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【STRiKE VACK.】◆スペシャルインタビュー◆どこのシーンであろうと型にハマらずやりたい────。

2024年1月から活動をスタートさせた新進気鋭のバンド STRiKE VACK. は、音楽のジャンルに固執せず自分たちの信じる “ カッコいい ” を貫く。
新曲「BREVK iT」リリースと SHIBUYA CLUB QUATTRO  ワンマン開催に向かって走り続ける Shiki(Vo)と SEN(Gt)に話を訊いた。

 

────まず、STRiKE VACK.というバンドはどういう経緯で結成されたのかを教えてください。

Shiki:もともと、僕自身大阪で10代の頃からバンドをいくつかやっていたんですけど、2019年に解散して、それでもバンドを諦めきれずに単身で上京したんです。でも、ちょうどタイミングを同じくしてコロナ禍になってしまって、うまくいかないなかで紆余曲折もあり、それでもバンドをやりたいという芯は持ち続けながら、どんな人と一緒にやるのかを模索していました。

────メンバー探しに結構時間がかかったんですね。

Shiki:そうですね。そのなかで大事にしたかったのが自分のことを理解してくれている人とやりたいってところでした。そういう意味では、SENくんはお互いが10代の頃から知り合いだし、Naoくんは僕が初めて組んだバンドのメンバーなので、音楽性や人間性でぶつかることがなくて、のびのびやれる理想のバンドを組めたと思ってます。

────SENさんとは10代の頃からの知り合いなんですね。

SEN:昔、バンドをしていたときにライバル的な位置で切磋琢磨していた間柄でした。当時からしっきー(Shiki)はめちゃくちゃ尖ってて、ヴィジュアル系なのにライヴにツーステップを組み込んだり、まだYouTuberという名前ができる前からYouTuber的なことをしたりと、積極的に新しいことを取り入れていて、当時は変なことやってるって印象でしたけど、今思えば様々なもののパイオニアだったのかもと思いますね。

Shiki:僕、はじめしゃちょーとYouTube同期ですからね(笑)。

────そんななか、ShikiさんはSTRiKE VACK.を始める前に約2年間BLVCKBEERYというボーイズグループで活動をされていたそうですね。その間、バンドへの想いとはどう向き合っていたのでしょうか?

Shiki:僕の性格的にひとつのことに熱中するタイプなので、BLVCKBERRYをやっていた頃はBLVCKBERRYのことを常に考えていたし、グループ活動に打ち込んでいたんです。なので、頭のなかはほとんどBLVCKBERRYのことで埋め尽くされていて、その片隅にバンドのことがあるって感じでしたね。

────BLVCKBERRYではLINE CUBE SHIBUYAZepp DiverCityでのワンマンもするなど順風満帆ななか、突然の卒業発表でした。

ShikiBLVCKBERRYもバンドも両方大事なことは大前提なうえで、僕自身器用な性格じゃないので、両方に同じだけの熱量を注げなくなってきて。最終的に自分は何のために東京に来たのかと言う問いにぶつかって、歌を歌うのは一緒ですけど、僕はバンドに衝撃を受けて音楽を始めたので、音の塊のなかで叫んで歌うことを諦めることができずに卒業を決断しました。

────その頃のShikiさんのことをSENさんはどう見てましたか?

SEN:彼はBLVCKBERRYをやっている頃からソロという形で音楽制作をしていたので、それを手伝いながら近くで見ていましたし、素直に応援してました。それにBLVCKBERRYをやっている頃のしっきーがいなかったら、僕は今一緒にバンドやってないと思います。

────というと?

SENBLVCKBERRYを辞めてまでバンドをやりたいというリスクを取れるところが彼の魅力だと思うし、僕自身リスクを取れない人間に魅力を感じないんですよね。それに、しっきーと僕は性格も真逆で、音楽やってなかったら絶対に関わらないタイプの人間なので(笑)。でも、逆を言うと自分にないものを持っていると感じて、今回一緒にやることにしました。

Shiki:実は10年前くらいからずっとバンドに誘ってはいて、のらりくらりかわされ続けていたんですけど、突然OKをもらえて僕としても意外でした。

SEN:僕自身リアリスト寄りの人間なので、アーティストよりはクリエイター気質で、将来性を考えて断り続けていたんですけど、リスクを取りに行く姿勢にしっきーの人間味を感じたし、ここまで付き合いが長いと僕も含めて彼の悪いところも理解したうえで着いていけるメンバーが最終的に集まっていると思いますね。

────そうして集まったバンドにSTRiKE VACK.という名前をつけたわけですが、以前のバンド名であるSick.Screaming inside can kill.(通称Sick.)からバンド名を一新した理由はあるのでしょうか?

