NEWS

2017年06月16日 (金)

Share on Facebook
LINEで送る

【ライヴレポート】<SUGIZO vs INORAN PRESENTS BEST BOUT~L2/5~>6月11日(日)ZeppTokyo

REPORT - 16:09:05

LUNA SEAの双璧ギタリスト、SUGIZOとINORANのソロ・プロジェクト同士の国内外対バンツアー<SUGIZO vs INORAN PRESENTS BEST BOUT~L2/5~>。

その内、<JAPAN Leg>と名付けられた日本国内編のファイナル公演が、6月11日(日)、ZeppTokyoにて行われた。

この対バン企画の初回は、2016年6月9日“ロックの日”に単発公演としてZepp DiverCityで実施。

今年は同日に大阪・なんばHatchでツアー初日を飾り、この東京公演は通算第3回戦の“名勝負”となる。

 

定刻を10分ほど過ぎた18:10、開演を待つ観客が鳴らす手拍子の中、紗幕越しのステージ向かって右側にSUGIZOのシルエットが浮かび上がる。

ヴァイオリンを一弾きするごとに「SUGIZO!」コールが起き、投影された円形の紋様が幕上で回転し始め、リズム隊が加わった。

対する左側には低いポジションでギターを構えているINORANのシルエットが出現し、ヘヴィーなロック・リフを掻き鳴らす。

背後には森の樹々や水面の波紋といったイメージ映像が映し出され、音を重ね合う2人のシルエットは、大きく手前に迫ったり奥まって小さくなったりを繰り返し、まるで影絵の世界に入り込んだような摩訶不思議な情景を立ち上げる。

長いセッションの後幕が振り下ろされ全貌が明らかになると、青い光が広がり、ほどなくして音がピタリと停止。

対戦であることを忘れるほどに美しい調和を見せたオープニング・セッションだった。

 

 

大阪公演とは順番が逆になり、この日の先攻はSUGIZO。

オープニング・セッションの余韻からなだらかにSEへと繋げ、MaZDA(プログラミング&キーボード)の操作でエレクトロニック・ビートが脈打ち始めると、SUGIZOは両手を優雅に広げて姿を現した。

「“BEST BOUT”へようこそ! INORANセレブのNO NAME?(INORANファンの呼称)の皆さん、SUGIZOです、よろしくお願いします。SUIZOセレブのSOUL’S MATE(SUGIZOファンの呼称)の皆さん、SUGIZOです」との挨拶に、ドッと笑いが起きる。

“セレブ”というのは、去る5月29日(月)に日本武道館で行われたLUNA SEA結成記念28周年ライヴを報じるニュース字幕で、ファンの呼称“SLAVE”を“セレブ”と誤記されて話題となった事案がネタ元なのである。

「憎っくき、そして愛しきINORANのためにこの会場を温めたいと思いますので、よろしく」と言葉を続け、ピンと右手を高く掲げると、瞬時に1曲目「IRA」に向けて神経を集中。

この曲を含め、セットリストの過半数を占めたのは、電子音楽を徹底追求した最新アルバム『音』からの楽曲群。

その他、サイケトランスやテクノ、ファンクなど様々なジャンルを織り込んだダンスミュージックで全編をまとめあげ、歌わず語らず、VJ・ZAKROCKが繰り出す映像と照明を効果的に組み合わせながらノンストップでめくるめく音世界を立ち上げていく。

「IRA」に話を戻すと、モノクロの電子的な波形が映し出され、ストロボライトが激しく明滅する舞台背景。強靭で鋭いインダストリアル・ビートに乗せてSUGIZOのギターは雄叫びを上げる。

