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【AKi】◆独占インタビュー◆4年ぶりに発表されるフルアルバム『Free to Fly』を完成へと導くまでの日々において、AKiは多くの経験をしてきたという。「人生観に変化が起きて、それを歌にしたいと思った」

より自由に、より力強く。バンドでの活動とは別のかたちで、AKiがソロプロジェクトをち上げてから約10年が経とうとしている中、このたび4年ぶり発表されるアルバム『Free to Fly』。今作では作曲からアレンジ、作詞、ベースプレイ、そして歌の面でも従来以上に高い表現力が発揮されることになったと言っていい。影丸(-真天地開闢集団-ジグザグ)とHIROTO(アリス九號.)が参加する、今夏の[AKi Tour 2024 『Free to Fly』]についても要注目!

  自由に羽ばたくためにはもっと自分と向き合っていかなきゃいけない


 

────AKiさんにとって、4年ぶりとなる待望のフルアルバム『Free to Fly』が完成いたしました。既にYouTubeではタイトルチューン「Free to Fly」のMVも公開されておりますが、今作における顔役をこの曲に決めた理由とはどのようなものだったのでしょうか。

AKi:最初から狙って「Free to Fly」をタイトルチューンにしようと思っていたというより、アルバムができてみて結果的に「Free to Fly」がタイトルチューンになった、っていう言い方をした方が理由としてはより正しいかもしれませんね。実は2曲目の「ODYSSEY」とどっちにしようかけっこう迷ったんですけど、やっぱり「Free to Fly」の方がこれまで自分がソロとしてやってきたことや、自分にとってのソロに対する概念が反映されたところがある曲だなと感じていたので、今回の表題曲は「Free to Fly」に決めたんです。

────なお、MVFree to Fly」はとても鮮烈な映像に仕上がっておりますが、撮影にあたってのプロットについてもAKiさんが何か提案をされたのでしょうか。

AKi:今回の場合は影丸(真天地開闢集団ジグザグ)にしろ、HIROTO(アリス九號.)にしろ、いつもやってくれてるたっぱ(加藤貴之)にしろ、本当に素敵なミュージシャンたちが集まってくれてますから、みんなで演奏している場面のインパクトをとにかく打ち出したいというのがありましたね。だから、まずはバンドショットをクールに撮ってくれっていうことを映像制作のチームにはお願いしました。それと同時に、今回は監督がポールダンサーのAllie Kamikazeさんっていう方を呼んでくださったんですよ。

────あのポールダンスがまた非常に華麗で素晴らしいと感じました。

AKi:ですよね。Allie Kamikazeさんとは初対面だったんですけど、僕はもともとポールダンスの芸術性っていうものに興味があって、けっこう好きな世界だったんですよ。そういう意味で、撮影自体もすごく楽しかったし、映像としても視覚的な刺激のあるものになったので、かなり良いMVに仕上がったなと思ってます。

────そんな「Free to Fly」は上質なポップセンスを漂わせている曲に仕上がっておりますが、もちろんしっかりとロックな部分もあり、そのうえサビでのコード展開にはR&B的な色合いもほんのりと感じられます。AKiさんがこの曲を作ってい際に、意識していたのはどのようなことだったのでしょう。

AKi:たとえば、シドだったらロックと昭和歌謡の融合みたいなところが軸になっているバンドだと思うんですけど、僕のソロに関してはわりとハードロックとデジタル的な要素だったり、ストレートなハードロックをやってきたところがある中で、今回はそういった自分にとっての基盤になっているハードロックと、何をミクスチャーしたらより新しくてカッコいいものをみんなに届けられるかな?っていうことをまず考えたんですよ。それで思ったのが、明確に何々っぽいとかではなくて、どことも言い切れないオリエンタルな雰囲気だったり、エキゾチックなテイストが入ってたら面白いんじゃないか?と思いながら作ったのが「Free to Fly」だったんですよ。

