を畳み掛ける中、9曲目の「男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍」では、一部のゾーンでサークルモッシュが巻き起こる。

また、前方の柵が撤去されるなど、思い切り走れる環境も整えられていた為、別のゾーンでも左右にモッシュ。

そして、男性ファン全員集合の合図から、ギャ男VSドルオタを含むそれ以外の男性で綱引きが行われた。

一年前の赤坂BLITZ公演で行った際に完敗だったギャ男チームだが、今日は、河村友雪(Gt)もフロアに降りて参戦し、見事に勝利。

その後は全員でスクワットを行うなど、会場を熱くさせた。

ここまで沢山のエネルギーを放出してきたが、会場を大きく揺らした「VITAL」や振り付け講座から始まった「絶対プリティ生命体」など、多様な曲を披露しながら更に加速を続けていった。

 

2016年に始動した0.1gの誤算。

3年って、あっという間の様に思えて、多くのバンドが壁にぶち当たってそのまま崩壊してしまう事が多い期間でもある。

だが、メンバー自身も宣言した様に、誤算は始動から常に最高新記録を更新しながら走り続けている。

この3年間、本当に色んな苦難もあっただろう。

でも、人知れず努力してきたからこそ、今この舞台で輝いている。

「ずっと青春しようぜ。」という言葉から、カラフルな風船が宙を舞う中、「君色トワイライト」で本編は締め括られた。

 

アンコールの声が響き渡る場内で、スクリーンに明かりが灯る。過去のアー写が映し出された後、“Thank you 3rd Anniversary”の文字から新アー写をメンバー一人ずつ公開。

そして、「-改・鬼畜企画」の47都道府県ツアーと夏のラストスパートを飾る大箱ライヴの日程が発表された。

ここで告知の途中ですが…”と、「獣猛者戦争卍轟け!超誤算狩猟卍」のMVを先行公開。

その後、鬼畜企画の続きとして、“822 Zepp Diver City「俺達の前に道はない、俺達の後ろに道はできる~緑川裕宇Birthday~」と大きく映し出された。

全国ツアーと夏の大箱ライヴは、822日に向けた企画「三度目を制する者は、総てを制す」~Zepp Diver City攻略への軌跡なのだ。

 

アンコールで登場したメンバーが一発目に届けたのは、先程スクリーンで公開された「獣猛者戦争卍轟け!超誤算狩猟卍」。

ゲームの世界に入り込んだ様な感覚に会場は大興奮。

更に「有害メンヘラドール」「オオカミ男と月兎」「21gの感傷」といった人気ナンバーを次々と繰り出した。

最初から攻め続けたライヴ。

だが、疲れ知らずの者達はその先を行く。

二度目のアンコールで再びステージに登場したメンバーは、新衣装やMV撮影秘話を語ってくれた。

その間、緑川裕宇が自転車でステージを横切るなど、和やかなムードに包まれる会場。

その中で、今日は100点のライヴが出来ているということが伝えられた。

一人一人の表情を確認する事は出来ないが、その言葉通り、笑顔に包まれた最高のライヴ。

そして、最終セクションには、まだまだ豪華な楽曲が待ち構えていた。

「敵刺す、テキサス」で盛大に逆ダイループを巻き起こしたかと思えば、新曲では、会場を優しいバラードで包み込んだ。

「また最高のライヴしようぜ。」と、銀テープが舞う中、感動的なフィナーレ………かと思われた。

 

だが、そこで終わらないのが、このバンド。

「俺、この空気で終わらせるのが好きじゃないからさ、まだ攻めても良いですか!」と、再び力の入った声で言い放ったのだ。

それに応える様に会場からは大歓声が沸く。

そして、再び「獣猛者戦争卍轟け!超誤算狩猟卍」で盛り上げ、最後は、「必殺!からくり七変化!」「Truth」で暴れ倒した。

この会場でこれだけのボリューム、これだけ濃厚なライヴを、3年目にして堂々とやり遂げた0.1gの誤算、本当に凄いバンドだ。

 

今後誰かに「0.1gの誤算って、どんなバンド?」と聞かれたら、筆者はこう答えたいと思う。

「ちびっ子がはしゃいでたり、男性ファンが身を乗り出して食い入るように観てたり、女性ファンが暴れまくってたり、無理して動かなくてもテレパシー送る事が許されていたりジャンルや年齢性別関係なく受け入れてくれる、とにかく熱くて格好良いバンド!あとは、説明するの難しいから、とにかく一度ライヴに行け!」と。

0.1gの誤算は今日、100点のライヴをした。

しかし、半年も経たぬ間にまたこの場所でワンマンを行う。

常に上を目指し、挑戦し続けることを恐れないこのバンドの満点(限界)は、あるのだろうか。

 

限界突破、新記録を塗り替える瞬間をこれからも一緒に見よう。

まずは、53=誤算の日、日本青年会館へ集まれ。

 

 

文◎藤代冬馬

写真◎大武紘明

 

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-セットリスト-

01.溺愛ヤンデレボーイ

02.NEVER ENDING

03.K0626【渇望】

04.しいたけ人生論

05.月詠センチメンタル

06.アストライアの入滅

07.2008年高田馬場AREA

08.M1230【狂劇】

09.男闘魂戦争卍燃えよ!誤算光殺砲卍

10.希少種達の運命

11.VITAL

12.次回有害ギャ死す

13.L1126【悲劇】

14.絶対プリティ生命体-緑川のテーマ-

15.君色トワイライト

 

-encore1-

16.獣猛戦争卍轟け!超誤算狩猟卍

17.有害メンヘラドール

18.オオカミ男と月兎

19.21gの感傷

 

-encore2-

20.S0723【終焉】

21.混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-

22.灼熱する轟音の旋律と毛根に捧げる鎮魂歌~レクイエム~

23.敵刺す、テキサス

24.新曲

25.アストライアの転生

26.獣猛戦争卍轟け!超誤算狩猟卍 (2回目)

27.必殺!からくり七変化!

