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【vistlip】7月30日発売のNew Single『BET』と18周年を迎える“七夕”へ向けて、リアルタイムなバンドの熱量を智&Tohyaが語る。「“君は僕に賭ける?”っていう問いを投げかけてからがスタートだから」

vistlipの結成記念日である7月7日、今年も“約束の場所”であるお台場・Zepp DiverCityでワンマンライヴが行われる。
7月30日にはNew Single「BET」が3形態でリリース(【完全生産限定盤】は7月7日のライヴ会場にて先行発売)されるが、本作が今年の“七夕”において重要なメッセージを内包していることは間違いない。18周年を迎える日のライヴが[Bet On The Ouroboros]と名付けられているところを見ても、“BET(=賭ける)”という共通項、そして今年のシンボルとされている“Ouroboros”はいったい何を伝えようとしているのかを探る必要がありそうだ。
18年という月日を経てもなお、vistlipの辞書に〈安定〉という文字はない。むしろ、〈激動〉な現実を通してバンドはどういった進化を辿っているのか。18周年の“七夕”へ向けて、智とTohyaの視点から語っていただいたインタビューをお届けする。




◆     ◆     ◆


「vistlipがいい曲なのは当たり前だよね」って



────今日は、7月30日にリリースされるシングル「BET」にも触れながら、間近に控えた18周年の“七夕”に向けてのインタビューです。早速ですが、今年の周年ライヴのタイトルは[Bet On The Ouroboros]ということで、まさに“Bet(=賭ける)”と“Ouroboros(=ウロボロス)”がキーワードになってくると思うんですけれど、これらはどういった経緯で出てきたものだったんでしょうか?

智:最初のきっかけは、単純に“巳年”だったからという感じで。今年の周年に向けて「何がいいかな~?」って、新年からずっと考えていたんですよ。そこでvistlipの活動とか環境を見てみても、一度壊れたものが再生に向かっていくようなことを繰り返してバンドは続いていくんだろうなって思うところもあって、“破壊と再生”っていう意味合いで “Ouroboros”が出てきたんです。

────きっかけは「巳年だったから」という意外にもシンプルな理由だなと思いつつ、しかし“破壊と再生”と聞くとどこかアルバム「THESEUS」(2025年1月発売)のテーマに通ずる部分も感じますし、バンドにフィットする非常にいいモチーフですよね。

智:うん。結果、俺から[Bet On The Ouroboros]っていうタイトルを提案したらすんなり決まったし、だんだんとこのタイトルとかワードの意味合いにバンドが近づいていったっていう感じはあるかもしれない。「じゃあ、今年はOuroborosが主体じゃない?」って。

Tohya:そこは、「さすが!」っていう感じですよね。“七夕”のタイトルに関しては、毎年任せっきりで申し訳ないんですけど(笑)。ただ、今バンドの中で何が起きていて、今後のvistlipっていうのも見据えたうえで、智がいつも的確なものを持ってきてくれるので。それは、歌詞でもそうですけどね。僕はもう、基本的に「いいな~、すごいな~」って傍観してるだけで、智の感性と天才的な言葉選びに縋っている感じではあります。

────そして、“Bet(=賭ける)”という部分にかかってくるのがシングル「BET」であって、まさに18周年を迎えるvistlipの気持ちが表れているといっても過言ではないと思うんですけれど。単純に七夕のタイトル発信のシングルだったのか、もしくはその逆だったのか、どういった流れだったんでしょう?

智:これが、実はすごく複雑で。シングルの制作を進めていくときに、すでに“七夕”の“Ouroboros”っていうテーマは決まっていたんですよ。それと同時期に発売されるシングルだから、“Ouroboros”からテーマを汲み取っていって、まずは「BET」が出来たんです。そこで“七夕”のタイトル[Bet On The Ouroboros]が決まったのもあって、「じゃあ、瑠伊の曲は何だろう?」ってなったときに、こっちを“Ouroboros”のことを全開にして歌詞を書く曲にしようと思って。タイトルを決めるときも、ヴォーカルRECの現場にYuh以外のメンバーがいて「瑠伊の曲こそ「OUROBOROS」だよね」って満場一致で決まったんです。