────なるほど。それで「Free to Fly」では途中にややアラビアン寄りな国籍感のある展開が出て来るのですね。

AKi:そうそう。ちょっとアジア寄りな気もするし、これは一体何処だ?みたいな。特に間奏あたりのリフとかギターソロに差し掛かるところは、我ながら面白いアプローチが取れたかなと思ってます。それでいて、シドで大切にしてきたメロディ感も活かせたと思うので、そこは最初に言っていただいてたポップセンスとして組み込むことができたところなのかなと。だから、この「Free to Fly」はシドの明希が好きだという方にとっても、そういう部分が垣間見えるような“AKiとしての作品になってると思うので、きっと楽しんでもらえるはずです。

────AKiとしての自分とシドの明希が、今作では絶妙なバランス感のもとに共存しているわけなのですね。

AKi:今の自分にとってはどっちも必要な表現の場なので、この「Free to Fly」も極端なかたちでシドの明希の方に傾いちゃうと、聴く側としては「だったらシドでいいじゃん。ソロなんてやんなくても」ってなっちゃうだろうし、ちゃんと自分のコアな部分も掘り下げてきたいという意味でも、この曲は今回のアルバムの中で重要な曲だったんです。自分らしくもありたいし、でもこれまでの自分を壊しつつ、そこから新しいものを生み出していきたくもあったので、最初はなんとなく感覚的に探り始めたとはいえ、結果としてはかなり緻密な計算や分析もしていきましたね。

────ちなみに、いわゆるポップセンスについては人によって捉え方がまちまちだったりもします。AKiさんにとってポップであることの条件とは何でしょう。

AKi:聴き手を選ばないメロディ感が大事なのかな、っていう気はしてます。

────当然、AKiさんはその聴き手を選ばないメロディを歌われる立場でもありますよね。ソロアーティストとしてはここまでに約10年の経験を積み重ねてられているわけですけれど、アルバム『Free to Fly』の制作にあたりヴォーカリストとしてことさら留意されていたことはございますか?

AKi:そこも自分としてはいろいろあって、歌詞についてもそうですし、僕なんかが歌の技術なんていうことはあんまり言える立場でもないんですが、ヴォーカリストとしてのパフォーマンスが上がるような研究っていうのも常にしてましたね。レッスンとかも含めて。

────ひとたびステージに上がると、AKiさんは大胆で派手なロックミュージシャンとして我々を魅了してくださいますが、実はとても堅実かつ実直いらっしゃるのですね。

AKi:いやだって、結局のところ自分にとって一番わかんない楽器がヴォーカルだなってよく思うんですよ。自分の声って自分の頭蓋骨に響いてこえてくるものだから、レコーディングした歌とそれを比べると全然違いますからね。その点、ベースはアンプを鳴らせば誰にでもその音として誤差なくこえるじゃないですか。だから、今はまだ自分の声に対する理解をもっと深めていく必要があるなってすごく感じてるんです。わかりやすく言うと、どこまで使ったら壊れるのか?みたいなことや、どのくらいのキーまで出すことができるんだろう?とか、歌い方によって自分が最も良く響かせられる日本語の母音も変わってくるんだろうなとか、ヴォーカリストとしての僕はまだ自分を知っていってる途なんですよ。喉には楽器みたいに説明書がついてないですからね。でも、最近はだんだん歌うことの楽しさもわかってきた気がしてます。

────バンドでの活動を経てソロ活動をするようになられたアーティストの多くから、これまで幾度となく「ソロを始めてから、あらためて自分のところのヴォーカリストのすごさを知った」的なエピソードを異口同音でうかがったことがあるのですけれど、AKiさんもそのような心境になられたことはありますか。

AKi:あぁ、それはもうマオというヴォーカリストに対してのみらず、全パートに対して強く感じてます。ソロを始めてからというもの、ShinjiGtやゆうやDrすごさっていうのがよりわかるようになりました。そして、ほんとに「シドっていうバンドはすげぇーんだな」っていうこともあらためて感じますよね。ソロをやってることによって、自分のバンドへのリスペクトが非常に高くなったのは間違いないです。

────その一方で、ソロにはソロだからこその醍醐味というものもあるかと思います。ベーシストとしての観点に立った場合、今作『Free to Fly』でご自身がバンドではできないくらいにここまで弾いちゃいました的な曲もあったりするものですか?

