【KHIMAIRA EDGE 5DAYS】DAY2・ライヴレポート<「KHIMAIRA vol.11」- EDGE5DAYS- day2>2026年6月11日(木)池袋EDGE◆XANVALA、MAMA.、グラビティ、sugar。それぞれの美学を持った4つ巴の猛獣たちが喰らい合ったDAY2。

開幕から約2年、牙を研ぎ続けてきた『KHIMAIRA』が、さらなる進化を遂げて池袋EDGEに帰ってきた。VISUNAVI Japan主催イベント『KHIMAIRA EDGE 5DAYS』(6月10〜14日開催)の2日目。総勢19バンドが火花を散らす5日間において、この夜はまさにそれぞれの「美学」が激突する、予測不能の一夜となった。
集結したのは、XANVALA、MAMA.、グラビティ、sugarという、独自の牙を持つ4バンドの猛獣たち。彼らが激突した『KHIMAIRA vol.11』は、一体どのような未知の合成獣(キマイラ)を生み出したのか? 凄絶な喰らい合いの記憶を、ここに紐解く。
◆ ◆ ◆
sugar
1番手に登場したのはsugar。超満員のフロアの“空腹”を満たすように、両手を頭の上で合わせる「いただきます」から『Jam』で狂宴の幕を開けた。「一人残らず置いていかんからな!」と言うNea(Vo)に、フロアは一気に喰らいつく。


「ブチ壊しに来たからな!」という宣戦布告から、Siz(Ba)のベースソロが炸裂した『VITAL』へ。手拍子からモッシュへと雪崩れ込み、フロアの心拍数は一気に跳ね上がる。続く『バカ』では、Neaが「普段のストレスなんて全部忘れて、今だけは頭空っぽにしてバカになればいい」と絶叫。オーディエンスは嫌なことが詰まった頭をヘドバンで振り乱し、けんたろう(Gt)のヘヴィなサウンドに導かれながら日常の嫌なことを吹き飛ばしていく。自我を開放してただ“バカ”になれるこの空間が、どれほど救いになっていることか。そう思わずにはいられないほど、フロアの熱気は純粋かつ圧倒的だった。


「お前らのでっかい声聞かせてくれ」と始まった『Ice』では、空気が割れそうなほどの大声と拳でオーディエンスが自らの存在を示す。メンバーの激しい挑発に、さらに激しく揺れるフロア。目当てのバンドなんか関係ない。この空間にあるのは、“今この瞬間に心を突き動かされたかどうか”、ただそれだけだ。
MCでは「(今回の出演を)熱いバトンだと思ってお前らに託す。俺らのライヴは気取らずカッコつけず、ブサイクな状態で終えるのが信条」と泥臭い美学を語り、『マヌケ』へ。メンバーがブサイク上等ならば、オーディエンスだって“かわいい私”のままではいられない。サビ前で全力ジャンプし、ぐちゃぐちゃになっていくフロア。カッコつけずに夢中な顔も剥き出しの感情もぶつけ合える空間は、sugarらしい温かさと強さに満ちていた。

「まだまだ足りません」とさらに煽るNea。切なさと激しさが共存する『DOLL』を経て、ライヴはさらにディープな領域へ。「明日なんて来んかったらええのにと思った日もめっちゃあった。それでも今生きてこうやって歌ってる」というMCから雪崩れ込んだ『マゾ』では、ゴリゴリの重低音がフロアを激しく揺らす。
そして「バンギャの精神、ロックの精神があるんやったら全力で応えてほしい」と、ラストの『Cacao92%』へ。まるで生きる上での“苦さ”に寄り添うようなこの曲に、フロアは全力の折りたたみという完璧な“アンサー”を突き返していく。苦しい現実をともに戦うようなその景色を見て確信した。彼らはいつだって、人々が密かに感じている“生きづらさ”や“居場所のなさ”に泥臭く寄り添い、「誰一人置いていかないライヴ」をするバンドなのだと。

グラビティ
2番手はグラビティ。暗転と同時にメンバーを呼ぶ大きな声。杏(Gt)、リクト。(Ba)、myu(Gt)、そして六(Vo)の順で登場し「sugarが食い切れなかったぶん食いに来たぞ!」と牙を剥く。「俺らのこと気になってる奴、好きな奴を愛しに来ました。その上で、このイベントで勝ちに来た!」という頼もしい宣言と、六の伸びやかな歌声から始まる『C4NDY』でライヴは幕を開けた。「“星になる”だなんて贅沢かな」と歌う『星になるまで』では、くるくると変わるカラフルなライトの下、輝く星のように光を発するメンバーたちに目を奪われる。