ShikiScreaming inside can kill.という名前も含めてSick.という名前で昔からやっていたので、若干のこだわりや愛着があって、これまでずっとそこに固執していた面があるのは事実なんですけど、メンバーから名前が長すぎる! 誰が覚えられんねん!”って言われて(笑)。

SEN:かっこいいんですけど、好きな人しか読めないし覚えないじゃないですか?

Shiki:それもそうやな! って(笑)。

────反乱の意味を持つSTRiKE VACK.に込めた想いを聞かせてください。

Shiki:自分で言うのもアレなんですけど、僕は交友関係が広くて、10代の頃からいろんな先輩バンドマンの方に可愛がってもらっていたんですね。でも、それはあくまで僕のパーソルな部分で仲良くしてもらっているだけであって、バンドマンとして肩を並べることはできていないという悔しさが常にあって。自分もあの人たちみたいにとか、それを超えられるように、自分のなかでひとつの反乱を起こすという意味を込めてSTRiKE VACK.と名付けました。

────STRiKE VACK.1月に始動してから、ラウドやメタルのシーンからヴィジュアル系までボーダーレスに行き交いながらイベントに出演していますよね。

Shiki:そうですね。実際ヴィジュアル系なの? ラウドなの?”ってよく聞かれますし、シーンを定めていないとどちらのシーンからも嫌われるよっていう助言ももらっていて、重く受け止めています。でも、その助言を受け止めつつも、そこをうまく切り抜けるバンドが売れると思うし、僕たちはどこのシーンであろうと型にハマらずやりたいだけなので、最終的にはかっこいいバンドたちで新しいシーンを作れるのが理想ですね。そのなかで今はヴィジュアル系のシーンにかっこいいバンドを見つけ過ぎてしまったので、そこと勝負したいという気持ちでいます。

────では、音源に関しても聞かせてください。始動と同時にリリースした「SiX YEVRS.」に関してはどんなことを意識して制作されたものなのでしょう?

Shiki:僕がバンドをできてなかった空白の6年間に何があったのかを、歳をとった時に聴いても思い出せるような作品にしようと思って作りました。

SEN:僕自身6年前から楽曲の制作を手伝っているんですけど、レコーディングして、消して、またレコーディングして、完パケしたのにまたレコーディングをしての繰り返しで、年間周期くらいで全曲録り直していて、制作してる時はいつになったら完パケすんねん!”って気が滅入っていました(笑)。

Shiki:完成した曲も時間が経つと気に食わなくなって、録り直しての繰り返しでした。

SEN:ようやく完成して、タイトルをどうしようかってなった時に、1枚のアルバムを作るのに6年間かかったなんて誰も信じてくれないだろうからって『SiX YEVRS.』というタイトルを付けたんです。

────楽曲に関してはShikiさんがメインで作曲されたんですよね。

Shiki:そうですね。今回『SiX YEVRS.』を制作するなかであまり時間がなくて、SEN君はSEN君でエンジニアの仕事があるので作曲には携われずにいたこともあり、nuriéの廣瀬彩人さんに作曲やアレンジを手伝ってもらってめちゃめちゃ助かりましたし、いい曲ができたなと思います。それに、このアルバムはいろんな人の力で作り上げるものにしたかったので、そういう面においてもよかったし、満足いくアルバムになったと思っています。

────また、『SiX YEVRS.』にはSick.時代の楽曲も収録されていますよね。

Shiki:「Resonance.」という楽曲がSick.時代の楽曲ですね。あと、「アウトサイダー」もSick.時代の楽曲で、当時はシャウトしかなかったものをリアレンジして収録しました。

────なぜ、「Resonance.」をSTRiKE VACK.に引き継いだのでしょう?

