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【ν[NEU]】ライヴレポート<~candy presents~ ν[NEU] 2部制ハロウィンワンマン『ラストロリータ ~最後の晩餐~』>2024年10月5日(土)渋谷REX◆《希望》と《絶望》、それぞれのテーマで魅せたバンドの本質にあるメッセージ。「《希望》とは、どん底を経験したからこそ掴める強さ」

ν[NEU]にとって、最後のハロウィンライブ。そして、最後のロリータ――。限定復活のゴールを迎える日まで残り3ヵ月となった今、一層彼らは「悔いのないように、やり残したことがないように」と、衝動に素直に従うまま活動を行っている。10月5日、渋谷REXを舞台に開催された《~candy presents~ν[NEU] 2部制ハロウィンワンマン『ラストロリータ ~最後の晩餐~』》も、そのアクションの一つだ。

実に10年ぶりの開催となったν[NEU]のハロウィンライブの目玉は、ずばりタイトルにもある通りロリータに扮するメンバー。ライブの告知時に写真も公開されていたこともあり、会場に詰め掛けたνフリーク(ファン)もロリータ率が高めで、中にはメンバーが着用しているものと同じアイテムを身につけているファンの姿もあった。さらにこの日は2部制でライブが組まれており、1部は【希望】を、2部は【絶望】をテーマに掲げて、それぞれ異なる趣旨のセットリストが用意されていた。いわゆるコンセプチュアルなお楽しみ要素満載な1日だっただけに“楽しい”という感情が一番にあったのはもちろんだが、ラストランを駆けている最中のν[NEU]がこのライブを通して残したメッセージは、それだけに留まらなかった。


まずは、まだ日が高いうちからスタートした第1部。活動当時に行っていたハロウィンライブと同様に、某夢の国のハロウィンソングがSEとして流れ出したステージへ甘ロリ姿のメンバーが次々と登場。それに加え、夢時(サポートGt)も執事の装い(『黒執事』のセバスチャン・ミカエリスの装い)で登場するというスペシャル演出付きとくれば、会場は悲鳴にも似た歓声に包まれて瞬く間に熱気を帯びていった。「REXのみなさん、最高の1日にしましょう」とmitsu(Vo)が淑やかに挨拶し、1曲目は煌びやかに愛情を届けた「Precious」。続いてタクミ(Gt)がギターでリードしてまさにワンダーランドへトリップさせた「Ds WonderLand」、さらに「スプラッシュ!」とくればエモーショナルな気持ちは高まっていくばかりで、この一連の心地よさは【希望】をテーマに掲げた1部のオープニングに相応しかった。


MCでは、約10年ぶりに袖を通したロリータに対する各自の感想を交えたトークを展開。「可愛い」と自画自賛したЯeI(Dr)とは裏腹に、登場時からソワソワしていたタクミは「九州男児にはツライ!(笑)」と可愛さ全開の装いに若干いたたまれないといった様子。そして、このライブの提案者であるヒィロ(Ba)はロリータ姿を自虐しながらも、うさ耳の髪飾りを揺らす一芸を見せると客席からは「かわいい~!」という声が飛び交っていた。mitsuはジャンパースカートに胸囲を締め付けられながらも、「一生懸命歌います!」と意気込む。


こうして、メロウな「言いたいことも言えずに」に酔いしれ、ロリータ姿に相まってラブリーな表情がいつも以上に爆発していた「恋模様」と続き、ここで【希望】をテーマとする第1部のハイライトだったとも言える「RED EMOTION ~希望~」を披露。頭から最後まで大切に歌い込まれたmitsuの歌声と、静かに沸き立つ情熱が込められた演奏とが美しいアンサンブルを生み出していた。

“聴かせる曲”を主軸にして構成されていた前半戦を経て、「めちゃくちゃ久しぶりの曲です」と紹介した「START」以降突入した後半戦は、ν[NEU]なりのポジティブを存分に押しだしていった。「YES≒NO」や、「可愛いν[NEU]と、妄想する?」が合図となった「妄想接吻」といったアグレッシヴナンバーが並び、ラストスパートは「in my secret…」を機に「LAB」や「ピンクマーブル」といったアッパーチューンを連ねて白熱の空気へとシフト。中でも「ピンクマーブル」では“踊りませんか?”と歌いながらmitsuがカーテシーポーズを見せたり、メンバー同士がアイコンタクトを交わしたりと、楽し気な様子も覗かせていた。


こうして、「The 25th Century Love」から「ひとりじゃない」でクライマックスへ……と思ったのも束の間、突如演奏にストップをかけたmitsu。そこへすぐさまヒィロは、「わかるよー!」と同調した。どうやらトラブルではなさそうだが、その理由をmitsuは「「ひとりじゃない」を歌おうと思ったんだけど、みんなの空気感を見ていたら曲、変えたくなっちゃって」と話し出した。現在のν[NEU]において、「“違うかも”って思ったり、“やりたい”と思ったことは全部言おう」というのがルールなのだという。ライブ中にこういったことが起きたのは初めてとのことだが、「ワガママな俺らですが、その代わり嘘はなしで行きます」と見せた一面が、なんともν[NEU]らしい。メンバーが納得のいくラストナンバーに選んだのは「エンドロール」だったのだが、実際にここまで昂ってきた感情を昇華させるのにはナイスチョイスだったとも言える。ここで響き渡ったシンガロングは、この先に大きく控えているグランドファイナルへの布石とも感じられるような、まさしく“希望”を抱かせるエンディングであった。

