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【KAKUMAY】ライヴレポート◆ワンマンツアー「噛み合い」のACT1 FINAL 2024.9.4 Spotify O-WESTで見せた異常な進化と“進んで行く誓い”

KAKUMAYが9月4日にSpotify O-WESTでワンマンツアー「噛み合い」のACT1のファイナル公演を行った。
2025年の2月6日にはZepp Shinjuku公演を発表しているKAKUMAYだが、彼らにとってSpotify O-WESTには並々ならぬ所縁がある。もともとヴォーカリスト真虎がZepp DiverCityワンマンを目標に掲げ、その意志の下に集ったバンドだが、そのための門番として自らに課したのがこの会場であった。昨年3月にはその壁にぶち当たり苦汁も舐めた。だが、同年9月には見事にソールドアウトし次の関門へと歩を進めることとなった。煌びやかなルックスを武器にしたSNSでのアプローチの他方、地道な手売りやフライヤー配りの泥臭さもこのバンドのアイデンティティになってきた。その手法がライヴに向かう意志であることは時間と共に浸透し、彼らのファンと言うよりは共闘者と表現するに相応しい“GOAT”はみるみるうちに拡大し、またバンドもその絆に応えるように骨太くなっている。そんな無敵モードを感じさせるKAKUMAYにとってこの日は一つの試練となる一夜だった。夢に近づく前に再度越えなくてはならない場所で起きた出来事をレポートする。


端的に、この夜は上手ギタリストであるNEROの不在が事前から伝えられていた。
具体は記さないが、彼のプライベートと心身の安らぎを尊重するバンドの英断にはSNSで支持する声も多く上がった。
上手でクールな様式美を放つNEROは、華だけでなくこの五角形のバランサーとしても有効に機能していただけに、手負いの4人のKAKUMAYがどう戦うのか…。

スクリーンに映し出されたカウントダウンが0になるとバンドロゴが映しだされ、楽器隊が登場。お立ち台に上がってフロア見渡す顔つきは緊張や覚悟よりも、今すぐ感情を解放したい楽しみが溢れている。日頃クールなヴォーカリストは袖からダッシュで登場!のっけからこの日やるべきことを伝えてみせた。
”オープニングナンバーは「噛み跡」。アザミ(Gt)が奏でる独特のオリエンタルテイストとデジっぽさの融合が刷新的な1曲だ。無論ツアータイトルは“噛み合い”である。情報量多く展開しながら、高揚していく1曲に、フロアを埋め尽くしたGOATも激しいアクションと一体感でバンドに噛みつく。


準備運動不要の加熱っぷりのまま続いたのは「噛み跡」の曲順通りに「WINNER」。常に“前向きなメッセージを歌詞に込めたい”と語る真虎節を感じさせる言葉は、敗者としてのメンタリティを持っていた時期もあったからこその、反逆かつ闇雲な攻撃性とは無縁のリアリティ溢れるもので、会場を包み込んでいく。

▲真虎(Vo)

4人体制であるものの、相手を喰わんばかりに互いに遠慮のないゆいと。(Ba)とアザミの弦楽器隊のステージングは信頼関係が成せるもの。メジャー感を香らせる楽曲のレンジからも、バンドとしての引き出しの多彩さを感じさせる。昨今のKAKUMAYはとにかく成長速度がハンパでなく、気が早いもののすでに来年2月のZepp Shinjukuを意識させる存在感を放っている。真虎の歌詞には“俺たち”というフレーズが頻出するが、自分だけではなく、オーディエンスを巻き込んでの上昇こそが目指すべき境地であることがよく解る。“お前の本能で来い!”と彼の心根から叫ばれたものは飾り言葉ではない。これまで歴史を支えてきた楽曲たちも、ダイナモのような弦楽器隊と、どっしり構える真虎、時に放心したように曲の世界に没頭するドラミングで輪郭をつける晴(Dr)のセンターラインによって高い精度を見せつけた。ここしばらくの間に押し引きの“引き”を巧みに使い分けるようになり、バンドの立体図を構築させたゆいと。のステージ勘はもちろんのこと、良い意味でスタイルチェンジせずにヤンチャかつ感情に委ねるような晴も確実な個性としてこのバンドを彩る。

本来MCを設けるはずだったブロックでは“このテンションのままいこう!曲やろうぜ!俺が歌うから意味がある!”と、恵比寿リキッドルームワンマンでは名刺代わりに叩きつけれた「アーティスト」へ。続いたヘヴィが渦巻く「ヘドロ」も見事だったが、ここで真虎が改めてMCでマイクを取る。

“バンドしたいから上京したわけじゃなかった。ただ、変わりたかった。”

披露されたのは意外なレアナンバー。カッティングと踊るようなリズムが耳に残る「東京」だ。


まさに上京物語と言える1曲。自堕落な自ずと街のスピードに流され取り残されていく意志や夢が儚く鈍く光るセンチメンタルな1曲。バンド活動に全てを充てるために日頃ストイックな生活を送る真虎も、もともとは自分に自信がなく、強い自分になるために意識を変えたと語っている。フロントマン真虎像を確立した今の彼が、時を経てこの曲を歌うこと自体がメッセージとなる切なくも温かい風景だった。背景に映し出された歌詞に目を配りながら心を込めるゆいと。に、時に天を仰ぎながら一つ一つの言葉に寄り添うように音を鳴らすアザミと晴。

▲アザミ(Gt)

▲ゆいと。(Ba)

▲晴(Dr)