Shiki:それは「Resonance.」が僕の宝物だからです。というのも、この曲は僕がこれまでに作った楽曲のなかで一番の名曲だと思っていて。『SiX YEVRS.』を大切な作品にするために、自分の一番大切な曲を入れたんです。

SEN:それこそSick.時代の話になりますけど、当時もバンドに誘われて絶対に合わないからやらへん!”って断った直後に「Resonance.」のMVが公開されて、めっちゃかっこいい……”って衝撃を受けたのは明確に覚えてます(笑)。

────不思議なのが「Resonance.」に限らず、ここ数年の間に作った楽曲も多数あるなかで、どの楽曲でも主となるメッセージは歌への想いであったりここで生きていくという決意表明で、しっかりと現在のSTRiKE VACK.もといShikiさんのマインドにマッチしていると感じることです。表現が難しいですが、この6年の間、Shikiさんのなかで一貫してずっとループしていた想いが、やっとSTRiKE VACK.という形を持ってヴォーカリストとして表現することができたというか。

Shiki:そこに関してはやはりずっと想い続けていたことですから。でも、これまでずっと自分のことを歌い続けてきて、『SiX YEVRS.』でだいぶスッキリした感じはあるので、次の作品からはやっと誰かに向けた歌を歌えるようになるのかなとも思っています。

────アレンジ面でのお話をすると、ラウドな楽曲が多く並んでいるなかで「STRiKE VACK.」のブラス音や「DREAM SEEKER.」のヴォーカルチョップなど、よりバンドとしてミクスチャー感を前面に押し出すようなアレンジの楽曲もあり、楽曲の幅の広さを感じます。

SEN:「STRiKE VACK.」のブラス音に関しては、アレンジをする際にしっきーに何か入れてほしいというリクエストをもらって。でも、彼はこだわりが強いのでボツになるだろうなとダメもとでブラス音を入れてみたら思いのほか好評で、そのまま採用されました。

────そういう意味では、ダークでゴシックな要素が強かったSick.との作風の変化は何か意識したのでしょうか?

Shiki:僕はわりとステージ上でキャラクターを演じられるタイプで、Sick.の時はダークな奴を演じてたんです。でも、僕ってよく喋るしこんな感じだから、そこのギャップにガッカリされることもあって。そういった過去もありつつ、自分の人間性を出す素に近いバンドをやってみたいというのは考えていました。

────では、続いて新曲「BREVK iT」についてもお聞きします。こちらはどのタイミングから制作に取りかかったのでしょう?

SEN:この曲はNaoくんが加入してから作った曲で、しっきーの原案をもとに初めてバンド全員で作った曲ですね。

Shiki:その原案というのが、まずライヴでブチアガれる曲で、かつ“MVでパーカッションを打ち鳴らす画を撮りたいというものです。

────パーカッションを打ち鳴らす、ですか……?

ShikiNaoくんはもともとギタリストなんですけど、STRiKE VACK.ではマニュピレーターとパーカッションとラップを担当していて、そのNaoくんがMVでパーカッションを打ち鳴らす画が撮りたいというのが「BRVEK iT」の原案なんです。

────だいぶ抽象的なオーダーですね(笑)。

SEN:しっきーの頭のなかには明確にこういう楽曲にしたいというヴィジョンがあって、それをメンバーが具現化していくんですけど、今回は大変でしたね(笑)。それにお互いメロディの感性も違うのでそこでも大揉めもしたり。

Shiki:当初僕が思い浮かべるチューニングはBだったんですけど、Bだと僕がやりたいメロディにスケールが合わないみたいな話になって、音楽にそんな定義いらんやろ! スケールアウトしたら逆にロックやろ!”みたいな謎のケンカをしました(笑)。

SEN:その発想自体、僕は絶対に許せないんです(笑)。ある意味ここの間柄じゃないとできないケンカですけど、僕は彼のことを理屈や筋と一番離れたところにいる人で、もはや外国人だと思っているので。

Shiki:おかん外人やしな(笑)。

一同:(爆笑)。

────今作はミクスチャー感はグッと抑えめで、ラウドではあるもののオケではシンフォニックな音が鳴っていたりと、Sick.時代の匂いもかすかに感じるように思います。

SEN:原点を踏襲している感じはありますね。

Shiki:原点の良さも入れつつ、Naoくんの提案で最近のトレンドでもあるジャージークラブ(近年では欧米のポップスのみならずNewJeansLE SSERAFIMといったK-POPアーティストやCreepy NutsYOASOBIといったJ-POPアーティストも用いる1小節にバスドラムが5回入るダンスミュージックのジャンルのひとつ)というリズムをイントロに取り入れたりもしました。

