1. HOME
  2. NEWS
  3. 【DuelJewel・Shun(G)、祐弥(G)】New Album『Eclipse』リリースインタビュー第1弾◆DuelJewelが誇るギタリストコンビが新作を語り尽くす。マニアックなギタートークも炸裂!

【DuelJewel・Shun(G)、祐弥(G)】New Album『Eclipse』リリースインタビュー第1弾◆DuelJewelが誇るギタリストコンビが新作を語り尽くす。マニアックなギタートークも炸裂!

2016年2月の解散を経て2019年3月に復活を果たし、以降また新たな道を切り開き、さらなる進化を続けているDuelJewel。そんな彼らの最新アルバム『Eclipse』が9月17日にリリースされる。メンバー全員のペンによる楽曲がバランス良く並べられた同作は多彩さと完成度の高さを兼ね備えた上質な楽曲が揃っており、バンドの状態が非常にいいことを感じさせる。DuelJewelのShun(g)と祐弥(g)を招いて『Eclipse』の曲作りの話を軸に、様々なことを語ってもらったインタビューをお届けしよう。


◆     ◆     ◆



────『Eclipse』の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

Shun:音源を出そうということはみんなで話していて、僕は勝手に曲を出したりしていたんですけど、その後正式に、みんなで曲を書くぞ、選曲会議をするぞということになったんです。DuelJewelはメンバー全員曲が書けるという強みがあって、そこは今回も活かそうというのはありましたね。あとは、『Eclipse』は最近出したアルバムと比べると、ライブのことを考えた、いい感じで攻めた曲が揃ったなという印象があります。

────メンバーそれぞれの曲が2曲ずつ(Shunは3曲)という良いバランスになっていますが、それは結果的にそうなったのでしょうか?

祐弥:いつも大体2曲ずつくらいになりますね。Shunは結構多めで5曲とか書きますけど、それぞれが書いた曲を持ち寄って、全体のバランスを考えて収録曲を決めると、そういう割合になるんです。DuelJewelは昔から……それこそShunが全曲を書いた『Lapidary』(2001年8月)という1番最初の作品から、相当振り幅が広かったんですよね。メタリックな曲もあれば、転調しまくる曲もあれば、アコースティック・ギターだけの曲もあるという感じだった。そこは継承していきたいという気持ちがあって、最近は5人の作曲者が2曲ずつ持ち寄ると、それぞれテイストが違っていて、自然と全部を活かせるんです。



────1つの理想形といえますね。では、『Eclipse』に収録されている、お二人の曲を順番に見ていきましょう。まずは、Shunさんが作詞/作曲を手掛けられた「Rotten Sun」。

Shun:「Rotten Sun」は、今回は選曲会議が2回に亘ったんですね。1回目の時に5~6曲揃って、じゃあ2回目までにまた何か作ろうとなった時に、激しい曲がほしいなという意見がありまして。それで、DuelJewelとしてメタルっぽいものやヘヴィなものを結構やっている中で、まだ触っていない感じの方向性はあるかなと考えた時に、いわゆるカオティック・コア/メタルの匂いがするものを書いてみようと思ったんです。ただ、問題があって、僕はそういう系統のバンドをあまり知らないんです(笑)。「Rotten Sun」は曲の途中にリズムが変わるところがあるんですけど、元々はそれをやりたいだけだった(笑)。あとは、カオティック・コア/メタルはサビのメロディーがあまりちゃんとしていないイメージがあって、でもサビメロがちゃんとしていないのはDuelJewelではないなと思って。そこで迷いが生じて、最終的に往年のレジェンド・ギタリスト達……ストラト・ヴァリウスとかマイケル・ロメロ、イングヴェイ・マルムスティーンといったアーティストがよくやるような変なコード進行にして、そこにメロデイーを乗せることにしました。そんな風に色んなことを考えながら形にしていって、提出したら「いいじゃん!」ということになりました。

────カオティック・コア/メタルのイメージでいながら独自のものに仕上がっていますので、Shunさんのアプローチは正解だったと思います。それに、展開の多い曲はわかりづらい曲になってしまう危うさがありますが、「Rotten Sun」はすべてのセクションのインパクトが強くて難解さは全くありません。

