1. HOME
  2. NEWS
  3. 【Chanty】19th Single『円環彷徨う五線譜』リリースインタビュー◆「“自分が受けた感動を再現するなら”と極限まで突き詰めた結果、このサウンドになりました。」────9月16日(火)Spotify O-WEST<12th Anniversary Oneman『Chantyの世界へようこそ』>開催!

【Chanty】19th Single『円環彷徨う五線譜』リリースインタビュー◆「“自分が受けた感動を再現するなら”と極限まで突き詰めた結果、このサウンドになりました。」────9月16日(火)Spotify O-WEST<12th Anniversary Oneman『Chantyの世界へようこそ』>開催!

12周年を目前にしたChantyが、19th Single『円環彷徨う五線譜』をリリースした。
出逢いと別れを繰り返し歩み続けた道のりは、いつしか綺麗な円環を成し再会の時へ。
何かに導かれるようにして生まれた今作の制作秘話と、現在進行形のバンドのメンタリティーをじっくりと紐解いたインタビューをお届けする。
9月16日・Spotify O-WESTにて開催される12th Anniversary Oneman『Chantyの世界へようこそ』で、“新たな360度”への第一歩を踏み出す彼らを共に祝おう。



◆     ◆     ◆

12周年を前に、色々な面で“円環”というものを感じるタイミングがあったんです。



────今のChantyにとって、“円環”は大切なキーワードだと感じます。

芥:そうですね。Chantyは9月で12周年ですが、ここにきて旧メンバーたちとの関係性が近付いたり、周年も改めてずっとお世話になっているWESTに戻ってこられたり、しばらく離れていたファンの人たちがまたライヴに足を運んでくれる機会が増えたり、その他にも色々な場面で“円環”というものを感じるタイミングがあったんです。意図的に口にしていた言葉ではないけれど、“12”という数字は時計の針がひとまわりしたり、12星座であったり、何かと円環を1周するようなことが多いとふと気付いて。このバンドも今、たまたまそういう巡り合わせの時期なのかもしれないと思った。僕らはまだ完成形のChantyにたどり着いていないので、今巡り巡って彷徨っている五線譜たちがひとつの形を成したらどういうものになるんだろう?というところを含めて、ツアータイトルを『円環彷徨う五線譜は今宵月夜に誰を待つ』にしました。作品タイトルの『円環彷徨う五線譜』についても、「愛哀想奏」という楽曲自体が去年の同タイトルのツアーから巡り巡って、あの時に感じていたものが今にどう繋がっているのかを形にできたらと考えて制作したものなんですね。先日の青山・月見ル君想フ公演のMCでも「月は欠けているけれど、欠けているものがひとつになったら丸くなる。」みたいなことを言いましたけど、僕個人もバンドも今凄くそういうことを感じている瞬間なのかもしれないです。

「愛哀想奏」の歌詞は、このバンドの真理かもしれない。



────この音源は「愛哀想奏」を軸に制作しようと?

芥:いや、そういうわけではないですね。最初は「愛哀想奏」と「迷語」のどちらを先にしようかと話していて、結果的に「愛哀想奏」になりました。

────「愛哀想奏」というテーマで曲を書きたいと2024年のツアー時から仰っていましたが、個人的には周年前のこのタイミングにリリースされて本当に良かったと思いました。

芥:そう、いろんな巡り合わせがあって。

────初めてこの曲を拝聴した時、楽曲自体が持つ包容力と歌詞の内容から“バンドからファンへの壮大なラブレター”のような印象を受けたんですね。

一同:確かに!

────歌詞に書かれていることは、Chantyが活動を続けていく限り決して変わらない“普遍的な真理”みたいなものなのではないかと。

芥:うん、このバンドの真理かもしれない。

────楽曲とリリースタイミングの合致という点については、10周年で「今日という日のこと」が発表された時と同じような感覚になりました。

芥:確かにそうですね。2024年の愛哀想奏ツアーは全公演、過去の自分たちとの対バンみたいな気持ちで挑んでいて。本当に“その一瞬一瞬しかないんだ。”って感覚が強すぎて、自分の中ではかなり忘れられないツアーになっているんです。“今日という日はこの1日しかない”なんて誰もがわかっていることだけど、あのツアーほど如実にそれを感じた経験はなかった。それが、良くも悪くもその後のツアーやライヴで自分の中に影響を及ぼして・・・最初は、悪い意味で張り合ってしまったんです。“この一瞬は、この1日は、本当に最後だ。”と強く感じながら公演を重ねていくことが凄く心地よかったのに、愛哀想奏ツアーとその後の自分の感覚はまた違うものになっていて、あのツアー期間どうしてそこまで強くそれを感じていたのかの答えが見つからなかった。

────きっかけみたいなものがわからなかった?

芥:うん。環境面含めいろんな要因が重なっていたかもしれないけれど、明確な答えを見つけ出せないことに悩みました。実は、「愛哀想奏」という楽曲の曲調やテンポ感やコード感は当時すでに頭の中に浮かんでいたし、物凄く頑張ればツアーファイナルまでに形にできたかもしれないくらいの大枠はあったんです。でも、そこからが何となく形にならなくて。あのツアーでの感覚を反芻するような気持ちで、その後のツアーをまわっていた気がします。それが、このタイミングで何かに導かれるように、“円環”という言葉と共に歌詞と楽曲が生まれた。ただ、今回のツアー中はこの曲をどういう形で歌っていこうか悩んでいましたね。今お話ししたように、愛哀想奏ツアー当時と今の自分ではまた違う感覚だし、それでもこのタイトルをつけるとどうしても“その時に勝たなくては”みたいな気持ちも生まれてしまうので、ツアーへの臨み方や曲との向き合い方がなかなか見つけられなかった。でも、ツアーファイナル公演の楽屋でメイクをしていた時に楽器陣が演奏している音がスピーカーから聴こえてきて、“めちゃくちゃ良い!”と思ったんです。メンバーに「ありがとうございます!」と言いたくなったくらい素晴らしくて、そこでようやく掴めた気がしました。自分の中では、ファイナルに向かって整理をつけていった感じかもしれない。

