【マーキュロ】★びじゅなび独占スペシャルインタビュー★“マーキュロ主催 単独巡業『超アブノーマル★(ヒカリ)倶楽部』”のツアーファイナル公演となる12月9日@EX THEATER ROPPONGI単独公演へ向けた意気込みを訊く
2022年6月にSpotify O-EASTからスタートしたサブカル系アイドルグループ・マーキュロ。メンバー6人に、これまでのグループの歩みについてと12月9日に開催されるEX THEATER ROPPONGI単独公演へ馳せる想いを語ってもらった。彼女たちの描くグループ像には、ヴィジュアル系シーンとの強い繋がりも見えて────?
楽曲に込めた想いを届けたいと思っているんです。なんというか、「共に生きて、共に死のう」っていう感じ(ゼラ)。
────“サブカル系アイドルグループ”として活動中のマーキュロですけれども、これまでの活動はいかがでしたか?
藍咲ユウリ(以下 ユウリ):もう、ガムシャラでしたね。2年もやっていれば落ち着いて余裕も出てきて、自分のなかで誇れる部分とか得意げになれる部分が出てくるのかな?と思っていたんですけど、やればやるほど壁の高さというか、アイドル活動や音楽活動の奥深さと難しさを感じるばかりで……。まだまだ新人の気持ちで、始めた頃の気持ちがずっと続いています。
紫月レンゲ(以下 レンゲ):結構、駆け足でここまで来たと思います。自分はマーキュロの前にもアイドル活動をしていたんですけど、そのときよりもたくさんの人たちと大きなハコでライヴする機会が増えたので、心がちょっとついていけてない(笑)。でも、負けないように強い心を持って生きてきました!
────始動ライヴの会場がSpotify O-EAST(2022年6月)で、1000人規模のキャパからスタートしているというのもすごい……!
レンゲ:そうなんです。ほかのアイドルさんのライヴ映像やMVをよく観るんですけど、いろんな系統のアイドルグループがあるなかで「負けてられないな!」って思うし、あとはお母さんのご飯が美味しいので、毎日頑張れています(笑)。大きな会場でのライヴはたまに観に来てくれたりもして、家族の応援もすごく力になっています。
珖夜ゼラ(以下 ゼラ):僕はマーキュロが初めてのアイドル活動なので、まずこの期間に“アイドル”というものに向き合うことが多かったし、音楽と向き合うことも多かったんです。そこで、音楽の大切さにも触れることができましたね。例えば、同じ楽曲でも人によって捉え方が違って、人によっては助けになる場合もあるし、逆に鬱を加速させる場合もあるっていう。そこで僕としては、表情とか歌やダンスの力の入れ具合だったり煽りに感情をぶつけたりして、楽曲に込めた想いを届けたいと思っているんです。なんというか、「共に生きて、共に死のう」っていう感じ。
────それは“病んだ心に寄り添う存在になる”という、マーキュロクロム液(消毒液)に由来するマーキュロのグループ名に込められた想いに通ずることでもありますね。
我執キル(以下 キル):僕も、マーキュロを好きでいてくれる人が増えていくたびに、「みんなも戦ってるんだな」とか「自分1人で人生を戦ってるわけじゃないんだな」って感じるんです。みんなそれぞれ戦うべきことがあるだろうし、人間誰しも痛みを抱えているんじゃないかなって。そうやってファンに教えてもらうことも多いので、「マーキュロの曲を聴いて頑張れてます」って言ってくれる人たちの力になれていたらいいなと思っています。
────楽曲やライヴを通してのメッセージはもちろん、これまでいろんなことに挑戦してきたマーキュロの活動から力をもらっているファンの方も多いのではないかと思います。
翠城ニア(以下 ニア):そうですね。ライヴでも毎回違うアプローチをしているので、きっと喜んでもらえているんじゃないかと思います。自分的にも、マーキュロのライヴの演出や舞台セットは結構好みに合っていて好きですね。自分でも思っていたより早いスパンでいろいろなことに挑戦していると思っていて、毎回大きいライヴのたびに自分たちの成長も感じられるんです。例えば2周年のZepp DiverCityをソールドアウトできたり、LINE CUBE SHIBUYAでは個人のセリフもあったお芝居に挑戦したり、初めての試みがたくさんありました。芝居構成のライヴは、セリフを覚えることが記憶力の悪い自分的にはハードルが高かったんですけど(笑)。でも大成功して、楽しいライヴになりました。
ゼラ:ちなみに、Zepp DiverCityのときに僕たちが書いた手書きのメッセージが入った銀テープが飛んだんですよ。その瞬間はすごく楽しかったし、「アイドルしてるわー!」って嬉しくなったのを覚えています。
マーキュロの活動は表現の幅が広いぶん、表現の選択肢が広がるのも嬉しいですね(ユウリ)。
────今お話にもあったように、マーキュロのライヴはただ歌って踊るだけではない表現の幅があるのも特徴ですよね。
キル:アイドル界隈でも新しいことをやったり、いろんなことに挑戦したりするのがマーキュロはいいなと思いますね。僕としても初めての経験がたくさんあったのは嬉しかったし、楽しかったです。
ユウリ:芝居構成のライヴは、すごく特別な体験をさせていただいたなと思います。実は、僕の普段の話し声って周りの人から褒められることが多いんですよ。そういう自分の好かれている部分を活かすことができたことも嬉しかったし、マーキュロの活動は表現の幅が広いぶん、表現の選択肢が広がるのも嬉しいですね。
雅楽代カミテ(以下 カミテ):私は幼少期に劇団に入っていたり、今通っている大学でも演劇に触れる機会があったりして芝居に関しては身近ではあったんですけど、サブカルな世界観のものはマーキュロに入って初めて経験したので、そういう世界観のなかにいる自分が「すごい!」とも思いました。
────バンドセットでライヴを行ったこともありましたよね?