28.Truth

 

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-最新情報-

 

4/23(火)ニューシングル「獣猛者戦争卍轟け!超誤算狩猟卍」3タイプ同時発売決定!!

 

5/03(金)毎年恒例!「誤算の日」日本青年館公演決定!

-改・鬼畜企画-『三度目を制する者は、総てを制す』Zepp Diver City攻略への軌跡

開催決定!

 

-改・鬼畜企画- 新緑の日本横断!【Zepp DC47都道府県民割引ツアー【攻略祈願】

5/11 () 札幌Crazy Monkey

5/12 () 札幌Crazy Monkey

5/18 () 新潟Golden Pigs BLACK STAGE

5/19 () 新潟Golden Pigs BLACK STAGE

5/25 () 名古屋HOLIDAY

5/26 () 名古屋HOLIDAY

6/01 () 仙台HOOK

6/02 () 仙台HOOK

6/07 () 心斎橋VARON

6/08 () 心斎橋VARON

6/09 () 心斎橋VARON

6/15 () 福岡Drum son

6/16 () 福岡Drum son

6/17 () 福岡Drum son

6/22 () 岡山CrazyMama 2nd

6/23 () 岡山CrazyMama 2nd

6/26 () 池袋Black Hole

7/06 () 池袋CYBER

7/07 () 池袋CYBER

7/09 () 池袋CYBER

7/10 () 池袋CYBER

7/12 () 池袋CYBER

7/13 () 池袋CYBER

7/14 () 池袋CYBER

 

-改・鬼畜企画- 夏のラストスパート!【Zepp DC】牙を持つ太陽【攻略祈願】

7/20 () 名古屋ReNY

7/25 () 札幌KRAPS HALL

7/27 () 仙台MACANA

8/04 () 渋谷Duo(河村友雪バースデー)

8/10 () 福岡Drum Be-1

8/12 () 江坂MUSE

 

-改・鬼畜企画- Tour Final『俺達の前に道はない、俺達の後ろに道はできる』~緑川裕宇Birthday

8/22(木)Zepp DiverCity

 

詳細、その他の情報は、0.1gの誤算 OFFICIAL WEB SITE をご覧ください。

https://gosan.g1-corp.com/










2019年03月13日 (水)

【ライヴレポート】<MASK 15th ANNIVERSARY YEAR LIVE「生還祭-2019-」>2019年3月3日(日)TSUTAYA O-EAST◆死地から生還したMICHIRUが届けた、「命を大事に1日1日を大切に生きてください」というメッセージ──。

NEWS - 12:32:21

 本来だったら、昨年に行うはずだったMASKの15周年記念の単独公演。だが、MASKのリーダーMICHIRUが昨春に生死を彷徨う病に罹り、自体は急変した。ライブを行うどころか、MICHIRUは昏睡状態の中から目覚めるのか。たとえ息を吹き返しても、果たして社会復帰出来るまで意思や身体を取り戻せるのかという窮地にまで陥っていた。

でも、音楽の神様はMICHIRUを手放すことはなかった。たとえ命を長らえても、まともに動けるようになるまでは早くても半年以上はかかると言われていた中、彼は病気による後遺症もほとんどないどころか、急激に回復の道を辿り、夏前には退院するまでになっていたのは、本人もいろんなところで語ってきたようにご存じの方も多いだろう。

 彼が、こんなにも早く復活した要因の一つとしてあったのが、「絶対にアーティストとして舞台に復帰することが自分の使命であること。それは、MASKのメンバーとして舞台に立つことだ」という強い意思。その目標として掲げた日が、3月3日(日)にTSUTAYA O-EASTで行われたMASKの15th ANNIVERSARY YEAR LIVE「生還祭-2019-」という場だった。

MICHIRUの生還を祝福しようと全国各地からMASKER(ファン)たちが集結、2階席へ立ち見客が出るほどの大盛況だった。社会復帰しているとはいえ、まだまだ体力や体調面が優れないMICHIRUが最後まで舞台の上に立って演奏をやり遂げることが出来るのか…。そんな心配も抱えながら、「生還祭」は幕を開けた。

 

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MICHIRUの生きる意味は音を奏でること。感情を剥き出しに黒い狂気を描きだす第1期MASK。

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先に登場したのが、AOI+SANA+MICHIRU+KAZUTAKE+NANAによる第1期MASK。MASKの持つ狂気/凶暴な面を表出したバンドのように、冒頭を飾った『Gemini』から彼らは妖しくも激しい演奏を繰り出し、フロアの中へ熱狂を描き出した。前のめりな体勢で観客たちへ挑みかかるAOI。その横にはMICHIRUの姿も。触れた人たちを暗黒の宴へ誘う彼らは、けっして攻撃の手を緩めない。続けざま『赤裸々ノイローゼ』を繰り出し、フロアへ感情と感情をぶつけあう様を描きだす。「嫌い嫌い大嫌い」と歌い、叫ぶAOIの姿には、葵として見せる優しさなど微塵もない。意識の螺子を狂わす音の上で、狂気導く道化師と化したAOIのその様は刺激的だ。ポップな表情を魅力する第2期MASKと対比した場合、第1期MASKがなんと邪悪な姿を持って見えていたことか、そのギャップへ、今更ながら心震える戦慄を覚えていた。

 

「MICHIRUさんが生と死の狭間から甦ってきました。僕たちが出来ることは、MICHIRUさんの生きる場所はこのステージなんだということをしっかり彼の身体に焼き付けて、またMICHIRUさんと共に音楽をやり続けていくこと。みなさんの声と笑顔でMICHIRUさんを支えてください。MICHIRUさんも儚くも美しい音色を、狂気を持って奏でていくと思います。みんなも虜になってください」(AOI)

 

天高く突き上がる無数の拳。AOIは、指先に結んだ赤い糸を垂らしながら『赫い盲目』を歌いだした。AOIを先導者に、意識を妖しく魅了する音を通し、第1期MASKは満員の観客たちを激しさと甘美が交錯する宴の中へ連れ出した。その赤い糸の先を繋ぐように、誰もが心の手を舞台へと伸ばしていた。SANAの猛り狂うギターの演奏を合図に、楽曲は狂気を秘めた美しさと浪漫を携えた『ためらい自殺信号』へ。短いブロックごとに第1期MASKは、自身が持っている黒い狂気の美学を、いろんな視点から描き出していった。