祐弥:総てのセクションのインパクトが強いというのは、一言で言うと“Shun節”なんですよね。パッと聴くとカオスに聴こえるけど、全部のパートにメロデイーがしっかりあって、実はしっかり整っているというのはShunらしいなと思う。そういうものに仕上げるのはShunはもう自然とやっていると思います。「Rotten Sun」もカオティックと言いつつメチャクチャではなくて、ちゃんときれいに整っているというのはShunならではですし、それがDuelJewelには合いますよね。

────同感です。そして、「Rotten Sun」の歌詞は、現代社会を生きることで心身ともにズタボロになっている状態が描かれています。

Shun:僕は『Story』(2014年8月)というアルバムで「アビスライフ」という曲を書いたんですけど、ちょっと病んだ歌詞にしたんです。“病んでる系”のものはあまり書いてこなかったけど、「アビスライフ」に共感してくださるファンの方が結構多かったんですよ。それを覚えていたのと、メンバーと話した時に“ドロドロ・グチャグチャ系”がいいかもしれないという声が出ていて、それを受けて「Rotten Sun」の歌詞を書きました。ただ、この曲を書いている時に、歌詞に出てくる“7億回息する間/300回は苦しんで/301回救われて”という言葉がずっと鳴っていたんです。元々曲を作っている時から、この曲は数字遊びをしたら絶対に面白いなというのが着想としてあった。なので、歌詞を書くにあたってそこは譲らずに他をグチャグチャ・ドロドロ系にしていこうというのと、僕の歌詞はメッセージ性が強過ぎる傾向があるなと自己分析していたので、それは今回はちょっと抑えようかなというのもありました。とにかくインパクト勝負の言葉の重ね方をしようということだけ考えましたね。“40秒で支度しな”というところで、僕は仕事が終わったなと思いました(笑)。

────ヒリヒリした歌詞でいながら陰鬱ではなくて、どこか笑い飛ばすような感覚もあるのが素敵です。では、続いて祐弥さんが書かれた「感情六号線」にいきましょう。

祐弥:これは、隼人(vo)の女性らしく歌う、艶っぽい低音の感じを活かすということがコンセプトとしてありました。DuelJewelは高い声の曲が結構多いし、昨今の日本のミュージック・シーンも高い声を活かした曲が多いじゃないですか。そういう中で、隼人は低い良さがかなりあって、その妖艶さだったり、セクシーさを出したいというところで女性が主人公というのが念頭にあって、そのうえでオシャレで、エロい曲を書きたいなと思ったんです。

Shun:冒頭でメンバー5人みんな曲を書くという話をしましたが、僕らは1年に2枚アルバムを出したことがあって、祐弥はその辺りから作曲家として開花したというか、覚醒したというか。なんかね、絶対に祐弥にしか書けないものというのができ始めていることを感じています。偉そうな言い方で申し訳ないですけど、そういう印象がすごくある。元々、祐弥は“エンタメ人間”で、それが曲にも表れてきたなというのがあって。

祐弥:本当に? 祐ちゃん、凄い!(笑)

Shun:アハハッ!(笑)。いや、本当に最近の祐弥は面白い曲を書いていて、「感情六号線」もまさにそういうものですよね。

祐弥:「感情六号線」は定番な感じのわかりやすい構成にはなっていますが、こだわっているところはいくつかあって。たとえば、落としのところでギター1本と歌だけになるという、あまりしないことをしています。ライブでハイハットを入れずに、どうやって再現するんだと思いましたけど(笑)。そこはデモの段階で入れるものが思い浮かばなくて、ギターと歌だけになっていたんです。本当に、とりあえず仮で入れておいた。その後いろいろ足してみたら、足せば足すほど次のドラムから2サビに入る時のパワーが失われるなと思って。なので、ここはもう極限的に暗くしようと思って、隼人の声と謎のオクターブ・ギターだけという形になりました(笑)。

Shun:ハハハッ! 謎って(笑)。

▲祐弥

────このダイナミクスのつけ方は絶妙です。「感情六号線」の歌詞についても話していただけますか。

祐弥:歌詞は、結構しっかりしたイメージがありました。地方から上京してきて、無理して山手線内に住んで、仕事しながらも芸事をしている人を追いかけている女性が主人公です。急に朝4時に呼ばれても、好きだから行ってしまって…というような、都内でよくあるようなことを描いたという感じですね。“私の好きな曲も知らないでしょう”というような言葉があって、要は相手はバンドマンなんです(笑)。

────おおお……(笑)。

祐弥:僕は、そんなことは、していないですよ(笑)。Shunちゃんは、していましたか?

