【えんそく】ライヴレポート<えんそく結成21周年記念主催 アルルカン・摩天楼オペラ3MAN「道化と歌劇と生く新世紀」>2026.10.9(金) Veats Shibuya◆えんそくが、アルルカン・摩天楼オペラと共に立てた新世紀を生きる誓い────「みんなで一緒に、目ん玉飛び出るくらいの未来へ行こうよ!」(ぶう / えんそく)

えんそくが、結成21周年を記念した3MANライヴを10月9日、Veats SHIBUYAにて開催した。本公演のタイトルである『道化と歌劇と生く新世紀』は、アルルカン(=道化)、摩天楼オペラ(=歌劇)と共演する2バンドにちなんでつけられたもの。ところが、ぶう(えんそく / Vo)はこうも語っていた。
「新世紀(21世紀)をバンドマンとして生きているときに、“道化”と“歌劇”、この2つはえんそくにとってもテーマだな、と」
この想定外だったダブルミーニング的発想には、思わず“なるほど!”と手を打ってしまった。しかも、非常に的を射ている。
◆ ◆ ◆
アルルカン
今回の3MANライヴが実現するまでには、えんそくと摩天楼オペラをつなぐ橋渡し役として、アルルカンに白羽の矢が立ったという経緯があったようだ。
トップバッターを担ったアルルカンは、新体制となった今や無敵モードに突入しているといっても過言ではないほどの攻撃性を露わにしていた。
しかし「人形-ヒトガタ-」の演奏中には、「アルルカンはどちらの味方か!?」という話題がぶうと苑(摩天楼オペラ / Vo)の間で持ち上がっていたことを受け、暁(Vo)は「争わないで、俺のために(笑)――俺は、かっこいいバンドが好きです」と微笑ましいアンサーも。

「今、一番生きている曲」と紹介した、最新曲「瞼の裏」もひと際インパクトを放っていた。しかも、新たに加入した瞭(Dr)がかつて初めてアルルカンのサポートドラムを務めたのが、1年前にここVeats SHIBUYAにて開催された、えんそくの20周年記念の主催ライヴだったというのだから、なんとも素敵な偶然だ。

こうして暁がお立ち台を動かすほどに頭を振り乱した「像」から「ダメ人間」へと畳み掛けるエンディングまで、代表的レパートリーを惜しみなく詰め込んで場内を席巻してみせた。

摩天楼オペラ
続いて登場した摩天楼オペラは、相手が誰であろうと揺るがないメタルマインドの強靭さを見せつける。幕開けを飾った「三千世界」から、重厚感をまとった音の洪水が押し寄せ、その迫力たるや他の追随を許さない。中でも、彼らが往年のヴィジュアル系へ抱くリスペクトを歌詞の一節からも感じられる「EGO」では、シンフォニックかつメロディアスさで圧倒した。

さらに、彩雨(Key)のキーボードが花を添え、響(Dr)が立ち上がりながらリズミカルなドラムを叩きこんだ「Psychic Paradise」も痛快。一挙手一投足まで美しいプレイスタイルから繰り出されるサウンドと緻密な曲展開は、メンバー同士の息が合ってこそ成し得るものだ。最後は優介(Gt)のギターが壮大なスケール感をもたらす「あなたがいた日々」で締めくくり、えんそくとの新たな関係性の始まりを予感させる、格好の布石を残してくれた。

この両バンドとの共演の魅力は、単に「対バンをしたい」という思いから実現した異色コラボレーションというだけではない。活動歴が長いバンド同士、それぞれに紆余曲折を経て今に至るという軌跡がある。まさに、「苦難を乗り越えて続けてきてるバンドだからこそ、本物だと思ってる」というぶうの言葉には強く頷かされた。言うなればこの日は、同じ時代を生き抜いてきた“同士”とも呼べるバンドが集った3MANでもあったのだ。

えんそく
そして、満を持してえんそくが登場。最新曲「先天名探偵」からスタートすると、虫メガネ(の形をしたライト)で四方八方を調査していくという、なんとも“特殊”なアクションで一体感を帯びていく。「“ドブネズミ”みたいに生きてきました。今世で皆さんと会えたことを記念して」と贈られた、人との巡り合いを晴れやかなパンクロックに乗せた「輪廻∞輪廻」では、観客も両拳を回しながら“輪廻”を表現。こうした対バンでは、初めてえんそくのライヴを体感するオーディエンスも少なくなかっただろう。開始早々、フロア一面に“なんじゃこりゃ”な光景が広がる。これこそ、“ふざけたおして21年、奇跡のバンド・えんそく”の底力だ。「おもしろいことって、みんな好きじゃん?」というシンプルな動機から、“真面目にふざけること”を貫いてきた姿勢こそ、彼らの強みである。

