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【マーキュロ】ライヴレポート“マーキュロ主催 生バンド単独巡業『また明日、僕達の★(ヒカリ)倶楽部で』★TOUR FINAL★マーキュロ3周年単独公演”6月30日(月)Zepp DiverCity (TOKYO)◆「どれだけ傷ついても、僕たちがマーキュロクロム液となってみんなを救いだします」

マーキュロが、生バンド単独巡業『また明日、僕達の★(ヒカリ)倶楽部で』のツアーファイナル公演および3周年単独公演を6月30日、Zepp DiverCity (TOKYO)にて開催した。<サブカル系アイドルグループ>を称するマーキュロは、“マーキュロクロム液”を由来とするグループ名の通り誰もが抱える心の闇(病み)を代弁することを主軸に置きながら、心の傷を癒やすというコンセプトに忠実な活動を行っている。
見事にSOLD OUTを記録し、2階席まで超満員のなかで迎えた3周年は、波瀾万丈な日々を経て辿り着いた彼女たちの結晶でもあった。
これまで節目の東京公演でのみ行われていたバンドセットのライヴを、今回は愛知・福岡・大阪でも行うという初の試みでもあった<生バンド単独巡業>を大成功に収めた激動の一夜をレポートする。



◆     ◆     ◆

生きとし生ける誰しもが、心に“正義”を秘めている。正義というと大層に聞こえるかもしれないが、人間が何かしらの行動を起こすときには必ず“意思”や“意図”が伴なうものだ。時にそれは人にとって原動力となり、人の心を震わせるのに十分な理由ともなる。生バンド単独巡業『また明日、僕達の★(ヒカリ)倶楽部で』のファイナル公演のステージに立ち、3周年を迎えたマーキュロもまた、アイデンティティのなかにある“正義”を武器にして、病みと癒しの狭間で力強く戦っているように見えた。

場内が暗転し、いよいよ開演と思ったそこへ「皆さ~ん、こんばんは~!」と陽気に挨拶しながら“加藤”と名乗る女性が現れた。その姿に見覚えがあるのもそのはず、昨年8月に行われた“マーキュロ主催 芝居構成単独公演 残酷劇『赤マント』”にて“名探偵”を名乗っていた女性である。なんでも、今回は6月30日という夏越の祓に“ある目的”のために再び登場したようだ。最初に見せた陽気さも、正直どことなく胡散臭い。その予想は早々に的中し、裏切り者とされた“★(ヒカリ)倶楽部”を名乗る少年が現れて加藤と口論になっている。要するにこれは、好きなものを好きなだけ浴びるといった表現の自由やレジスタンスな趣味趣向を否定する大人(加藤)との対立を描いているようだった。

「ようこそ、僕達の★(ヒカリ)倶楽部へ。ねえ、仲間になる?」

場内に響いた誘い文句をきっかけに、まずは“親不孝通り”と名付けられたバンドメンバーが登場して轟音を響かせると、マーキュロメンバーがステージへと姿を現して「只今より、マーキュロの公演を開催いたします」と藍咲ユウリが開演を告げた。ライヴはマーキュロが表現する世界観の軸を体現するかのような「グランギニョル」からスタートし、ヒップホップの豪快さとメルヘンダークな空気をまとってダイナミックにパフォーマンスしていく6人はまるで、アンダーグラウンドから刷新を目論み這い出てきたダークヒロインのようでもある。冒頭に繰り広げられた加藤と少年のシーンはここへと繋がるものであり、世の中に蔓延する不条理から傷を負った人々を救済してく物語の序章を見事に作り上げたのだった。

