【異界深層外科医GE+IM -Dr.直祈-】単独スペシャルインタビュー◆毒が人を壊し、毒が人を救う。────GE+IM・直祈が語る「不完全なままでいい」という思想

2023年に活動休止を発表し、約3年の休養とリハビリを経て、再び活動を開始するGE+IM。2026年9月9日には新薬MV「もう毒しか愛せない」を公開し、新たに「異界深層外科医GE+IM -Dr.直祈-」として動き出した。
医療をモチーフにした独自の世界観、「不完全なままでいい」というメッセージ、そしてヴィジュアル系という文化へのこだわり。直祈自身もまたGE+IMを必要とする一人だという。
活動休止期間を経て見つめ直した音楽との向き合い方から、楽曲制作の裏側、そして11月14日に開催される単独診療「異界深層外科へようこそ」への思いまで、直祈にじっくりと話を聞いた。
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「全く問題ない」と言えるまで────3年間の休止と、再び歌うということ
────2023年の活動休止発表では、GE+IMを長く続けていくために治療に専念するというお話をされていました。リハビリブログも拝見し、「順調である」とのことでしたが、現在の声の調子はいかがでしょうか?
直祈 そうですね、声のリハビリの先生は今年に入って卒業認定をくれて背中を押してくれましたし、今は歌うことに対してとても前向きです。
おかげさまで全く問題ないと言えるようになりました。
────3年間の活動休止期間は、どのように過ごされていましたか? リハビリやトレーニングをしながら楽曲制作も行っていましたが、精神的にはどのような状態だったのでしょうか?
直祈 初めてのことも含めて色々な経験をして過ごしてきました。一時期は地元の静岡で暮らしたり、静岡と東京を行ったり来たりしていました。
まず発声障害は、ポリープ等のような病変ではなく自律神経の問題と認識するところから始まったんですが、活休直後には身内に不幸があったりと、精神的にあまりよい状態とは言えませんでしたね。
ステージに戻るために「早く治さなきゃいけない」と焦っていた頃は、ちょっとしたことで鬱状態になるような感じだったんですけど、心を無にして今出来ることだけをして過ごすようになってから、休養といいますか、リハビリが始まった感覚がありました。
ただ、活休して半年後に一度ギターでセッションライブをやらせてもらったんですが、それは運命的なタイミングだったし、やれてよかったです。優しい気持ちに救われました。
それから10周年の日には2年ぶりにGE+IMをやることが出来て、我ながらGE+IMって最高だなと思えましたし、自分にとってもGE+IMの治療が必要なんだと再認識できました。それが糧となっていたし、ずっと信じて待っていてくれた皆さんには本当に心から感謝しています。
────活動休止期間中は、どのような音楽を聴いていましたか? また、音楽以外も含めて、現在のGE+IMの表現に影響を与えたものはありますか?
直祈 昔から好きな曲、その時の気分に合った曲、現代的な楽曲を気の向くままに聴いてきました。90年代や00年代のヴィジュアル系も聴いてましたね。
映画などを見たり、現場を見たりとインプットが沢山増えては曲を作ったりしてきて、ただ具体的にこれが影響を与えたっていうのはわからないんですけど、一番僕自身に影響を与えるきっかけになっていたのは、僕がまだまだ知らないことが多くて日々学びが多いから、制作や音楽が楽しいと思えることですね。
────GE+IMとして10年以上活動を続けてこられたなかで、ご自身の考え方や表現に変化が生まれた部分もあるのではないかと思います。過去と現在のGE+IMを比較したとき、どのような違いを感じていますか? また、変化した部分と、変わらずに大切にしている部分があれば、それぞれ教えてください。