冒頭でも触れた、えんそくにおける“道化と歌劇”を象徴していたのが、「無理してでも笑っていよう」という導入通りのメッセージがこもった「その後のペテン師」と、曲の大半がセリフで構成された、劇的要素を内包したえんそく流の軍艦マーチ「大銀河戦艦ナガト」。まさに、“笑いながら泣ける”とはこのこと。笑ったり、ホロリと涙がこぼれたり、その表現の幅広さに絶えず感情は揺れ動いていく。
「みんなで一緒に、目ん玉飛び出るくらいの未来へ行こうよ!」とぶうが先導し、バキバキに攻め込んでいった後半戦。「新未来工場キメラ21」が未来創造のテーマさながらに豪快にフロアを白熱させ、“キメラ”に掛けて2種類のノリを合成するお馴染みの場面では、暁のヘドバンと響の2バスを合わせて狂騒を巻き起こした。「少女戦闘員M、踊る。」では、オーディエンスを戦闘員と称して共に戦う志を高めていく。
ここで繰り出された「少女怪獣バンギャルラ」こそ、えんそくの音楽的矜持を惜しみなく凝縮した超大作である。この日、“渋谷センター街に襲来”とされた“バンギャルラ”に扮したオーディエンスを主役としてストーリーは展開。ここで圧巻だったのは、「やれるよね、クラオカさん!?」という呼び込みから突入した、クラオカユウスケ(Gt)、Joe(Gt)、ミド(Ba)が横一列に並んで披露したバトルシーンさながらの速弾きと、演奏のグルーヴを生むSINのドラムが炸裂する場面だった。忘れてはならないのは、えんそくの世界観を支えるサウンドメイクが、メタルをはじめとした幅広いロックサウンドと、確かな演奏技術に裏打ちされているということだ。




ラストを飾ったのは、“えんそくの終らない旅のテーマ”である「最後のえんそく」。曲中、「当たり前に死にたくなかったので、21年もやってきてしまいました。お前たちも道連れにしてやらぁ!」と、ぶうは少々荒々しい言葉を言い放ったが、その表情には笑顔が浮かんでいた。場内に満ちていたのは、この場を思う存分楽しみ、これからもその楽しさを続けていこうという、そこはかとない明るさだった。そして、出演バンドを呼び込み、バイクで二人乗りするパフォーマンスも飛び出しながら大団円を迎えた「とってもマッケンロー」で大いに賑わせ、カオスながらも清々しいフィナーレを飾った。
えんそくは、12月18日・19日の大阪BIG CATまで、全国10都市を巡る『無料有料2DAYS×10都市ツアー「ボクラの21世紀改造事件」』が続いていき、さらに年が明ければ、1月15日にZepp Shinjukuでのワンマンライヴが控えている。
「やっとなんだよ! 21年やってきて、初めて“Zepp”と名の付くところでやるんだよ!?」
よく「えんそくは、21年やっているのに1回も売れたことがない」と自虐的に話すこともあるのだが、それは、まだまだ大きく飛躍する余地があるということでもある。えんそくが掲げる、“理想の21世紀”。ふと、子どもの頃はどんな21世紀を想像していたかと回想してみるのだが、理想はたくさんあったものの、あまりにも遠い未来で不透明だったように思う。それでも今、21世紀を生きる我々は、音楽に身を委ねて感情をさらけ出し、ときに涙し、腹を抱えて笑っている。これから先もまだまだ続いていく21世紀を理想のままに作り上げていくのは、他でもない今を生きる自分たちだ。そこにえんそくがいる、こんなに胸が躍ることはない。

写真:NORI
レポート:平井綾子
SET LIST
先天名探偵
輪廻∞輪廻
その後のペテン師
大銀河戦艦ナガト
新未来工場キメラ21
少女戦闘員M、踊る。
少女怪獣バンギャルラ
最後のえんそく
EN. とってもマッケンロー
LIVE
毎月無料有料2デイズワンマンツアー開催中!
11月14日(土)&15日(日) 福岡DRUM Be-1
12月18日(金)&19日(土) 心斎橋BIGCAT
2027年1月15日(金) Zepp Shinjuku
えんそく20周年DVD「終末から来た青春映画」発売記念大ワンマン
「イイコの新未来~ボクラの21世紀解答詩編~」
関連リンク
えんそくHP
http://ensoku.in/
公式X
https://x.com/ensokuchan


