【XANVALA】ライヴレポート<XANVALA TOUR 2025 “INDRA” -TOUR FINAL->2025年10月5日(日)渋谷WWW X◆「一緒に“音楽、バンド、最高”、それだけ思っててください」巽(Vo)

XANVALAが9月にリリースした3rd EP『INDRA - EP』を引っ提げて行ったワンマンツアー『INDRA』が、10月5日に渋谷WWW Xにてファイナルを迎えた。
「一緒に“音楽、バンド、最高”、それだけ思っててください」────ライヴの序盤に巽(Vo)が放ったこの一言が、まさしく今ツアーの核心を突いていた。XANVALAがストーリーテラーとなって紡ぎ出す物語の中で、雷を司る神“INDRA”を冠したストーリーの中核にあったのは、“音楽を純粋に楽しむこと”だったようだ。だからこそ「このツアー、楽しくてしょうがなかったんです」と、いつになく砕けた様子で話していた巽曰く、楽しさゆえに硬派な雰囲気が崩れてしまったとも談笑していたのだが、「“INDRA”は、“雷”なんでね。その分光が強くなった、激しいツアーにできたんじゃないかなと思います」となかなかに秀逸な例えでツアーを振り返る場面もあった。しかしツアーファイナルのライヴを観る限り、これが“ズバリ”と言うべく的確なものだったのである。
場内が暗転すると同時に、今回のテーマカラーでもあったグリーンのネオンがステージに灯る。登場SEからシームレスに突入した『十三』から幕を開けると、囃し立てるように手拍子が湧き上がり、のっけからボルテージはトップギアに。そこへ、「Λ(ラムダ / ファンの呼称)!」と巽の気合いの入った呼びかけにフロアが「かかってこい!」と応えるXANVALAならではの決起の瞬間に続いた『デスパレート』『DROID』と、清々しいまでの激走を見せていった。
「Λ、死ぬほど痺れてけ。XANVALAです、よろしくお願いします。ツアーファイナルへようこそ。心から、選んでくれてありがとうございます」と挨拶した巽は、XANVALAにとっては全9公演という比較的コンパクトなツアーながらも、“濃い”という言葉がふさわしい充実ぶりを語っていた。その背景には、やはりツアーの鍵を握っていた3rd EP『INDRA - EP』は欠かせないだろう。サウンドメイクや楽曲のバリエーションを総評しても非常に挑戦的かつ攻撃的な作品だっただけに、それがライヴにも反映されてくるのは当然のこと。その象徴的シーンの一つが、巽がギターボーカルという形をとって披露した『Stray』だった。XANVALAのライヴパフォーマンスとしても新鮮な景色であったことはもちろん、ギターを構えながら歌う姿からは巽の音楽的ルーツに重なるものがあり、これぞまさしく“音楽を楽しむ初期衝動”を感じさせるものだったように思う。そして、『エンジェル・ドロップ』ではスケール感あふれる疾走感を、『strange?』では「腹減ってるか!?」という歌詞に準えた煽りを受けて、腹が減っている=フラストレーションと言わんばかりにモッシュの波が大きく揺れる情景には、圧倒的な一体感が生まれていた。まるで雷(いかずち)のような知哉(Dr)のドラムが印象的でもある『C4』では、巽のグロウルにYuhma(Gt)と宗馬(Gt)のギタリスト同士の個性もぶつかり合い、XANVALAの新たなヘヴィネスぶりが炸裂。




暗転を挟んで披露された『ヒトリ舞台』では、“君のその横顔が好きだったの”という歌詞に準えて横顔を見せながら妖艶に歌う巽が実に美しく、シアトリカルな没入感に思わず感嘆してしまう。そこへ、『悪い人』や『クチナシ』といったメロディアスなセクションを続け、彼らが纏う“黒”には漆黒の強さだけではなく、魅力的な艶やかなさといったあらゆる表情が共存している強みが表れていた。
ここで、壮大なイントロダクションに続いた『Ark』こそ、今回の“INDRA”というタームに繋がる重要なポジションを担っていたとも言えるだろう。前回のツアーにて『Ark』を通して作り上げた“方舟”は、バンドが未来に向かっていくためのものだったということはすでにわかっていた。しかしここで見せたのは、たとえ進んでいく未来に待ち受けているのが雷に打たれるような過酷な航海であったとしても、それに耐えうる方舟であること。絶妙に歪みを効かせた70.(Ba)のベースソロをはじめとしたXANVALAが織りなすサウンドの音圧と、それに伴うバンドの存在感こそが強靭さを証明していた。その空気を助長させたのが『ヴァジュラ』という武器であり、黒いヴェールで顔を覆い、神に祈りを捧げるように舞いながら歌う巽の姿は、まさに神聖そのもの。