 

「MICHIRUさんの生きる意味って、音を奏でること。俺たちに出来ることは名前を呼ぶことじゃないか」、AOIの声を受け、フロアから「ミッチー!!」と叫ぶ声が次々飛び交いだす。

 

 妖しくも甘美な表情を切り裂くように、第1期MASKが突きつけたのが『東京トリックシアター』。激しく攻める演奏に触発され、沸きだす気持ちを全身でぶつける観客たち。サビで見せた哀切な歌に心惹かれつつも、AOIの感情的な歌声に導かれ、観客たちも理性という言葉を何時しか頭の中から消し去っていた。 ギラついた音の刃を剥き出しにメンバーたちがぶつけたのが『XxxXマスター』だ。SANA、KAZUTAKEが舞台上を駆けまわれば、AOIが「あたまー!!」と観客たちを煽り出す。胸くすぐる美しいメロディと狂気を携えた演奏が交錯してゆく。第2期MASKにも繋がる胸を焦がす歌という魅力を携えつつも、第1期MASKだからこそ描き出せる狂気と耽美を重ね合わせた黒い衝撃が身体を貫いていた。

 

「生きてるかー!!」、観客たちを激しく煽るAOI。「色鬼始めましょう」、第1期MASKが最後に突きつけたのが『色鬼』。つねにフロアの中へ感情振り乱し暴れる光景を描き続けてきた楽曲だ。「鬼さん」「こちら」「手のなる」、終わることを忘れたように煽り続けるメンバーたち。フロア中に生まれた逆ダイの光景に、きっとMICHIRUも「生きる力」を授かっていたはずだ。『色鬼』ではMICHIRU自身も前へ出て煽っていた。それ以上に、狂ったようにギターを掻き鳴らすSANAの姿が鬼神と化していた…。フロアをグチャグチャに掻き乱しライブの幕を閉じてゆくところも、感情を剥き出しに黒い狂気を描きだす第1期MASKらしさ。その神髄を、この日もしっかりと見せつけていった。

 

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第2期MASKが伝えた、生きている限りは未来へ向かって何度だって飛べるんだという希望。

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   JIN+SANA+MICHIRU+KAZUTAKE+MINAMIによる第2期MASKのライブは、胸をくすぐる『優しい嘘』からスタート。解放的な楽曲の中へ哀愁を忍ばせたスタイルに、第2期MASKらしさを実感。あの頃、歌ものヴィジュアル系と呼ばれていた多くのバンドの中から、何故MASKが勝ち上がったのか。ぞの理由を改めて実感させる楽曲だ。

 

続く『Boys be ambitious』を通し、MASKは一気に感情のアクセルを吹かし、観客たちを激しく煽りだした。同じ切り刻むでも、第1期MASKとは異なる解放感や光を与えるところが第2期MASKの特徴だ。フロアには早くも大騒ぎする光景が描き出されていた。「もっとアゲろや!!」、JINの煽る声に続いて『世の中の日常で頻繁に起こる今ではごく当たり前とされている出来事』を演奏。歪んだ音の塊が会場中を支配する。小さな身体を思いきり捻り、前のめりの姿勢で客席を見つめ歌うJIN。第2期MASKのライブへつねに描き出されていた笑顔で暴れる光景が、そこには生まれていた。

 

JINが拳を振りまわすのを合図に飛びだしたのが、『ドラマ』。スリリングな演奏と温かな歌が交錯。SANAの冴え渡るギターの上で、JINが儚さを抱いた歌声を響かせる。身体は熱を求めながら、心は、緩急巧みに色を変えてゆく感情的なJINの歌に惹かれていた。『会いたくて』を通し第2期MASKが描いたのは、今にも壊れそうな弱さと切なさ。痛い気持ちが募るほど、繊細ながらも力強い演奏が嘆く気持ちを後押ししてゆく。切ない物語へ色を差してゆく手腕は、流石だ。切なさへ想いを塗り重ねるように、第2期MASKは『C』を演奏。なんて哀愁を抱いた歌だろう。改めて哀切なドラマを描き出すJINのヴォーカリストとしての表現力の高さに心が引き込まれていた。

 

厳かに幕を開けながら、次第にその音は熱と狂気を帯びてゆく。己の感情をダイレクトに投影したMINAMIのドラムソロ。彼の演奏に、KAZUTAKEが、MICHIRUが、SANAが音を重ね、JINが「オイオイ」と煽りを加えだした。ふたたび熱を帯びる場内。その熱を爆発させようと、第2期MASKは『求めたゆえに残ったもの』を披露。激しく突き刺さる演奏に触発され誰もが跳ねれば、JINの煽りに合わせ身体を揺らしていた。この日のJINは、極力MICHIRUへの負担を減らしつつも、煽る熱気を会場内へ作りあげることで、MICHIRU自身にライブという場が作り上げる限界を超えた力を、改めて甦らせようとしていた。

 

 会場に生まれた熱へさらに激しい刺激を加えようと『Live is my Life』をぶつけ、フロア中に黄色い絶叫を作りだす。「踊り明かそう朝まで 声を聞かせて」と歌うJIN。重厚な音を突きつけ、熱狂のパーティへ誘う演奏陣。誰もが生きている証を刻もうと感情をぶつけ、暴れていた。荒ぶる勢いへ拍車をかけるように、彼らは『ローズマリー』を披露。身体を嬉しく騒がせる楽曲へ飛び乗り、観客たちが全力で跳ねだした。TSUTAYA O-EASTの床を踏み鳴らした衝撃は、思いきり会場を震撼させんばかりの勢いと熱を生みだしていた。騒ぐ観客たちとは裏腹に、しっかり歌を届けるJIN。彼の煽りに触発させ、跳ねる勢いが増してゆく。とてもつかみを持ったキャッチーな歌なのに、身体はもっともっとと熱を求め続けていた。