マーキュロが見せる世界は、ただ“歌って踊る”というアイドルのスタンダードな部分に留まらず、いくつかの挑戦的な手段があってこそ深みを増すというもの。それが演劇であったり、楽曲の臨場感を高める生演奏であったりするわけだが、今までライヴに用いてきたこれらすべてを結集させた集大成のようなステージであったことも、このライヴの見どころだったと言えよう。「制裁」での勢いを、シャウトでまくしたてる「絶望セカイ」へと繋げて頭を振り乱していき、その様子がバンドサウンドとの高い親和性を見せつけたのも束の間、親不孝通りによるインストゥルメンタルセクションへ突入。Gt.タカ(ex.ミオヤマザキ)、Dr.優一、Ba.YUCHI(sukekiyo)の順でそれぞれがソロを披露していくなか、最後にGt.TANO(ex.REIGEN)が「東京、そんなもんか!」と観客を煽る場面もあった。「マーキュロと親不孝通りで、ぶち上げていくぞ!」と藍咲ユウリの一声で再び一丸となって、シリアスとポップを絶妙にクロスオーバーさせた「罰愛罰愛」にはじまり、「美しい人生」「赤い靴」ではソロパートはもちろんのこと、声色や節々に見られる表情や仕草によって6人のキャラクターを存分に活かしたパフォーマンスを繰り広げていく。さらに「無稽の啼泣」ではバンドサウンドの迫力と相まって、溢れかえる激情にのみ込んでいった。

▲藍咲ユウリ

中盤、「マーキュロ、ついに3周年です! あっという間だったような、長かったような」と藍咲ユウリが率先してこれまでを振り返ったMCを経て、マーキュロの視点で描かれる“★(ヒカリ)倶楽部”のストーリーは真髄へと迫っていった。“秘密の園”に準えて艶やかさと激しさを併せ持つ「性少年育成委員会」に続いて、タイトルを6人がリレーしながら歌い上げていく「神聖不可侵絶対領域」では得も言われぬカルト的な空気を漂わせ、「デイストオシオン」ではロックダンスを主とした力強さを覗かせる。そして、直近のMCで紫月レンゲが「自分たちも生楽器に挑戦した」と話していた通り、今ツアーの地方公演でメンバーが生楽器の演奏に挑戦する場面もあったというが、そのときに演奏されたのが「ぬいぐるみ。」だった。雅楽代カミテが「このツアーで、メンバーで初めて生演奏した曲、行くぞっ!」と先導すると、曲の途中で観客に土下座をさせるという、会場中を巻き込んで個性的な情景を生み出すところもまた、今やマーキュロならではの強みとして浸透しているところでもある。

▲紫月レンゲ
▲雅楽代カミテ

翠城ニアが「Zeppまだまだいけるだろ! 3周年、もっと暴れてこうか!」と焚きつけた「suicidose」ではCO2も噴き出し、それに合わせて会場の熱も急上昇。鋭さが光る「殺・殺・殺・殺・殺」では、藍咲ユウリが放った「諸君、“★(ヒカリ)倶楽部”へようこそ。我々は、君たちのような反逆者たちを大いに歓迎する!」という先導者たる堂々とした一言が、マイノリティならではの強さをいっそう引き立てていた。

▲翠城ニア

そして、本公演に先駆けてMVが公開されたバラード「ヒカリ」が、ここで披露された。まさにMVは、“マーキュロがなくなったあとの世界”をテーマにしているという。雅楽代カミテが曲中に語った「君がいない世界が残酷に過ぎていく。君がいない世界はこんなにもつまらない。でも、僕は生きるからね。君がいた存在証明をずっと、歌わせて」というセリフからも感じ取れた、マーキュロという居場所で生きること、そして生きられることの感謝をしっかりと歌い上げていった。これは、羽根が舞い散る儚い演出とは裏腹に、3周年という節目に贈られた大切な意思表示であったように思う。そんなシーンを経て、6人が肩を組んでスタートした「『明日も生きよう』」では、我執キルが「どんなメチャクチャな夜も生きていこう。出会えて幸せです、これからも一緒に生きよう」と、メンバーが顔を見合わせながら歌い、ポジティヴマインドを爆発させていく。

