【ユナイト】結成15周年ワンマン3月29日LINE CUBE SHIBUYA公演に向けて、10,000字超フルメンバーインタビューを敢行! 無敵艦隊のごとくシーンを席巻し始めた5人の絆と超名盤『FANTASTiC』以降の“現在”を語る。

自分の目の前にいる人たちを応援していく歌を歌いたい
────ユナイトと言えば作曲者が作詞も担当する暗黙のルールがありますが、希さんが初の作詞作曲を手掛ける楽曲「hananone.」もアルバムの1曲目に収録されました。2025年の全国ツアーやライヴでも重要な場面で演奏される曲になりましたが、自分の曲を歌うことは新鮮だったんじゃないですか?
希:うーん、決してマイナスな意味ではないんですけど、ちょっと大きいテーマで作っちゃったなっていう気もしてます。対バンでサラッとやるには重たいというか。
────自身の半生を回顧しながらバンドとファンへの決意を綴った歌詞です。
希:そうですね。最初はそういう人生観もあって、大きすぎるテーマだったんですけど、対バンで出会って触れてくれる方に向けても届けられる内容だなって自分の中に落とし込めてからは、また決意の意味合いが増えた気がする曲ですね。ただ、それでも感情が乗り過ぎちゃうときがありますけど。でも、それぐらいの歌詞を自分で書いてみてよかったなって気持ちです。
────アルバムは、希さんが想いを届ける「hananone.」から始まって、4人から希さんへ愛を寄せた「ファンタスティック」、そして5人の決意を歌う「[about us]」という冒頭3曲の流れがドラマティックでした。ところで、今後はこんなアプローチをしたい……みたいなイメージは抱いてます?
希:んー、ユナイトってみんな音楽的にもすごく奥行きのある曲を書くんで、僕はあえてパワーコードで押していく曲を作ってみたいかもしれないです。すごくざっくりしてるイメージなんですけど、ストレート過ぎてみんなが書かないようなシンプルな曲を作ってみたいな、とは少し考えてますね。
────ユナイトの音楽性はヴィジュアル系のフォーマットに分類されてないからこそ自由度も高いし、それでいてヴィジュアル系を名乗ってるから面白さがあると思うんですよ。それこそ莎奈さんのルーツはヴィジュアル系じゃないじゃないですか?
莎奈:そもそもは既存のジャンルで表せなくなったものを、便宜上ヴィジュアル系って言葉で表現していたんだと思うんですよ。ただ、ジャンルが確立されてくると、そのオリジネーターに憧れたフォロワーが集まってシーンを形成していくから、そういう意味では今のヴィジュアル系ってある種不自由というか音楽がジャンル化してしまっているんですよね。良くも悪くも。これは他のジャンルでもそうですけど。
────その枠組みとの向き合い方をすごく大切にしているバンドだと思うんですよ、ユナイトって。
莎奈:枠組みの内外のアプローチっていうのはみんな考えてると思いますよ。ただ、自分のルーツも含めて、ユナイトはそこの幅が広いのかな。もっといろいろなジャンル感とか音を取り入れた方が面白くなるんじゃないかなっていうのは常に思ってます。
────ハクさんからは“希に似合うベーシストでありたい”といった旨の発言をよく耳にするようになりましたが、自分のバンドのヴォーカリストに似合うベーシストでいたいという考えはこの3年間で強くなりました?
ハク:性格的にもともと“俺が俺が”ってタイプじゃないんですよ。だから、ちゃんとバンドと調和できることを大事にしてますね。バンドとして一番良いものを届けるのが大切なんで。ただ、希が加入してから自分の中での変化はやっぱりあったと思います。
────それはどうしてでしょう?
ハク:希は楽曲をすごく自由に歌ってくれるんですよ。その姿を見るのが大好きで、もっと自然体の希を引き出したいなって思ってるんです。彼は自然体でいるときほど魅力的だし。以前の自分は“ベーシストはこうあるべき”って考え方も強くて、凝り固まってる部分があったけど、そういう考えも希のおかげで少し変わってきたような気はしてますね。
────そこまでみなさんに影響与えた希さんの武器ってどんなところにあるんでしょう?
LiN:人となりもあるし、我々を翻弄するようなヴォーカルになってくれましたよね。3年かけてお互いのことがわかってきたんだと思います。希の狂気的な一面がステージや楽屋からも出てきた。
ハク:楽屋からも(笑)。
LiN:出会った頃はプレッシャーもあって猫かぶってたと思うんですけど、今となってはすごく奥深い少年だなって思いますね。
希:少年なんだ。
────希さんの中でヴォーカリストとして意識が高まったきっかけはありますか?