すっかり日も沈んだころ、【絶望】をテーマとした第2部が幕を開けた。第1部と同様のSEに乗せて登場したメンバーは、なんと数時間前までのプリティな風貌とは一変し、血のりメイクやダークな装飾をプラスしてイメージチェンジ。冒頭から十字を切る振り付けで一体となった「壊れた夜、並べた嘘」を繰り出すと、心なしかサウンドもデカダンな雰囲気で迫力を帯びているように感じられた。続けざまに「GoSick」や、ベースが牽引した「desire」では“絶望”というフレーズも含みながら、ハードな面を織り交ぜたアプローチを畳みかける。どうやらmitsuはヘアメイクさんから「2部は(装飾を)すべて外してきて大丈夫です!」と言われたらしく、そうなることを示唆しながらとことん攻めていく姿勢を露わにしていた。

「みんなで限界を越えていきましょう」と「LIMIT」がポジティブなメッセージを届けると、その後に待っていたのはまさに限界に挑戦するかのような怒涛の展開だった。「スプラッシュ!」を助走とし、「みんな疲れてると思うので……」と落ち着きを見せるかと思いきやイントロが鳴ったと同時にハイテンションにのし上げた「ピンクマーブル」という嬉しい裏切りに続き、「これで終わるわけないじゃん!?」と「New World」では観客があらゆるノリで応えるループセクションも交えながら、とにかくアグレッシブな楽曲が立て続けに披露されていく。ここでハッとしたのは、【絶望】というテーマをもってν[NEU]が体現したかったものは、冒頭に並べられた雰囲気や激しさのある楽曲を並べるということだけではないということ。まさに“絶望”級のスパルタぶりから生まれる、ν[NEU]ならではのエネルギッシュなライブの本質こそ、【絶望】というテーマをもってして表したかったことだったのだ。

さらに、「【希望】をテーマにしているバンドなのに、【絶望】を経験することが多かった」と、ν[NEU]というバンドの軌跡を振り返りながら話をする場面もあった。【希望】とは何か?と考えたときに、はじめは明るくてポップなものだと思っていたというmitsu。しかし、それ以上にどん底を経験したからこそ掴める強さこそが【希望】であるということに気づいたということと同時に、未来を創り上げるために今にすべてをかけることの大切さもしっかりと伝えていた。「それならば」といった具合に「YES≒NO」から後半戦へ突入すると、「cube」では力強さと観客が手を繋いで揺れる強い絆を感じさせ、男らしさをのぞかせた「Key of Life」や嬉々として飛び跳ねた「LAB」を通してヒートアップしていく。それでも、「生きてる間にあと何回無理できるか」と極限に挑戦していくように「エンドロール」、さらにこの瞬間に溢れる楽しさから生まれるエネルギーを燦然と輝かせるように「everlasting light」で締めくくられたのだった。

まさに表裏一体である【希望】と【絶望】を、ν[NEU]ならではの形で示していたこの日。“ロリータでハロウィンライブ”という一見エンタメ性満載に思える1日に、まさかこれほどまでに興味深いメッセージが隠されていたとは誰が予想できただろう。【絶望】を体験したからこそ、【希望】を伝えることができる――この法則にのっとると、10年前よりも今のν[NEU]の方が伝えられる【希望】は大きいはずだ。瞬間の美学とも言えるその時々の感情を力に変え、ゴールまでのカウントダウンを精一杯生きて行くν[NEU]の進化はまだまだ止まる気配がない。

Report◎平井綾子
Photo◎Intetsu

SET LIST

第一部:希望
-SE-
1.Precious
2.Ds WonderLand
3.スプラッシュ
4.言いたいことも言えずに
5.恋模様
6.RED EMOTION ~希望~
7.START
8.YES≒NO
9.妄想接吻
10.in my secret...
11.LAB
12.ピンクマーブル
13.The 25th Century Love
14.ひとりじゃない → エンドロール

第二部:絶望
-SE-
1.壊れた夜、並べた嘘
2.GoSick
3.desire
4.LIMIT
5.スプラッシュ!
6.ピンクマーブル
7.New World
8.YES≒NO
9.cube
10.Key of Life
11.LAB
12.エンドロール
13.everlasting light

LIVE

ν[NEU] ライブスケジュール
2025.1.4(土)渋谷公会堂
since2009〜2025 ν[NEU] FINAL LIVE
『エンドロール 〜何よりも大切な君へ〜』
開場17:15 / 開演18:00
前売券¥5,800(全指定席)

チケット受付URL:https://l-tike.com/neu/

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