 

 「声を聞かせてくれー!!」、最後に第2期MASKは『未来への翼』をプレゼント。左右に走るJINの動きに合わせフロアに生まれたウェーブも懐かしい光景だ。途中には、会場中の人たちが左右の人たちと手を繋ぎ揺れたり跳ねたりと、同じ仲間として一体化し騒ぎだす様も見せていた。ファンたちが繋いだ両手を上げる瞬間、それは無数の羽ばたく翼にも見えていた。誰もが両手を翼変わりに、笑顔で熱狂。生きている限りは未来へ向かって何度だって飛べるんだという希望をMICHIRUの心にも届けていた。きっとMICHIRUの心の背中にも、未来へ羽ばたく翼が映えていたはずだ。

 

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みなさんも命を大事に1日1日を大切に生きてください。それが、MICHIRUからのメッセージ。

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 「生きていてくれてありがとうございました。みんなの声が一番のリハビリになったと思います」。JINの声を受け、アンコールで第2期MASKは『桜』を演奏。胸をキュッと潤す哀切な歌とはいえ、鮮やかな音色に乗せ、新しく道を描き始めるMICHIRUへエールを贈るようにJINは歌っていた。何より、華やかさをまとった演奏と心の琴線を刺激する歌に、素直に酔っていたかった。

 

 演奏終わりに、メンバーから嬉しいサプライズが。2日後に誕生日を迎えるMICHIRUのため、JINが、会場中の人たちが「HAPPY BIRTHDAY」を歌いだした。その歌に合わせAOIとNANAが花束を持って登場。そのサプライズに、MICHIRUの頬からは温かい涙が流れていた。

 

「本当にありがとうございました。生きてるって凄いなというのをいろいろ感じ取れたので、みなさんに感謝しています。みなさんも命を大事に1日1日を大切に生きてください。自分も第二の人生だと思って生きるので、今後ともよろしくお願いします」と、MICHIRUが涙混じりに言葉を述べてくれた。「MICHIRUさんに元気になってもらって、来年もMASKをやったらみんな来てくれるか」とJINが語ったように、今年いっぱいMICHIRUはリハビリに専念。来年には、さらに元気になったMICHIRUとして。何より、MASKとしてその姿を見れることを期待したい。

 

最後はAOIとNANAも加わり、7人編成のMASKとして『空』を演奏。心に輝きを注ぎ込む楽曲に合わせ会場中の人たちが無邪気にはしゃぎ出す。横でギターを奏でるMICHIRUに向け、想いを届けるように歌うJIN。その横ではAOIが一緒にはしゃぎながらエールを贈れば、2人で「君が好きだったこの空 ずっとずっと忘れないから」と共に歌う場面も。終盤には、会場中の人たちと歌に参加。MICHIRUもお立ち台の上に乗りJINに寄り添えば、何時しかMICHIRUのまわりにメンバーたちが寄り添い、一緒にフロア中で揺れる無数の大きな手の花を笑顔で見つめていた。

 

  MICHIRU自身は、まだまだ完璧ではない状態だ。だけど、この舞台の上にMICHIRUが戻って来てくれたことが何よりも嬉しいじゃない。ライブ中にJINも語っていたように、今年いっぱい身体の治療に費やしてゆく。MICHIRUがベストな状態へ戻った来年には、さらにパワーアップしたMASKとしてライブを行えば、こうやって一緒にはしゃげることが、希望でなく現実になることを願いたい。最後に、メンバー一人一人と抱き合い感謝の気持ちを贈るMICHIRUの姿も愛おしかった。「みんなも命を大切にしてください」。最後にMICHIRUが届けたその言葉、ぜひ、あなたもその意味を改めて考え、噛みしめていただけたら嬉しく思います。

 

 

PHOTO: 折田琢矢

TEXT:長澤智典

 

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MASK  twitter

https://twitter.com/mask20160501

MASK Web

http://loopash.com/

 

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セットリスト

-MASK第1期-

『お通しパレード』

『Gemini』

『赤裸々ノイローゼ』

『赫い盲目』

『ためらい自殺信号』

『東京トリックシアター』

『XxxXマスター』

『色鬼』

 

 

-MASK第2期-

『WE ARE MASKER』

『優しい嘘』

『Boys be ambitious』

『世の中の日常で頻繁に起こる今ではごく当たり前とされている出来事』

『ドラマ』

『C』

『会いたくて』

『求めたゆえに残ったもの』

『Live is my life』

『ローズマリー』

『未来への翼』

-ENCORE-

『桜』

『空』










2019年03月12日 (火)

【ライヴレポート】<SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~>2019年3月10日(日)横浜アリーナ◆15周年を超えて、その先の未来へ──。

REPORT - 19:00:20

 およそ1年間にわたって様々な企画が繰り広げられたシドの結成15周年のアニバーサリーイヤー、そのグランド・ファイナルが310日に横浜アリーナで開催された。

このライブが発表された時にマオが「絶対ここでやりたかった」と語ったように、20113月に予定されていた横浜アリーナ公演が東日本大震災を受けて中止になった、その深い感情と記憶を乗せて挑む晴れ舞台だ。

ファンの気持ちも同じだろう。

広いアリーナは満員の観客でしっかりと埋め尽くされた。

 

シド_3IG0017 

 ステージ後方の超ワイドスクリーンに映る、時空を超えて飛ぶ飛空艇の幻想的なアニメーション。

200320112018と、意味深な数字を刻みながら飛空艇は飛び、着陸と同時にメンバーがステージに姿を現すドラマチックな演出から、勢いよく始まった1曲目は「NO LDK」。

力強いミドル・テンポとマオの優しい歌声で会場内の空気を柔らかくほぐすと、2曲目「ANNIVERSARY」からは一気にスピード・アップ。派手なレーザービームが飛び交う中、「V.I.P」ではいきなりマオが客席へ飛び込んだ。高ぶる気持ちを抑えきれない、熱い気持ちが伝わるオープニングだ。

 