直祈 正直10年経ってもGE+IMを知らない人がまだまだ沢山いて、知ってくれた方から感動したとメッセージをいただいたり、10周年特別診療の日も皆さんと共鳴できた事実を受け止めて、こんな時代ですし、もっと知ってもらう必要があるなと思うようにはなりましたね。
GE+IMを始めた時からモットーは長く続けていくこととずっと言ってきて、当時は少数派でしたけど、それは今も全く変わらないです。
ただ、やっぱり自分ではコントロール出来ない部分の変化や、自分がよいと思うものを求める姿勢から進化していく部分はあると思います。
大切にしてるのは「曲作りに対しての正直さ」で、それがないと自分が感動できないんですよね。自分を愛せないと誰かを愛せないみたいな論理です、多分。……GE+IMは愚直です(笑)。
医師であり、患者でもある────「キミと僕の終わらない治療」
────改めてGE+IMのコンセプトについて伺いたいと思います。活動当初から、医療や治療をモチーフとした世界観を築いてこられました。医療というコンセプトを掲げようと思われたきっかけと、GE+IMにおいて医療という世界観が持つ意味を教えてください。
直祈 所謂医療系って、ハロウィンのノリでやるコスプレだったり、企画ものみたいなイメージもあるかもしれないんですけど、あくまで僕の中では医療系はヴィジュアル系のコアな部分だと思ってるんですよ。
だいぶ前の話ですが、+ISOLATIONという医療コンセプトの継続セッションがあって、僕は志願して参加させてもらったんですが、ワクワクしながら楽しくやらせてもらいましたし、元々好きなことだったんだと思います。
理性から解放されて衝動的な自分でいられるから、ソロを始める時にも迷わず選んだのが医療コンセプトでした。
GE+IMは「不完全なままでいい」というメッセージを強く打ち出していて、僕自身もGE+IMが必要と思える1人として存在しています。
子供の頃からずっと自分のことを普通じゃないと感じてきていて、それは今でも同じだから一生変わらないんだと思います。
「キミと僕の終わらない治療」という狂った世界観がGE+IMのテーマだと捉えてもらえたら嬉しいです。
────今回、GE+IMから「異界深層外科医GE+IM -Dr.直祈-」へと改称されました。その理由について教えてください。また、SNSで「異界とは」について説明されていましたが、直祈さんにとって「異界」とはどのような世界なのでしょうか?
直祈 時を経てシンプルな名前になっていくのが一般的だし、そうあるべきというのがマジョリティーの声だということは重々承知の上ですが、僕の場合はよりヴィジュアル系を突き詰めてGE+IMと向き合った結果、こうなりました。
それからソロであることの覚悟を表す必要もありました。
そうですね、まずGE+IMの視点で言うと、現世の治療では対応出来ない病が蔓延るフェーズに入りました。異界は現世とは常識が違いますが、あくまで現世と隣り合わせなので、現実的だったり非現実的な要素が交錯するような、そんな世界だと思います。世にも奇妙な世界……ですね。もしかしたら元々そうだったものを、よりわかりやすく「異界」と表現しているだけなのかもしれません。

自分が感動できなければ、誰かを愛せない────直祈の音楽制作とオリジナリティ
────GE+IMは、楽曲を「新薬」と呼び、患者に届けるという表現をされています。薬には効能がある一方で、副作用が生じることもありますが、リスナーにどのような感情や変化をもたらしたいかということまで意識されているのでしょうか? また、そうした意図と、実際に患者さんが楽曲から受け取るものとの間には、どのような関係があると考えますか?
