【春(umbrella)×フクスケ(メトロノーム)】◆特別対談◆6月23日に大阪BIGCATで開催されるumbrella主催のイベント[路地裏サーチライト]が控える中、レアにして興味深い語らいが実現!「ライヴでメトロノームを観て自分の人生が変わった」

夢あふれる場所には、きっとまばゆい光が差す。かつて2014年に初開催されたというumbrella主催のイベント[路地裏サーチライト]は、彼らが“カッコ良いバンドだけを出そうぜ”との志を持って始めたものだったという。そして、このたび6月23日に大阪BIGCATで行われるこのイベントにはメリー、heidi.、色々な十字架、そして春が学生の頃に観て衝撃を受けリスペクトしてきたという、メトロノームも出演することになっている。待望の対談は意義深いものとなったようだ。
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「あそこの何が美味しい」とか「この酒が旨い」とかそんな話ばっかりです(笑)。
────来たる6月23日にumbrella主催のイベント[路地裏サーチライト]が大阪BIGCATにて開催されることになっておりますが、このたびはオーガナイザー側であるumbrellaの春さんと、当日出演されるメトロノームからフクスケさんにご登場をいただきました。まずは、春さんから[路地裏サーチライト]の起源についてお話をいただけますでしょうか。
春:最初にやったのはもう10年以上前ですね。今は建物自体がなくなってしまってるんですけど、我々を育ててくれた心斎橋 Club ALIVE!というライヴハウスがありまして、そこで初めてやったumbrella主催のイベントが[路地裏サーチライト]だったんです。当時は自分たちも若手だったんで、主旨としては“カッコ良い若手だけを集めてやりたいよね。ギャラも多めに出そう”っていうことで企画したイベントでした。
────「カッコ良い若手だけを集めたい」という部分はよくわかるのですけれど、それにくわえて当時の段階で「ギャラも多めに出そう」と思われていた点が興味深いです。
春:っていうのも、あの頃の関西のシーンってむちくちゃ多いバンド数を1日に詰め込むようなイベントがやたらと多かったんですよ。しかも、ギャラも低いみたいな。正直、そういうことをやってた主催者に対しては「ちょっとそれ、やりすぎちゃう?」と感じてたんで、我々としてはそういう当時の風潮に対する問題提起の意味も込めてたのが[路地裏サーチライト]だったんです。タイトルの意味はわりとそのまんまで、自分たちのことも含めてまだそこまで名前が知られてなかったとしても、良いバンドのいる路地裏にサーチライトを当てていこうっていうことで、うちの唯くんが考えてくれました。第1回は2014年7月26日の開催で、出演したのはカラビンカ、SRASH NOTES GRADEN、FANG、umbrellaの4バンドでしたね。
────なるほど、そのような流れで始まったイベントだったのですね。
春:その後、2016年にはumeda AKASO(のちにumeda TRADと改名するも24年10月に閉店)っていうライヴハウスに対してイベントの提案をしたところ、主旨に賛同してくれたうえで「せっかくだから2デイズやってみませんか」ということになり、その時は8月の8日と9日にかけてumbrellaとheidi.とマイナス人生オーケストラが両日、首振りDollsが1日目、そして先輩のbulbが2日目に出てくれたんですよ。ただ、それ以降は主催イベントは全然組めてなくて。結果8年くらい間が空いてしまっていたんですよね。でも、味園ユニバースがなくなる(2025年6月末日閉館予定)という知らせを受けたのがキッカケで、去年10月24日にNoGoD、メリー、CASCADE、deadmanと一緒に、久々に[路地裏サーチライト]をやりました。あれが自分たちにとっても凄く楽しかったので、今回はあらたにメトロノーム、メリー、heidi.、色々な十字架に出てもらって6月23日に大阪BIGCATで開催することにしたんです。

▲春(umbrella)
────なお、昨年の[路地裏サーチライト]にはCASCADEのサポートとして、メトロノームからリウさんが参加されていましたよね。今回はいよいよメトロノーム本体でのご出演となりますが、フクスケさんはumbrellaからオファーをいただいた際にどのような気持ちで受け止められたのでしょう。
フクスケ:僕は前からumbrellaのこと知ってますけど、ウチのバンド自体はあれこれ条件とかがわりとめんどくさかったりするから、こうして呼んでくれる人がいてありがたいなと思いました(笑)。なんか、場合によってはバンドの名前を聞いた段階で「それだったら出ない」みたいに言うメンバーもいるんですけどね。でも、umbrellaに関しては一切そういうのなかったんで。みんな「あぁ、umbrellaね。やろうよ」っていう感じでした。
春:ありがとうございます!
────フクスケさんは、もともといつごろからumbrellaとの交流をお持ちだったのですか。
フクスケ:最初に対バンしたのっていつだっけ?全然覚えてない(笑)
春:おそらくBadeggBoxかART POPのツアーで、その中にADAPTER。とumbrellaがいるみたいな状況で一緒に廻らせてもらったのが最初だった気がします。だから、うちのメンバーはメトロノームだとフクスケさんとの接触回数が1番多いんですよね。もちろん、僕はリウさんとも面識ありますし、唯くんはシャラクさんとも何度かご一緒させていただいてるんですけれども、今回の対談に関してはやっぱりフクスケさんとあらためてお話をさせていただきたいと思ったんです。まぁ、普段の楽屋でしてるのはしょーもない話ばっかりですけど(笑)
フクスケ:僕からしても春とは酒も一緒に飲んでるし、話がしやすいっていうのはありますよ。唯なんかは想いが強いタイプだから、彼のあの芯のしっかりした感じは話をしてるとちょっと疲れるというか、全然キライとかではないんだけど、つい敬遠したくなっちゃう(笑)。春みたいにほわっとしてる方が話しやすいんです。umbrellaって、春以外のメンバーはわりと気難しそうに見えるんだよなぁ。
春:真面目なんですよ、みんな。しゃべる内容も機材とか楽器とか、基本的にそんなんが多いですからね。
フクスケ:そうそう、そっち方向に行くバンドマンたちだよね。春以外は(笑)
春:僕はフクスケさんとサシ呑みもさせてもらってますけど、基本的にいつも何を話したのか覚えてないことが多いです(笑)
フクスケ:そういう感じがいいんだよ。音楽の話なんてしたことないですから。するのは「あそこの何が美味しい」とか「この酒が旨い」とかそんな話ばっかりです(笑)。そういう話の方が実になって良いですよ。また、春がヘンな店ばっかり知ってるんです。

▲フクスケ(メトロノーム)
春:前にフクスケさんが大阪にいらっしゃった時は、一緒に行った店の大将が既に酔いつぶれてて、僕らが帰るまで起きひんかったことありましたもんね。
フクスケ:ローカルもローカル過ぎる呑み屋に連れてってくれるんで、場所としては面白いんだけど「酒は別に旨くねーな」っていうこともわりとあります(笑)
春:あの時は、大将の代わりにその場にいた男女が勝手に酒を提供してくれました(笑)
────フリーダムですねぇ(笑)。そうした場を共に楽しめるということは、春さんとフクスケさんはミュージシャン同士ではある一方、プライベートではヒト対ヒトとしてのおつきあいをされている、ということなのでしょうね。
フクスケ:そうだと思います。そういうところが多いです。