AKi:そこは意外とないんですよ。シドで「こう弾いてくれ」みたいに言われることってそんなになくて、基本的にはいつも任せてもらっちゃってますからね。お互いに縛ったりとかはしないから、バンドでもソロでもベースは制限なく自由にやってます。ただ、違いがあるとすればソロの方が縦ラインを意識するようなフレージングにすることが多いです。ライで歌いながら弾くということを前提に考えると、自然とそうなりますね。

────ここからは少し「Free to Fly」の歌詞についてもお話をうかがわせてください。こちらは〈好き放題言いたいこと〉から始まり〈自画自賛です 自己満の園〉といったフレーズが出てくることを思うと、どうやらSNSの世界や現代の世相をAKiさんからの視点で描いたものになっているようですね。

AKi:確かに、テーマ的にはわりとそこを意識してました。今思うと最初のうちのアルバム1枚目2枚目ぐらいまでの僕は、いわゆる様式美としてのロックの歌詞みたいなところにとらわれぎてたところがあったんですよね。ロックなんだからこういう言葉は使わない方が良いとか、歌詞に対するコンプレックスがわりとあったんですよ。でも、今回は普段の自分の感じていることや、もっと人間的な部分、ここまでの経験なんかも詞で表現していきたいなという欲求が出てて、そういうベクトルになっていきました。そこはコロナの3年間で、ファンのみんなと作りあげてきたものも大きかったですね。自分の人生観に変化が起きて、それをいろいろ歌にしていきたいと思った時、使える言葉が一気に増えました。あと、良い意味で「自分の言葉で歌うのに良いも悪いもないよね!」って開き直ったのか、さっき言ってたコンプレックスも気が付いたらなくなってたんです)。

────それだけ良い状態で制作をすすめることが叶ったアルバム『Free to Fly』は、さぞかしAKiさんにとって強い手応えを感じられるものに仕上がったことでしょう。そのことを踏まえた時、アルバムづくりにおいては1曲目に何を持ってくるかというのも重要なポイントになるかと思います。今回「Devotion」に白羽の矢を立てた理由は何でしたか。

AKi:「Devotion」はタイミング的に言うと最後の方にできた曲だったんですけど、これは最初から1曲目として作ったものだったんですよ。

────だとすると、『Free to Fly』の1曲目に相応しい必要条件というものを、AKiさんがどのようにお考えだったのかも知りたいです。

AKi:今回の場合は1曲目からノセようとかは思ってなくて、何よりもこのメンツで出す音を聴かせることで聴き手をまずは圧倒したいなという気持ちが大きかったです。そして、詞の面では「君のことが好きだよ」とか「世界よ平和になれ」みたい意味の伝わりやすものではなく、どこか悪魔的な要素もありつつで、曲調を考えると少し意味深な英詞にした方が良いだろうなと考えました。

────サウンドの響きから感じるところもあって、何故だか「Devotion」は不思議な曲だと感じます。冷静さとエモさが複雑に交錯している感じがするのですよね。

AKi:あぁ、言われてみるとそういう感じはありますね。これは自分が何者かもわからないような状態を詞で描いて、僕はそういう半分ホラーみたいな映画が好きだったりするんです。

────「Devotion」のサウンドの面でこだわられたのはどのようなことでしたか。

AKi:AKiとしてのソロはどの曲もツインギターが基本で、それプラスもちろんベースとドラムも重なっていくんですけど、この曲ではさらにその外側にあるバンド以外の音も入れたりしてますけど、ギターに関しては敢えて変な感じに刻みたかったし、それに対してシンセの音もちょっとズラしたりして、聴いた時にトリップ感を得られるようなイメージでアレンジしていきました。

────そこから一転して、2曲目の「ODYSSEY」は日本語詞でのいわゆる歌モノということになりそうですね。

AKi:この曲はシドに通ずるものを持った曲なのかな、と自分で作ってて思った曲でもありました。わりとストレートなタイプの曲で、自分の持ち味もよく出てると思います。詞は曲タイトルの「ODYSSEY」っていうのが冒険記みたいな意味なので、ここではメジャーデビューしてから今までのことや、当時の気持ちを書いてるんですよ。

