【Rides In ReVellion】ライヴレポート<Rides In ReVellion 9周年主催イベント“反抗声明”>2024年7月26日(金)大阪・心斎橋BIG CAT◆「ただいま! 俺はまっすぐに伸びる一本道をこいつらと歩いていくだけ!」黎、完全復活で10年目へ。Rides In ReVellionの9周年を盟友らが祝福
7月26日(金)、大阪・心斎橋BIG CATで、ヴィジュアル系バンド・Rides In ReVellion(以下RIR、ライリベ)の9周年主催イベント“反抗声明”が行われた。本イベントは当初、9周年記念の東阪のワンマンライブ“CLOUD Ⅸ”を経て、9周年記念を冠したライブの締め括りとなるはずだったが、7月上旬にボーカルの黎が急性声帯炎の診断を受け、開催延期に。黎の休養中はTaJI(Gt.)、椿(Gt.)、渚(Ba.)、志雄(Dr.)の4人でステージに立ち、バンドを守りながら復帰を待っていた。そして、ついに黎が完全復活。レーベルメイトのRAZOR、ともに修羅場を潜り抜けてきた戦友のnurié、XANVALA、Ashmaze.、アンフィル、スペシャルゲストにはvistlipが出演し、Rides In ReVellionの9周年を盛り上げた。
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7月最終金曜日のこの日、会場の心斎橋BIGCATにはRIRの9周年を祝おうと、平日にも関わらず大勢のファンが駆けつけた。各バンドの出番前には、黎と出演バンドの代表メンバーとの対談が流れ、ライブへの期待感を高めていく。
トップバッターのアンフィルとは今回が初対バン。RIRより半年早く9周年を迎え、10周目に突入した同期バンドだ。『trigger』を完璧に歌えるぐらい聴き込んでいるという黎に、翔梧(Vo.)は「嬉しい!」と喜び、ツーマンの約束もしつつライブへ。自身の10周年の門出を祝う曲『Vista of wonder』からポップに始まり、キャッチーで良質なメロディーが印象的な楽曲を連発。明るく躍動感たっぷりのステージで幕開けを飾ってくれた。
続いては盟友のnurié。旧知の仲である大角龍太朗(Vo.)と黎は、関西弁でテンポ良く、軽快なトークで思い出話に花を咲かせる。「たぎらせていくわ(大角)」「今日もかましてくれよ!(黎)」という言葉通り、メッセージ性の強い日本語詞とボーカル力、最高のバンドサウンドに乗せて、未発表曲『OVERKILL』を含む全5曲を一気に駆け抜けた。
3番手は4月にボーカルが脱退し、新体制となったAshmaze.。諒(Gt.)は「RIRの9周年をお祝いするために単発で来たので、全てをかけて、全てを出して盛り上げて帰ろうと思います」と力強く述べ、ゲストボーカルにXANVALAの巽を迎えて全力プレイ。『INSIDE MY HEAD』では、巽に「似ている」と言われ続けていたRAZORの猟牙がサプライズ登場! 多幸感あふれるツインボーカルでハイライトシーンを作り上げた。
続いてはXANVALA。黎は、巽(Vo.)が喉の不調中に気遣いのメールをたくさん送ってくれたというエピソードを明かす。優しく頼りになる存在で、この対談も巽からのアドバイスを活かしたそうだ。巽はAshmaze.のライブに続き、2ステージぶっ続けの登場となったが、疲れを一切感じさせないエネルギッシュかつ濃厚なライブで魅せてくれた。
レーベルメイトのRAZORとは久々の対バン。黎は「僕は猟牙さんのボーカリスト像が一番理想です。羨望です」と公言。猟牙(Vo.)は「照れます。逆も然りですよ。(RIRは)超良い曲がいっぱいある」と、お互いへのリスペクトを口にし合う。「切れ味の鋭いライブ楽しみにしてます(黎)」というフリから猟牙は「めちゃくちゃ可愛いライブします」と言っていたが、ヘヴィでエッジーでヒリヒリしたライブで駆け抜けた。
トリ前にはスペシャルゲストとして、7月7日に結成17周年を迎えたvistlipが登場。高校生の時にずっとvistlipを聴いていたという黎は、憧れの大先輩との対バンに「夢叶ってる感じです!」と緊張&興奮の様子。「時を経て僕ら主催のイベントに出ていただけるとは思っていなかったので、本当にありがとうございます。今後とも気にかけてやっていただけると」と後輩力を発揮。智(Vo.)はそんな黎を優しく受け止めていた。『BGM「METAFICTION」』からゆったりと始まったライブは徐々にスピード感を増して、智は「大切な後輩の大事なイベントをもっと盛り上げたくねえのか!」と煽り、「ライリベの新たな門出に」と言葉を添えた『DIGEST』まで全6曲、RIRへの想いを詰め込んだステージングで、築いたキャリアと存在感をしっかりと打ち立てて、先輩の大きな背中を見せつけたvistlipだった。