「なんでまた生きていたいかってお前がそこにいるからだろ!」と熱いメッセージから始まった『プワゾン』では、オーディエンスも“ここで生きていること”を証明するかのように全力のジャンプで応え、生きる意味を互いに交換しているようであった。ギターソロではお立ち台で杏とmyuが背中合わせになり、メロディアスなハモりを魅せつける。一転して、「笑えない日、なんでもない日に臭い世の中をどうにか生き抜くためにも会えないときのためにも曲を描いていて、やっとそれを聴くお前に会えるからライヴしに来てる」と、六がアコースティックギターを手にし静かに始まった『笑う街』では、六の歌とともに、まるで歌うようなベースとギターのサウンドも心の奥にドスンと響く。




中盤、ライヴ前日にリリースされた最新曲『甘乞<3』では、なんとsugarのNea(Vo)がゲストボーカルとしてステージへ。Neaが歌い出しを間違えるハプニングでは六と握手しながら笑い合うなど、Neaとのコラボレーションにフロアは大盛り上がりを見せた。ちなみに、音源のボーカルは六ソロ ver.とfeat.Nea ver.の2パターンが存在するので、そちらも必聴だ。
「完成した隙の無い俺は誰 実は人に似てるだけの混ぜ物」と歌う『黒』は、自分ではない誰かになろうとしてしまう現代の苦しさを描く。グラビティの歌詞は、現代を生きる人が抱く違和感を容赦なく突き刺す。じっくりと聴かせる楽曲に、観客はふと自問自答させられるのだ。ただ楽しいだけではない、その精神性にこそ彼らの最も鋭く太い牙が隠されているように思う。


しかしラストの『BABY』では全力で楽しませ、最高の満足感で満たしてくれるのが彼ららしい。ライヴでの一体感と次の約束を胸に、私たちはまたこの退屈な世界に戻っていく。それでも今日この場所へ来たときよりも、自分の人生を少しだけ肯定できている気がするのだ。
MAMA.
3番手はMAMA.。どこかあやしげな雰囲気漂うSEとともに、真っ白な衣装に身を包んだ真(Ba)、JiMYY(Gt)、かごめ(Gt)と、真っ黒な衣装の命依(Vo)が現れた。1曲目は、ダークファンタジー映画のサントラのようなドラマチックなサウンドとともに始まった『CRY MORRY』。これから紡がれるMAMA.の物語に参加することを誓うように挙げられた、オーディエンスの手が非常に印象的であった。

ヘヴィな重低音とともに一つひとつの言葉を突き届ける『NOPE.』。「この罪をお許しください」と手を合わせ一心に祈りを捧げる緊迫感から、ライヴはさらにダークな『ALiCE iNSOMNiA』へ。「ほら逃げちゃえよ」のフレーズに合わせて頭を振るたびに現実の憂鬱が吹き飛び、フロアは狂おしいMAMA.の沼へと浸かっていく。一転、広がりのあるアルペジオから世界観をガラリと変えたのは『真っ白な銃弾で僕を撃ち抜いて』だ。ギター隊のエモーショナルなフレーズをリズム隊がどっしりと支え、濃密な空気を作り上げていた。




「ヴィジュアル系って一生綺麗な嘘をつき続けるか、リアルであるかどっちか。私は後者でいたい」というMCに続き、命依がギターを手に取って始まったのは『I`d die for you』。命依の歌声とJiMYYの泣きのギターが心に染み渡り、普段は奥に押し込んでいる自らの弱さやぐちゃぐちゃな葛藤に強制的に向き合わされる。そんな感傷的な空気の中で流れたのは、かわいらしいのにどこか不気味なムードが漂うレトロな音楽。『毒入りミルクはママ.の味』のジングルだ。そこから空気がガラリと変わり、堕ちてゆくのはやっぱりMAMA.の気だるい闇。ラスト、おどろおどろしいイントロとともに「まだこの曲誰も知らないんだ」と始まったのは新曲。「鏡よ鏡、この世界で一番の不幸者は誰?」と不穏な感情を、激しいドラムがさらに掻き立てる。

命依はMCで、オーガナイザーである山内の《音楽は商品ではない》というXのポストに対して「気持ちはわかるんですけど」と前置きしたうえで、「音楽は商品ではあるんですよ。だから私の“憂鬱”を金で買ってくれってことなんです。チェキに憂鬱はないからさ」と語った。MAMA.の楽曲は、人間が密かにもつ憂鬱な気持ちや暗い部分にそっと光を当てる。それは単なる共感ではなく、内省の促しであるようにも思う。彼らのメッセージをただ“カッコいい曲”で終わらせるか、深い部分まで向き合うか、それは私たちの覚悟次第だ。