────それで冒頭の一節が〈モノクロから始まった〉となっているのですね。

AKi:そうなんです。メジャーデビューが決まって、インディーズの状態で代々木(2008年5月1日[SID TOUR 2008 FINAL period@国立代々木競技場第一体育館)とかやって「モノクロのキス」でメジャーデビューして、そのあとにはさいたまスーパーアリーナ(2010731日「SID Summer Festa 2010 SAITAMA SUPER LIVE~」)、東京ドーム(20101211日「SID YEAR END CLIMAX 2010 ~全てのシドへ~」)とかをガーッとやってた頃って、おそらく周りからは順風満帆に見えてたと思うんですけど、そんな中での感じてた葛藤みたいなものをここでは書きました。漫画とか映画で言うなら、シドや明希のことを今この時点にいるAKiの視点から描いたスピンオフ作品っていう感じですかね。

────つまり、過去には〈NegativeSpiralに陥っていた時期もあたわけですね。

AKi:いろいろ悔しい思いをしたこともあったし、一時期は大好きだった音楽に対して「あれ?嫌いかも?」みたいになった瞬間もあったんで。まぁ、そうなりかけた頃を経てそれでもこうして続けてきて、目の前にあった超えなきゃいけない山も乗り越えて、なんとか今の景色が見えるところまでたどり着くことができたことを思うと、結果としてはやっぱり食らいついて腐らなくて良かったな、って思ったりしながらこの詞を書きました。ほんと、あのとき自分自身に負けなかったからこそ今があるんだなって思います。

────3曲目の「OVERRUN」は、ベースが特にゴリゴリで痺れました。良い音ですね!

AKi:このアルバムの中で、この曲は唯一ドラムが打ち込みなんですよ。生ドラムじゃない分、サウンドとしては思い切って遊べたんです。ロー感の部分はひとりなんだし、ここはベースでブリブリ行っちゃっても良いよね!っていうノリでした。

────間奏のベースソロからギターソロにリレーしていく展開も、聴いていてアガります。

AKi:そう言ってもらえると嬉しいです。ただ、そのへんはけっこうライだと変わるんですよ。後半部分が伸びてギタリストたちがおおいに交互で弾くことになるから、今度のツアーではたにHIROTO無双も観られるでしょう)。

────ここから表題曲の「Free to Fly」を経て、5曲目FATE」へとつながっていきます。この曲ではAKiさんの歌がいっそう強い存在感を発している印象です。そして、バイオリンの繊細な響きもAKiさんの声をより引き立たせてくれていますね。

AKi:ヘヴィで説得力のあるバラードを作りたかったんで、ここでは歌詞も暗いトーンにしました。生バイオリンはレコーディングの後半で入れたんですけど、暗い雰囲気が続いていく中でも最後には光が差してしかったので、曲としてはそこまでに存在しなかったメジャーキーで終わる、という構成にしたんですよ。

────そういえば、先ほどのODYSSEY」は運命論なんて無意味さ〉という一節でしめくくられていましたが、このFATE」という楽曲タイトルは運命を意味する言葉ですよね。AKiさんにとっての運命に対する概念とはいかなるものなのか、もしよろしければ少し教えてください。

AKi:それは難しい質問ですね。あらかじめ決まっているようなものだけど、自分で作り変えることもできるものなのかな?って思います。物理的に抗えないことや、受け容れなきゃいけないこともあるかもしれないけど、自分のとる行動、自分の気持ちの持ち方によっても、変えることができるケースはあると願いたいです。限られた時間の中でどう生きるか、どう命を使うかっていうのは、自分で決められる部分が大きいんじゃないですかね。

────そんなFATE」とのギャップに驚くのが、6曲目の「Bluffing」です。この曲は曲調も歌詞世界も、退廃的でグラマラスなテイストになってますね。なおかつ、ベースソロが聴きどころでもあります。

AKi:こういう雰囲気も僕は好きなんで、曲としてこういうものを作っていくのは面白かったです。あと、あのベースソロに関しては自分で弾きながら「これちょっとシドっぽいな」と感じたりしました)。

────7曲目の「Salvation」はAKiさん流のロックンロールを体現された曲のように感じましたが、その自覚は作っている際にもお持ちでしたか?