白:俺も、この曲が完成した時点でバンドと一緒に育っていく曲だなという感じはしたし、実際にツアーで演奏を重ねる中で成長している実感もありました。まだ生まれたばかりではあるけれど、これからもっと大きくなってくれると期待しているし、本当に良い曲ができたなと思います。

shota:時間的にタイトな制作だったので、レコーディング前にそこまで練習もできていなくて、覚えつつ録りつつな感じではあったんですけど。

芥:僕が原曲を出すのが遅かったので、わりと時間が無くて(苦笑)。

────ドラム録りが最初だから、余計に・・・

shota:大変ですね(笑)。

白:このドラムパターンは初だよね、通常のビートが入っていないっていう。

shota:「普通に考えて気持ちがいいパターンとはあえて違うものにしたい。」というオーダーがあったので、“普通だったらこう叩くよね。”というのをあえて抑えて変えてみました。

白:それによって、よりダイナミックさが出たと思う。

────曲調的にはゆったりしているようで、演奏面は色々やっていますよね。

芥:そう、意外と荒々しい。

野中:コード進行もChantyにはあまり無いような、ちょっと嫌な感じなんですよ(笑)。

一同:(笑)

────あまり無いと言えば、Bメロにも少し新しさを感じます。

芥:不思議な感じですよね。

白:今までに無い曲だと思う。最初は、キーが違ったんですよ。キーが変わったことによる弊害もあって・・・(笑)。

────“嫌な感じ”とか“弊害”とか、お話の雲行きが怪しい雰囲気に(笑)。

白:でも、結果これで良かったです(笑)。

芥:Chanty恒例の「結果良かった」です(笑)。

shota:最初、構成を書くまでサビがどこかわからなかった。

野中:野中も!聴き方によったら、全部サビに聴こえる。

────私も一瞬、頭サビなのかと思いました。

白:実際、そう感じるように作られているんですよ。最初のAメロの演奏はサビと一緒だから、そう思われても不思議ではない。そんな面白いギミックが隠されていたりもします。

────納得です!

Chantyは温度感がある楽曲が多いけれど、ここまで体温感というか人肌な曲はあまり無かったのではないかと。



芥:この曲は平坦だから難しいんですよ。Chantyの曲の中でも、「よまいごと」や「スライドショー」みたいにわかりやすくガツンとくる“THE名曲!”なタイプとはちょっと違うし。温度感で持っていく感じなので、ツアー序盤はそこがまだ自分たちの中でも消化しきれていなかったかもしれないです。

白・野中・shota:そうだね。

芥:ツアーファイナルに向かうほど、良くなっていった気がする。

白:うん、会場を包み込む温度が上がっていった感じがするよね。

芥:自分の中でも“良い曲ができた”と自負してはいるものの、動く曲でもないのに“ライヴで演奏してみないことには本当にわからないな。”と感じていたので。

────とても温かな空間になりました。

芥:Chantyは温度感がある楽曲が多いけれど、ここまで体温感というか人肌な曲はあまり無かったのではないかと思います。

野中:ありそうで無かった曲です。

白:この曲の原曲は芥さんだとファンの人たちに話したら、「凄く芥さんらしい曲ですね。」と言われたんですよ。俺もそう思ったけど。

芥:芥っぽいのかぁ!へぇ~!

野中:うん、ぽいと思う。

────どちらかというと、芥さんはシングル表題向きの曲を多く書かれる印象が強かったかもしれない。

芥:そうせざるを得なかった時期があったし、少し背伸びしていたんですよね。千歳くんが脱退して、白くんが加入して、メインになる楽曲を書く人間が誰もいない状況だった時に、“自分がやらなくては!”という使命感みたいな気持ちで走り続けていたので。でも、ここ2~3年で白くんがオールマイティーにいろんな曲を書ける体制になって。白くんがChantyを踏襲しながら新しいものを生み出していってくれるからこそ、この曲を生み出せた気がします。これからの僕は“どストレートなシングル曲”ではなく、以前のようにChantyの表現の幅を広げて肉付けしていくような役割を担っていけたら。「愛哀想奏」も、そんなイメージでした。そういう意味でも、“これがリードだ!”という感じとも違うし、わりと特殊な立ち位置の曲だと思います。

白・野中・shota:確かに。

芥:だからこそ、このタイミングで良かったのかもしれません。一発で衝撃を与えるような曲は他にもたくさんあるので、これはまずChantyを愛してくれている人たちに響いてくれたら嬉しい。

────受け取ったファンの方たちは、物凄く愛を感じると思います。

芥:そうだと良いですよね。

野中:きっと感じてくれますよ。

白:ちょっと他人事みたいな言い方を(笑)。

野中:いや!これはマイナスな意味ではなく、野中の中ではまだChantyの曲という感じがしていないんです。

shota:わかる!

野中:自分の感覚がまだ、どこか聴き手側というか。

────「良い曲だねぇ!」という感じ。

野中:そう、自分で演奏した曲ではあるけれどまだ少し他人事感があるんですよね。その距離感が、とても良い。

────客観視できている期間かもしれないですね。

野中:うん、そうかもしれない。個人的にChantyは“この曲は夜に聴きたい。”とか時間帯を選ぶ曲が多いんですけど、「愛哀想奏」はいつでも聴ける。

芥:空気みたいな曲かもしれない。

野中:そう!空気とか水とか、常に存在することに違和感を覚えない曲。

芥:ステーキソングではないですね(笑)。

一同:(笑)

芥:でも、大切な曲。

野中:空気も水も無いと死んでしまいますから。

────そう考えるとまた、とても素敵な立ち位置の曲です。アウトロのコーラスがファンの方たちとの合唱になったらさらに感動しそうで。

白:良いですよねぇ!

野中:あのコーラスは楽器隊の3人で録ったんですが、レコーディング中の白くんがちょっとニヤニヤしていて・・・(笑)。

白:レコーディングは静かなブースの中でみんなヘッドフォンをしているので、メンバーの声しか聞こえない環境なんですね。ヘッドフォンをずらすとメンバーのアカペラの歌声が聴こえてきて、それがどうしても面白いんですよ(笑)。

野中:何をやっているんだろう感が強いよね(笑)。

shota:あれは慣れないね(笑)。

芥:それがパワーコーラス録りの醍醐味だと思う(笑)。

お互いが心から自由に求め合って、意図せず一致する瞬間が一番美しい。



────歌詞の内容的には、非常にストレートな言葉選びで、いつもMCで話していらっしゃることも含めて総括的に形にされた印象です。

芥:うん、そうですね。

────少し掘り下げさせて頂くと、1Aで“誰もが一人で さよならに向かってる”とありますが、「戯れ事」でも“死ぬ時は一人でしょう?”と書いていたり、芥さんは“人間は個(1人)だ”という感覚が非常に強い方という印象があるんですね。