くどいようだが、知らずのうちにこのバンドが纏う説得力が彼らの肉体から発せられるオーラであることに驚く。

人生をひっくり返す意志を確認する「UNCHAIN」はいつも以上にポジティヴィティ溢れるもので、「東京」を経てこの曲に繋がる移ろいはとてもドラマチックなものだった。この日のメニューはKAKUMAYの現時点でのソリッドなベストを体現すると共に、その時期によって言葉や想いが変遷していった真虎のバンドマン半生のようでもあり、しきりに叫び吠えた“誰ひとり置いていかないからな!”そのものだった。

チェックシャツに着替えラフな服装になった真虎がかつてないほどに感情を曝け出し煽り倒した「IDOL」。これまで上手で様式美に特化した振舞いで魅せていたギタリストの不在が寂しくもあるが、この日の4人はギアを踏み込みながらどこかリラックスした解放感で扇動する強さがあり、1年半前に「IDOL」を引っ提げてこの会場に初挑戦した頃の初々しさや粗さはどこにも見当たらなかった。

手拍子を要求した「Fuck’n Rabbit」ではメタルグラムなムードで会場後方までを転がし、終盤戦へ。
“誰かの正解はお前の正解じゃねえぞ!!”何度も繰り返し吠えて雪崩れ込んだ「反抗期」は観る者の心を鋭利に刺してくるもので、ぶっ壊す勢いで烈々しいドラムも疾風のように襲ってくる。ブレイクのバスドラに添い遂げるベースの音色といい、真虎とGOATの感情交換に対して楽器隊は歌うように演奏をし、KAKUMAYにしかない色を見つけつつある。
怒号のように壮絶なコール&レスポンスが生まれる「No.1」は今やKAKUMAY史に残る傑作と言えるが、その惨めさや悔しさを露呈することによって感情のダムを決壊させるエモーショナルなパワーは観る者を震えさせる。が、この日に鳴った「No.1」は屈辱への反抗や怒りではなく、そんなかつての出来事も笑い飛ばすように憎らしいくらい爽快なパワーを有していた。2023年に書かれた“誰かが言った『メンバーと客に力がないって』”という告白的で悲壮感ある歌詞を、メンバーとオーディエンスの驚異的な共鳴で切り裂き棄てるこの曲、どう考えても化け続けている。末恐ろしい存在だ。
キラーチューン「哀なんて青春。」では確かめるように笑顔で親指を立てるヴォーカリストの姿が眩しかったが、こんなにハイテンションな姿もいつしか見受けるようになり、2023年3月、9月…そして1年経ったO-WESTはまさに歩んできた道の答え合わせとなった。

シンプルな音像と余白があるから体温が伝わる名曲「Be My Last」はピンスポットと眩い逆光が優しくも彼らの“覚悟”を照らし出した。
ラストはやはり「ONE」。
目の前に広がる光景へのラヴソングにも思えるバラードだ。
“何度失敗しても 何度だってやり直せばいい”、万人に当てはまる普遍的なメッセージだからこそ生き様が克明になる。
順風満帆に見えるのは一端で、苦心しながら腐らずに続けてきたからこの夜に辿り着いた。
これは筆者の自論だが、良いヴォーカリストの条件として、オンステージとオフステージの差異がないこともひとつ挙げられる。その端正なヴィジュアルからは想像もつかないが、真虎はもともと自分の弱さをコンプレックスとして生きていきた。だからこそ、比類なき努力で“ヴォーカリスト真虎像”を作り上げてきたが、その強靭な生き様や覚悟が如実にステージに昇華されるようになったのはやはり弛まぬ意識と、絆を大切にして重ねてきたライヴによるものだろう。

これまでと異なる点として「完全有料」として、無料チケットを実施しなかった決意のワンマン。大きな一歩ではあるが、有料だ無料だ、完売だ完売じゃないがちっぽけに感じられるほどに泥臭い“人間”が香るナイスステージだった。
実際完売まで残り僅かだったとのことだが、その結果以上に実りのある一夜となったのではないだろうか。

彼らはここから「VISUAL」と題したツアーのACT2、さらに3ヶ月連続リリースを経て、2月6日にZepp Shinjukuに向かっていく。
色々な意見が生じることを承知のうえ、苦悩した結果、このまま止まらないことを高らかに誓ったKAKUMAY。
およそ半年後、この進化速度で進んだ先の“Zepp”、ならぬその先まで見逃すことなどできるはずもない。

Text:山内 秀一
Photo:菅沼 剛弘

SET LIST

01.噛み跡
02.WINNER
03.WELCOME TO THE DARKNESS
04.BITE
05.アーティスト
06.ヘドロ
07.東京
08.UNCHAIN
09.共依存
10.IDOL
11.Freak Freak
12.Fuck'n Rabbit
13.反抗期
14.No.1
15.哀なんて青春
16.Be My Last
17.ONE

▼ONEMAN TOUR ACT2「VISUAL」▼

2024/10/8(火)渋谷WWW
2024/10/12(土)仙台spaceZero
2024/10/13(日)新潟CLUB RIVERST
2024/10/19(土)HEAVEN'S ROCK宇都宮2/3(VJ-4)
2024/10/20(日)浜松FORCE
2024/11/6(水)music zoo KOBE太陽と虎
2024/11/8(金)アメリカ村BEYOND
2024/11/17(日)川崎セルビアンナイト
2024/11/20(水)HOLIDAY NEXT NAGOYA
2024/11/29(金)広島SECOND CRUTCH
2025/12/1(日)福岡INSA
2024/12/14(土)札幌Crazy Monkey
2024/12/15(日)札幌Crazy Monkey

-GRAND FINAL「GOAT」-
2025/2/6(木)Zepp Shinjuku (TOKYO)

【初の3ヶ月連続リリース決定‼️】
私を不幸にしたお前をぶっ殺す3部作

1作目『酩酊』
2作目『SICK'S』
3作目『私を不幸にしたお前をぶっ殺す』

関連リンク

【KAKUMAY OFFICIAL】
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