希:たくさんあるんですけど、2025年の秋にうちの主催で<DNA>ってイベントをやったんですよ。[ kei ]さんとDaizyStripperの直さんとの3マンだったんですけど、[ kei ]さんが「音楽で人を変えるんだよ」っておっしゃっていたのがすごく印象的で。僕も同じようなことを考えている時期だったし、自分の存在が誰かに影響を与えるなんてそれまでは思えてなかったけど、その考えが明確に変わっていく一つのきっかけはあの日だった気がします。
────[ kei ]さんも直さんも自分の奏でる音楽に寸分も疑問を抱いていないところが鮮烈でしたよね。
希:そうですね。ヴォーカルが突っ立っててもライヴは動いていくし、自分が何かを言わなくても人がついてきてくれてる感覚があったんですけど、もうそれだけだと満足できないんです。自分から与えていくじゃないですけど、自分の目の前にいる人たちを応援していく歌を歌いたいって強く思うようになりましたね。
LiN:ずっと“ヴォーカルに翻弄されたい”って欲があったんですよ。これやったら莎奈がガンギレして帰ると思うんですけど、ヴォーカルの判断で急にセットリストと違う曲やったりしてもいいし、希にはそれぐらい好き勝手やってほしい。まぁ莎奈がいるから無理なんですけど。
莎奈:なんでだよ(笑)。別に怒んないよ。
LiN:でも、それぐらい1人で暴れ回って制圧してほしいな。それやっても後ろの4人は全然ついていける能力はあるんで、彼の破滅的な感じと狂いっぷりにもっと磨きをかけてほしいです。
────希さんは破滅的なんですか?
希:いいえ。
LiN:おい! 裸になっちゃいなよ。
希:いやー、もう心も裸のつもりですよ!
────本当に今のユナイトの空気感は良好ですよね(笑)。みんながすごくハッピーなことが伝わってきます。
椎名未緒:さっきの話とも重複するけど、希が入って作曲に対するフラストレーションがなくなったんですよ。俺はマインドが完全なアーティストじゃないっていうか、こういう曲を出したらお客さんが喜ぶだろうなとか、ファンはこういう曲が好きだよなとか、そういうことを念頭に置いて曲を作るんです。うちでいうと莎奈さんと逆で。莎奈さんは、莎奈さんが作る作風を好きになる人を求めてるっていうイメージがあるけど、俺は好きになってもらうための曲を作ってるみたいな感覚がずっとありますね。
────それは希さんが加入する前から?
椎名未緒:そこに関してはそうですね。だから余計に構想に反するメロやキーの改変とかを許容できずフラストレーションを感じていたんです。このほうが絶対に好きになってもらえるのに、みたいな。ただ、今は歌に対して寛容になったんです。希が歌えば名曲になると信じているので「ここを変えてほしい」って言ってきたら全部OKするつもりなんですけど、今のところそれがほとんどない。言ってしまえば、こっちがやりたいことで、希に不可能なことがほぼない状態なんです。彼が「作曲者が良いと思って提示したものだから、頑張ってその意図を汲みたい」って前に言ってて……そんな素晴らしい人に出会ったことがなかったので。なんていいヤツなんだ……と。それがバンドの空気感に繋がってると思いますよ。
莎奈:そうだろうね。
椎名未緒:だからすごく伸び伸びしているように見えるんだと思います。心構えが昔と変わったとかそういうことではないんですけどね。今のユナイトのメンタリティはすこぶる良好です
────加入時からメンバー間の関係値も変わってきて、希さんは今のユナイトってどんなバンドだと思います?
希:アベンジャーズ感がありますよね。各パート全員が誰にも負けない最強のメンバーだと思います。ユナイトっていう一つの集合体ではあるんですけど、1人になったとしても戦える強い存在。一旦僕のことは置いておいて。
────それで言うとライヴ中のふとしたタイミングで希さんが俯瞰するようにメンバー全体を眺めてる瞬間とか、すごくエモーショナルなんですよ。バンドを引っ張っていこうっていう想いも感じますし。
希:最初に比べれば引っ張っていくんだって気持ちは強いですね。ただ、前提として“ヴォーカルがバンドを引っ張っていく”っていうのをみんな望んでるはずなんですけど、ユナイトは全員で引っ張るバンドだと思ってて。年数を経たことでの自覚と同じくらい、みんなで引っ張っていこうって気持ちも芽生えています。そのうえで、ファンの方や聴いてくれる方の人生の伴走者みたいな存在になりたい。そういうバンドでいたいですね。誰かの背中をそっと押すのがユナイトらしいのかなって思います。