AKi:ありましたね。ここはストレートに行こうと思ってました。この曲は今年のアタマに配信リリースしてライでもけっこうやってて、みんなクラップしてくれたり、サビのコーラスパートも歌ってくれてすごい盛り上がる曲になってくれてるので嬉しいです。

────次いで8曲目「Colors」は、個人的に聴いていてとても興味深かったです。この独特な音像は、一体何をきっかけにして生まれたものだったのかが気になります。このアルバムの中でも、この曲は良い意味で異彩を放っている印象です。

AKi:これは完全にストーンズリスペクトです。

────そういうことでしたか。日本でストーンズというと、近年はもっぱらアイドルのことを指すケースが多くなっていますがThe Rolling Stonesといえば今年で結成62年の超モンスターバンドであり、ロックンロールレジェンドそのものだとも言えます。

AKi:最近、アナログレコードに凝ってるんですね。これまで僕はビートルズもストーンズもちゃんと通ってなかったんですけど、昔の名盤をCDじゃなくてレコードでよく買ってて、聴いてみると「やっぱりビートルズって素晴らしいな」とか「ストーンズってこんな感じだったんだ」っていう発見がたくさんあるんですよ。そして、これはストーンズの「She’s a Rainbow」(1967年発表のアルバム『Their Satanic Majesties Request』収録曲)っていう曲に対するリスペクトを込めて作った曲になります。僕がストーンズと出会ったのがこの曲でした。

────数年前にCMで使われていたことがあるものの、代表曲とされている「(I Can’t Get No) Satisfaction」や「Jumpin’ Jack Flash」ではなかったところが少し意外です。

AKi:ストーンズの中でもこれは奇抜というか珍しい曲調だったから、そこに自分は惹かれたんでしょうね。純粋に「素敵だな」と感じたんですよ。

────もちろん興味がまずは先に立つのでしょうけれど、つくづくAKiさんは音楽に対してとても勉強熱心でいらっしゃいますね。

AKi:自分では別に勉強とは思ってないんです。ベースのこともそうで、前までシドの曲は8割から9割方ピックで弾いてたのをある時からほぼ指弾きに変えたんですね。そうしたら、プレイヤー誌の方たちから「すごく研究されて練習と勉強をされてるんですね」って言われたんですけど、自分としては単純に「ゆうやともっと音を合わせるには指弾きの方がいいだろうな」って思っただけの話なんですよ。あんまり理屈で考えてるわけではなくて、音楽は好きだからいろいろ聴くし、音楽に関することも直感にその方が良さそうだからやってる、っていうことでしかなかったりします。思考が単純なんです)。

────何をおっしゃいますやら。到底、ただの単純な思考からは『Free to Fly』のようなアルバムは生まれないと思います。

AKi:いや、今回は曲順とかも基本的に聴いていて気持ちいい流れを優先したんで深くは考えてなかったですよ。あ、でも最後の2曲はこの並びで「The Same Dream」のハウリングから「Only One」のイントロにつなげて終わるといいんじゃないですか?って、たっぱがとても良いアイディアを出してくれたんで、ぜひそういう風にしようと当初から思ってたかな。

────「The Same Dream」はライの光景が見えてくるような曲ですね。と同時に、聴いていると〈奪えなかった未来〉というフレーズが深く胸に響いてきます。

AKi:この曲は僕としてもライのことを思いながら作った曲です。その〈奪えなかった未来〉っていう部分に関しては、時間っていろんなものを成長もさせていくけど、時には奪っていくものでもあるのかなと思ったりするんですよ。たとえば、もう時間がなくなってしまったことでバンドを辞めていくヤツとかいたりしますから。そういう現実があっても奪えなかったのがの音楽人生と未来だとも思うから、今この環境でこうして音楽を続けられていることはすごく幸せなことなんだ、っていう思いからこの曲を作りました。

────そのあとに続く「Only One」で歌われる〈ずっとこのまま歩き続けよう〉という歌詞も含めて、今作における最後の2曲はAKiさんというアーティストにとってある種の所信表明であるのかもしれません。