ゼラ:はい。やっぱり生バンドになると音の圧も違うし、曲間のかき鳴らしがあることでライヴが途切れないんですよね。それが、一瞬も観ている人を置いていかないライヴができているような気がして、すごく楽しかったです。
カミテ:初めてバンドセットでライヴをやったときは、音が大きくてビックリしました(笑)。それに、リハーサルのときに自分たちの曲なのに何の曲かわからなかったくらい、バンド演奏になると印象が全然違うんだなとも思って新鮮でしたね。
────マーキュロの世界観はサブカルチャーに特化したものだと思うんですけれど、そういったものを表現するうえで皆さんが普段どんなことを感じているのか教えていただけますか?
ユウリ:始めはプロデューサーさんから「こうしなさい」って言われたものをやっていくものだと思っていたんですけど、実際は自由にやらせていただいているんです。プロデューサーさんも「縛り付けるのは好きじゃない」っていうふうにおっしゃっているので、そこは僕たちにもかみ合っているのかなと思います。
────それが、メンバーが個性的でいられる良さに繋がっているのかもしれませんね。
ユウリ:はい。ライヴの煽り方とかメンバーそれぞれのキャラクターも自由度が高いぶん、「死にたい」っていう気持ちとか自傷とかを包み隠さず表現するという、アイドルらしからぬ部分もあると思うんです。でも、等身大の僕たちが今伝えたい想いを作品やライヴに織り込んでいけるのはいいところだと思っていますね。自分が歩んできた人生の体験談とか反骨精神みたいなものを歌にして、作品として残したいっていうところが僕としても大きかったので、それができていること自体が夢みたいでもあります。
キル:世界観については、ありのままの僕で表現するっていう感じです。ありのまますぎるんですよ。新曲の「suicidose」なんかは、僕が学生時代とかにマーキュロが存在してくれてたらイジメとかに立ち向かえたのかなとか考えちゃいます。マーキュロの曲は自分の過去とか今に重なる部分に寄り添って貰えるから全部好き。新曲が出る度にどんどん好きな曲が更新されていくんですよね。
────マーキュロの世界観は、人間の内面に深く切り込んだものだなと思うんですよ。
ゼラ:人って、本当に十人十色だなってマーキュロを通して感じるんです。落ち込むタイミングとか共感してほしいタイミングが人によって違うから、ある意味“人に寄り添う”って、無責任に言えないなと思うんですよね。ただ、ライヴ中は観ている人のことを絶対に死なせないし、なんなら死ぬなら一緒に死んでやるくらいの気持ちでステージに立っているんですけど、伝え方って難しいなっていうのはいつも考えています。「死にたい」っていう人にただただ「生きろ」ってぶつけるのも違うし、「死にたいなら死ね」っていうのも違うと思うし……。
ヴィジュアル系シーンにも認められるようなアイドルでありたいなとも思いますね(ニア)。
────死生観に伴うメッセージを伝えるからこその責任感も伝わってきますけれども。皆さんがマーキュロで活動しているうえで、それぞれ影響や感銘を受けたモノをうかがってもいいでしょうか?