芥:そうですね、ライヴでもよくそういうことを話してきたと思いますし。メンバーもファンもそれぞれが1人であって、その個が一致する瞬間が美しいと思うんです。愛哀想奏ツアーを終えてから1年くらいの時間をかけて、あの時の自分が何を感じて何を思っていたのかを明確化していけたからこそ、“1人”というものに対して改めて向き合えた気がしていて。よくMCで「楽しみ方も求め方も自由だ。」と話していますけど、バンドが活動を続ける中では環境含め様々な変化があるし、ファンの人たちもそれぞれの人生の中でライフスタイルや感情に変化が起きたりもする。その過程において、ネガティブな印象・・・言ってしまえば、「今のChantyは自分にあまり合わないな。」とか「活動を追うことに疲れてしまったな。」と感じる人たちだって居るはずで。どんなに好きな物事であっても生き方のバイオリズムが常に一致して臨めることなんてないし、好きだからこそ気持ちの面で相容れないこともあって当然だと思うんです。すべては主観のぶつけ合いですから。でも、だからこそ、あなたはあなたで、僕たちにワガママをぶつけて欲しい。僕らはあなたのワガママに全てにおいては寄り添うことはできないし、僕らは僕らのワガママをぶつける毎日だけど、音楽を生み出す側と受け取る側の考え方や捉え方の違いは絶対にあるからこそ、お互いにもっとワガママに求めて然るべきだと感じるから。僕らが良かれと思ってやったことに対してあなたが「これは違う。」と思うことも、たとえそれが僕らからしたらどんなに疑問に感じることであったとしても、それはそれで正義だと思っています。だって、振り返れば過去の自分だって、たとえば好きだったアーティストに“今回の曲は、あまり・・・。”なんて思った経験があるわけで。それって、作り手側からしたら凄く悔しいことだけど。

────その時の最高だと思って出した作品のはずですからね。

芥:そう、意味を持って出したもののはずだから。でも、受け手側はそんなに恐縮しながら物事を受け止めなくてはいけないのか?と考えると、そんなことはないと思った1年だったし。逆に、作り手側は受け手側のことばかりを意識して作るべきものなのか?と考えると、それも違うと思ったし。これは冷たい意味ではなく、お互いが心から自由に求め合って、意図せず一致する瞬間が一番美しい。そりゃ、作り手側が狙いにいくこともあるし、受け手側が合わせにきたりもするでしょうけど。それぞれ違うということが自分にとってキツい時もあるかもしれないけれど、救いになる時もあるから。それは、バンドとファンの間のことだけではなく、メンバー間でも同じです。ひとつのバンドのメンバーであっても考え方はそれぞれに本当に違うものだし、それぞれが1人で、求め合ってここまで歩いてきた。

────よくわかります。

芥:この曲は広く愛に溢れているイメージだと言ってもらいましたけど、本当に広い意味で「僕らはこういう気持ちでいるよ。」と伝えたかった。その上で、自分が思う形でChantyを摂取してもらえたらいいなって。突き放しているようでもあり、博愛でもあり、不思議な感じにはなってしまうけれど。

────「その時々の自分のスタンスでバンドを愛して欲しい。」って、私は優しさに感じます。バンドや音楽やライヴが人生においてどんな彩であるかは人それぞれ違うし、生きていれば優先順位を変えざるを得ない瞬間もあるわけで。「どんな時も常に好きでいてくれ。」というのは、結果的に言われた側もつらいと思うんですよ。

芥:そう思います。僕自身も、昔からずっと好きなバンドであっても聴かなくなっていた期間もあったし、それがまた何かのきっかけで狂ったように聴くようになったりもしたし、いろんなきっかけがあるものじゃないですか。愛哀想奏ツアーで“この瞬間、この場所だけ”ということを純度高く考えることができて、そこから紆余曲折しながらたどり着いたこの1年で“自分はこういうことを思っていたのかな。”というのを、わりと過不足なく形にできた歌詞だと思います。自分の中でもちゃんと腑に落ちることを、どこにも属さないまっさらな気持ちで書けました。

────普遍的だからこそ、大事な存在としてずっとバンドと歩んでいく曲になるでしょう。

芥:そうですね。さっきも空気や水の喩え話をしていましたけど、毎回必ず演奏されるような曲ではなく、でも常に在り続けて良いタイミングで登場するような曲になったと思います。

“自分が受けた感動を再現するなら”と極限まで突き詰めた結果、このサウンドになりました。



────先日のツアーファイナルで初披露された「迷語」。イントロと歌い出しから胸がギュッとなるような切ない感覚を覚える、本当に素敵な曲です。原曲は白さんですね。

白:はい。この曲の構想自体は、結構前からありました。とあるアーティストのライヴを観に行った時に、最初はずっと静かでサビでいきなりドーン!とくる構成の曲があって、それが凄く自分に刺さったんです。以前からChantyにはそういう曲が合うだろうなと思っていたけれど、ヴィジュアル系にはあまり無いタイプの曲ですし、ファンの人たちも聴き馴染みが無いだろうから、果たして作れるかなと悩んでいたんですけど。でも、色々な曲を作りながらオーディエンスの反応を見ている中で、今ならそう恐れずに好きなように作っても受け入れてもらえそうだなと感じていたこともあって、今回の作品に入れてみようと思いました。「愛哀想奏」も「迷語」も、万人に受け入れられるというよりは“好きな人は好きだろうな。”ってタイプの曲ではあるんですけど。

────ヴィジュアルシーンにはこういう曲調が少ないのかもしれませんが、Chantyのファンの方たちには同時に他ジャンルの音楽も好まれる方も多くいらっしゃるのではないかと感じますし、その逆も然りですし、きっと想像より自然に受け入れられると思いますよ。

芥:実際、先日も富山で多ジャンルのフェスに出演させて頂いたんですが、Chantyのライヴにも良い反応をもらうことができて。

一同:うん!

────何年も言い続けていますが、Chantyは絶対にフェスに向いているバンドだと感じるので、良い機会があって本当に嬉しいです。

芥:ジャンル問わずカッコいいと思えるバンドや音楽と一緒にライヴができるのは光栄ですし、フェスに出る機会も増やしていけたらと思っています。

────ヴィジュアルシーンには時々「ジャンルを変えるの?」みたいな偏った見方をする人が居たりしますけど、気にせず自由に活動して欲しいです。

芥:Chantyは、あまりそういうことを言われないほうだとは思うんですけどね。活動開始からコンスタントに他のジャンルとの接点はあったほうだし。

野中:どこにいてもやることは変わっていないよ!という感じなので。

shota:もし、言われたとしても気にならないですしね。

白:うん!