直祈 そういった意識が全くないわけではないんですが、そこまで深く考える必要はないと思っていて、割と感情的に作っています。後付けでこれは「鎮静剤」、これは「解毒剤」といったようにカテゴリー分けはできますね。
例えば、よく効く薬とあまり効かない薬があったり、プラセボ効果などあったりするように、人それぞれ反応が違うと思うんですが、それって音楽とすごく似てるなと思うんですよ。
僕はThe Beatlesの「Lucy in the Sky With Diamonds」という曲がとても好きですごく気分が高まりますが、人によっては何も感じなかったりしますよね。
どちらが正しいとか優れてるというわけでもないですし、どちらもその代償があるような気がするんです。
それは効能、副作用と捉えることも出来るんじゃないかと。
────GE+IMがおくすりを処方するにあたって、最初にどのようなところから着想を得て、どのような過程を経て一曲を完成させるのでしょうか? 具体的な楽曲制作のプロセスについて教えてください。
直祈 診療のことを考えたり、患者さんのことを考えたりと様々ですが、フラッシュアイデアだったり、何かしらのアートから着想を得ることも多いです。
制作過程についても様々で、暗号のような自分にしかわからないメモから作ることもありますし、ボイスレコーダーで録っておいたメロディーの一部から広げていったり、ぼんやりしたイメージを具現化しようとひたすらギターを弾いたり、シンセを打ち込んだりして作っていったりもします。
傾向としては、リズムから作る曲やギターリフだったり、ピアノから作る曲は完成が早いですね。それから曲先が多めです。
ソロなので出来るだけ曲が似通ったりしないようにと、いろんな作り方をしているんですが、それでも結果GE+IMっぽくなるのはアイデンティティということで。
────9月9日に異界深層外科医GE+IMとして治療を再開すると発表し、9月10日には新薬MV「もう毒しか愛せない」を公開されました。心血を注いで制作されたことが伝わってきます。楽曲そのものについてお伺いします。GE+IMの楽曲は、ラウドロックの文脈に連なるものでありながら非常に多彩ですね。展開の変化、コード感やリズムも非常に凝っています。だからといって聴きにくいわけではなく、特に歌やメロディ感に関してはキャッチーでスッと入ってくるという絶妙なバランス感覚があると思いました。「もう毒しか愛せない」については、サビがとても覚えやすく、全体的に洗練されていると思いました。この曲を作るにあたって、どのようなことを意識されたのか教えてください。
直祈 楽曲を評価してもらえてとても嬉しいです。ありがとうございます。
「もう毒しか愛せない」で意識したのは、デモを作ってみてなんとなくよいかなと思ったものを練り上げていくといった作業はあまりしないようにしたところですね。
逆に直感的に作って良いと思えるものはどんどん受け入れていくという、荒々しいスタイルでやってました。
────MVを拝見しました。全体的にダークなストーリー仕立てになっています。今回のMVでは、楽曲の世界観をどのように映像として表現しようと考えたのでしょうか? ストーリーや映像に込めた意図、演出におけるこだわりなどをお聞かせください。
直祈 毒が人を壊し、毒が人を救うという狂った世界観を、異界と現世が交錯する奇妙なミステリードラマで表現しました。
余談ですが、撮影に当たって二か月ほど時間をかけてきたことが諸事情でボツになり、カメラマンさんから色々と提案があって、そこから台本も作り始めたので、意識を変えて取り組んだところはありますね。
こだわりとしては、MVの後半に己の存在が「毒」となり畳み掛ける展開から、その「毒」に壊されてしまうところだったり、過去のGE+IMと今が繋がっていてその続きがこれから始まるという主軸の流れであったり、このMVがあくまで序章に過ぎないようにしたところだと思います。
────過去に「V系ではなくヴィジュアル系」という趣旨のお話をされていたことがありますね。一般的には同じ意味で使われることも多い言葉ですが、直祈さんご自身は、この二つをどのように区別しているのでしょうか? また、あえて「ヴィジュアル系」という言葉を選ぶことには、どのような意図があるのでしょうか?
直祈 言葉は短く省略されていくものだし、仰る通り二つは同じ意味であって、そこに深い意味はないですよね。
それでも「ヴィジュアル系」という響きは、危険なものだとか、背徳感があって見てはいけないものみたいなニュアンスを感じるし、反骨精神を感じられていいんですよね。あくまで僕の感想です。
言葉を選ぶ理由……そうですね。ヴィジュアル系という文化に大きく影響を受けて魅了されてきた1人なので、そういった時代背景を表現する意味でもV系という言葉はあまり使ってこなかったというだけだと思います、おそらく。
────11周年を迎えるGE+IMですが、「異界深層外科医GE+IM -Dr.直祈-」では、ご自身が大切にしている信念や、表現するうえで譲れない一線はありますか? 直祈さんが理想とするアーティスト像とはどのようなものでしょうか?
やはり今までと変わらずソロとして長く続けていくことですね。
直祈 理想とするアーティスト像は、本質的な意味で自分らしくあること、ファンのことを楽しませ続けられること、不可能を可能にできるような人外感ですね。
たとえ良くない時があったとしても、それはそれでB面的な魅力だと思うから、そのアーティストの歴史の中で、例えばかっこいい音源といまいちだと感じる音源があったりするのも生々しくていいなって思います。
────GE+IMの活動において、オリジナリティをとても大切にされているのだと感じます。あえて「オリジナルとは何か?」を疑って考えたとき、直祈さんにとってご自身の表現がオリジナルであるかどうかを、どのような基準で捉えていらっしゃるのでしょうか?