────すると、“Ouroboros”をいうテーマを段階的に解釈しながら“七夕”とシングル両方がまとまっていったという感じですね。

智:そう。今回は3タイプでリリースされるけど、結果的に「BET」と「OUROBOROS」はタイプ違いでも対になって入っていて、その2曲が比較的バンドのことに準えたものになったから「じゃあ、3曲目の「アメフラシ」は自分のことを書こう」っていう線の引き方をしたかな。“アメフラシ”っていうのも、単純に俺、すごく雨男だから(笑)。でも、雨のいいところを見つけようみたいな感じで、「雨をポジティブに捉えたいなー」と思って書いた歌詞ですね。

────今のお話を踏まえて収録曲を振り返ってみても、それぞれに楽曲のカラーと意味合いがあって、3曲ともすごく強い印象があるというか。

智:これはSNSでも言ったんだけど、今回の3曲は本当にどれがリードでもよかったんですよ。もう「どれがメインでもいいよ、俺は全部いい出来だと思うからね」って、自分では決められなかったから完全にメンバーに投げたんだけど、そこで表題に選ばれたのが「BET」だったっていうだけ。本来“Ouroboros”がテーマだったわけだから「OUROBOROS」がリードでもよかったし、変化球で「アメフラシ」でもよかったし。実際、Tohyaと海は「「アメフラシ」、いいんじゃない?」みたいなことは言ってたし、ね?

Tohya:そうそう。

智:まあ、ジャケットに「アメフラシ」っていうタイトルがバーン!って書いてあるのはなかなか想像できなかったけど(笑)。でも、“七夕”とは結び付かない「アメフラシ」がリードだったとしても、いい曲だから構わなかった。俺としては、そういう気持ちだったのが本音。


────しかし、このタイミングで「どれがリードでもいい」って思えるほど強い曲が3曲も出来上がるっていうこと自体が、vistlipの強みを物語ってるなと思い知らされますよ。

智:それは、本当にメンバーのおかげだけどね。ここ最近は配信や会場限定のリリースだったから盤でリリースするのは久しぶりだし、やっぱり「THESEUS」からだいぶ意識が変わってきてるところもあって、「vistlipがいい曲なのは当たり前だよね」っていう風に改めてなってる部分があると思う。それくらい、「THESEUS」がいい作品だったからね。

────その点、Tohyaさんもアルバムを経て意識の変化を感じている部分もありますか?

Tohya:もちろん、ありました。智が言うように「THESEUS」の後に出すシングルっていうことで意識が高まったところもあったし、ファンの期待も高まっていく一方っていうところでプレッシャーもあるけど、期待に応えることこそが我々の役目だとも思ってるので。それに、シングルを作るちょっと前に智から「オマエら、大丈夫か!?」って焚きつけるようなグループLINEが来たんですよ。

────おお、そんなことが!

Tohya:自分の中で“作曲のタイミング”っていうのがどうしてもあるんですけど、ちょうどそのとき、ずっと使っていたパソコンがいかれてしまって環境をガラッと変えたこともあって、いろんな音を使えるようにして心の準備をしていたところもあったんです。それもあって、今回は自分の中でも「なかなかイケてるな」って思える曲を作れた手応えもあったんですよね。「BET」も「アメフラシ」も、個人的にかなり気に入っている作品なんで、それをメンバーから「いい」と言ってもらえて、採用されて大満足です。これを常に繰り返したいっていう気持ちもありますね。


────アルバムで確実に上がったハードルをしっかりと越えてくるあたりは、さすがメインコンポーザー!

Tohya:思えば、アルバムのときはとにかく曲を作って、確か20曲ぐらいあったのかな。もちろん雑に作って曲数を稼いだっていうわけではないけど、「本当にいいと思えるのはどれだ?」って聞き直したときに、やっぱり刺さらないものは刺さらないというか。響かないものからどんどん消去法で削られていったけど、今回はそういうのじゃなくて、「削れないぐらい全部いいものを作ろう」みたいな野心があったんです。それはやっぱり、前回悔しい思いをしたのもあると思うんですけどね。こんなに長年バンドをやっていてなんですけど、改めて反省したり、もっと前向きに取り組めるなって思えたのが今回のシングルでもありました。

────先ほど“環境を変えた”というお話もありましたけれど、実際に「BET」はTohyaさんの作る楽曲の中でもイントロから新鮮味を感じられました。バンドサウンドを主軸に、シンプルながらもすごくエモーショナルさを掻き立てられる1曲といいますか。