「今日はシドの15年間をぎゅっと詰め込んだセットリストにしてるんで、最後まで楽しんでくれ!」(マオ)

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 4人お揃いの、ミリタリー風のデザインによるシックなブラウンの衣装がかっこいい。

曲はまさにベスト・オブ・シドで、「cosmetic」「KILL TIME」「罠」と続くアダルトでファンキーなロック・チューンでは、Shinjiの鋭いカッティングと明希の強烈なスラップがグルーヴをリードする。

気持ちの入った演奏に、こちらの体も自然に揺れる。

 

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「今日は15周年の大打ち上げ。シドのこれからを感じる最高のライブにしよう」(明希)

「ラーメンにたとえると、最近は太くて長い麺も増えてます。シドも太くて長いバンド活動をしていきたいと思ってます」(Shinji

「この場所に、シドは似合ってますか? いろんな思いを今日のステージにぶつけたいと思います」(ゆうや)

「メンバーも、いつもよりいい顔してる。お前らも、もっといい顔してるぞ」(マオ)

 

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 四者四様の表現は、つまりファンに伝える15年分の感謝の思い。

2008年のメジャーデビューシングル「モノクロのキス」と、3枚目にあたる「嘘」は、シドの原点とも言えるソリッドなバンド・サウンド、ダンサブルなビート、憂いのメロディ、ロマンチックな歌詞を兼ね備えた代表曲だ。

そのキャッチーな魅力は昔も今もまったく変わらない。過去のどの時代の曲も大切に歌い続ける、それこそがファンへの最大の感謝の証だ。

 

 中盤には「ホソイコエ」「2℃目の彼女」「スノウ」と、冬の情景を描く3曲が揃った。

降り注ぐ雪を映す雄大なスクリーンをバックに、白いスモークに包まれるステージは幻想的なほどに美しい。

そして季節は冬から春へ、「ハナビラ」ではスクリーンいっぱいに桜の花びらが舞い落ちる中、淡々とループするビートが別れを歌う歌詞の悲しみを倍加させる。

マオが全身全霊をかけて歌い上げる、ラストの超ロングトーンがくるおしいほどにせつない。

演出と歌がぴたりと寄り添う、素晴らしい名シーンだ。

 

 強烈なノイズとバグった画像の中に浮かび上がる、ARE YOU READY?の文字。

穏やかな曲調が続いた中盤から急転直下、終盤はヘヴィでハードなロックンロール爆弾の連続投下だ。

dummy」ではShinjiと明希がステージを全力で駆け抜け、マオがセンター席へ突入して観客にマイクを向ける。

さらにスピードを上げて「隣人」から「プロポーズ」へ、スタンドのてっぺんまでを巻き込んだヘドバン・パフォーマンスが壮観だ。

強力なヘヴィメタル・ダンス・チューン「眩暈」ではステージで炎の柱がぶち上がり、全員参加のタテノリ・ジャンプで床がぐらぐら揺れる。

真っ赤に染まるスクリーンと燃え盛る炎の中で幕を下ろした本編16曲は、15年間の歴史を80分に凝縮した、とことんソリッドでストイックなものだった。

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 そしてアンコール。

イントロで悲鳴のようなどよめきが起こった「空の便箋、空への手紙」の、せつなさと呼ぶにはあまりに悲しすぎる永遠の別れを綴る歌詞と、もの悲しいワルツの調べが胸に痛い。

Shinjiの奏でるアコースティック・ギターのソロも、万感の思いを乗せた繊細でエモーショナルなものだ。

 

 明希はTシャツ、ゆうやはノースリーブのロングコート、マオは白いボルサリーノに黒いファーコート、Shinjiはスーツに眼鏡。あまりにバラバラな衣装をネタに笑いを取る、4人の屈託ない笑顔が眩しい。

続けて「みんなに未来を見せたくて新曲持ってきました」と言って初披露した「君色の朝」は、美しいコーラスの入ったメロディアスなミドル・チューン。

包容力いっぱいの、15年目のシドを象徴する親しみやすい1曲だ。

そしてラスト・スパートは定番曲を惜しみなく、「循環」ではお馴染みの回転パフォーマンスで盛り上がり、「Dear Tokyo」「one way」と得意の高速ビート・ロックで全力疾走。

マオが「ここをライブハウスだと思ってぐちゃぐちゃにしてくれますか!」と叫ぶ。

言われる前にすでにそうしている、シド愛溢れる観客の一体感が凄まじい。

 Shinji_3IG0819

明希_2IG0634

ゆうや_5IG6602

 4月からメンバーズクラブツアー、6月には対バン形式のコラボレーション・ツアー、約2年振りのニューアルバム制作開始、そして秋から全国ホールツアー開催。

スクリーンに映し出される重大発表の連発に観客が沸いた。

16年目のシドはもちろん止まらない。その未来へ、光へ、目を向けよう――。

アンコール・ラスト曲「その未来へ」のリフレインを一緒に歌い続ける、この素晴らしいファンと共に築く未来は、きっと素晴らしい旅路になるはずだ。

 

「飛空艇のように不安定で、浮いたり沈んだりするのがシドです。それも込みで応援してください。

その代わりみんなが沈んでる時には俺たちが音楽で励ますから。任しといてよ!」(マオ)

マオ_5IG7331 

 最後に挨拶に立ったマオの、涙と笑顔でくしゃくしゃになった顔が、この日のライブの充実感を物語る。

15年間の、そして8年前の思いも乗せて臨んだシド初の横浜アリーナ公演は、シドにとって、シドを愛するファンにとって決して忘れられない1日になった。

全員の思いを乗せてその先の未来へ、シドという名の飛空艇の視界は良好だ。

 

シド_OG21052 

文◎宮本英夫

写真◎今元秀明、緒車寿一

 

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<SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~>

310() 横浜アリーナ

=SET LIST=

 

01 NO LDK

02 ANNIVERSARY

03 V.I.P

04 cosmetic

05 KILL TIME

06 罠

07 モノクロのキス

08 嘘

09 ホソイコエ

10 2℃目の彼女

11 スノウ

12 ハナビラ

13 dummy

14 隣人

15 プロポーズ

16 眩暈

 

En01 空の便箋、空への手紙

En02 君色の朝

En03 循環

En04 Dear Tokyo

En05 one way

En06 その未来へ

 

 

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<リリース情報>

★ニューアルバム制作決定!

