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【ライヴレポート】<nurié New Single Release Oneman Tour「0.000℃」>2024年1月28日(日)渋谷チェルシーホテル

「えっ? 結構並んでない!?」「入れるの開演ギリギリになるかもね」。そんな会話が聞こえてきた。昨年12月10日の仙台を皮切りに行われてきた全国8ヶ所での開催となった、nurié New Single Release Oneman Tour「0.000℃」は、当日券無料のワンマンツアー。ツアーファイナルとなった渋谷チェルシーホテルの会場へと下る階段には、当日券を求めて多くの人たちが列を成していた。会場を見渡すと、腕を組みながらどんなものだろうか? と見定めるような視線をした男性の一人客も点在していた。


▲大角龍太朗(Vo)

「瞳に映らない形と性質、それを「」を呼んで」から幕を開けたファイナルのステージ。メンバーは、12月に発売した最新シングル「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」のMVでも着用していた全身白をベースにした衣装に、手首や首などに赤い組紐を巻きつけた出立ちで登場。単発でのライブと違い、この日に至るまでの過程を感じさせる安定力と共に、ファイナルのステージにかけるメンバーの並々ならぬ情熱がフロアにほとばしる。「akuma」でオーディエンスを右へ左へと揺らし、「I’m RAISE CLUB」では早くもヴォーカル大角龍太朗の首筋に汗が光る。そして、「俺たちの未来のために歌いに来た」という言葉から「今宵、未来の為に歌おう」へ。オーディエンスがうさぎの耳のように掲げた両手が大きなハンドクラップを鳴らす「うさちゃんず」では、ここまで駆け抜けるように歌い上げていた大角がふっと笑顔を見せた。

ありったけの力でメンバーの名前を叫ぶフロアに向かっての最初のMCは、テーマパークでのアトラクションに乗る際の注意事項アナウンスのパロディに、まさかのミッキーマウス・マーチが流れるという関西出身バンドらしいユーモアも展開。ツアーだからこその、演奏とMCのギャップに思わず笑みがこぼれる。このとき、PA、照明、撮影など、ファイナルならではのスタッフが集結していることが伝えられたのだが、大角が「ライブレポートにはライブの瞬間が蘇ってくる魔法がある」といった話をしたときに、筆者は「今日のライブレポートのハードルが上がるからそれ以上は喋らないでくれ…」と思ったこともあえて記載しておく。


▲廣瀬彩人(G)

和んだ雰囲気に続く曲は、nuriéで最も“絶好調”な曲「骨太もんちっちくん」。この日は当日券が無料ということで、初めてnuriéのライブに足を運んだ人にもわかりやすいように、曲のフリも丁寧にレクチャーされ、腕組みをして観ていた男性客も、後方で観ていた外国人グループも、見よう見まねで振り付けを楽しみながら、どんどんnuriéのライブに魅きこまれていた。イントロが鳴っただけで「きゃー!」という喜びの歓声が上がる、ライブで聴くからこそ高揚感が高まる「ミルクティートリップ」へ続き、シティポップを思わせるビートに心地よく身体を委ねたくなる「阿呆やん。」では、ギターの廣瀬彩人の確かなギターが、ギタリストとしてのポテンシャルの高さを窺わせる。ツアーファイナルだからこそ、この曲は外せなかったであろう1stシングル「モノローグ」は、nuriéというバンドが始動したときから、楽曲においていかに一線を画しているかが伝わってくる。陶酔感を打ち破るかのように鮮烈な照明が激情を煽る「【ばいばい】」では、直前までの雰囲気を一転させるようにフロアも折り畳みで応える。「人として人で在るように」、「白を溢す。」とロックバンドとしての真髄を見せる演奏の熱量は、大角の剥き出しの言葉の歌詞と共に一人ひとりの心の温度を上げていく。


▲染谷悠太(Dr)

後半戦は、ドラムの染谷悠太のドラミングが炸裂する「RooM-6-」、「百鬼夜行」とヴィジュアル系だからこその怪しげな世界観と、理性を手放したくなる興奮に誘い込み、大角は「さぁ道を開けろ、新時代が始まる」と告げ、そして、不条理な世の中に反旗を翻すように「生き継ぎ」を叩きつける。ただ、彼らの楽曲はそんな世界でも奇跡的に出会えた大切な人との日常の小さな幸せを見失ってはいない。共に過ごすからこそ気づくことができる愛を慈しむバラード「あくび」、溢れ出す恋心を歌った「カンセツショウメイ」といった2曲のラブソングを丁寧に届けた。

「R.A.M.I」で再びエネルギーを高めた後のMCでは、大角の「俺たちのファンになってくれて本当にありがとう」の言葉から、「おまえがダメなときは俺たちがいつだってその手を引っ張ってやる。でも、俺たちがダメになりそうなときは俺たちを引っ叩いてでも、この手を引っ張ってくれよ。そうやって、俺はファンとnuriéと共に歩いていきたい。だからこそ、nuriéというバンドは舐められるわけにはいかない」と話し、最新シングル「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」に収められた楽曲「舐めんな」を披露。さらなる高みを目指して突き進むバンドに呼応するかのように、フロアも両手を掲げて楽曲に音源以上の力を宿らせていく。今日この日だからこそ生まれたバンドとオーディエンスの感情の上昇は、続く「愛を歌わせろ人生」に、愛と生のダイナミズムをみなぎらせ、「生きてて偉い」の魂の輝きへと注がれ、「透明に混ざる」でクライマックスを迎えた。「0.000℃」というタイトルを掲げて行ってきたツアーの最後を締めくくる曲は「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」。このツアーを生きた日々で得た全てを込めて放たれるその音は、間違いなくこの日のライブで最高の演奏となっていた。

今回のツアーが始まる前に、nuriéは「表現したいライブを本編に全て詰め込みます」と、アンコールは原則行わないという声明を出していた。しかし、ファイナルはやはり特別だ。オーディエンスに何が聴きたいか? と問いかけ、最後は盛り上がりたいという気持ちに応えて「骨太もんちっちくん」を追加。大角はステージからフロアに降りて客席にマイクを向けるなど、完全に垣根を取り払った一体感で沸かせた。こうして、会場に集った誰もが大満足の笑顔を浮かべて、nurié New Single Release Oneman Tour「0.000℃」は華々しく幕を閉じた。

nuriéは5周年ワンマンライブとなる、7月29日、Veats Shibuyaへ向かって新たな一歩を踏み出した。このツアーのファイナルで「若手が新時代を作る」と宣言した大角。いつの日か「nurié以降のバンドは」と言われるであろう、nuriéが起点になるような時代の変化まで、あと少しだ。



(文・武村貴世子/写真・Ayami Kawashima)

SET LIST

01. 瞳に映らない形と性質、それを「」と呼んで
02. akuma
03. I’m RAISE CLUB
04. 今宵、未来の為に歌おう
05. うさちゃんず
06. 骨太もんちっちくん
07. ミルクティートリップ
08. 阿呆やん。
09. モノローグ
10.【ばいばい】
11. 人として人で在る様に
12. 白を溢す。
13. RooM-6-
14. 百鬼夜行
15. 生き継ぎ
16. あくび
17. カンセツショウメイ
18. R.A.M.I
19. 舐めんな
20. 愛を歌わせろ人生
21. 生きてて偉い
22. 透明に混ざる。
23. 冷凍室の凝固点は繋ぐ体温

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骨太もんちっちくん

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