そして、もはや〈完璧〉という太鼓判を押したいほどのクライマックス。『後悔に咲く花』で儚さを全開にして会場の熱をクールダウンさせるも、そこへ続けたのは命の流れを描いた『縷々』。どんなに悲観しても、何者かでありたい思いを抱えながら“生きること”にしがみついてこそ生じる壮大なエネルギーが漲っていき、それを「生きてることが私の聖なる戰争だ」と『聖戰』へと昇華させていく。その場に起こるエモーショナルな感情すべてを統率する巽の存在も大きく、演奏中にYuhmaが巽から肩に手をかけられた途端に見せたのは、まるで最強の武器を手に入れたと言わんばかりの誇らしげな笑み。それはXANVALAという場において、巽という絶対的な存在、そこに生まれる一体感こそこのバンドにおける最大の強みであることを物語っているようでもあった。
「音楽を好きになったときの、音楽に出会ったときの気持ちをこのツアーで再確認しました。マジで楽しかったです。あなたもそうだったら、嬉しいです。必ずまた、あなたが俺たちの目の前を選んで、〈楽しかった〉〈来てよかった〉〈選んでよかった〉と、そういうライヴを作りに行きます。そうしたら、また一緒に痺れましょう」────巽
こうして、『NIX』で締めくくられた本編。「XANVALAのファンは歓声が大きい」という定評があるが、その理由はまさに『NIX』の歌詞にもある通り、“その声が鼓動を鳴らす”という実にシンプルなことでもある。まっすぐに突き抜けていくアンセムを受けて目の前に広がる絶景を、喜びを噛みしめるような表情を浮かべながら演奏するメンバー。きっと、このツアーにおける“光が強くなった”というのは、音楽を楽しむことに焦点を当てたものだけではなく、XANVALAのこれからを明るく照らすための一つの結果だったと断言できる、期待に満ち溢れたエンディングだった。
アンコールでは、メンバーがツアー中いかに楽しかったかを表すハイテンションなMCからスタートしたが、その中でリーダーである70.は、各箇所の動員が100人以下のところがなかったことと、活動6年目に『INDRA - EP』という作品をリリースできていることから「バンドが確実にレベルアップしている」という手応えを語った。そして、巽の口から「まだまだ止まる気はありません。叶えたい夢がたくさんあります、飽きるまで付き合ってもらいます」と、2026年1月に開催される6周年ツアー『ROLL THE DICE』と、ツアーファイナルは2月1日に恵比寿ザ・ガーデンホールで行われることが発表された。そして、アンコールならではの爆発的なボルテージの中で『本能』を始め、『クロコダイル』『CULTURE』を通し、成熟した歌声のアカペラから『残火』を今ツアーの成果を噛みしめるようにプレイ。さらに、ダブルアンコールに応えて披露した『XANADU』と、最後までバンドとΛたちの手で作り上げる唯一無二の白熱した空間を繰り広げた。
巽は常に、XANVALAのライヴを、ひいてはXANVALAというバンドを“選んでくれたこと”に対する感謝と称賛を言葉にするが、“選”という字は人と人とが共生するという意味をもつ“巽”が道を進んでいくものとも言える。まさに、名詮自性────これから待ちうけるどんな未来も、XANVALAのメンバーとΛがその手を取り合えば、最高なものへと創造していけるはずだ。
Photo◎かわどう(Tabata Daiki)
Report◎平井綾子
SET LIST
SE
1.十三
2.デスパレート
3.DROID
4.Stray
5.エンジェル・ドロップ
6.strange?
7.C4
8.ヒトリ舞台
9.悪い人
10.クチナシ
11.Ark
12.ヴァジュラ
13.後悔に咲く花
14.縷々
15.聖戰
16.NIX
EN.
1.本能
2.クロコダイル
3.CULTURE
4.残火
WEN.
1.XANADU
RELEASE
⚡INDRA - EP 詳細情報解禁!⚡️
XANVALA 3rd EP
"INDRA - EP"
PICD-040 / \4,400(TAX IN)
DISC1(CD)
01. 十三
02. Stray
03. C4
04. 悪い人
05. ヴァジュラ
06. 後悔に咲く花
DISC2(DVD)
XANVALA TOUR 2024-2025 "Ark"
#1 ANNIVERSARY
TOUR FINAL -5th ANNIVERSARY-
2025.01.31 渋谷PLEASURE PLEASURE
収録曲
01. 独善
02. ビューティフル
03. 聖戰
04. SCALA
05. Dearest
06. 文明開花
07. ジセイ
08. XANADU
■流通(CDショップ等)
2025年10月8日(水)発売
※オンラインショップでも販売予定です。
関連リンク
◆ OFFICIAL SITE
https://xanvala.com/
◆ OFFICIAL X
https://x.com/XANVALA