────曲のお話に戻ると、つらつらと自問しているような歌い方にも新しさを感じます。

芥:勢いでいく感じにはしたくなかったんですよね。とつとつと、誰にも見られたくない日記を書いているような感じかもしれない。歌っている時のとつとつとした感じは、自分でも何か良いかもと思っていました。

shota:「迷語」は、デモが上がってきた時に直感で“これはいいぞ!”と感じました。この曲のレコーディング中はボーカルメロディー無しで叩いているので、完成したらどうなるのかいまいちわからなかったんですが、ミックスで完成形を聴いた時に“これだ!”と思えましたね。白さんはスルメ曲だと言っていますけど、俺はそんなことはないと思っています。刺さる人にはとことん刺さる曲かと。

芥:僕がこの曲のサウンド面で特に言いたいのは、最初の白くんのギターのクリーンとクランチ。あそこまでどストレートに出すことは、これまであまり無くて。

白:そうだね。

芥:個人的に、ああいう音像が大好物なんです。今までは全体的にもう少しお化粧したサウンドにすることが多かったし、白くんはこのジャンルの中でエフェクティブに弾き倒すスタイルを武器としてかなり確立しているギタリストだと思う。それが、ここにきて結構肉を削ぎ落としてこういう音を出してきたことが、僕はちょっと嬉しかった。

白:“自分が受けた感動を再現するなら”と極限まで突き詰めた結果、このサウンドになりました。常にギターが2本鳴っているのが普通ということが多かったけれど、今回はサビに入る時のダイナミクスを最大に表現するには減らすしかないだろうというところで、極限まで削ぎ落としてあの音に。・・・そのうちに、ギターを弾かなくなるかもしれない(笑)。

一同:(笑)

────悟りの境地に達してしまって(笑)。でも、本当に白さんのギターサウンド素晴らしいですよね。

白:ありがたいことに、そういう言葉を頂くことが増えました。

芥:本当に、ここ2年くらいで一気に良い感じになってきたなと思う。

白:ライヴの時は必ずPAスタッフの方に「アドバイスを頂くところはありますか?」と訊くようにしているんですけど、どこのライヴハウスでも大体Chantyのバンドサウンドを褒めて頂けるようになって。

芥:加入当初の白くんは控えめなところからスタートしたから、どういう感じになっていくのかなと思ったけれど、最近のChantyは褒められることが増えました。音だけじゃなく、楽屋を綺麗に使って撤収も早いし(笑)。

────shotaさんの地元の水戸ライトハウスでは、ファンの方たちのことも褒めて頂けていましたよね!

shota:もう本当に誇らしいです!

────ファンはバンドの鑑、と言いますし。

一同:本当に!

野中:嬉しかったですね!

今、目の前にいてくれる人をちゃんと幸せにしたい。



────歌詞は、Bメロの“君がいるから言葉は意味を持つのだろう”から生まれたそうですね。

芥:はい。「愛哀想奏」の歌詞を書いた上での「迷語」だったので、どういうテーマで書こうかなと考えたんですけど。最初は男女のことで書こうかと思ったものの、前作の「PM10:00」が恋愛テーマでとてもしっくりくる形に落とし込めたと感じていただけに、連作で書く気にもなれなかった。自分の中では「愛哀想奏」もバンドとファンに限って書いたつもりはなくて、1人の人間として生きていく中で大切な存在である家族や恋人や友達も含めて表現した歌詞なので、「迷語」も恋愛よりもっと広い意味で書いてもいいのではないかと。“言葉も人生も、人在りきで意味を持つ”ということを、もう少し掘り下げたいなと思って書きました。1Aの“どうやったら伝わるのか”“どうなったら届いたのか”は、この1年でバンドにも色々な変化がある中で、“自分たちはこう思っていたけれど、みんなにはどう届いたんだろう?”と考える機会が多かったので。「愛哀想奏」で答えは出ているんだけど、そこに至るまでのもがいている感じ・・・「迷語」は「愛哀想奏」の歌詞ができるまでの、この1年の自分の気持ちの過程かもしれないです。「愛哀想奏」でも“わたしがいなくてもあなたは生きるし あなたがいなくてもわたしは生きるけど”と言っていますけど、“それでも、あなたがいなかったら、君がいなかったら”ってことを凄く強く感じていたんですよね。昔はMCで「今、ここにいない人にも届くように。」なんて言っていたこともあったけれど、今はどうしてもそう思えなくて。だって、届かないから。だからこそ、今、目の前にいてくれる人をちゃんと幸せにしたいし、その人が何か言ったことによって誰かに届くこともあるかもしれない。そんなことを凄く考えていましたね。

────とても伝わります。

芥:大切な言葉ほど、重さを無くしていく矛盾を感じることが多かった。それこそ、2Aで“戦争はしちゃダメだとか 命は大切だとか”と書きましたけど、そういう当たり前なことは重要だって誰もがわかっているはずなのに、気付くと軽んじられてしまっているように思えて。毎年、夏付近は命に関するお話がとても多く入ってくることもあってあの歌詞にしたんですが、そのことに限らず一番身近にある大切なものほど気付くと重さを無くしたり解像度が下がったりしていて迷いやすいと痛感しています。この間のライヴでは「揺らめくあの日は万華鏡」と「迷語」を繋げて演奏したんですけど、「揺らめく~」も“伝えてくれなきゃわからない”ということを歌っている曲なので、続けて歌いながら1人でグッときていましたね。

────その2曲の流れは、ライヴを拝見している側もグッときました。

芥:「迷語」の最後に“明日が来るとは限らないし伝えないとな”という一文を入れるか凄く迷ったんです。書いている時に「揺らめく~」と似たベクトルの歌詞だとは感じていたので、最後にそれを入れたら本当に同義だなって。それで1~2日悩んだけれど、結局はそれも含めて“円環”だという結論に至りました。

────最後に静かな決意のフレーズがあることによって、“円環”というテーマがより明確になったと思います。その決意によって伝えた言葉が「愛哀想奏」とも「フライト」とも捉えられますし。

芥:うん。狙ったところも偶然も全て含めて、“円環”に沿って形にできたと思います。

野中:「迷語」のデモを初めて聴いた時に、好きなバンドの好きな曲を聴いているイメージになったんですよね。Chantyを結成した頃に「終わりの始まり」や「フライト」、「ソラヨミ」が完成した時と同じ感覚のような気がして。芥さんが言う“円環”という言葉になぞらえているわけではないのですが、自分の中の心境、思うことって一番リアルなことだし、なんだか嬉しくなっちゃって。曲調は全く違う3曲でも、同じ作品に入る曲としてとても完成されていると思います。

歩き続けているからこそ、素晴らしい偶然が起きたりもする。



芥:「迷語」の話からは逸れますけど、“円環”という言葉を最初に意識したのはいつかと考えたら、Chantyのスタッフが2019年に主催したアコースティックイベントのタイトルが『円環』だったんですよ。

────確かに、言われてみたらそうでした!