時には、リボンコントローラーなるライトセーバーのような透明なバーでモジュラー・シンセを操作。

両手を悠然と広げ、魔導士のように観客をアジテートする。

緊迫感が頂点まで達すると、「TELL ME WHY NOT PSYCHEDELIA?」ではカラフルなライティングでムードを一変。

ギターリフのキレ味は鋭く、寸分の狂いなく緻密である。

「FATIMA」では光が差し込む海の映像を背後に、SUGIZO本人も照明に青く染められ、会場は一気にひんやりとした空気感に。

SUGIZOの艶やかなヴァイオリンは切なげに揺らぎ、4人のベリーダンサーが艶めかしく身を揺らす映像とシンクロした。

左右からスモークが噴出すると、背後には腐敗した女神像が一面に映し出され、複雑な拍子と銃弾のような激しいドラミングが切迫感漲る「Lux Aeterna」へ。

社会情勢や政治に対する憤怒が抽象的に表現されたこの曲。

何度か挟まれるギターアルペジオの静謐なパートは、苦悩するSUGIZOの心の揺らぎを表わしているかのようだ。

空爆や原発の映像、無垢な眼差しで真っ直ぐにこちらを見つめる戦地の子どもたちの写真を背後に、悲鳴を上げるかのようにギターを掻き毟るSUGIZO。

音楽と映像とSUGIZOの佇まい、すべてが一体となって強いメッセージが伝わって来るインスタレーションアートを観ているように思えた。

両手を合わせ、天を仰ぎ祈るような姿を見せた後、「Decaying」では激情を炸裂させる。komaki(Dr)のドラムはタイトかつ身体性が高くパワフルだ。よしうらけんじ(パーカッション)がグラインダーで火花を豪快に散らす様は壮観で、フロアからは大歓声が湧き起こった。

SUGIZOは頭を激しく振りながら黙々とギターノイズを掻き鳴らし、大きく両脚を広げて仁王立ちするとネックを高く掲げて仰け反る。

音圧が頂点まで高まったところで、真っ赤なライトが白い閃光へと切り替わり、「禊」へ。

呼吸と間の取り方が複雑なこの曲は、聴いているこちら側も息を詰め、バンドに巻き込まれていくようなスリルに満ちている。

よしうらがセンターに出て来てジャンベを叩く場面も楽しく、SUGIZOも自ら頭上ハンドクラップを誘って観客との一体感を強めていった。

締め括りは、SUGIZOのライヴには欠かせない「DO‐FUNK DANCE」。

小気味よいギター・カッティングを絶え間なく繰り出しながら心地よさげに身を揺らし、ステージを左へ右へとダッシュして勇ましくプレイする。

痛快なリフを掻き鳴らしスッとネックに手を滑らせて音を止めると、センターへと戻ってエフェクティヴでシンセ的なギターフレーズを奏でた。

リズム、音の抜き差し、音色のチョイスと1曲の中で様々な変化を見せ、起伏に富んだ魅惑の世界に惹き込んで行く、圧巻のパフォーマンスだった。

スタンドマイクを引き寄せ、「最高でした! SUGIZOでした」と挨拶するとバンドメンバーを紹介。「皆、本当にどうもありがとう」と感謝を述べ、「次はINORANを最高に盛り上げてください。いいですね? 愛してます!」と述べ、メンバー一列に並んで深く礼をしてステージを去った。

 

 

「Hey,Tokyo! Are you ready? 飛ばして行こうぜ!」。

テンションから何から、後攻のINORANはすべてがSUGIZOと異なっていた。左右からスモークが勢いよく吹き出し、疾走感漲るロックナンバー「grace and glory」を放つと、フロアは拳を突き上げて盛り上がる。

ギターを掻き鳴らしパワフルな歌声を響かせるINORANは、間奏で前へと歩み出てモニター足を掛け、フロアを見渡して顔をほころばせた。

最新アルバムの表題曲であり訴求力抜群のアンセム「Thank you」では、左右にステップを踏みリズムを取りながら、時にはハンドモーションも交えて全身で語り掛けるような真っ直ぐな歌を届ける。

迷いを感じさせない、力強い表現はこちらの胸にストレートに飛び込み、沁み込んでくる。

「Get a feeling」では自ら手拍子を先導し、シンプルな8ビートの骨太なロックを鳴らしていた。

 