▲我執キル

ラストスパートは、キャノン砲も噴き出した「ピエロ」で勢いづくと、続いて披露されたのは2周年に同会場で行われたワンマンライヴにて配布された「傷」。我執キルが「ここにいるみんなにも生きづらさっていう漠然とした大きな傷があると思います。――その傷が無駄じゃなかったって思える日まで、1年間歌えずにいたこの曲を一緒に歌ってください」と始まった「傷」は、“マーキュロポーズ”をしながら歌う、マーキュロの大義。翠城ニアの「これから先どれだけ傷ついても、僕たちがマーキュロクロム液となってみんなを救いだします」や、紫月レンゲの「僕たちが傷を癒していくから、これからも歩んでいってください」という言葉も相まって、それは深く刻み込まれていったのだった。

クライマックスに差しかかった頃には、メンバー1人ひとりの気持ちを聞くこともできた。アイドルにとって一つの山場とも言われている3周年を迎えるまでを振り返りながら、4年目への覚悟ある展望を聞けたところで、最後は晴れやかな「犯行声明」で締めくくる……かと思いきやハードな「※毒」へとシフトチェンジするという、最後の最後までなんともアバンギャルドな姿勢を貫いた。珖夜ゼラがシャウトした「命燃やせ!」はオーディエンスに対してはもちろんのこと自分たち自身への激励のようにも感じられたが、ステージの去り際に藍咲ユウリが「4周年、マーキュロについてこい!」という頼もしい一言を放った最後の一瞬まで、人々が抱えるあらゆる傷を癒やすと同時に“自分”を肯定する力を与えていくマーキュロなりの“正義”を全うしたのだった。

▲珖夜ゼラ

終演後には、“緊急告知”として2025年9月から開催される“マーキュロ主催単独巡業『絶望セカイ』”を発表。さらに、2026年には“マーキュロ主催 生バンド単独巡業『絶望セカイ、暴動編』”も決定し、本巡業のファイナルとして次なる大舞台に据えたのは3月5日、豊洲PITである。これからもマーキュロは、アイドル界の革命児として唯一無二の存在感を放ち続け、病める人々を導く愛を持った自由の戦士となっていくことだろう。



取材・文 平井綾子
写真 ポテヤマムラ(PoTEC inc.)

SET LIST

SE
M1. また明日
M2. グランギニョル
M3. 制裁
M4. 絶望セカイ
M5. 罰愛罰愛
M6. 美しい人生
M7. 赤い靴
M8. 無稽の啼泣
M9. 性少年育成委員会
M10. 神聖不可侵絶対領域
M11. デイストオシオン
M12. ぬいぐるみ。
M13. suicidose
M14. 殺・殺・殺・殺・殺
M15. ヒカリ
M16. 『明日も生きよう』
M17. ピエロ
M18. 傷
M19. 犯行声明〜※毒

LIVE

■マーキュロ主催単独巡業『絶望セカイ』
9/14 (日)桜坂セントラル(沖縄)
9/15 (月、祝)桜坂セントラル(沖縄)
10/04(土)秘密(福岡)
10/05(日)秘密(福岡)
10/25(土)神戸VARIT(兵庫)
10/26(日)ESAKA MUSE(大阪)
11/01(土)LIVE ROXY SHIZUOKA(静岡)
11/09(日)郡山#9(福島)
11/15(土)SUSUKINO810(北海道)
11/16(日)SUSUKINO810 (北海道)
11/24(月、祝) 京都FANJ(京都)
12/13(土)仙台ROCKATERIA(仙台)
12/21(日)ZephyrHall(愛知県)

…………………………………………

■マーキュロ主催
生バンド単独巡業『絶望セカイ、暴動編』

2026年
1/11(日)NAGOYA ReNY limited(愛知)
1/13(火)VeatsSHIBUYA(東京)
1/17(土)バナナホール(大阪)
1/24(土)DRUM LOGOS(福岡)
3/05(木)豊洲PIT(東京)

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