 

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LIVE情報>

 

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ID-S限定ツアー 2019

 

419() Zepp DiverCity TOKYO OPEN 1800 / START 1900 

[] キョードー東京 0570-550-799

 

426() Zepp Fukuoka OPEN 1800 / START 1900 

[] キョードー西日本 0570-09-2424

 

52(木・休) Zepp Nagoya OPEN 1700 / START 1800 

[] サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

 

59() Zepp Osaka Bayside OPEN 1800 / START 1900 

[] キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

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ID-S BASIC会員1次受付】

 受付期間 314() 1200318() 1600

 ※312()時点でID-S BASIC会員の方が対象となります。

ID-S LIGHT会員受付】

 受付期間 322() 1200325() 1600

 ※319()時点でID-S LIGHT会員の方が対象となります。

ID-S BASIC会員2次受付】

 受付期間 41() 120042() 1600

 ※ID-S BASIC 1次受付、ID-S LIGHT受付で未入金があった公演のみ2次受付を行います。

 ※2019328()時点でID-S BASIC会員の方が対象となります。

 ※2次受付はクレジットカード決済のみとなります。

 

【チケット料金】 ¥7,300(税込/ドリンク代別) ※未就学児童入場不可

 

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SID collaboration TOUR 2019

 

617() Zepp Tokyo OPEN 1730 / START 1830

Guest Artist みやかわくん

[] キョードー東京 0570-550-799

 

620() Zepp Nagoya OPEN 1730 / START 1830

Guest Artist GRANRODEO

[]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

 

627() Zepp DiverCity TOKYO OPEN 1730 / START 1830

Guest Artist BiSH

[] キョードー東京 0570-550-799

 

and more

 

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ID-S BASIC会員チケット優先予約】

 受付期間 49() 1200416() 1600

 ※201947()時点でID-S BASIC会員の方が対象となります。

ID-S LIGHT会員チケット先行予約】

 受付期間 417() 1200422() 1600

 ※2019415()時点でID-S LIGHT会員の方が対象となります。

SID MOBILEチケット先行予約】

 受付期間 417() 1200422() 1600

 

【チケット料金】¥7,300(税込/ドリンク代別) ※未就学児童入場不可

【チケット一般発売日】61()

 

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■全国ホールツアー開催決定!

 詳細は後日発表!

 

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MAGAZINE

 

■『SIDぴあ』発売中

 [仕様] A4 / 136P / オールカラー / 無線綴じ

 [販路] 全国書店、ネット書店、CDショップ ほか

【コンテンツ】

 ◎SID 15TH INTERVIEW

 ◎FOUR ELEMENTS OF SID

 ◎CROSS TALK

 ◎著名人、スタッフ、国内外のファンが語る WE LOVE SID

 ◎スタッフ集合、座談会! 無礼講スタイルでお届け

 ◎SID DISC LIST

 ◎国内外のファン1049名に大調査!

 ◎100Q

 

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▼シド 「いちばん好きな場所」(Music Video)YouTube ver.

 https://youtu.be/wXP_ZZnjmV8  

 

▼サブスクリプションサービス 各サイトURL

 https://kmu.lnk.to/sid_digital 

 

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シド オフィシャルサイト http://sid-web.info/ 

シド 15th Anniversary 特設サイト http://sid-web.info/15th/ 

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2019年03月08日 (金)

【ライヴレポート】ARTiCLEAR<終わりの始まり>2019年3月5日(火)TSUTAYA O-WEST◆純粋なる真剣勝負、圧巻の初舞台────。

REPORT - 09:20:26

 あらたなる“終わりの始まり”が幕を開けた、この記念すべき夜に。彼らの響かせる深い音像や、威風堂々とした立ち居振る舞いから感じられたのは…強い決意と揺るがぬ信念であり、自らに対する矜持そのものだった気がしてならない。


 昨年5月に惜しまれながらも解散したTHE BLACK SWANのフロントマン・儿と、ギター隊の樹と誠。

そこに元SCREWの敏腕ベーシスト・ルイ、あの伝説的バンド・AUTO-MODに在籍していたこともあるドラマー・多時が加わり、昨年末に始動を発表した新バンド・ARTiCLEAR(アーティクリア)が、このたび満を持するかたちでTSTUTAYA O-WESTにて行ったのは、[終わりの始まり]と題された初ライヴにして初主催イヴェントだった。

 

 ちなみに、このTSTUTAYA O-WESTはTHE BLACK SWANが昨年まさに解散ライヴを行ったいわくつきの場所となる。

儿をはじめとする“黒鳥組”の3人は、どうしても「あの日を迎えたあの場所」に立ったうえで、ARTiCLEARとして[終わりの始まり]を体現したかったのだとか。

 確かに、彼らは新バンドといえど前述の3人に限らず5人全員がそれぞれがこれまでに多くの経験をし、幾つもの紆余曲折を乗り越えてきた百戦錬磨の集まりにほかならない。

おめでたいファーストライヴに敢えて[終わりの始まり]と冠したのには、それ相当の理由と由縁があったということになろう。


 そして、そんなARTiCLEARの門出を祝うべく、この場にはファーストミニアルバム『Inferiority Complex & Narcissism』をリリースしてまだそう間もない蘭図(元・Avelcainのヴォーカリストである業の率いる新バンド)、今年で結成13周年を迎えた実力派のheidi.、繊細でいて深遠なるその高い音楽性に定評のあるHOLLOWGRAM、V系にしてナゴム的なカルト寄りのスタンスを持つえんそく(なんと6月には筋肉少女隊のカバー曲を2曲も収録するミニアルバム『僕の宗教へようこそ~Welcome to my religion~』を発表する)という、これまでなにかしらのかたちでARTiCLEARの面々と縁があったのであろう4組が集結し、個々のバンドカラーを明確に打ち出した素晴らしいパフォーマンスをもって、色とりどりの花をステージ上に添えてくれたのである。