芥:今回のツアータイトルを考えている時に、そのイベントのタイトルが頭に浮かんできて、“円環っていいなぁ。”となったところから始まったんです。なので、あのイベントにも感謝だなと思います。

────実は、随分と前からそばにあった言葉だったんですね。

芥:そうなんですよ。度々“円環”が頭の中に浮かんできていたけれど、使うタイミングが無かった。それが“今こそ!”という感じに・・・もしかしたら、誰にでもそういうことを感じる瞬間は起きていて、自分が気付こうとするかどうかの差だけなのかもしれないです。

────ええ、芥さんやChantyはそういうものをしっかりキャッチして掬い上げていると感じます。

芥:自分でも、このバンドは事象に対して向き合おうとするバンドなのではないかと感じますね。

────繋がっていくものですね。

芥:本当に偶然ですけど、偶然は歩いている者にしか訪れないので。

白・野中・shota:!!!!!

────今、名言の予感が・・・!

白:凄い!

shota:確かにそうだ!

野中:ほんまにそうやわ。

芥:歩き続けているからこそ、素晴らしい偶然が起きたりもする。でも、それは僕らだけで起こせるものではなく、たくさんのことが重なってできること。Chantyの武器は偶然によるものも多いし、他のバンドよりも偶然の力が強いのではないかと思います。

オリジナルの音源から大きく変えようとするのではなく、素直に今の自分たちの好きな音で作りました。



────そして、リクエストMV企画「あなたとつくるCHANTY MUSIC VIDEO」のファン投票によって1位に選ばれた「フライト」です。

野中:投票数としては、接戦の中で頭ひとつ抜けたのが「フライト」という感じでしたね。

shota:2位は「天翔る」でした。

芥:毎年恒例になっているライヴのリクエストアワードの投票もですけど、本当にみんな色々な曲に投票してくれて、それぞれの曲を大切にしてくれているのが伝わってきてありがたいなと感じます。

────再録したことで音の鮮明さが増して嬉しかったです。

一同:確かに!

────再録は、弾きなれている曲だからやりやすいものですか?それとも、過去に一度正解とする形を出しているからこそ逆に難しいのでしょうか?

白:今回はアレンジ面もそんなにブラッシュアップしたりはしていないから、そこまで難しくはなかったかな。元々の「フライト」はギターがメインでミックスされていて、“THEギターロック!”という印象の仕上がりじゃないですか?あの攻撃的なサウンドで演奏する「フライト」が好きな人も居るから、そういった意味でもオリジナルの音源から大きく変えようとするのではなく、素直に今の自分たちの好きな音で作ったらこうなりましたって感覚です。

────オリジナルは初期Chantyのやんちゃさや飛び立ったばかりの勢いみたいなものが色濃くて、今回は12年の時の中での経験やファンの方たちから受け取ってきた愛情によってより強度が増して安定した印象です。

芥:本当にそうですね。

野中:ただ、野中はChantyのこれまでのベースレコーディングの中で、今回の「フライト」に一番時間が掛かりました。弾けなかったです(苦笑)。

一同:(笑)

────意外です!

野中:あの頃は若かったんですよねぇ・・・フレーズも、結構めちゃくちゃだったので。改めて、大人になったんだなと勉強になりました(笑)。

────過去の自分と対峙する形の芥さんと野中さんと、新たに自分の音で録る白さんとshotaさんでは、少し感覚が違いそうです。

芥:そうですね。たぶん、もう少し前だったら僕はこの「フライト」を歌えていなかったと思います。ここ半年くらいは喉のことで、自分が悩んでいる箇所が段々と解けてきたり、今の自分にできる裁量が少しずつ見えてきたりしていて。この曲はキーが高いのもあるし、勢いだけでいうなら当時と同じようにはもう出せないし、たとえ歌い切れたとしてもオリジナルの二番煎じみたいになってしまったんじゃないかと思う。このタイミングだったことで、“ここはちょっと悔しいな”なんてところはあるものの、あの頃には無かった色気なども加わった“今だからこその歌”をしっかり落とし込んだ形にできました。ただ、歌録りのジャッジを自分でしているもので、迷ってくると全部マイナスに向かっていって声も出なくなってしまって。最初は凄く調子が良かったのに、途中でそこに入り込んで“これはダメだ!”と3時間くらい眠って(笑)。

────リセット大事です!

芥:本当に!とりあえず歌うことから離れて、もう一度立て直して、“今の自分でちゃんと歌いましょう。”と歌った結果、そこからは順調に進んで楽しかったです。あの頃の自分に救われた気持ちにもなったし、「これから大変なこともあるけれど、今は段々とあの頃のあなたにはできなかったことができるようになってきているよ。」と思えたのは、選ばれたのがこの曲だったからこそですね。

実は、サポートの話をもらう前から、「フライト」だけは練習していたんです。



────初めて自分の音で録ったおふたりはいかがでしたか?

shota:俺は、初めてしっかりChantyを知ったのが「フライト」だったので、この曲を叩けて嬉しかったです!

芥:そうだったんだ!?

shota:前のバンドでChantyのイベントライヴに出演して、その時に演奏していた「淡々と」で“なんだ、このバンドは!”と衝撃を受けて。機材車の中で「フライト」を聴いて、“うわ、めっちゃ良いな!”となった帰り道でした(笑)。

芥・白・野中:へぇ~!!!

shota:今回のレコーディングを終えた時、Xにも「この曲に息を吹き込めて嬉しかった。」とポストしたくらい。

野中:確かに、shotaくんはレコーディングが物凄く早く終わったもんね!野中はshotaくんの倍くらい掛かったのに(笑)。

shota:慣れていたからね(笑)。実は、サポートの話をもらう前から、この曲だけは練習していたんです。

芥・白・野中:えっ!!!!!

shota:それで、札幌のサポートの話をもらって“よっしゃ、来た!”と思ったら、そのライヴの1曲目が「フライト」だったんです!

芥・白・野中:えええええ!!!!!(驚愕)

芥:ちょっと!こんなに凄い話を今日まで取っておいていたの!?