ゼラ:僕はK-POPとヴィジュアル系に影響を受けているんです。K-POPだとSEVENTEENさん、ヴィジュアル系ではキズさんと甘い暴力さんですね。なので、VISUNAVIさんは大好きです(笑)。やっぱり、アイドルとしてのストイックさや表情管理の部分ではK-POPを見習うべき部分が大きいんですけど、マーキュロのコンセプトを表現するならヴィジュアル系を見習うべきだと思うんです。
レンゲ:自分もキズさんと甘い暴力さんは注目していて、よく楽屋で曲を流しながらゼラと一緒に暴れています(笑)。ヴィジュアル系バンドのライヴを映像で初めて観たときは衝撃だったんですけど、すごくカッコよくて自分でもやってみたいと思ったので、マーキュロではシャウト担当をやらせてもらっているんです。あと、メイクもすごく参考にさせてもらっていますね。最近、ベースメイクを白塗りっぽくしているのはキズさんの影響です。
────実際、マーキュロの世界観はヴィジュアル系と親和性があるとは思うんですよね。
ニア:結構、ファンの方にもヴィジュアル系が好きな方は多いですね。自分も親の影響でL’Arc~en~Cielのhydeさんが好きで、そこから派生してヴィジュアル系も聴くようになったんですけど、今回もヴィジュアル系のフリーマガジンのインタビューを受けさせていただいているということもあって「自分もこの世界に入れたんだ」っていうのもありますし、ヴィジュアル系シーンにも認められるようなアイドルでありたいなとも思いますね。ただ、自分は比較的ラウドロックなバンドさんも好きで、ONE OK ROCKさん、MY FIRST STORYさん、あとはSiMさんも好きです。
キル:僕はとくにNEEというバンドが好きで、ダークな歌詞なのにメロディがポップなんです。僕は落ち込むと考え過ぎたりしちゃって周りも見えなくなるタイプなんですけど、そういう僕に足りないものってポップさだなってNEEに出会って気付きましたね。ロールモデルというよりヒーローに近い存在です。ほかにも美術館や展示会へ行って芸術的なものから影響を受けることもあれば、ゴミ捨て場とか最近は巨像を見るのにハマってます。
────ゴミ捨て場ですか!?
キル:はい(笑)。最近スマホを持たずに散歩したり出かけたりするのがマイブームなんですけど、とくに遠征先の人々や街並みをよく見ますね。結構、好奇心旺盛なタイプなんです。
ユウリ:僕の場合、アイドルという枠組みを超えた表現活動という部分で「こういうのもアリなんだ!」と思ったきっかけは、ZOCさんだったんです。アイドルにもいろんな形があって、それがカッコいいと思ったし、僕自身もありのままの自分で活動してこれたなっていう気持ちもあります。バンドで言うと、結構ロックバンドが好きで眩暈SIRENさん、amazarashiさん、RADWIMPSさんとか、あとはONE OK ROCKさんをよく聴きますね。
────今やアイドルの系統も多彩になっているからこそ、影響を受けているところも様々ですね。
カミテ:そんななかで私は、=LOVEが好きなんです。もう、王道なアイドルですね。=LOVEは私たちよりも名前が大きいぶん、大変なこともたくさんあると思うんですけど、ライヴ中はずっと明るく笑っているんですよ。マーキュロとは系統が違いますけど、私は彼女たちにすごく感銘を受けたんです。私がマーキュロで表現しているものは=LOVEのようにキラキラしたものではないかもしれないけど、“完璧に魅せる”っていう部分では共通する部分があると思うし、「私もしっかりやろう」と思わせてくれる存在なんですよね。
────SNSを拝見しますと、カミテさんはプライベートでは淡い色のお洋服が似合うところを見ても、好きなものとマーキュロで表現すべきものをしっかりと線引きしているという部分もありそうです。
カミテ:そう、薄ピンクが好きなんです(笑)。正直、王道系のアイドルに憧れたりもしますけど、自分が実際そうなるんじゃなくて憧れているのがいいんだなって思う部分もあるんですよね。だから普段は、=LOVEみたいな可愛いものからキラキラをチャージしています! 正直、マーキュロに加入したばかりの頃は「雰囲気に馴染まないと」って考えていたんですけど、「みんな一緒じゃ意味がない」と思って。例えば王道系のアイドルグループに私みたいな子がいたら普通だと思うけど、マーキュロのようなダークなサブカル系アイドルグループのなかにいる私っていう部分を大事にしようと思ったので、「自分らしくいよう」と思うようになりました。
────ちなみに、キルさん、ユウリさん、カミテさんはヴィジュアル系に触れる機会はあったりするんでしょうか?