XANVALA
この日のトリを務めるのはXANVALA。壮大なSEとともに、まさに“ラスボス”の風格でメンバーが登場した。暗闇に滲む赤いライトの下、光を集めたような衣装と、大きなラメがふんだんにあしらわれた巽(Vo)のメイクが妖しく映える。

メロディアスなギターで始まったのは新曲の『災』だ。「誰より愛を込めて殺してくれ」という一節で不敵な笑みを浮かべる巽に、思わずこちらもニヤリとさせられる。巽の「KHIMAIRA!」の絶叫に、フロアが「かかってこい!」とさらに大きな叫びで応戦。続く『デスパレート』『クロコダイル』といったライヴ定番曲を間髪入れずに投下し、序盤からバンドの圧倒的な存在感と一体感をΛ(ラムダ)とともに見せつける。その隙のないパフォーマンスは、さすがの一言。
激しさから一転、妖艶な色気で空気を支配したのは『joke』だ。70.(Ba)が描く艶かしいベースラインと、巽の美しいファルセットがフロアを酔わせる。その余韻を引いたまま、宗馬(Gt)の伸びやかなギターリフから始まった『鱗粉』へ。Yuhma(Gt)の心地よいカッティングと知哉(Dr)の軽やかなドラムに身を委ねれば、フロアは一瞬にしてダンサブルな空間へと変貌を遂げる。これぞXANVALA、彼らの引き出しの多さに圧倒される完璧な展開であった。

そうしてバンドの多彩な顔に酔いしれる中、再び鳴り響くヘヴィなギターが後半戦の合図を告げる。重厚なサウンドに重なるYuhmaのクリアなアルペジオが脳内へ深く染み渡るような『ヴァジュラ』。そこから息つく暇もなく「まだ体力残ってますか?楽しみ尽くせよ!」と始まった『十三』では、宗馬がお立ち台でダイナミックなプレイを炸裂させ、フロアの熱量をさらに限界突破させていく。「今日を選んでよかったって言わせてみせるからさ! ラストやろうぜ!」と始まった『聖戰』で、フロアの熱狂はもはや制御不能の領域へ。他バンドのファンが「こんなはずじゃなかった」と心の中で嬉しい降伏宣言をしているのが見えるほど、空間にいる全員を思わず暴れさせ、巻き込んでいく。それこそが、この夜の“ラスボス”として君臨したXANVALAの、圧倒的な破壊力と説得力であった。




間髪入れずに上がったアンコールの声に「お前らまだ余裕そうだな!やれそうですね!?ブチ殺してやるよ!」と不敵な笑みを浮かべる巽。「今ここで終わらせることがKHIMAIRAの未来に繋がると思ってます。いいイベントにしたいんだよ俺は!手を貸してくれるか?ここが俺たちの理想郷だ!」と始まったのは『XANADU』。何も残さないようにすべてを振り絞るメンバーとフロア。今日を全力でゼロゲージまで使い切るからこそ、フル充電してまた明日から戦える。XANVALAはいつだって「明日を生きる強さ」を授けてくれるバンドだ。


sugar、グラビティ、MAMA.、XANVALA。それぞれの美学を持った4つ巴の猛獣たちが集結したDAY2は、熱狂に包まれ幕を閉じた。この凶暴な合成獣は、私たちの憂鬱を綺麗に喰らっていった。地下2階から地上に上がったとき、息苦しいこの世で少しだけ息がしやすくなったのは、ライヴハウスの中より酸素が濃くなったせいだけではないはずだ。
取材・文:Miyu
写真:Megumi Iritani
SET LIST
<「KHIMAIRA vol.10」- EDGE5DAYS- day2>
2026年6月11日(木) @池袋EDGE
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◆sugar
1.Jam
2.VITAL
3.バカ
4.Ice
5.マヌケ
6.DOLL
7.マゾ
8.Cacao92%
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◆グラビティ
1.C4NDY
2.星になるまで
3.プワゾン
4.笑う街
5.甘乞<3(feat.Nea-sugar-)
6.黒
7.BABY
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◆MAMA.
1.CRY MORRY
2.NOPE.
3.ALiCE iNSOMNiA
4.真っ白な銃弾で僕を撃ち抜いて
5.I`d die for you
6.毒入りミルクはママ.の味
7.新曲
-----------------------------------
◆XANVALA
1.災
2.デスパレート
3.クロコダイル
4.joke
5.鱗粉
6.ヴァジュラ
7.十三
8.聖戰
EN.XANADU

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DAY2 2026年12月16日(水)
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最速先行抽選期間
6月14日(日)21:00~6月30日(火)23:59
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※一般発売は8月2日(土)10:00~上記URLにて受付開始
関連リンク
◆sugar Official X https://x.com/_sugar_officiaI
◆グラビティ Official X https://x.com/official_gravi
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