────文字どおりメンバー全員で意見を出し合って作ったという事実をふまえると、『SiX YEVRS.』がバンドにとって“0th ALBUM”で、「BREVK iT」が本当の意味での1stのような位置付けなのかもしれないですね。

Shiki:そうですね。このスタンスで新たな制作にも取りかかっていて、すでに新曲もいくつかできているんです。アメリカっぽいのとか外国人っぽいのとか、パンクっぽいのとか(笑)。

SEN:この感じから曲作りが始まるんです。意味不明ですよ(笑)。

────心中お察しします……。また、1212日にSHUBIYA CLUB QUATTROにて行われる“STRiKE VACK. ONEMAN SHOWDREAM SEEKER.まで間も無く半年となりますが、なぜ新人バンドのSTRiKE VACK.がワンマンライヴにこのチャレンジングな会場を選んだのでしょう?

Shiki:僕が尊敬するcoldrainMasatoさんにクアトロでワンマンやったら売れるって言われて……

一同:(笑)。

Shiki:というのは冗談ですけど、やはりクアトロという会場は全国様々なところからネクストブレイクを狙うバンドが集まる登竜門だという話がずっと頭に残っていたのと、BLVCKBERRYの時にお世話になったシドのAKiさんのライヴを見させていただいた会場でもあります。その時にもかっこいいライブハウスだなと思ったし、あのステージに自分達が立つことを1年前からイメージしながら、1年かけてそこに向かっていって、当日のステージで自分達の1年間の活動を見定められればと思ってクアトロでのワンマンを決めました。

SEN:正直無謀だとは思います。でも、さっきも言ったリスクを取れる人間に魅力があるじゃないですけど、このくらい無茶しないといけないと思うんです。というのも、メンバーと話し合いをしたときに、45年かけて徐々にバンドの強度やキャパのレベルを上げていくのではちょっとキツいというのが全員一致していて、兎にも角にも無茶をしようという話でクアトロに落ち着きました。

────なるほど。バンドとしては新人ですが、経験のあるメンバーが集まったある種のオールドルーキーですから、それなりのリスクを取らなければならない、と。

SEN:でないとみんな焦らないですから。大人だからこそ絶対にやらないことをやろう、と。

Shiki:僕らのガッツというか、本気で頑張ろうとしてる姿勢が伝わればいいなとも思いますね。それに結果がどうであれやってよかったと思える日にはしたいので、今後ビラ配りなんかもしようと思ってますし、それが成功に少しでも繋がるなら必死にしがみついていこうと思っています。

SEN:プライドは捨てて、泥臭くやっていきます。

────楽曲タイトルと同じく「DREAM SEEKER.」と名付けたことに関してはいかがでしょう?

Shiki:楽曲の歌詞にもあるようにお金じゃ夢は買えないってことを僕自身が身をもって体感したし、生活が豊かでもバンドをやっていないと豊かじゃなかったので、今年30歳という節目で自分が本当にやりたかったもので夢を追って、ここから10年先走れるバンドになれるように1年目から夢を追うんだよという気持ちでクアトロに向かって行けるようにとこのタイトルをつけました。

────では、夢追い人という意味である「DREAM SEEKER.」にちなんでSTRiKE VACK.の夢をお聞きしてもいいですか?

ShikiSTRiKE VACK.何にも縛られずに自由に音楽をやるというモットーを掲げているんですが、僕自身2日に1回くらいのペースで思想が変わるというか、やりたいことが都度アップデートされていて。それでメンバーを困らせることも多々あるんですけど、このバンドは僕がやりたいことを常にやれるバンドにしたいと思ってます。

────夢追い人Shikiさんのことであり、STRiKE VACK.自体がShikiさんの夢を具現化したものであるということですね。

SEN:これはメンバー全員が思っていることだと思うんですけど、これまでずっとしっきーのことを側で見てきて、順風満帆だったアイドルとしての活動を捨ててまでしてバンドという夢を選んで、売れなくてもバンドでお客さんに囲まれて一生ライヴをし続けたいって言う彼がバンドで売れるところを誰よりも僕らが一番見たいんですよね。

────愛ですね。

SEN:彼は夢を語るのがうまいし、誰かにベットさせるのがうまいので(笑)。でも、それも彼の才能だし、そこで僕らの心が動いた以上、最後まで見届ける義務があるのかなと思っています。

 

 

取材・文:オザキケイト

 

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