直祈 よく地元の音楽仲間たちに、僕だけ「全く業界に染まってない」って言われるんですよ。つまりマイペースで変わってるんですけど、それってよくも悪くもオリジナルってことなのかなとも思ってます。ポジティブに考えると。
そんな僕だから表現も活動も独特になっていくのかもしれません。
昔はそれがマイナスに作用することも多かったんですが、ここまできたらそれを強みに変えて活動していこうと思ってやってきました。
「最初は誰でも初診者」────V系ではなく"ヴィジュアル系"を突き詰めた先にある異界
────11月14日(土)に池袋BlackHoleにて、異界深層外科医GE+IM -Dr.直祈-単独診療「異界深層外科へようこそ」が開催されますね。どのようなライブになりそうですか?
直祈 まず、今までやってきたGE+IMと全く違うものになることはありません。むしろGE+IMらしくより濃密に、より刺激的に、僕含めてその場にいる全員が心が躍るような治療がしたいです。自分でも何が起こるかわからない、そんな緊張感と同時にGE+IMでしか味わえない幸福感を得られるような最高の時間にします。
────GE+IMのライブは、どのような雰囲気なのでしょうか?
直祈 いろいろなタイプの刺激や快楽があり、緊張と緩和がすさまじいので遊園地のような感じでしょうか。世界観がかなり強めなので、コンセプトがはっきりしたテーマパークみたいな。
……言葉で伝えるのは非常に難しいので、ぜひ実際に体感してもらいたいです。
────過去のSNSでは、曲の細かな振付を提示されていました。ヴィジュアル系の文化を知らない人からすると、「振付がわからないとライブに行ってはいけないのだろうか?」という疑問を持つ人もいて、ライブに足を運ぶ際の壁になっている側面もあるのではないかと思います。GE+IMにとって振付はどのような意味を持っているのでしょうか? また、初めてGE+IMのライブに参加する人に向けて、楽しみ方を教えてください。
直祈 すごくよくわかります。フリについては実際に出来たらより楽しめるというのはありますが、最初は不安を感じる方も多くいらっしゃると思います。
ただ僕はずっと「最初は誰でも初診者」って言ってまして。つまり出来なくてもいいし、なんとなくでもいいんです。全く問題ありません。
もちろん出来るようになりたい方向けにはリハビリ(振付講座)だってあります。
だから気を楽にして受診してもらいたいです。
振付の意味は改めて考えても、やはり一体感が生まれて高揚感が高まることですよね。
一体感はライブ(診療)の醍醐味だと思いますし、交感神経が刺激されてアドレナリンやドーパミンが分泌されます。エンドルフィンも分泌されて血流もよくなって、アンチエイジングにもなるのでいいことしかありません。
やはりGE+IMの薬を服用してから来てもらえた方が楽しめるとは思いますね。楽しみ方は人それぞれですが、自分らしく楽しんでもらうのがいいと思います。一人で来られる方も割と多くいらっしゃるので安心してくださいね。それからどこで見ても楽しめます。
ただ、治療の効果を高めるためにもなるべく前に来てほしい……というのは個人的な願いです(笑)。
────最後に、読者にメッセージをお願いします。
直祈 なかなかこういった真面目な話をする機会もないので、最後まで読んでもらえて嬉しいです。
11/14から異界深層外科医GE+IMは治療を開始します。色々と楽しみにしていてください。そして、ぜひ会いに来てください。治療を始めましょう。
どうもありがとうございました。
取材・文:KAORU
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2026年11月14日(土) 池袋BlackHole
異界深層外科医GE+IM -Dr.直祈-単独診療
「異界深層外科へようこそ」
受付開始17:30 / 治療開始18:00
前売¥4,500 / 当日¥5,000 各D代別
【診察券】
A.9月27日(日)よりLivePocketにて発売
https://livepocket.jp/e/ge_im1114
B.11月8日(日)都内3箇所にて手売り販売(¥2,000)
※オフィシャルXにて詳細公開
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