そしていよいよ大トリ、Rides In ReVellionの出番。「この9年間の全てを40分に込めて歌わせていただきます。Rides In ReVellion始めます!」という黎の影アナを経て、暗闇の中でSEが流れるとクラップが自然発生。静かに幕が開き、逆光の中で志雄、渚、椿、TaJI、黎の順にステージに現れた。
トッパーからつながれてきたバトンで熱く高まった会場に、志雄の鋭いビートが鳴り響き、黎が全身でシャウトした瞬間、フロアはヘドバンの嵐に。復活の1曲目は『F.A.T.E.』。高音のギターリフが突き刺さり、椿とTaJIが勢いをつけてステージでくるんと回る。黎はお立ち台で思い切り歌声を響かせ、志雄は超絶パワフルなビートを繰り出しつつも、とびきりの笑顔を見せ、渚はクールなプレイでサウンドのボトムを支える。間奏では椿とTaJIのツインギターによるユニゾンもバッチリ決まる。メンバー全員が待ちに待ったこの時間を全力で楽しんでいるようだ。<もう一度始めよう>という歌詞が、図らずもRIRの状況にリンクするようで、じんとくる。フロントマン4人が一斉に前に出た時の迫力は素晴らしく、「帰ってきた!」という喜びがステージからもフロアからも満ち溢れていた。黎が「Are You Ready!」と叫ぶと、歓喜を表現するように会場全体でヘドバン。最高の熱量で幕を開けた。
黎は「完全復活して帰ってきたぞ、大阪!」と思い切りシャウト。「本当にありがとうございます!」と心からの感謝を述べ、「アンフィル楽しんだか!」「nurié楽しんだか!」と出演順にバンド名を出してフロアに呼びかける。「このまま俺たちの最後の瞬間まで楽しみ尽くしてください。それが今日の約束です」と叫び、続けざまに『衝動DIRTY』を投下。黎の想いに呼応したオーディエンスのパワーが会場を熱く揺らす。続く『Allergy』でも、横モッシュや8の字ヘドバンなど、一糸乱れぬ盛り上がりでまたひとつ熱量を引き上げる。
絶好調の黎は「こんなもんじゃないでしょ大阪! この錚々たるメンツで、トリの俺たちがこんなもんで終わっていいわけがねえだろう!」と煽り、ハイライトシーン満載の『MIRAGE』へ。「絶対的に、完膚なきまでにやる!」と叫び、後方までパンパンになったフロアに「拳上げろ!」と見事な拳ヘドバンを咲かせる。さらに「ただいまー! ただいまー! 俺の分まで叫べー!」とコール&レスポンス。素晴らしい一体感を作り出すと、ここからが本番とばかりに「スペシャルな演出を! 出てこい!」と叫ぶ。すると、アンフィルの翔梧、nuriéの大角龍太朗、Ashmaze.の諒とXANVALAの巽(巽の肩車で登場!)、メイクチェンジしたRAZORの猟牙が次々に乱入し、黎と共にシャウト&歌唱。総勢9人になったステージで、それぞれ肩を組み合ったり、ステージを動き回ったりと大賑わいで楽しむメンバーたち。曲の最後にはゲストボーカル全員で手をつないでジャンプ! 会場は最高潮の盛り上がりと多幸感に包まれた。
本当は1曲だけのコラボ予定だったが、誰もステージから去ろうとしないのを見て、黎は「次の曲も一緒に楽しんでもらっちゃっていいですか?」と『Eternal~渇望の空~』も9人でプレイ。ハッピー空間でわちゃわちゃするメンバーを見て、黎は歌いながら思わず笑ってしまう場面も。バンド同士の絆が随所に垣間見え、早くも大団円のようなあたたかな雰囲気に包まれた。
ゲスト陣の5人はここでステージを降りるも、フロアの端からニコニコでRIRのライブを見守る。黎は呆れたように破顔して「ヴィジュアル系ってバカの集団です! お前らもそうだろう! 俺らもそうだろう! 最高だよ大阪」と嬉しそうに咆哮。
そして「9年間やってきて初めて喉を壊して、2週間ぐらい歌えなかったんですよ。9周年のワンマンライブ、大阪東京も飛ばしちゃったんですよね。それが俺の中で悔しいというか、情けなくて。本当にごめんなさい。たくさんの人に心配かけたと思うし、メンバーにも迷惑をかけました。初めての出来事にマジでどうしていいかわからなかったから、最後の最後までライブやるつもりでした。だけど、“どうしても休んでほしい”とメンバーたち4人に言われて。俺は自分のために歌うという想いだけでバンドを始めたけど、今となっちゃ背負ってるものがたくさんあるんだなと、改めて実感しました」と想いを吐露する。