「Hey,Tokyo! 会いたかったです! “BEST BOUT 2017”へ、ようこそ。皆来てくれてありがとう!」とまずは挨拶。

3公演目にして初の後攻であることに触れ、「どうやって攻撃しようかな?と思って横で見てました。兄貴のあのすごいステージに負けないようにしようと思ってます。それには皆の力が必要です!」と語り掛け、「Awaking in myself」をしっとりとスタートした。

やがて曲調はアッパーに転じ、INORANもu;zo(Ba)もジャンプを繰り返しながらアグレッシヴに歌い奏でていく。

直球のロックを連打した後に披露したのは、ヒップホップ、クラブミュージックの要素を取り入れ、ラップ調のメロディーラインを持つ「2Limes」。

ゴリッとした質感のグルーヴィーなサウンドが腹に響き、Yukio Murata(G/my way my love)が弓で弦をこするギターソロもインパクト絶大。

INORANワールドに酔いしれた観客は大拍手を送った。

 

「すげぇ今、素敵な笑顔してるよ?」とフロアを見渡したINORANは、「俺とSUGIZOの兄貴…」と語り始めると、「“SUGIZOの兄貴”って(言い方)、おかしいね?(笑)。SUGIZO先生? SUGI様? SGZ? SUGIZO系?」としっくり来る呼び名を探りつつ、「気持ちいいです!」と笑顔。

「ここでちょっと呼んじゃうよ?」と観客と共に「SUGIZO!」と大きな声で呼び込むと、SUGIZOはジークンドーの構えをして威嚇しながら登場。

しかしすぐに大きく腕を広げ、INORANとハグを交わした。

SUGIZOはこのイベントを「ライフワークみたいになってきた」と評し、来年以降の展望をほのめかすと、「今日次第だな。だって、今日国内最後だもん」とINORAN。

SUGIZOが「君ら次第で永遠に日本最後になるかも(笑)」とSッ気を覗かせると、INORANはすかさず「ひどっ!(笑)」とツッコみ、息の合ったところを見せた。

SUGIZOが「この中にRYU(ICHI/LUNA SEA Vo.)セレブいますか?」 「J(同ベース)セレブいる?」 INORAN「真矢(同ドラム)セレブは? u;zoセレブは?」と点呼を取ってセレブネタをここでも繰り返し、会場を沸かせた。

INORANが「せっかく俺らのライヴに来たんだから、美しい景色を見せてくれよ!」と呼び掛け、SUGIZOを交えて「Beautiful Now」をセッションした。

INORANはセンターで凛と真っ直ぐに立ち、コードを掻き鳴らしながら熱く歌唱。

SUGIZOはMurataとINORANの間に立ち、絶妙なアーム使いでまろやかな響きを生み出し、楽曲に夢幻の美を加えた。

間奏で2人は向き合い、共に頭を激しく振りながらプレイ。

終盤ではINORANの背後からSUGIZOが身を寄せ、首元にキスをしようとするようなアクションも見せ、親しい“兄弟”ぶりを見せつけた。

「スペシャル、スペシャル、スペシャル・ギタリスト、SUGIZOでした!」とINORANは最大級の賛辞を送ると、SUGIZOはINORANを正面から抱き、礼をしてステージを後にした。

 

上昇したボルテージのまま「Rightaway」へと雪崩れ込むと、INORANのヴォーカルは一層自由度を増していく。

ある時は鼻に抜けるような艶っぽく、またある時は突き放すようにクールに。

七変化する声色が新鮮だ。

観客に歌を委ねる場面も多く、笑顔のINORANは手招きをしたリ耳に手を当ててファンの歌声を聴いたりと、実に生き生きと楽しそうだった。

いよいよラストが近付く中、「Get Raid」では男女でフレーズを分けたコール&レスポンスをRYO YAMAGATA(Dr)の叩くイントロに乗せて練習。

「もっと腹から声出せよ!」「今日という日を最高の1日にしてくれ!」とINORANは積極的な参加を求め、それにフロアがしっかりと応えるものだから、会場の熱気はうなぎのぼりに上昇していく。