Shun:してねぇよ!(笑) 祐弥の歌詞はいつも色気を感じさせて、そこがいいなと思うし、タイトル・センスのよさはヤベェなというのはありますね。

────いいタイトルが並んでいますよね。個人的には「感情六号線」の歌詞は“微糖の缶コーヒー”というワードに、すごくリアリティーを感じました。

祐弥:うわっ、めっちゃ嬉しい! 最初は“ブラックの缶コーヒー”だったんですよ。

Shun:いやいや、ここは微糖でしょう(笑)。

祐弥:そう。なんか、大人になり切れていない、ちょっと幼児性のある男性とつき合っているということを伝えたかったんです。大人になりきれていないバンドマン。だから、微糖にしました。

────ブラックは、クールなイメージになりますからね。そして、「感情六号線」は、ギターの音色も素晴らしいです。マイルド・ファズのような音が……。

祐弥:さすが!

Shun:さすがですね(笑)。この曲は、たしかVOX AC-30のキャプチャーだったよね?

祐弥:そう。AC-30のキャプチャーを使っていて、僕らのレコーディング・エンジニアとPAをやってくださっているケンさんという方がいらっしゃって、その方が自作されたファズ・ブースターを使っているんです。なので、結構グチャグチャというか、ブーミィーで潰れた音になっている。楽曲的に、この曲が呼んでいるのはしっかりしたコード感なんですけど、どこかでガッツリ歪ませておかないとライブ感が出ないなというのがあって。それに、ライブで演奏する時の音源との乖離を防ぎたくて強く歪ませたいというのもあって、エンジニアさんに相談して、まず歪んだギターでスィングを録るというのが目標でした。

────目指すところが明確だったんですね。そして、「感情六号線」はスリリングなギター・ソロも聴きどころです。

祐弥:ありがとうございます。ソロは、曲が呼んでいるものを弾いたという感覚です。

────ソロの音も注目で、この曲はホロー・ギターを使われたのでしょうか?

祐弥:おっしゃるように、ちょっと箱鳴りしているような音が欲しかったんです。でも、ホロー・ギターは持っていないので、テレキャスターを使って、アンプでボディーの空間みたいなニュアンスを出しました。フェンダーのベースマンとザ・ツインのシミュレートを使ったんです。どっちもミドルが膨らむアンプで、そのミドルがセミ・ホローみたいに聴こえるんですよね。

────おおっ! ふくよかなミッドレンジとテレキャスターの“ザリンッ”とした音が合わさって、グレッチのような音になっていると?

祐弥:めっちゃ嬉しい!(笑) 僕が狙っていたのは、まさにそこだったんです。完全な箱鳴りではなくて、セミ・ホローのグレッチのちょっとミッドが出ている感じをイメージしていた。だから、すごく嬉しいです(笑)。

────ソリッド・ギターで箱ギターのような音を出したい方は、ぜひ参考にしていただきたいです。続いて、Shunさんが書かれた「鮮血噴き出すこの死の中で」について話しましょう。

Shun:これはイントロのリフを思いついて、最初は“このリフ、カッコいい。やりてぇ”だけでした(笑)。そこから入っていって、DuelJewelに「Tales」(『グラスフィア』2008年収録)という曲があって、昔からすごく人気があるんですね。「鮮血噴き出すこの死の中で」のAメロは、実は「Tales」と全く同じアプローチを採っています。本当に手癖で、気がついたらそうなっていて、“やっぱり自分はこういうのが好きなんだな、いくつになっても”と思いました(笑)。

祐弥:この曲のリフだけは、実は結構前からあって、リハで弾いたりしていたよね?

Shun:弾いていた。

祐弥:しかも、相当前じゃない?

Shun:うん。俺が休んで、その後復活した時に「こんなの考えたんだ」といって弾いていたら、祐弥が「そのリフ、なに?」と聞いてきたのを覚えている。

祐弥:そこから始まって今回曲になったということで、ちょっと感慨深いものがありますね。Shunは印象的なフレーズを作るのがすごく上手くて、「あの曲さぁ」という話になった時にギターのフレーズが出てくることがめっちゃ多いんですよ。そういうリフを作れるというのは、やっぱり凄いなと思う。ギタリストとして羨ましいなと思いますね。

関連キーワードでチェック

この記事をSNSでシェアする