白:ずっと温めていたんだ!(笑)

shota:やっと話せました(笑)。やっぱり、これも・・・

一同:“円環”だ!!!

野中:めっちゃええ話やな!

────本当に!サポート1曲目が「フライト」だった時に続いて、今回の1位も“よっしゃ、来た!”だったんですね。

shota:“でしょうね!”と思いました(笑)。俺もファンの立場だったらこの曲に投票しただろうし、ファンの気持ちもわかりますから。

白:俺も、立ち位置的にはshotaくんと同じです。でも、「フライト」のギターだけ初めて使う音色で録ったんですよ。ちょっと自我が芽生えてきたのかもしれないですね(笑)

芥:僕は、逆に今回はあまり攻めずに踏襲した感じなのかと思ってた。

白:あ、本当?

芥:うん。最近の白くんの歪みの作り方で攻めようと思えばまた違う音像の、言ってしまえばもっと音圧があってぐいぐい攻めていく感じにすることもできただろうけど。僕が聴いた印象ではわりと昔を踏襲したものに聴こえたので、改めてそういう作品になったんだなと感じていましたね。

────過去を大事にしつつ、進化させていくギタリストなだけに。改めて、3曲がひとつの作品として本当に美しくまとまりましたね。

芥:そうですね。まぁ「フライト」はわかりやすい曲だけど、作品全体で考えたらスルメだろうなと思います(笑)。

白・野中・shota:確かに(笑)。

芥:どの作品も自分たちにとって大切であることは大前提として、事務所に所属していた時期にリリースした楽曲は“良い曲を作ろう、刺さる曲を作ろう。”と狙いにいっているところもあるし、“この曲で人生を変えてやる、このバンドの運命を変えてやる。”という想いがどこかしこに散りばめられているものだと思うんです。それはバンドをやっている以上は当然のことだし、良い作品を作ってきた自負もあります。でも、今回の作品は本当に自分たちも流れに身を委ねたところがあったし、結果として「愛哀想奏」「迷語」という2曲に「フライト」が入ったことも含めて、“作ろうとしたもの”というより“滲み出たもの”みたいな感覚が強くて。もしかしたら、この作品はうま味成分だけでできているかもしれない(笑)。わかりやすい塩味や食感を取っ払って、自分たちから滲み出たうま味だけで構成されたもの。それくらい面白い1枚にできたし、3曲とも体温感がある作品になったなと思います。

MCで何度も「Chantyは7人で作ってきたバンドです。」と話してきたことを具現化したい気持ちもあったから、“この曲で撮るなら、旧メンバーも一緒に!”と思った。



────そして、「フライト」のMVにはなんと前任メンバーたち含めChanty歴代メンバー全員で出演されています!これが実現できるって、あらゆる意味で凄いことです。

野中:撮影当日、千歳さんも同じことを言っていましたね。

────4人がそうしようと思えたことも、その提案に対して前任メンバーたちがOKしたことも、どちらも本当に凄いし尊い。

一同:そうですよね。

芥:インタビュー冒頭でもお話ししましたが、去年末に本当にたまたま旧メンバーたちと連絡を取り合う機会があって、その時期から密かに“円環”を感じていたんです。そうしたら、白くんが生誕にshia.くんを呼びたいとか言い出して(笑)。

一同:(笑)

────白さんの生誕のお話とMVのお話、どちらが先だったんですか?

白:俺の生誕の話が先だったんですけど、同時期に芥さんも“もしリクエスト投票で「フライト」が選ばれたら、MVにみんなを呼んでみようかな。”という構想は持っていたみたいで。

芥:そうですね。リリース当時諸々あって「フライト」のMVがお蔵入りしたこともあって、リクエスト投票でこの曲が選ばれた時には当然その時のことも過ぎりましたし。MCで何度も「Chantyは7人で作ってきたバンドです。」と話してきたことを具現化したい気持ちもあったから、“この曲で撮るなら、旧メンバーも一緒に!”と思った。正直、当時は全部が全部円満な別れではなかったですし、ファンの中にはこういう作品をつくることに抵抗を覚える人も居るであろうことも自分たちなりに理解しているつもりです。でも、ここでやらなければもう一生チャンスは来ない。こんなにも導かれるように“円環”ができあがっている以上、今これに逆らうべきではないと感じたし、たとえ自己満足だと言われたとしても、ここでしっかりと自分の中の想いにもかたをつけるべきだと思った。

────選出されたのが「フライト」だったこと自体、既に導かれていますからね。

芥:サブスクの再生回数の数字だけを見たら、「フライト」は一番の人気曲というわけではないんです。それでもこういう結果になったのは、みんなの胸の中にある温度が高い曲だったからだと思う。だからこそ、当時のChantyを観ていた人たちにも“ちゃんと形になったんだ。”と思って欲しかったのもあります。これを作ったことで何か世界が変わるとかそういうものではないけれど、12周年を前に自分の中にあった“守れなかったものへの遺恨”みたいなもの・・・彼らが去る時にもっとこんなことができたんじゃないかとか消化できていなかったことは確実にあって、今それを全て叶えることはできないけれど、ひとつの作品として表現することはできたんじゃないかなって。

旧メンバーも現メンバーもみんなが撮影場所に集って笑っているのを見て、改めて“Chantyを続けてきて良かった。”と思いました。



────このチャンスを逃さず形にできて良かったと心から思います。

一同:本当に!

芥:撮影日のスケジュールが合ったこと自体が奇跡的ですしね。千歳くんは同日にライヴもあって、だいぶ無理をしてくれたと思いますけど。でも、10周年の時には何故かこうやって人が集わなかったよね。

野中:確かに、10周年が一番節目っぽいねんけどな。

芥:環境の違いもあるかもしれないけれど、それでもそういうムーブが何かしら起こってもおかしくはなかったと思うんですよ。それが、何故か12周年に向かう中でこういうことが起きて、たまたまに近い形でこのツアータイトルだったり、作品タイトルだったりが生まれて。

────Chantyのバイオリズム的なものが12で1周なのかも・・・。

芥:うん、そうなのかもしれない。

────私も、また皆さんが揃っている映像を拝見できるのが楽しみです。

野中:面白いですよ(笑)。

芥:撮影現場で、shotaくんは凄く大人だなと思った。知らない人たち(前任メンバーたち)の中でも・・・

一同:“知らない人たち!”(笑)

shota:確かに、よくは知らないですからね(笑)。

芥:受け答えも含めて大人だった。

野中:うん、凄いしっかりしてるよな。

芥:“ちょっと嫌かも”となってもおかしくないのに、本当に凄いと思いました。

白:多少なりとも、蚊帳の外感がある状況だもんね。

芥:そう、でもshotaくんは蚊帳の外にならない。

────ドラマーらしい、対応力とコミュニケーション能力の高さが光ったのでしょう。

shota:そう、ドラマーは何かと対応力を求められて大変ですから(笑)・・・でも、撮影現場は同窓会みたいで微笑ましかったですね。

白:あぁ、そんな感じだよね!

shota:5人時代はこんな感じだったんだな、と思いました。

芥:5人が集ったところを見て、白くんも「“これがChantyだわ”と思った。」と言っていて。

白:そう!