カミテ:正直なところ、マーキュロに入るまであまり知らなかったんです。でも、生誕祭のときに自分の好きに曲を作ってもらえるということもあったので、いろんなバンドさんのMVを観たり曲を聴いたりして参考にさせてもらったんですけど、そのときいいなと思ったのがgulu guluさんでした。あとは、メンバーから「かわいいヴィジュアル系もいるよ」って教えてもらって、エイプリルフールのときに眠花さん(ex.ペンタゴン)のヴィジュアルを参考にさせてもらいましたね。
ユウリ:僕も、歌い方や言葉の伝え方で世界観を作りたいと思っているし、メイクでも尖り散らかしたいと思っているので、ヴィジュアル系の世界観はすごく自分の性に合っていると思いましたね。アイドルという存在をリスペクトしているからこそ、アイドルをする間は諦めるのも覚悟のうちと思っていたことの数々が、ちゃんとグループの色として作品に昇華できていることがありがたいです。
キル:僕はSuGさんの曲をよく聴いていたんですけど、、当時ヴィジュアル系と知らずに聴いていたんですよね。結構、僕の見た目からバンギャルだと思われがちなんですけど、実はヴィジュアル系のことはわからなくて(苦笑)。自分でもメイクはいろいろと研究しているんですけど、それこそマーキュロに入ってからヴィジュアル系のメイクも参考にさせてもらうようになったという感じですね。
会場がどこであろうとも、本気を見せられるマーキュロでありたいですね(レンゲ)。
────それでは最後に、“マーキュロ主催 単独巡業『超アブノーマル★(ヒカリ)倶楽部』”のツアーファイナル公演でもあります12月9日に控えているEX THEATER ROPPONGIでの単独公演に向けて意気込みをお願いします!
キル:僕は今回のツアーを“修行”だと思って駆け抜けています。新体制になって初めてのツアーということもあって、今までのマーキュロで創ってきた歴史を抱き締めて、さらに新しい何かを見付けて身に付けて歴史を創るのが目標です。それに、応援してくれるみんなに安心して着いてきてもらいたいなという気持ちももちろんあるし、これからも色んな人の人生の1ページにマーキュロが存在してもらえたらいいなと思っています。これから先の人生に何か乗り越えなきゃいけないことが来たとき、この日のライヴを思い出して少し頑張ってみようとか踏ん張れるようなみんなの記憶に残る最高のライヴに出来るよう頑張ります。
────新体制というお話もありましたが、9月からは6人体制での活動が始まっているんですよね。
ニア:はい。脱退したメンバーと自分は、マーキュロの前のグループから一緒に活動していたメンバーだったんです。なので結構大切なメンバーではあったんですけど、6人で新たなスタートをきったので、6人になってもマーキュロは突き進んでいますっていう姿を見せたいと思っています。個人的には、歌声がすごく素敵なメンバーでもあったので、自分はそれを越えられるように頑張りたいと思っています。マーキュロがEX THEATERでライヴをするのは初なので、まだどのような会場か把握ができていないし実感も沸いていないのが正直なところなんですけど、マーキュロの集大成になると思うので今まで以上に全力を出したいと思っています。
ユウリ:ツアー中に新曲が3曲できたんですけど、なかでもとくに「ツギハギ」はツアー中にみんなで磨き上げてきた曲でもあって。もちろん、それ以外の曲も今以上に仕上げていって、EX THEATERでは自分たちが「続けてきてよかった」、ファンのみんなも「ついてきてよかった」と心から思えるライヴにしたいですね。
カミテ:いつも、ツアーを回りだすとファイナルまであっという間でビックリしちゃうんですけど、ツアーはいい感じに回れているので最後までやりきりたいし、「やってよかった」とみんなと一緒に笑顔で終われたらいいなと思います!
レンゲ:会場がどこであろうとも、本気を見せられるマーキュロでありたいですね。今年は自分にとってもいろんなことに挑戦してきた年だったので、その成果として一皮むけた姿を見せたいですし、メンバーが1人減ったからといって物足りなさを感じさせない、これまで以上のライヴを見せたいと思っています。
ゼラ:EX THEATERは、それこそヴィジュアル系バンドのライヴを観に行ったことがある会場で、「こんなデカいところでやったらめちゃくちゃ気持ちいいだろうな、いつかやりたいな」と思っていた、1つの目標でもあったんです。その目標を叶える瞬間でもあるので、たくさんの人のいろんな感情をライヴで表現して、誰も置いていきたくないなと。どんなに会場が大きくなっても、1人ひとりと向き合って一緒にライヴを作り上げたいという気持ちですね。
取材・文 平井綾子
写真 横山あきお
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