「大事なものほど見えなくなるってマジだよね。俺の人生において歌は当たり前だから、なくなると想像もしてなかったし、こんなにも苦しいと思ってませんでした。皮肉にも、なくしてから改めて気付いたよ。俺にはもう、この喉を使ってあんたらに歌をお届けることしかできないんですよ。俺にはどんな道も残されちゃいない。ただまっすぐに伸びる一本道をこいつら(メンバー)と歩いていくだけ。それが俺たちの決意であり、喜びであり、バンドマンとしての意地であり、何よりも自分に対する“反抗声明”だと思うんですよ! 抗っていきたい一心で、俺は何も考えずにこのタイトルをつけました。だけど今なら言える。抗う対象は誰かじゃない。俺自身だよな! 受け取れ!」と『-反抗声明-』へ。魂をぶつけるように全力で歌う黎に呼応したフロアは、一斉に拳を上げる。曲に込めた想いの強さはしっかりとサウンドにも乗り、TaJI、椿、渚、志雄の抜群の演奏力で放たれるまっすぐなエネルギーは、エモーショナルに光輝いていた。
黎は「なくしてから気付いたこと、もうひとつあります。歌って本当に素晴らしいよ。一緒に歌ってくれると嬉しいです」と『夜明け最前線』を披露。喉の不調という苦しみを抜けて迎えた夜明け。会場中に響き渡るシンガロングは美しくて壮大。後方まで掲げられた拳がステージと一体になり、感動的な景色を作り出した。
「早いもんで9周年迎えちゃったよ大阪! 悩み苦しんだこともありました。でもここにある景色が全てなら、俺は最高に幸せな道を生きる!!」と渾身のシャウトを経て、ラストチューンはアンセム『カレタソレイユ』。ポップなメロディーラインを歌いながら、嬉しそうに何度も「ありがとな!」と叫ぶ黎。メンバー同士のアイコンタクトや、志雄の前に4人で集まるシーンもエモーショナルだ。5人で演奏できる喜びを噛みしめるように、プレイにも熱がこもってゆく。ラスサビはより大切そうに、伸びやかな歌声を丁寧に響かせた。
「BIGCAT、最高の9周年をありがとうございました! 俺たちのために出演してくれたバンドの皆さん、そしてファンの皆さんも、今日を選んでくれて本当にありがとうございました! 今日を抱きしめて10年目を歩いていきます!」と固く拳を握って力強く宣言。最後に黎は、全てを解き放つかのように雄叫びをあげて、一番大きな声で「ただいまー!」と叫ぶ。もちろん「おかえりー!」と返すフロアに黎は「泣きそう! 俺バンドやってて良かった!!!」と叫ぶ。「ついてこなくていいんで、一本道、一緒に歩いてきて!」と述べて、9周年ワンマンライブ『反抗声明』は大成功で幕を閉じた。
終演後には、8月23日にデジタルニューシングル『37℃』がリリースされること、11月3日(日)には高円寺 LOFT Xで、男限定ワンマンライブ『RisIng ReVolutions vol.4』とFC限定ワンマンライブ『FANTASTIC LOVE vol.4』が2部制で開催されることが発表された。さらに、10月から12月にかけては全国15箇所19公演を廻るワンマンツアー『EDGERUNNER』の開催も発表になった。
2025年の10周年に向けて、声を取り戻したRides In ReVellionの勢いは止まることなく進んでゆく。
取材・文 久保田瑛理
SET LIST
1.F.A.T.E.
2.衝動DIRTY
3.Allergy
4.MIRAGE
5.Eternal~渇望の空〜
6.-反抗声明-
7.夜明け最前線
8.カレタソレイユ
RELEASE
•New Digital Single
「37℃」
2024.8.23(金) 配信リリース!
LIVE
•全15箇所19公演
Rides In ReVellion ONEMAN TOUR 2024
『EDGERUNNER』
10.26(土) 神戸PADOMA【兵庫】
10.27(日) 心斎橋CLAPPER【大阪】
11.02(土) 浦和ナルシス【埼玉】
11.04(月祝) 渋谷近未来会館【東京】
11.09(土) Queblick【福岡】
11.10(日) 周南RISE【山口】
11.16(土) Neverland【奈良】
11.17(日) BARI-HARI【滋賀】
11.23(土) 姫路Beta【兵庫】
11.24(日) 京都GROWLY【京都】
11.30(土) 札幌CrazyMonkey【北海道】
12.01(日) 札幌CrazyMonkey【北海道】
12.07(土) CRAZYMAMA 2nd Room【岡山】
12.08(日) 松山サロンキティ【愛媛】
12.14(土) 金沢gateBlack【石川】
12.15(日) 福井CHOP【福井】
12.21(土) HOLIDAY NEXT NAGOYA【愛知】
12.22(日) 池袋EDGE【東京】
12.28(土) OSAKA MUSE【大阪】
関連リンク
【Rides In ReVellion OFFICIAL】
◆Official Site
◆Official X
◆Official Youtube Channel