 とはいえ、なんといっても今宵の主宰者はARTiCLEARだ。

まずは冒頭において、曲や詞だけでなくアートワーク全般を手掛ける儿が制作したと思しき意味深なティザー映像が上映されると、いよいよ名実ともに初演の幕が開き、1曲目となる「黎明の涙雨」が大きな歓声をあげる聴衆へと向けて迸るかのような勢いをたたえながら放たれるに至った。

樹、誠、ルイ、多時ら楽器陣が発するエナジーとアティテュードがそのまま反映されたような圧倒的サウンドと、大きなコウモリ傘を差しながら降りしきる雨の中で歌うようにその世界を紡いでゆく儿の秀逸な表現力は、とてもこれが初ライヴだとは思えないほどの完成度だったと言っていい。


 また、後半で「A.O.D」が演奏された際にはブレイクにて
「俺たちがこうやってまたこのステージに立つまで…それぞれ皆にもいろいろな思いがあったと思う。(中略)ただ盛り上がるとか、そんなのはどうでもいいから。オマエらの中に溜まっている感情を、全てここに吐き出してこい!!」
 と儿が咆哮するように場内へアジテーションをする一幕もあり、ARTiCLEARにとってのこの[終わりの始まり]がいかに精神的な意味で重要なものであったのか、ということがそこからも伺い知れたように感じる。

ワンマンではなくあくまでもイヴェントであった為、時間的にいえば彼らが演奏していたのは40分ほどでしかなかったが…この場で我々へと提示されたものはショーケースでもなければデモンストレーションでもない、純粋なる真剣勝負の運命的な初舞台でしかなかった。


 そんな中、この夜のラストに選曲されていたのはかねてより公式サイトやYouTubeでもMVが先行公開されていた「碧落の「君」へ」(こちらのMVは儿が監督もしている)と、儿がその場から先に退場したあと供されたボーカルレスセション曲「終わりの始まり」の2曲で、全ての演奏が完遂したのちにはスクリーン上に映画のごときエンドロールが流されることにより、この圧巻の初舞台は締めくくられたのだ。

と同時に、そのエンドロール中には以下の一節があったことも追記しておきたい。


「永遠」なんて無いから 
今この一瞬を「君」と生きる
「終わり」を迎えるその時まで…


 この世に生まれ落ちてしまった以上、生きとし生けるものには望むと望まざるとやがて最期が訪れ、おおよそ全ての事象も不変・恒久のままであるわけがないのが真実なのかもしれない。

ただし、それ自体は避けようのない事実だったとして、そのことを本当の意味で認識し受容することが出来れば、我々は漫然と時を過ごすことがいかに贅沢なことであるかを悟ることが出来るのではなかろうか。

日本には“有終の美”という含蓄のある言葉も存在するだけに、それこそARTiCLEARは今ここから彼らが理想として描く「終わり」へ向けた、あらたな旅路へと進み出すことになったと言えるはず。


 近々では3月25日には池袋EDGEにて[千歌繚乱vol.20]に出演したり、4月5日には高田馬場CLUB PHASEにて再びの主催イヴェント[ARTiCLEAR PRESENTS 儿 BIRTHDAY EVENT「The EVE」]を行うほか、6月12日にも渋谷REXてに[FWD presents 【beauty;tricker】-SS- #36]への参加が決まっているというARTiCLEAR。

 彼らの生み出していく、あらたなる“終わりの始まり”の先には果たしてどのような未来が待ち受けているのか。

ここからの一瞬、一瞬をぜひとも見守っていこうではないか。

ARTiCLEARが迎えたこの矜持ある幕開けに、まずは心からの乾杯を!

 

 

Text by 杉江由紀

 







2019年03月07日 (木)

【ライヴレポート】<有村竜太朗 TOUR2019 「デも/demo #2」-Road Show->2019年3月6日(水)マイナビBLITZ赤坂◆有村竜太朗、ソロツアー全国18公演最終日、誕生日と共に祝福!!

REPORT - 11:23:46

 Plastic Treeのボーカリストとして、独特の存在感を放ってきた有村竜太朗。そんな彼が、自身の音楽性をさらに深く掘り下げるべく、ソロ活動をスタートさせたのが2016年。これまでに発表した音源は2作品(個人作品集1996-2013『デも/demo』(2016年リリース)、『個人作品集1992-2017「デも/demo#2」』(2018年リリース)。もちろん、ライブ活動も定期的に行ってきたが、今年1月5日に恵比寿リキッドルームからスタートしたライブハウスツアー“有村竜太朗 TOUR2019 「デも/demo #2」-Road Show-”は全18公演に及ぶもので、ソロとしては初のロングツアー。これまで、アコースティックとバンドサウンドの2部構成というライブが多かった彼が、今回のツアーではバンドスタイルをチョイス。映像を使用した映画のような演出と、アグレッシヴな演奏の対比が見どころとなっている。各地をまわり、バンドメンバーとのまとまりに磨きをかけてきたところで、3月6日、ツアーはマイナビBLITZ赤坂で千秋楽を迎えた。しかもこの日は有村の誕生日という絶妙なタイミングであったことも付け加えておこう。

 

 開演時間となり、ゆっくり照明が落ちると、まずは有村がひとりで登場。アコースティックギター1本でしっとりと「恋ト幻」の弾き語りでライブがスタートする。このあと、ツアーメンバーのhiro(te’)(G)、鳥石遼太(B)、高垣良介(Dr)、野村慶一郎(Key/Mani)がステージに登場。バンドで楽曲に熱を注入していく。「くるおし花/kuruoshibana」や「猫夢/nekoyume」など、郷愁感と繊細さが融合したポップな曲や、「また、堕月さま/mata,otsukisama」「ザジ待ち/zajimachi」など、優しいメロディーで遠赤外線のようにジワジワと心にしみる曲、さらには「19罪/jukyusai」のようにシューゲーザー全開のノイジーなロックナンバーでメリハリをつけていった。