AKi:今年、僕は43歳になったんですよ。「俺、あと何年バンドやれんのかな」ってよく考えるんですよね。諸先輩方をてると50超えてもガンガンやってる人がたくさんいるんですが、いよいよ自分も人生の中でそういうことを考える入り口に立ったんだろうなと思ったら、あらためて自分の作った曲で盛り上がってみんなと同じ夢の中にいられるライって、すごい素敵な場所だなって感じたんです。「The Same Dream」はそういう気持ちで書いたものだし、ほんとにいろんなことはあたりまえじゃないんですよね。

────「Only One」からもその想いはひしひしと伝わってきます。

AKi:普通に聴いたら「Only One」はラブソングに聴こえると思うんですけど、この曲はコロナの3年間を経てファンのみんなとの絆を強く感じたところから生まれた曲なんです。無観客配信ライとかいろいろやって、何も見えないような闇の中だったけど、みんなからの声はそれでもこえてた気がしてたんですよ。そのあとだって、拍手しかできない状態でもみんないろんなところまで観に来てくれたり。あの頃そういうみんなに対してとても愛しい気持ちになって、感謝の想いを曲と詞にしたのが「Only One」です。

────すなわち、4年ぶりとなるこのフルアルバム『Free to Fly』にはAKiさんが近年の日々で感じてきたことがすべて詰め込まれているわけですね。

AKi:まさに。『Free to Fly』っていうアルバムタイトルも、自分にとっては音楽を自由にやって、人生を自由に生きてくのが素敵なことだと思うんですけど、でも責任のともなう自由だからこそ意味があるっていうことだと思うんですよ。自由に羽ばたくためにはもっと自分と向き合っていかなきゃいけないっていう意味も、ここには入ってますね。それは最近の自分が感じてきたことなんで。

────自由に音楽を楽しむことができる空間としては、ここからの[AKi Tour 2024 Free to Fly』]もAKiさんとみなさんにとって大切なものになっていきそうですね。

AKi:今回は影丸とかHIROTOとか、常にフルスロットルで動いてるミュージャンたちが奇跡的にスケジュールが合って集まったんで、なかなかこれは二度とない組み合わせでのスペシャルなツアーになると思うんですよ。影丸とかHIROTOのファンにもこれを機にAKiとしての活動を知ってもらえたら嬉しいし、もちろん僕自身も楽しみたいし、とにかくカッコいい音楽で空間を埋め尽くしたいと思ってるので、ぜひみんなにはそれを体感しに来てしいです!

 

取材・文:杉江 由紀  

RELEASE

★New Album『Free to Fly』
2024年6月5日 Release!



<限定盤(2CD+ダウンロードカード)>
品番 DCCA-131〜3 価格 ¥6,600(税込)
 
<CD> [DISC 1]
01. Devotion
02. ODYSSEY
03. OVERRUN
04. Free to Fly
05. FATE
06. Bluffing
07. Salvation
08. Colors
09. The Same Dream
10. Only One
 
<CD> [DISC 2]
01. Devotion DEMO
02. ODYSSEY DEMO
03. OVERRUN DEMO
04. Free to Fly DEMO
05. FATE DEMO
06. Bluffing DEMO
07. Salvation DEMO
08. Colors DEMO
09. The Same Dream DEMO
10. Only One DEMO
 
【ダウンロードカード収録内容】
・音源MP3データ(DISC 1収録音源のみ)
・「Free to Fly」Music Video
・Making of 「Free to Fly」
・セルフライナーノーツ
 
※CD/ダウンロードカードの収録内容は変更になる可能性がございます。

LIVE

■AKi Tour 2024 『Free to Fly』
2024年6月15日(土) 神奈川 / Thunder Snake ATSUGI
2024年7月6日(土) 愛知 / 名古屋ell. FITS ALL
2024年7月7日(日) 大阪 / OSAKA MUSE
2024年7月13日(土) 埼玉 / HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
2024年7月27日(土) 東京 / 渋谷WWW

関連リンク

【AKi OFFICIAL】
◆Official SiteOfficial Xオフィシャルオンラインサロン「Resonants」

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