いよいよ曲をスタートすると、INORANは激しく左右に頭を振り、アスリートのような俊敏性を感じさせるステップでリズムを取り、熱く歌い奏でていった。

 

「ライヴは楽しいのう。ずっとこの場所にいたいのう」と名残惜しそうに語り始めると、「SUGIZOも俺もソロデビュー20周年の年です。記念だから、なんかやるよね。やりたいよね? 皆と一緒にいたいよね?」と期待感を煽る。

「ライヴやるためには音源がなきゃダメだよね?」との言葉から、8月23日(水)に2枚組セルフカバーアルバムをリリースすること、既に発表されている9月29日(金)の恒例バースデーライヴに加え、ツアーが決まったことなどをアナウンス。

割れんばかりの大きな拍手と歓声が沸き起こった。

「楽しそうでしょ、今年? 俺も待ち遠しいです」との言葉に続き、セルフカバーアルバムにも収録予定でライヴ定番曲の「raize」を披露。悲しみがあれば喜びも強くなる、と歌うフレーズの説得力は年々増すばかりであり、20周年という節目を迎える今年は特別な響きを持っていた。

最後は「皆で一つになろう!」と呼び掛けて「All We Are」を放ち、全員で声を合わせる。

フロアに歌を委ねる時も、INORANはオフマイクで大きく口を開けて必ず共に歌っていたのが印象深かった。

生命力溢れる歌と演奏、観客の放つエネルギー、それらすべてが混ざり合ったあの空間は、「またここに戻ってきたい」と願わずにはいられない熱さ、幸福感があった。

「最高に気持ち良かったよ!」と眩しい笑顔を見せたINORANは、メンバー紹介し、4人で肩を組んで挨拶。音楽を鳴らすこと、その場で人と熱を共有することでしか体感でしか見えない景色を味わわせてくれるステージだった。

 

 フィナーレでは、SUGIZOとINORANがステージに再び現れ、まずは記念撮影。

全メンバーを呼び込んで再び挨拶した。

SUGIZOは「すごく良かったよね? 素晴らしかったので、皆のせいで永遠に最後の“BEST BOUT”ということはなくなりました(笑)」と冗談めかす。

INORANが「来年も6月9日に会おうぜ!」と叫ぶと、SUGIZOは「ダメ(笑)! LUNA SEA(の活動)があるかも。あと、これ(Xのジェスチャー)が入って来るかも」と慌てて制しつつ、「でも、何を差し置いても6月9日は“BEST BOUT”だね」とこのイベントへの愛を示した。

「同じバンドで同じギターで対バンできて…ホント、やってよかった!」とINORANが感慨深そうに語り、スタッフ、メンバーへの感謝を述べると、SUGIZOは「そしてみんな、最高でした! 皆でつくりあげた“BEST BOUT”です」と観客を含め全員に感謝を述べた。

2バンドの全メンバーが一堂に会し揃ってお辞儀し、最後はSUGIZOとINORANが2人で残り、深く礼。約3時間に及ぶ“闘い”は終結した。

 

2016年の初回以上にSUGIZO、INORANの音世界はそれぞれの独自性を一層深く極め、輪郭が更に際立っていたからこそ、この勝負は一層対比が鮮やかで豊かな内容となった。

アウトプットの形態、表現のベクトルは違うが、エネルギー量は同等だからこそ拮抗した熱い闘いが可能となる。

その事実に、2人がソロ活動20周年という長い歴史で培ってきたものを思うと同時に、この全く異なる個性を持つ2人が属し、高次の融合を果たしているLUNA SEAというバンドの凄みを再認識した夜でもあった。

6月17日(土)・18日(日/追加公演)は香港、6月24日(土)にはシンガポールで公演する<ASIA Leg>を残す本ツアー。

2人が示唆した来年以降の展開も期待しながら、このイベントがどんな進化を遂げていくのか、見守っていきたい。

 

取材・文/大前多恵

写真/Keiko TANABE