 

 アンコールは本編で披露した「くるおし花/kuruoshibana」や「猫夢/nekoyume」などをアコースティックバージョンで聴かせ、同じ曲を異なる手法で表現。斬新なアプローチで作品を掘り下げてみせた。「猫夢/nekoyume」では、有村が曲を間違えるというハプニングもあったが、逆に緊張感がほぐれ、場内は暖かい空気に。打ち解けた雰囲気はダブルアンコールを引き起こし、有村もバンドメンバーも再びステージへ。有村はここで「まずは今日、千秋楽、お疲れさまでした!」と、ハイボールをあけ、ステージでプチ打ち上げ。観客もグラスをもっている風に腕を上げてエア乾杯。このあと、演奏に入ると思わせつつ、バンドは“Happy birthday to you”のイントロを演奏し始め、これを合図に観客がピンクの蛍光ブレスレットを腕につけて、全員で合唱を始めるといサプライズが展開! これは観客の入場時、スタッフがひそかにブレスレットとサプライズの案内を書いたメモを渡し、サプライズを計画していたもの。何かはあるだろうと予測はしていた有村も、観客を巻き込んでのサプライズは予想外だった様子。

 

「おおっ! ありがとうございます! ちょっと動揺しました。もう1回やってもらっていいですか?」と、2度目の“Happy birthday〜”を要求。大勢のファンにお祝いされるという想定外のプレゼントを堪能していた。ダブルアンコールでは、すっかり打ち解けたムードになり、大ラスはバンドアレンジで「恋ト幻」を熱くプレイ。ツアーファイナルを締めくくった。

 

 終演後、今度はファンにとって嬉しい告知が——。まず、この日のパフォーマンスを収録したLIVE DVD & Blu-ray「有村竜太朗 TOUR2019 「デも/demo #2」-Road Show-」のリリースが発表になった(6月12日発売)。

 

 さらに、8月22日には全編「Op.」(オーパス)と呼ばれるアコースティック演奏の楽曲で構成される、ライブ公演の開催決定のアナウンスが! しかも会場は古い洋館を彷彿させる東京キネマ倶楽部。有村も日頃から大好きな箱だというこの会場でのアコースティックライブは、今までとはまた違った「映画のワンシーン」のように見えるのではないだろうか。有村竜太朗が紡ぐストーリーはまだまだ先に続きそうだ。

 

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【リリース情報】

 

2019年6月12日(水)

LIVE DVD & Blu-ray

有村竜太朗 TOUR2019 「デも/demo #2」-Road Show-

 

■初回限定盤 (web受注限定) 

【品番】:ARXB-00003〜4

【価格】:¥9,800+税

 

○受注期間:3/6(火)21:00〜5/6(月)23:59

○注文方法:http://www.newbook.co.jp/ryuutaro-a/

○仕様:Blu-ray、特典映像、特殊パッケージ仕様、スペシャルブックレット

※専用サイトからの申し込み、販売となります。

 

 

■通常盤(全国販売)

【品番】:IKCB-80019〜20

【価格】:¥6,400+税

※全国CDショップ等でのお取り扱い

 

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【ライブ情報】

2019年8月22日(木) 東京キネマ倶楽部

ACOUSTIC LIVE 「Op.」AT TOKYO KINEMA CLUB

 

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【有村竜太朗オフィシャルサイト】https://arimuraryutaro.com

 





2019年02月26日 (火)

【ライヴレポート】<PENICILLIN『27th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL』>2月9日(土)、10日(日)東京・新宿ReNY◆「27年前にバンド結成した時の、気持ちの奥底にあるロックバンドに対する憧れだとか夢だとか、そういう熱みたいなものはまったく変わってないと思います。」

REPORT - 20:17:54

2019214日にバンド結成27周年を迎えたPENICILLIN29日(土)、10日(日)に東京・新宿ReNYにて『27th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL』を行った。

両日ともフロアは超満員の観客で埋め尽くされ、開演前からお祝いムード一色。

壮大なストーリーを予感させるSEと共にステージの幕が上がり、大きな歓声を浴びながら登場したメンバーたち。

行くぞ、東京ー!!”HAKUEIVo)が呼びかけ、初っ端から一切手加減のない全力のパフォーマンスでファンを巻き込み一体感を作り上げていった。

 

今回はメジャーデビューアルバム『VIBE∞』からリリース順に1曲ずつセレクトした構成で披露。

それも両日、数曲以外は違った楽曲が演奏された。

オリジナルアルバムだけでも17作品。

本編に収まり切らず、前作『Lover’s Melancholy』と最新作『メガロマニアの翼』からの楽曲はアンコールに披露するという、27年の歴史を物語る場面も。

 

さらにダブルアンコールではインディーズの頃の作品から選曲しファンを喜ばせた。

これまで一度も休止することなく続けてきたからこその、今の彼らの演奏力と表現力で演奏される楽曲たちは、色褪せることがなく輝きを放ちすべてのファンを熱くさせた。

 

27年前にバンド結成した時の、気持ちの奥底にあるロックバンドに対する憧れだとか夢だとか、そういう熱みたいなものはまったく変わってないと思います。

きっとそういうメンバーだからここまで続いてきたし、その火が燃えている間はこうしてステージに立ち続けようと思ってます

HAKUEI

 

そんな初期衝動と経験というバンド最大の武器を持って、27年間の軌跡を2日間に凝縮したステージを観せた彼ら。

216()17日(日)には大阪・梅田Shangri-Laでも同SPECIAL LIVEを開催した。

そして、427() PALOOZAを皮切りに『TOUR 2019 関東サーキット』を開催する。

TOUR FINAL519() 渋谷ストリームホールにて。HAKUEIThe Brow Beat、千聖はCrack6O-JIROはサポートドラマー等、各メンバーのソロ活動も平行しながら、27年目も精力的な活動を展開するPENICILLINから目が離せない。

 

PENICILLIN Web

https://www.penicillin.jp