芥:僕は(5人時代のメンバーと現体制とを)行き来するわけじゃないですか?どちらもChantyという同じバンドではあるんですけど、当然のことながらメンバーが違えば空気感が違うものなんですよ。オリジナルメンバーの5人で居ると、バンドを結成した頃の「わからないことだらけだけど、力を合わせて頑張ろう!」みたいにやっていた雰囲気を思い出す。で、この4人のところに戻ってくると、何となく空気がパリッとするんです。それはきっと、バンドが経験を積んでしっかりしていったこともあるし、僕自身も現体制になって背負うものや立ち位置的な部分に変化があったからそう感じるんでしょうけど。

白:俺は5人が揃っているところを見て、当時このバンドの勢いがあった理由がわかった気がしましたよ。別に5人で演奏しているところを観たわけではないですけど、5人が一緒にいる雰囲気だけでも、これは単なる足し算の集まりではないという相乗効果が伝わってきたんです。

芥:そう言ってくれたよね。

白:うん。5人が揃ったところは初めて見たので、そういう理由だったんだって凄く感じましたね。

────すぐにそれを感じ取った白さんも、そう感じさせたオリジナルメンバーの空気感も、さすがだなと思います。

野中:不思議と、懐かしい感はなかったんですよ。

────きっと何歳で集まっても、メンバーは自然と当時の空気に戻るものなんだと思いますよ。

一同:そうかもしれない。

芥:旧メンバーも現メンバーもみんなが撮影場所に集って笑っているのを見て、改めて“Chantyを続けてきて良かった。”と思いました。純粋に嬉しかったです。

このMVは、過去を振り返るためのものではなく、未来に進んでいくためのもの。



────このタイミングだから叶ったことですし、ファンの方たちにも楽しんで頂けると良いですね。

一同:本当に!

芥:そのためにも、どういうつもりでこの作品を撮ったのかをちゃんと伝えていきたい。個人的には、このMVは額縁の写真の中の1枚として飾っておいて欲しいですね。痣みたいな感覚なんです。7人が同時に収まっているChantyの映像は、本当に最初で最後ですから。

────もしかしたら、バンドのことが大好きな方ほど複雑な気持ちを抱いてしまったりするのかもしれないけれど、今のChantyがカッコいいという事実が全てですから。

芥:そんなChantyを作ってくれたのは、旧メンバーの3人でもあるし。そして、応援してくれた“あなた”も一緒です。そういうスタンスのバンドだからこそ、この企画が生まれたところもあるので。今は受け入れられないと感じる人も、いずれ観て“あっ!”と思ってくれる時がくるかもしれない。その時に、僕らがまだちゃんと活動を続けてライヴをしていたら・・・

────最高ですね!

芥:はい。当然、そう在るつもりですけどね!

────頼もしい!

芥:このMVは、過去を振り返るためのものではなく、未来に進んでいくためのものだと捉えてもらえたらいいな。12周年で360度を迎えたChantyが、361度目に歩き出すためのものでもあるので。これから先、“あなた”と一緒にどんなものが作れるか期待しているんです。どちらの意図的でもないものというか・・・自分たちが作品を作ることは意図的ですし、ファンの人たちがライヴに足を運んでくれたり曲を聴いてくれたりすることも意図的ですけど、その意図的なもの同士がぶつかって意図的ではないものが生まれるのが醍醐味だと思っているので。それを踏まえてお話すると、個人的にはこの先は余程のことが無い限り、過去の作品を録り直すリメイク的な形はやらなくていいと思っています。それは、過去を振り返らないとか置いていくという意味ではなく。「フライト」を聴いてもらってもわかるとおり、オリジナルの楽曲をガラッと変えることはしないメンバーたちですし、今回こうして意味のある作品を完成することができたから、現状は過去の曲を引っ張り出してくる理由がもうあまり無いんです。

白・野中・shota:うん。

────ライヴでは変わらず演奏されていますし、作品としては“それならば新しいものを生み出していこう。”という感覚の方が強そうですよね。

芥:そうですね。だからこそ、今回の「フライト」は旧メンバーのことも含めて形にできて良い締めになりました。これを持って新たな360度の1歩目を踏み出して、未来のChantyに向かっていこうと思います。

いつもどおりの自然体なChantyで周年を迎えられるようになった気がします。



────そして、おめでたいことが盛りだくさんな9月です!shotaさんと白さんの生誕祭にChanty12周年ワンマンと、本当にお祝い月間ですね。

芥:毎年思うけれど、メンバーが加入するたびに誕生日が周年に近づいていくって面白いですよね。もうこの先は周年当日が誕生日でもない限りChantyには加入できないっていう(笑)。

野中:確かに、もう周年前日生まれがおるからな(笑)。

────そうですね(笑)。9月15日に高田馬場CLUB PHASEで開催されるshotaさんの生誕祭は、翌日の周年ワンマンとの2days開催が定番となりそうです。

shota:そうなりますね。2daysって大変な部分もあるけれど、去年やってみて悪くないなと思った。

芥:そう、良いテンションでライヴに臨めたよね。

────メンバーもファンも2日連続でお祝いできるのは楽しいのではないでしょうか。

shota:うん、2日連続で幸せ空間が続くのも良いですよね。

白:これまでは、周年前はわざと少しライヴスケジュールを空けたりしていたんです。でも、ちょっと久しぶりに立つステージが周年の大きめの会場になるから、地に足がついていなかったなと感じることもあったし

芥・野中・shota:そうだね。

白:この2days開催になってから、いつもどおりの自然体なChantyで周年を迎えられるようになった気がしますね。

野中:うん。やっぱり、気持ちも入りますし。

────メンバーの生誕もバンドの周年も特別なものですから。

芥:今年は何をするの?

────ドラムの位置が気になります。

shota:2年前にやりたかった俺と芥さんの立ち位置チェンジを、ようやく実現させようと思います!