Tohya:シンプルさっていうところでは、智から「こういう感じの曲がほしい」って言われて作った部分もあって。イントロの話で言うと、今までギター始まりっていうのを避けてきたんですよ。やっぱり曲の全体像が見えるイントロって難しくて、ただ今回あえてそれに挑戦したっていうよりも、結果たまたま出来た感じではあったんです。海から「この(ギターの)クリーンが肝だろう!」って言われたのもあって、ギター2人のクリーンで始まる曲は今までにありそうでなかったからおもしろくもあり、しかもイントロのフレーズはド頭にしか出てこないっていうのが自分なりのトリッキーさでもあり。でも、それがあるからこそ全体が締まる感じもあって、いいなと。

────ギターのアプローチで言うと、「アメフラシ」に関してもその点を重んじていた部分もありますか? ギターを筆頭に、全パートの音がすごく緻密にアプローチされているなと思いました。

Tohya: 「アメフラシ」は、Yuhが結構アレンジをしてくれたんです。得意だったのか、かなりガチガチに決めてきてくれたものが今回はすごくハマった感じですね。だから「アメフラシ」は、Yuhのギターフレーズがメチャクチャいいと思います!

────ものすごくスキルフルな部分が炸裂してますよね。智さんは、「BET」に対して「こういう感じの曲がほしい」というオーダーをしたとのことでしたけれど?

智:単純にストレートで覚えやすいような、スッと入ってくるような曲がよかったというか。最初はもうちょっと、みんなで歌えるようなポップなイメージがあったんですよ。

────それこそ“七夕”もありますし、大団円的な曲を想像していたというか。

智:そうそう。だからこそシンプルにしてもらったし、メロディーも覚えやすくしてもらったんだけど、俺が歌うとどうしても「こうなっちゃうんだな」って、レコーディングしながら思っちゃいましたね。歌詞に関してもそうだし。

────なんといいますか……どうしても、シリアスになってしまう?

智:うん。でも、どうしたってこうなっちゃうんだから、「まあ、これが俺だからいいか」っていう風に落ち着きましたけどね。実際に歌詞を書いて歌ってみたら、「やっぱりか」みたいな。「ドラマティックだね~」みたいな感じ。

Tohya: 全然ポップじゃないからね(笑)。

智:そう、「重たいね」って(笑)。

────でも、それが智さんの人間性が滲み出た“深み”なんだと思うんですよね。それに、この周年のタイミングで“BET(=賭ける)”という、強いニュアンスの言葉が出てきたというのもすごく興味深くて。

智:“BET”っていうのは、本当に最後に出てきたテーマというかタイトルだったんですよ。“Ouroboros”のことを念頭に置いて歌詞を書きながら自分の人生を考えていたときに、よくミュージシャンは博打(バクチ)だとか言うけど、「みんなそうだな」と思って。

────ミュージシャンに限らず?

智:そう。「BET」の歌詞は恋愛に絡めて書いているんですけど、例えばパートナーが蛙化して気持ちが切れたとして、それに対して「離れないで」っていう気持ちを持ったときに「もう一回やり直そう」ってなる? みたいなこと。その結果、いい未来が待ってるのかどうかは本当にギャンブルでしかないなと思って。これはもう人生の縮図でもあるというか、それを自分に当てはめたときに、最後の“あのフレーズ”になるわけですよ。

────“君は僕に賭ける?”と。

智:もう、ここだけが本質。俺としてはいつも通りいろんな意味で捉えてほしいと思って置いてある言葉ではあるんですけど、これを俺からの言葉として捉えてもらうならば、俺と関わっている全ての人間に対して「俺に賭けますか?」と。「俺が今後、どんな活躍をすると思いますか?」とか「これからも、俺と関わっていたいですか?」っていう意味を込めての問いかけでもあるんですよ。これはもう、人との繋がりということを踏まえて、人生という広い意味を込めて置いた言葉でもある。そう考えると、強い言葉やタイトルを置いてるなとは思いますね。きっと「BET」も、最後の一文までは「何が“BET”なの?」ってなるだろうし。

────“この人に賭けたい、自分に賭けてほしい”という願望でもあるかもしれないし、智さんのおっしゃる通り選択を迫る形かもしれないし。

智:そこで、完全に“七夕”のタイトルが決まったしね。終わりがあって始まりがある、“Ouroboros”ってそういうものじゃないですか。“君は僕に賭ける?”っていう問いを投げかけてからがスタートだから、その先は誰にもわからなくていいっていう意味もあって、この結末にしたっていうのもありますけどね。

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