芥:良いですねぇ!後ろで動きまくります!(笑)

────楽しみにしています!そして、9月29日に高田馬場CLUB PHASEで開催される白さんの生誕祭には、ゲストギタリストとして前任メンバーのshia.さんが参加されます。

白:MVの話の時に芥さんも言ったように、色々な意見が出るだろうなとは思いましたけど、単純に自分がやりたかったから出演を依頼しました。

────白さんのお誕生日ですから、それで正解ですよ。Xにポストしていらした“ずっと影を追っていた”という言葉が印象的でした。

白:同じ前任ギタリストの千歳さんとは、結構すぐに会う機会があったんです。でも、shia.さんはやっぱりちょっと遠い存在だったので、いつか機会が持てたらと思っていました。

芥:どんな感じなんだろうなぁ、僕らも楽しみです。ファンの人たちが感じていることは様々かもしれないけれど、こういう機会は簡単に作れるものではないからこそ、この9月だけはワガママを聞いてくださいって思います。

────過去に執着しているわけではないですからね。寧ろ、今が一番だと思えていなければできないことだと思うし。

一同:そうですね。

────またとない機会だからこそ、みんなで純粋に楽しめたらいいですね。

芥:本当に。楽しませるのはこちらの仕事ですから、安心して遊びにきてください。

Chantyというバンドの本分を、より深く突き詰めていく13年目にしたい。



────そして、9月16日にSpotify O-WESTにて12周年ワンマンです。CLUB CITTA’と渋谷WWWでの開催を挟んで、2022年以来のO-WESTでの周年になりますね。

芥:以前のような、気負った感じの“O-WESTへの意気込み!”みたいなものは無いかも。

────周年の原点の場所ではあるけれど。

野中:自分たちが“ずっとそこでやり続けなくてはいけない”という固定観念に縛られていた時期があったのかもしれないです。10周年でCLUB CITTA’、11周年でWWWを経験して、今回“O-WESTに戻る”というイメージではないんですね。“戻る”ではなく、普通に“O-WESTでやる”という感じ。

芥:そうだね。この数年で、どんどん気持ちの面が裸になってきているのもあるかもしれない。それと同時に、よそ行きにおめかしした時の僕らの練度も上がってきていると思うんですよ。“自然体でいながら、魅せるべきところはしっかり魅せる”というオン・オフの切り替え的な部分が、自分の中でもバンドのステージの中でも、より素直にできてきた感じがします。

一同:確かに。

野中:どこの会場であっても変に特別視してプレッシャーを感じたりはせずに、自分たちらしいライヴをすることに集中できるようになってきたと思います。

芥:フラットだよね。

野中:うん。気持ち的には、“初めてO-WESTでやります!”くらいの感覚です。

shota:俺は、本当に初めてですけどね(笑)。

芥・白・野中:ようやく!(笑)

shota:やっぱり、今でもO-WESTワンマンはバンドの登竜門みたいなイメージはありますし。O-WESTの前にCLUB CITTA’やWWWを経験したので順番は違いましたけど、凄く楽しみです。

芥:自主での活動に戻った当初は、メンバーそれぞれが違うことを思いながら歩き始めたと思うけれど、今は“歩くスピードはそれぞれ違えど、ゴールは同じに。”が定着してきた気がします。誰かは走っている、誰かはゆっくり歩いている、たとえ寄り道してもライヴというゴールを迎える時にはしっかり1列になる。それを繰り返しているんじゃないかな。“みんなで同じ歩幅で歩いていこう。”というよりは、それぞれの速度で歩む中で最終的に一致する感じ。

────“常に同じ歩幅で”というのは疲れてしまう時があるし、それぞれのスピードの中で違ったものを見出して融合できることもあるでしょうし。

芥:うん、そんなことを思っています。

shota:12年って、義務教育が終わっているよね。

芥:そう考えると凄い。

────それだけの年月を重ねた今、このテンション感とモチベーションで進んでいるって本当に素晴らしいことですよ。

一同:確かに。

芥:だからこそ、周年は本当にあまり身構えずに迎えようと思います。以前も「Chantyは運が良いバンドだ。」と話しましたけど、運が良いだけではなく、その時その時に本当にたくさんの人たちが支えてくれて。こんなにも“生かされているバンド”って、そういないと思う。

────白さんとshotaさんに巡り会えたことも含め、ひとつひとつの出会いをバンドが大切にしてきたからこそです。

芥:今回12周年を迎えるタイミングで本当にたまたま円環が1周するような出来事が続いたことで、この先が一層楽しみになったんです。もっともっと新しいことができる気がする。

白・野中・shota:そうだね。

芥:楽曲面含めてしっかりした芯はもうできているから、その芯には変わらずそのまま立ち続けてもらった上で、Chantyというバンドの本分をより深く突き詰めていく13年目にしたいな。今回の「愛哀想奏」も、自分の中では意識的に変わったつもりはなかったけれど、結果的には今までにない感じに仕上がって。そういう、ちょっと違う肉付けを探したいところもあります。この2年くらいで“肉弾戦でぶつけ合う”みたいな部分のベースはしっかり作ることができたと感じるので、それを踏まえてこのバンドの本分を追求していけたら、もっと素敵なバンドになっていけるのではないかと。今まで以上に、未来を期待してもらえるバンドになりたいです。「好きなことをやっているChantyを観るのが楽しい。」と思ってもらえるようになりたいし、「だから、私も自分が心地よい距離感で自由に求めよう。」と自信を持って言ってもらえたら嬉しい。それぞれが自分の求め方に誇りを持って楽しんでくれたら幸せです。9月16日・Spotify O-WESTで迎える12周年のChanty、そして、13年目のChantyにも期待してください。



取材・文:富岡 美都(Squeeze Spirits)

RELEASE

2025.08.27 NEW RELEASE
「円環彷徨う五線譜」

LIVE


■ONEMANTOUR 2025
円環彷徨う五線譜は今宵月夜に誰を待つ GRAND FINAL
12th Anniversary Oneman Chantyの世界へようこそ
2025年09月16日(火) Spotify O-WEST

OPEN 17:00 / START 17:30
前売¥5,000 / 当日¥5,500 (D代別)

★チケット:
購入ページURL
https://eplus.jp/chanty/

関連リンク

◆Chanty OFFICIAL SITE https://chanty.jp/
◆Chanty OFFICIAL X https://x.com/chanty_news
◆Chanty OFFICIAL YouTube https://www.youtube.com/@chantyofficialchannel3590

関連キーワードでチェック

この記事をSNSでシェアする